「3年ぶりに帰ってきた!」クリープ
、フォーリミ、ユニゾンら出演ーー『
FM802 RADIO CRAZY 2022』初日レポー

『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』2022.12.25(SUN)インテックス大阪
大阪のラジオ局・FM802が主催する関西最大級のロックフェス『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』(以下、『レディクレ』)が、12月25日(日)〜28日(水)の4日間にわたり大阪・インテックス大阪にて開催された。今年はコロナ禍を経て3年ぶりにインテックス大阪での開催、4日間で総勢約100組のアーティストが出演する「ロック大忘年会」となった。観客にとっても、アーティストにとっても、スタッフにとっても念願となるインテックス大阪での『レディクレ』の初日の模様をダイジェストでレポートしよう。
WHOLE9が手がけた『レディクレ』名物の巨大バナー
会場入りすると目に飛び込んでくる、WHOLE9が手がけた『レディクレ』名物の巨大バナー。毎年、来年の干支をモチーフに描かれたこのバナーを目にしただけで「いつもの『レディクレ』が帰ってきた!」と早くも感慨深くなった人が多いはず。今年は、入場券を持っていなくても入場できる「CRAZY FOOD HALL」エリアが登場し、関西の人気店やアーティストとコラボしたグルメが楽しめるほか、恒例のこたつエリアが事前受付で混雑なく利用できるなどレイアウトも進化。
書き収めの中には「レディクレおかえり」の文字も
そして今年も書き納めや縁日、フォトスポットなどお馴染みの催しがあり、ライブの合間も楽しめるスポットが盛りだくさん。「レディクレおかえり」という書き納めを見つけた時はジーンときた……。どれだけ多くの人がこの日を待ち望んでいたのか、会場を歩いているだけでもヒシヒシと伝わってくる。
境内ステージでおこなわれた「FM802弾き語り部」のライブの様子
境内ステージでは、「FM802弾き語り部」のライブが。25日(日)は、部長の松本 大のほか菅原卓郎9mm Parabellum Bullet)、ホリエアツシストレイテナー)、Chilli Beans.が出演。それぞれ持ち曲やカバーを弾き語りで披露し、最後は「赤鼻のトナカイ」をセッションするなどほかでは観れない特別なコラボも。
リンゴとヒハツ香るキーマカレー
部活のコラボといえば、新たに発足したASIAN KUNG-FU GENERATION 伊地知潔とフジファブリック 金澤ダイスケによるFM802料理部の考案レシピによるスペシャルメニューも販売。25日(日)& 26日(月)はフジ金澤考案の「リンゴとヒハツ香るキーマカレー」、27日(火)&28日(水)はアジカン伊地知考案の「豚すき丼」を限定販売。先日、心斎橋のMusic Club JANUSで開催された料理&ライブのイベントで提供された料理を味わえるだけでなく、オリジナルデザインのウェットティッシュも付いてくる嬉しい特典も(めちゃくちゃおいしい!)。
『802 Easy Luck』(DJ 田中乃絵、ゲスト:神はサイコロを振らない
そしてなんといっても『レディクレ』ならではの魅力といえば、よりラジオが楽しみになる取り組みだろう。スカイプラザ こたつサテライトスタジオでは、ライブを終えたばかりのアーティストたちがこたつを囲んで公開収録を実施。ゲストに神はサイコロを振らないを迎えた、田中乃絵がDJを務める『802 Easy Luck』では、神サイのメンバーが昨年は年明けに開催された『LIVE HOUSE Antenna-GSシリーズ-』の大トリを務め、今年はトップバッターを任されたことへの喜びを語った。
『ROCK KIDS 802-FRIDAY&SATURDAY-』(DJ 高樹リサ、ゲスト:flumpool
また、高樹リサの担当番組『ROCK KIDS 802-FRIDAY&SATURDAY-』のゲストで登場したflumpoolは、実家感あふれるこたつに入っての公開収録とあって終始和やかなムードに。なかなか自己紹介がうまく決まらず、和気あいあいと何度か録り直しをするハプニングも公開収録だからこそ共有できる楽しみだ。それぞれ、番組でOAされるのをぜひチェックしてみてほしい。
『OF THE RADIO, BY THE RADIO, FOR THE RADIO!』
さらに境内ステージでは、10-FEETがDJを務め同日最終回を迎えた『OF THE RADIO, BY THE RADIO, FOR THE RADIO!』の公開収録にゲストとして岡崎体育が登場。10-FEETが手がける、 映画『THE FIRST SLAM DUNK』のエンディング主題歌「第ゼロ感」にまつわる制作秘話などが語られた。
『OF THE RADIO, BY THE RADIO, FOR THE RADIO!』公開収録の様子
【Spotify Early Noise LIVE HOUSE Antenna】
今年も3年前と同じく、音楽ストリーミングサービスのSpotifyがその年に飛躍が期待される次世代アーティスト10組を選出する「RADAR: Early Noise」の冠がついたLIVE HOUSE Antenna。同企画に選出されたアーティストから『レディクレ』が期待を寄せる若手が集結し、他のステージに負けないギラギラとした熱気が立ち込めていた。
■Tele
今年1月に初めて楽曲をリリース後、一気に注目を集め、わずか半年で「comedy」がFM802の6月度邦楽ヘビーローテーションにも選ばれるなど、1年間で大躍進を遂げた谷口喜多朗のソロプロジェクト、Tele。ダイナミックなサウンドを弾き出すバンドを従えて、伸びやかな歌声をLIVE HOUSE Antennaに響かせた。夏に『RUSH BALL』で観た時よりも格段にパフォーマンスがパワフルになった。時折声が裏返ったり、荒く強まったりする様子からは気合いが伝わる。巻き込む力の高さは変わらず、ハッピー感も満載でフロアをTele色に染めていった。
Tele 撮影=ハヤシマコ
「comedy」の前には「今年Teleという音楽を始めた僕が、最初にライブをしたのも最後にライブをしたのも、皆さんがいる大阪であったということが、僕にとってはいつか誇りになると思います」と語り、ラストスパートを駆け抜けた。とてもフレッシュでエネルギッシュなステージで、ますます大きくなっていく予感を感じさせずにはいられなかった。
取材・文=ERI KUBOTA
帝国喫茶 撮影=ハヤシマコ
コロナ禍の2020年の夏、大阪・関西大学で学祭に出るためだけに結成。昨年の夏に初ライブ、秋に現体制となり今年の9月にファーストアルバム『帝国喫茶』をリリース。そして、年末の『レディクレ』のステージで、詰めかけた観客の視線を釘付けにしている。すごい速さで、急成長を遂げている……とも言えるし、末恐ろしいポテンシャルにスキルや世間が追いついてきたとも言える。そんな彼らのライブは、一挙手一投足たりとも見逃してはいけない、一音たりとも聴き逃してはいけないと思わせられる、刹那で眩しくて、生命力に溢れた爆発力がある。
この日も衝動やモヤモヤとした感情を解き放つ楽曲から、しっかりと聴かせて胸を打つ新曲「君が月」、ラスト「ガソリンタンク」、「春風往来」にいたるまで。疋田耀(Ba)が目をひん剥いて、杉崎拓斗(Dr)はポーカーフェイスながらも立ち上がり一打ごとに観客もメンバーも焚き付け、アクリ(Gt)は笑顔を絶やさず頭を振り、杉浦祐輝(Vo.Gt)は倒れ込み立ち上がれなくなるほど、全てを振り絞りしぼるようにして音を鳴らし、でかい声で歌われたら、胸を打たれるに決まっている。命を燃やすような、すさまじいライブだった。個人的には、「じゃなくて」の<何もかもが馬鹿らしくて/その何もかもがただ輝いて/ラジオから流れた電波/孤独を繋いで>が、この日にピッタリで、しばらく頭から離れなかった。
取材・文=大西健斗
Mega Shinnosuke 撮影=ハヤシマコ
いつものポップでアンニュイな雰囲気とは違うロックなステージで新たな在り方を提示したのはMega Shinnosuke。「甲州街道をとばして(alternative ver.)」でメロウにライブをスタートし、前半は「Thinking Boyz!!!」などお馴染みのナンバーを演奏。LIVE HOUSE Antennaの観客との距離の近さに、熱量がぐんぐん上昇する。
Twitterで「今までとは全く違うセットリストで最高なロックなライブをやる!」と宣言していた通り、後半は年明け1月1日(日)にリリースされるアルバム『2100年』からの楽曲を披露。「俺的にロックが一番、ガツンとエネルギーを自分の中から開花できるものだと最近本当に思ってるので、全力でロックやりたいなと思います」と話し、キレのある演奏でロックチューンを叩き込む。ギター3本を含む6人バンド編成ゆえにステージから放たれる迫力は凄まじく、自身も高まったように柵前に飛び降りてダッシュする場面も。「こんな熱いクリスマス初めてだ」と楽しそうに笑顔を見せた。ラストの「明日もこの世は回るから」までロックバイブスで駆け抜けた、2022年のライブ納めだった。
取材・文=ERI KUBOTA
■(sic)boy
(sic)boy 撮影=ハヤシマコ
「RADAR: Early Noise 2021」に選出もされている、(sic)boyがステージに登場。この日、初めて(sic)boyのライブを観るという人も多かったことにも、その注目っぷりがうかがえる。問答無用に畳み掛けていくアグレッシブなステージで、会場を一体にするとクラップが巻き起こる。新曲「Dark Horse」も惜しげもなく披露し、後半は前半とは打って変わってよりメロディの美しさが際立つ楽曲が続き、歌がよりストレートに胸に刺さる。
「今年はいろんなことでなかなかうまくいかないことがあったけど、それでも今日ここに来れて嬉しい」と素直に喜びを伝え、今まさにFM802で12月度の邦楽ヘビーローテーションとしてオンエアされている「Afraid??」へ。紫の照明に彩られた「Akuma Emoji」から、「いつもはこの曲で終わるんですけど、あと一曲だけやらせてください」と最後の「Last Dance」にいたるまで、鮮烈なステージングで観客の脳裏にその音像を焼き付けた。
取材・文=大西健斗
■Chilli Beans.
Chilli Beans. 撮影=ハヤシマコ
Spotify Early Noise LIVE HOUSE Antenna、初日のトリにはChilli Beans.が登場。観客の心を掴んで離さないチャーミングさとは、打って変わって圧倒されるようなテクニカルなサウンド。サポートでドラムを迎えた、Moto(Vo)、Maika(Ba.Vo)、Lily(Gt.Vo)がつくりあげるグルーヴに身を委ねる心地よさたるや。観客たちも体を揺らさずにはいられない、音楽を存分に楽しむ自由な空間に。
MCで、「今年のライブ初めも大阪だったよね」(Moto)、「大阪で初ライブを迎えて、大阪でライブ納めする1年。大阪に愛着湧くよね。みなさん、1年間お疲れ様でした!」(Maika)と労いの言葉をかけつつ、クリスマスソングの新曲「daylight」も披露。MaikaとLilyが演奏で見せ、Motoが飛び跳ねみるみる熱を帯びていく、フィジカルの強いステージ。「lemonade」で観客とステップを踏み、「Digital Persona」、「シェキララ」とラストはフロアが揺れるお祭り騒ぎのハイライトも。アンコールには「こんな気持ちの時にやりたい曲!」(Maika)と「HAPPY END」で、これ以上にハッピーな締めくくりはないだろうと思わせてくれるエンディングを迎えた。
取材・文=大西健斗
【R-STAGE】
小山田壮平 撮影=井上嘉和
1曲目からandymoriの「ベンガルトラとウィスキー」でファンを湧かせたのは、R-STAGEに登場した小山田壮平。サウンドの厚みが素晴らしいバンドセットで、イントロから鳥肌が立った。張りのある歌声とロックサウンドが会場を満たす。叙情的でブルージーな「旅に出るならどこまでも」や哀愁たっぷりの小山田節が炸裂した「ゆうちゃん」、ポップな「恋はマーブルの海へ」などのソロ曲も、さすがの歌唱力で情緒豊かに響かせた。
小山田壮平
中盤ではスペシャルゲストに元くるりのファンファン(Tp)を迎え、「1984」、「クラブナイト」を続けて演奏。andymori時代からの双方の関係性を思うと、あまりにエモーショナルな展開に会場は大歓喜。筆者も思わずウルッときた。今年一児の父となった小山田。重ねた歳の陰影もありながら、キラキラした瞳と時折覗かせる少年のような笑顔にはピュアさも感じられる。ソロ曲とandymoriの曲を織り交ぜた、彼の音楽歴を垣間見ることができるセットリスト。澄んだ歌声と情熱的で荒々しいパフォーマンスにグッと胸が熱くなる。ロックスターの健在ぶりをしっかりと提示した最高のライブだった。
取材・文=ERI KUBOTA
OKAMOTO'S 撮影=井上嘉和
サウンドチェックから大盛り上がりだったOKAMOTO’ Sは、『RADIO CRAZY』皆勤賞を更新中。今年で13年連続の出演となった。オカモトショウ(Vo)が「いくぜ『RADIO CRAZY』!」と叫ぶと、サポートにBRIAN SHINSEKAI(Key)を迎えた5人編成で「90’ S TOKYO BOYS」からライブスタート。続けてダンサブルな「JOY JOY JOY」を投下し、会場全体を大きく揺らす。ハマ・オカモト(Ba)とオカモトレイジ(Dr)が繰り出すビートは圧倒的で、オカモトコウキ(Gt)のギタープレイは往年のロックスターのようだし、ショウのパワフルな歌唱と堂々たる立ち姿は最高にカッコ良く、観る者を虜にする存在感を放っていた。
OKAMOTO'S
後半は大きな会場が似合う「BROTHER」、「ROCKY」を続けて披露して大合唱を巻き起こし、ラストは来年リリースのアルバム『Flowers』からの新曲「Sugar」を情緒的に奏で、大歓声に見送られてステージを後にした。ほどよく緩いMCとバチバチの骨太サウンドのバランスはさすがの一言。長年フェスのステージに立ち続けてきたからこその貫禄と実力を見せつけたOKAMOTO’ Sだった。
取材・文=ERI KUBOTA
■くるり
くるり 撮影=井上嘉和
R-STAGE折り返しに登場したのは、昨年結成25周年イヤーを迎えたくるりだ。サポートの石若駿(Dr)の発声で「HOW TO GO」からじわじわ高まる高揚感。岸田繁(Vo.Gt)の軽妙な歌声がメロウなアンサンブルによく映える「琥珀色の街、上海蟹の朝」を経て、「ふたつの世界」では佐藤征史(Ba.Vo)の温かなベースラインに身を任せる多幸感でいっぱいに。一気に視界がクリアになるような「ワンダーフォーゲル」や乾いたドラムが胸を揺さぶる「ばらの花」と、タイムレスな楽曲たちが届けられるや、そのパワーが世代を問わず響いているさまに胸がいっぱいになる。
くるり
一方で2023年3月に発表予定の新曲「愛の太陽」では、来たる未来への道標のように朗々とした歌声を響かせる岸田。新旧ないまぜのセットリストは、バンドの揺るぎない芯をまざまざと提示するようだ。「いいクリスマスを過ごせていますか? お体に気を付けてよいお年を」(岸田)とラストに据えたのは、「言葉はさんかく こころは四角」。鍵盤ハーモニカやアコーディオン、鉄琴など全員がミニマムな楽器に持ち替え、曲の持つリリカルな情景を一層深めていく。音楽への親愛に満ちたくるりのステージとなった。
取材・文=後藤愛
■ストレイテナー
ストレイテナー 撮影=井上嘉和
『レディクレ』常連のストレイテナーが、R-STAGEのトリで登場。「冬の太陽」、「灯り」、「シーグラス」とアンセム連発で、会場はハンズアップで答える壮大な光景を作り上げていく。ホリエアツシ(Vo.Gt.P)は、日中の境内ステージで行われたFM802弾き語り部にも出演していたことから、「今日は12時に現場入りして、こんなに長くフェスにいることは久しぶりです。くるりとTHE BACK HORNは、ライブをまるまる観ましたからね。フェスに帰ってきたという感じがしました。これからも毎年呼んでもらえたら嬉しいです」と、みんなと同じく『レディクレ』を楽しんでいたことを明かした。大きな会場で大きな音で、ストレイテナーの楽曲を全身で浴びている瞬間にこそまた、『レディクレ』が戻ってきた、フェスが戻ってきたと感じた人も多いのではないだろうか。
来年、結成25周年を迎えるバンドの音は、ますます繊細で透明度を増しているようで、熱を帯びているように思う。ラスト「Melodic Storm」から「彩雲」そしてアンコールの「TRAIN」まで、テナーにしか生み出せない、美しい景色と多幸感を観客と共有した。
ストレイテナー
(余談だが、終演後に10-FEETの『OF THE RADIO, BY THE RADIO, FOR THE RADIO!』に生出演したホリエ。そこでも明かしていたが、弾き語り部で共演した際に裏被りだから観にいけないかもと話していた、Chilli Beans.のライブに自身のライブ直後に駆けつけて観ていた。言葉通り、最後まで『レディクレ』を楽しみ約束を果たすところもホリエらしいエピソードで、グッときた)
取材・文=大西健斗
【L-STAGE】
スガシカオ 撮影=田浦ボン
リハーサルから今年最後のライブとなるステージへの喜びいっぱいの様子だった、スガ シカオは「Party People」からスタート。瞬く間に観客の心を鷲掴みに、さらにギターを持って「ドキドキしちゃう」、KAT-TUNに楽曲提供した「Real Face」と名曲を連発。ジャケットを脱ぎ、ぐんぐん会場と一体となり熱を上昇させていく様は圧巻。
スガシカオ
「コロナ禍の間ずっと部屋にこもって、曲を作ったり歌詞を書いたり。3年ぐらいかけて作った新しいアルバム『イノセント』が来年の2月1日(水)に世の中に出ることになりました。デビュー25周年イヤーの最後の締めくくりに出るアルバムなので、ぜひ聴いてください! 今日、ほんとはやるつもりなかったんですけど……こないだオチケンさん(FM802 DJ 落合健太郎)の番組に出た時に「やってくれ」と言われて」と、急遽アルバムから「さよならサンセット」を披露する嬉しいサプライズも。DJとの関係性やストーリーが感じられる展開も『レディクレ』ならでは。祈るように歌われ、観客も聴き耽る美しい光景が広がった。最後は「また来年もロックしようぜ」とメッセージを残しステージを後にしたスガ シカオ。眩しい余韻がしばらくステージに漂わせていた。
取材・文=大西健斗
■flumpool
flumpool 撮影=田浦ボン
L-STAGEに登場したflumpoolは、初の『RADIO CRAZY』出演。山村隆太(Vo.Gt)はFM802『ROCK KIDS 802 FRIDAY』番組内「松原市 Radio Fields(金曜23:00〜23:20)」を担当しており、本来2020年に出演予定だったがコロナで延期になっていた。「Happy Xmas (War Is Over)」をSEにメンバーがステージに現れると、山村は「ハッピーメリークリスマス! お互い素敵なクリスマスにしましょう!」と笑顔。磯貝サイモン(Gt.Key)をサポートに迎え、「花になれ」から良質なサウンドを響かせる。フェスへの出演経験が少なく、フェス慣れしてないため「フェスコワイ」というグッズを販売するほど怯えて(?)いた彼らだが、ぎゅうぎゅうになったフロアを見て山村は「うわっ、嬉しー!」と、心底嬉しそうな笑顔で歓迎する。
flumpool
会場を出ていく観客に対して阪井一生(Gt)は「この後、「君に届け」やります!」、「どんな止め方やねん(山村)」と、漫才のようなMCを繰り広げつつも「星に願いを」、「夜は眠れるかい?」など代表曲をバチッと決めてエンターテイナーぶりを見せつけた。最後は「君に届け」で会場をひとつにしてフィニッシュ。初見の人も楽しめるオープンマインドのステージで魅力を存分に発揮した。
取材・文=ERI KUBOTA
■THE BACK HORN
THE BACK HORN 撮影=田浦ボン
初っぱなの「シンフォニア」から、<『RADIO CRAZY』に会えたら何処へでも飛んでけよ>と歌い変え、L-STAGEの大観衆を一つにしたのはTHE BACK HORNだ。4人とは思えない強靭なアンサンブルをこれでもかと突きつけて、「音楽がなくてはならない大好きな皆さんと、最高の時間を作っていきたいと思います!」と松田晋二(Dr)があおるや、スリリングな「罠」へ。山田将司(Vo)の絶唱にも似たボーカルが、切実な詞世界を浮き彫りにする。さらに、山田がアコギを手にし、菅波栄純(Gt)がベルを鳴らすなど、切なくも柔和な「羽根〜夜空を越えて〜」でクリスマス・ムードを増幅。
THE BACK HORN 撮影=田浦ボン
「来年、僕たちは結成25周年を迎えます。まだまだ変わらずやっていくのでよろしく。最高の夜にしましょう!」(山田)と再び轟音を背に、「ヒガンバナ」へ! 岡峰光舟(Ba)の超絶的なベース・プレイに聴きほれながら、今新たに示すTHE BACK HORNの王道に拳を強く握らずにはいられない。そのまま「コバルトブルー」、「刃」と、特大キラーチューンで畳み掛ける彼ら。広大な会場を飲み込みながら眼前でプレイするような鬼気迫るパフォーマンスに、ライブ巧者・THE BACK HORNの勇姿を再確認する一幕となった。
取材・文=後藤愛
【Z-STAGE】
Novelbright 撮影=渡邉一生
Z-STAGEでは、DJ 中島ヒロトが「音楽を愛してやまないみなさんがいらっしゃるからこそ、ここに戻ってくることができました! この光景が見られることに本当に感激しています!」と喜びをあらわに、同ステージのトップバッターを務める、Novelbrightへとバトンをつなぐ。のっけから盛大なクラップで迎えられ「開幕宣言」でライブの幕を開けると、つづけざまに「Sunny drop」と披露。ステージに懸ける並々ならぬ想いが、伸びやかな歌声と強靭なバンドサウンドからも伝わってくる。
Novelbright
「3年ぶりの声出し解禁で……。3年以上前は、100〜200人のライブハウスでしていたから名前を叫んでもらうのが初めて」と竹中雄大(Vo)。そして「愛とか恋とか」が歌われると、会場からは待ってましたといわんばかりに歓喜のどよめきが。LIVE HOUSE Antennaから上り詰めてきたZ-STAGE。最大キャパのステージにふさわしい、スケール感溢れるライブで釘付けに。
UNISON SQUARE GARDEN 撮影=渡邉一生
次第に熱気を帯びていくZステージに登場したのはUNISON SQUARE GARDEN。「10% roll, 10% romance」から疾走感MAXにスタートすると田淵智也(Ba)がヘドバンをきめながら繰り出すダイナミックな演奏で会場を巻き込んでいく。斎藤宏介(Vo.Gt)が軽快に刻むリフからすでに盛り上がりが約束されているキラーチューン「シュガーソングとビターステップ」を前半で投下!
UNISON SQUARE GARDEN
鈴木貴雄(Dr)の鼓動のようなリズムを土台とした圧巻のアンサンブルとグルーヴに魅せられて、フロアは一瞬でジャンプの嵐に。3人が塊となってノンストップで快楽を生み出すバンドサウンドは唯一無二だ。ライブ中、曲間があったのは爽やかなサウンドで緩急をつけた「夏影テールライト」の直前のみ。最後までMCなしで駆け抜け、シームレスに10月リリースの18thシングル「カオスが極まる」へつなぐ強力なセトリで締めくくった40分。凄まじいエネルギーを全身にあびた衝撃は、ライブ終了後にお客さんから「すっげぇー!」と声が漏れるほどだった。
取材・文=岡田あさみ

04 Limited Sazabys 撮影=渡邉一生
4thアルバム『Harvest』リリースツアー真っ最中のフォーリミは、リハから「nem…」を演奏し、ファンの心をガッチリつかんでいた。「レディクレ一緒に遊べる!?」とGEN(Ba.Vo)が元気にクラップを誘導すると、ライブ定番曲「monolith」で、<年内最後の大阪『レディクレ』のこのステージ!>と歌詞を変え、昨年に続く出演の喜びとともにぐんぐんと会場の熱量をあげていく。「イエスが生まれた日にはノーとは言わせない!」と名台詞できめたGENの衣装は、赤のパーカーに緑のハーフパンツでクリスマスを意識!?(笑)。「ココ(インテックス大阪)に帰って来れて嬉しいです! (バックヤードで)クリスマスの骨付きチキンもいただきました!」とロック忘年会を満喫している様子だ。
04 Limited Sazabys
この夏は大阪のフェスにたくさん出演したというフォーリミ。MCでは、ここでしか聞けないような共演者との裏話も飛び出した。中盤は、ニューアルバム『Harvest』から目まぐるしい曲展開で新境地を見せる「Galapagos II」、 GENの歌声と歌詞が胸をギュっと締め付ける「Honey」など現在のバンドの勢いを多彩に見せつける。
「これからも俺達の旅について来てください! ただただ先へ進む!」と来年への決意も新たに「Feel」、そしてその旅の続きを夢見させてくれるような「swim」で清々しいバンドサウンドを鳴らし、ステージをあとにした。

取材・文=岡田あさみ
クリープハイプ 撮影=渡邉一生
暗転し、固唾を飲んで見守るオーディエンスを前に、クリープハイプの尾崎世界観(Vo.Gt)が口を開いた。
「FM802『ROCK KIDS』で初めて曲をかけてもらったときのこと、めちゃくちゃよく覚えてる。特に何もできなくてどうしようもない時に、一生懸命作った曲がカタチになって、ラジオ局から流れる瞬間というのはめちゃくちゃ最高で。終わってほしくなくて。でもそんな最高の瞬間ばかりじゃなく、クソみたいな恥ずかしい、情けない、悔しい……そんな瞬間もあったから、この曲ができました。初めてのトリ、死んだ気でやります」
そう真っすぐな思いを吐露すると、澄んだ青いラインティングの中、「ナイトオンザプラネット」へなだれ込む。そっと寄り添うような言葉をラップで紡ぎ、抑えたアンサンブルゆえ粒立った音が絡み合い、バンドの新たな音像を提示。躍動するリズムを刻みながら長谷川カオナシ(Ba)が情感たっぷりの歌声を響かせ、「しょうもな」ではサビの階段を駆け上るような美メロにグッと心を掴まれる。小川幸慈(Gt)のドライブするギターが場を掌握し、小泉拓(Dr)の精微なドラミングにもアドレナリンは全開!
クリープハイプ
「めちゃくちゃクリスマスの似合わないバンドにどうしてトリを任せるのか。一つだけ思い当たりました。俺はバカだから、クリスマス=SEXだと思ってます。もし違ってたら『レディクレ』には申し訳ないんですけど(笑)、自分を信じてこの曲をやります」(尾崎、以下同)と促しては、鉄板アンセム「HE IS MINE」へ! 今年の『RADIO CRAZY』は一時的な声出し解禁のため、お約束のコールも復活。コロナ前に確かにあった光景に、胸が熱くなる一幕だ(コールの内容はともかく)。ここからさらにギアを上げていく4人に、フロアからもたくさんの手が伸び、たくさんのクラップで応戦する幸福なキャッチボールが続く。
「本当にトリをやれたことがめちゃくちゃ嬉しいです。この喜びとかいろんなモノを少しでもココに残して置いておきたいという気持ちもあるけど、また必ず『RADIO CRAZY』でトリをやれるように、あえて何も残さず消えて散って帰りたいと思います」
そう水を向けては、春のキャンペーンソングとしてFM802との縁深い「栞」でエンドマークを打つ! 銀テープの発射も華やかで、まさに大団円を迎えたクリープハイプ。クリスマス当日、かつロック大忘年会の初日にふさわしい堂々たる姿で、『RADIO CRAZY』2日目へのバトンをつないだ。
取材・文=後藤愛

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