【3年ぶりの声出しライブ】MARiAが叫
ぶ「メチャメチャキモチー!」『GAR
NiDELiA stellacage 2022 -stella s
hip- TOKYO』レポート

2022.12.18(Sun)『GARNiDELiA stellacage 2022 -stella ship- TOKYO』@EX THEATER ROPPONGI
2022年12月18日、東京・六本木「EX THEATER ROPPONGI」にて『GARNiDELiA stellacage 2022 -stella ship- TOKYO』が開催された。その2日前にも大阪BIC CATでライブが開催されており、どちらのライブも特記すべきは、「GARNiDELiAにとって約3年ぶりの声出し可能ライブとなった」ということだ。
それ以前に声出し可能だった彼らのワンマンライブは、2020年1月25日、東京・ 昭和女子大学 人見記念講堂で行われた『GARNiDELiA 10th ANNIVERSARY stella cage tour 2020「star trail」』。その日が10周年全国ツアーの堂々たる幕開けとなるはずだったのだが、世間がコロナ禍に入り、以降のツアーは中止に。それでも彼らは皆に音楽を届けるべく、無観客配信ライブや声出し禁止の有観客ライブの開催、またフェスなどへの参加でさまざまな舞台を作り上げてきた。
そして今回、改定された新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに従って、マスク着用の上での声出し可能ライブが実現。アーティストやスタッフ、そしてファンの一人ひとり、音楽に関わってきたすべての人々が勝ち取ることのできたこの未来。GARNiDELiAにとっても新たなる一歩となったこのライブの模様をレポートしていく。

ライブの開始は、待ちわびたこの日を讃えるような壮大なBGMからスタート。「皆様、今日もカミサマアライアンスメンバー、GARNiDELiA stella ship をご利用くださいましてありがとうございます」と、BGMに乗せ、まるで旅客機のアナウンスのようなライブの諸注意が放送された。「まもなく出発いたします。声出しは可能ですが、マスクの着用をお願いいたします」。
ステージにはバンドメンバー、ベース・セキタヒロシ、ドラムス・早川誠一郎、ギター・梶原健生が登場。そして旅客機の艦長のような白い衣装と帽子をかぶったtokuが現れ、乗客、もとい観客の皆におじぎをする。やがて相方とカラーを揃えた衣装のMARiAが現れると、観客一同、早くもオールスタンディングに。1曲目「21248931」を披露した。チクシュルーブ・クレーターの座標数値からタイトルを取った「終わりとはじまりの場所」を意味するこの曲は、まさに発声禁止だったこれまでのライブに「終わり」を告げ、ここから新しいステージを「はじめて」いくにふさわしいナンバーだ。
続けて2曲目には「Poppin' Trip」のイントロがスタート。MARiAが「さぁさぁみんな、TOKYO、調子はどうですかー?」と聞いて、「イェーイ!」という観客の大きな声が返ってくると、彼女も感極まった様子で「メチャメチャキモチー!」と叫んだ。「今日は今まで聴けなかった分だけ、みんなの声、ここまで届けてもらうから覚悟しといてよー!」。ステージにはダンサーのconoa、満菜、MAIKO、REINAの4人も登場。MARiAもダンサーズと共にステージの前方に設置された箱馬に乗り、「踊れ、トーキョー!」と叫んで歌とダンスを披露していった。
会場中が割れんばかりの音であふれる中、3曲目には「grilletto」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生』OP)を披露。ダンサーは2人となり、「こいよTOKYO!」と叫ぶMARiAの声に、再び客席が「ウワー!」と沸く。Aメロで「限界なんて自分次第 リミッターを外して」とMARiAが歌えば、「Nobody knows もう誰も」と続くフレーズが客席から返ってきた。コロナ以前では当たり前だったライブの掛け合いが繰り広げられるだけでも、興奮は物凄い。
4曲目はダンサーズがはけ、MARiAひとりのダンスと歌で「Lucifer」を熱唱。サビの「手を伸ばせ闇の向こう」のフレーズでは、ステージに向かって手を伸ばすガルニダー(ファン)の姿も多く、誰もがこのときこの瞬間を待ちわびていたことを改めて感じさせられる。頭も振るほど激しく動くMARiAは、最後は拳を天に突き上げてファイターのようなポーズで歌を締めくくった。
音楽が止んだステージに向かって「tokuー!」「MARiAー!MARiAー!」「tokuさんカッコいー!」などの声が客席へ飛んでいくと、「ちょっと待って、『tokuさん』の声多くなかった?」とMARiAが言い、笑いが起こる。ここでようやくtokuも、「ありがとう! 声が聴けるっていいね。最高です!」と感謝を述べた。MARiAも「3年ぶりなんでね。3年だよ! 信じられる!?」と、改めて声出し可能なライブになった喜びを語る。「今日はみんなの声、枯らすつもりで来てるから。覚悟しとけよ!」と言えば、再び客席は喜びの声に包まれた。
MCでの台詞のとおり、この後も「攻め」の楽曲が続く。5曲目の「Burning Soul」(PCゲーム『ソウルワーカー』テーマソング)ではサビの「照らすBurning Soul」が大合唱となり、6曲目「Gravity」ではMARiAが全身を使って声を出すかのように力強く歌う。7曲目には再びダンサー2人が登場して「BAD BOY」を披露。パワフルなダンスを見せながらサビ直前で「一緒に歌おうか」と声をかけ、「I love my bad boy」のフレーズを観客全員と共に叫んだ。
8曲目には、再びダンスナンバーの「NEON NIGHT」。ステージ上に規則的に並べられたポールがネオンのように点滅する中、ダンサーズとMARiAが、仰向けに寝転がったり四つん這いになったりするなどセクシーに踊る。途中からステッキを使ったダンスも披露され、魅惑的な舞台となった。
曲が終わってステージを去っていくMARiAとダンサーズ。ここから一度照明が暗くなってバンドのソロ演奏に入り、最初はギター、次はベース、そしてドラムスと少しずつスポットライトに照らされていく。最後にtokuが照らされたとき、すでに着ているものが着物風の和テイストの衣装へと変わっていた。
やがてMARiAも、着物風の衣装でダンサー2人と共に再登場。9曲目として和楽器のイントロで始まる「謳歌燗慢」を踊り、歌う。ただ華やかなだけでなく、「過ごした日々は力になり 消えることなんてない」とまさにこのライブの開催までの日々を思い起こさせるような歌詞にも、グッと胸が熱くなってくる。
続く10曲目には、今年9月にリリースされた「幻愛遊戯」(TVアニメ『うちの師匠はしっぽがない』OP)を披露。ダンサーの数は4人に増え、「さあみんなここから踊ってもらいますよ」と言うMARiAに、会場がダンスホールになったように観客も一斉に踊り出す。やがて11曲目に「極楽浄土」のイントロがかかれば、ライブはますますヒートアップ。サビの「アナタの声をさぁ」ではもちろん「聞ーかーせてー!」と返す観客との掛け合いも3年ぶりに実現した。
MCでは、「みんなで旅をしていく」というコンセプトから『stella ship』というライブタイトルを掲げたと語るMARiA。その旅には、ユニット結成から今に至るまでの「時代の旅」もできたらということで、インディーズも含めてさまざまな楽曲をセットリストに組んできたことを明かした。
続く楽曲には、星がテーマとなっているナンバーから、12曲目に「ORiON」をスタンドマイクでしっとりと歌い上げる。また13曲目には「SPiCa - ReACT-」を披露。こちらも歌い出しはスタンドマイクだったが、「SPiCa」をロック調にアレンジしたバージョンとして、曲の途中からハンドマイクに。MARiAもジャンプを繰り返したり、手を振ったり、今回は改めて「攻め」の曲目であることを印象付けるかのように表現した。
早くもライブは後半戦へ。「GARNiDELiAのライブの後半戦と言えば、ここからこんなに(体力を)削っていくのかっていう、信じられないくらいのセットリストだからね!」と観客の期待を募らせるMARiA。14曲目には観客の手拍子を受けながら「Real」を披露。MARiA自身も衣装の肩がはだけるくらいにありったけ体を揺らし、頭を振り、ステージは激しさを増していく。
続いて15曲目に「my code」、16曲目に「BLAZING」(TVアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』OP)、17曲目に「オオカミ少女」と、アッパーな楽曲を立て続けに披露。中でも「BLAZING」では、tokuもショルダーキーボードを持ってステージ前方へ。観客に最も近い位置で音を奏でた。
バンド演奏のBGMが流れる中、MCパートでMARiAが叫ぶように言う。「やっと、やっとこの日を迎えることができました。3年だよ。3年も待ったんだよ。キミの声がずっと聴きたかった。大丈夫だと思ってたけどぜんぜん大丈夫じゃなかった、でもふんばった、歯を食いしばった。ここまで耐え抜いたよ。だから今日、本当にみんなの声聴けて嬉しくてさ、胸いっぱいでさ、めちゃくちゃ感動したんだよ。だからもっともっと、キミの声聴かせてほしいの。聴かせてくれる?」。
そして18曲目、「ambiguous」(TVアニメ『キルラキル』OP)へ。「運命の意図を 断ち切ったその先に」の出だしから、観客の合唱でスタート。ガルニダーの全員と、この曲を合唱できる日がくるなんて、そのことを思い出してレポートにしたためているこの瞬間でさえ、また泣きそうになる。本当に僕たちは、「運命の意図を」断ち切ることができたのだ。その後も全員が大合唱を続ける、力強く、優しく、暖かい時間が続く。フルコーラスだって歌えるくらい、挫けそうになるたびにこの曲に支えられてきた皆だから、歌える。声を枯らすことができる。
曲が終わり、「私たちはまだまだこんなもんじゃない」と叫ぶMARiA。「キミを連れてきたい景色があるから。キミと見たい未来があるから。こんなところで終わりたくないんだよ。だからさ、みんなでこんな世界に革命を起こしてやろうよ!」。そして19曲目、ダンサー4人も集合し、「G.R.N.D.」を披露。「さぁさぁその手を挙げろ!」のかけ声の度に、観客全員がジャンプ。ラストの曲だが、「まだ終われない」「その声聞かせて」と歌詞にもあるように、最後の1分1秒まで、会場の熱気は上がり続けていった。
ついにその最後の曲も終わり、誰もいなくなるステージ。しかし鳴りやまない拍手と、「アンコール」と呼ぶ声が会場中に響きわたる。やがてライブTシャツを着てバンドメンバー、ダンサーズ、そしてMARiA&tokuが登場。アンコールの1曲目に「アイコトバ」(TVアニメ『アニメガタリズ』OP)を披露した。
2曲目には12月8日にリリースされたばかりの新曲「蒼天」(Nintendo Switch用ソフト『滄海天記』主題歌)を歌い、MCへ。「本当にここまでくるまで、めちゃくちゃ長かったな。3年かかりました」と、また感慨深げに語り出す。「でもまだまだ乗り越えなきゃいけない壁はたくさんあって、本当にこの3年間で、自分の不甲斐なさに対してすごく悔しくなる時もありました」と、後半は涙声になって言う。
しかし、この日を迎えたことでさらに強くなった気がしていると語るMARiA。「みんなと交わした約束、忘れてないよ。ずっとここにあり続けてる。今は、もしかしたら笑われちゃうくらいでっかい夢かもしんないけど、でも必ず、絶対みんなをその場所まで連れていくから。私たちを信じて、この先もついてきてください」と述べ、深く礼をした。その姿にまた、観客から惜しみない拍手と沢山の愛の叫びが贈られた。
そして「今日ラストの曲は、キミの声が入って完成する」と言い、アンコール3曲目に「Birth」を披露した。「聞こえてるかな?」のコールに、「聞こえているよ」のレスポンスを、何度も何度も繰り返す。客席の区間を区切って「今度はこっち」「次はこっち」と言いながら、演奏を止めてアカペラにしたりしながら。3年前は当たり前だった景色。それが、こんなに奇跡のように思える日がくるだなんて。声を出せるというだけでこんなに楽しいだなんてと、改めて思い知った。
GARNiDELiAのライブではこれまでも、本当に夢をえてもらったし、毎回新しい景色を見せてもらった。ようやく3年ぶりに声出し可能となったライブでも、まだ多少の制限はある。しかし制限の無かった2020年1月25日のあのライブと比べても、同等か、あるいはそれ以上の感動があった。
そんな彼らでも、まだ叶えられていない夢がある。コロナ禍の間は、その夢を語る余裕もなかった。しかし世間が日常を取り戻していく中で、ようやく叶える日が近づいているのではという気がしている。そしてそれを叶えるのが、今度は僕らの力なのではないかという思いも。今こそ、「新しい奇跡」を生む時だ。
今回のライブの締めくくりの挨拶の中で、来年春のカバーコレクションアルバムの発売や、5月からのワールドツアーの開催も発表したGARNiDELiA。来年もまた、ガルニダーにとっては忙しい、嬉しい1年になりそうだ。
取材・文:平原 学 撮影:アンザイミキ

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