細谷佳正『火狩りの王』公開直前イン
タビュー「押井守監督から信頼を寄せ
られる音響監督・若林和弘さんの現場
の作り方に、沢山の気遣いを感じまし
た」

日向理恵子のファンタジー小説を原作に、2023年1月14日(土)より放送・配信されるWOWOWオリジナルアニメ『火狩りの王』は、監督に西村純二、構成/脚本に押井守、そして他スタッフもアニメ業界における歴戦の猛者たちが名を連ねる作品だ。

SPICEでは要注目である本作のキャスト、炉六役の細谷佳正にインタビューを決行。『火狩りの王』はどんな空気感の中で制作されているのか、そして自身が演じる炉六をどんなキャラクターとして捉えたのかを訊いた。すでに公開された綺羅役の早見沙織インタビューとともに楽しんでほしい。
さらに本インタビューはシリーズとして、明楽役でありエンディング主題歌担当・坂本真綾にも登場いただくのでそちらもお見逃しなく。

■音響監督・若林和弘さんの現場の雰囲気作りに、色んなことに気を配られているんだなと感じました。
――まずは今回出演が決まった『火狩りの王』への印象から伺えればと思います。
脚本とシリーズ構成が押井守さんで、音響監督が若林和弘さんの作品なので、自分の中で他の作品とは違う高級感があるような印象でした。
――細谷さんは公式ページに寄せているコメントでも押井さんのお話は書かれていましたね。
上京して専門学校に通っていた時に『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』とか『人狼 JIN-ROH』を観ていたので、押井さんの作品に出られるというのは、嬉しかったです。当時自分が憧れた平田広明さん、榊原良子さん、大塚明夫さん、山寺宏一さんなど、錚々たる先輩たちが一堂に会してやっている作品に自分も通行人とかでもいいから出演したいと思っていたので、本当に嬉しかったです。
――今回音響監督の若林和弘さんとのお仕事はいかがでしたか?
若林さんは現場の雰囲気作りに気を使われているな、というのは感じていて。僕は煌四役の石毛翔弥さんと一緒にアフレコすることが多かったんですけど。石毛さんは真面目な雰囲気の演者さんで、石毛さんの硬さを若林さんがとっていく作業をされてるんですよ。音響監督と“若い演者さん”がコミュニケーションが多くなりすぎてしまうと若いからこそなあなあになってしまうことがあるんですけど、それを分かっているから、距離感をたもって演出されている様子とか、若林さんがもっている厳しい雰囲気を絶妙な匙加減で出している様子を見てると気を使われながら現場を作られているのだなと思いました。
演出家の指示が具体的過ぎたり細かすぎると、演者には想像の余白が無くなってしまうんですけど、必要最低限の言葉で、演者に考えさせたり想像させたりをされているなと感じました。
そのほうが演者それぞれの『らしさ』が出る気がしいるし、その方が個人的に面白いと感じる方なので、楽しかったです。
■どんな相手にも態度は変えない、それが炉六という漢(おとこ)
――改めて、アニメ『火狩りの王』の映像を見た印象はいかがでしたか?
映像の印象は完全に『The時代劇』なんですけど、戦車とか、メカみたいなのも出てくるので、スチームパンクみたいな世界観に近いというか。個人的に、江戸時代を描くと『時代劇』という感じなんですけど、明治時代だとあまり時代劇という感じがしないんですよ。だから明治時代に近いかも知れない。そんな感じです。
――そんな独特の世界の中、細谷さんが演じるのは炉六というキャラクターの印象はいかがでしたか?
炉六は流れものでどこから来たのかわからない設定なんですね。火狩りとしてはエキスパートだけど、自分のことを語らないのでそれ以外の情報がない。その雰囲気が目つきにも表れていて、笑っているのか、ただ見ているのか、客観視しているのか、はたまた見ていないのか分からないような眼をしています。その雰囲気は視聴者も凄く気になると思う。ただ、後半になると過去を知れるシーンもあるので、徐々にどんな人間かが分かってくると思います。それが物語の運にも関わっているような描写のされ方をしていたので、気にしながら見ると、面白いんじゃないかと思います。
――それは見逃せませんね。そんな物語のキーになる炉六ですが、演じるにあたって意識されたことはありますか?
普通の人間は会社とか、学校とか、組織とかの人間関係の中で生きてますけど、炉六はそこから隔絶されているというか、この言い方があっているかどうか分からないんですけど、人間関係に縛られてないんですね。相手が誰でも常に態度が一定なんです。階級や役職といった、上下関係的なものの外に生きているキャラクターだと思います。
非常事態が起こるシーンでも、冷静さを持ってセリフを喋ることで『火狩りのエキスパート』だと視聴者に感じてもらえたらと思ってアフレコしていました。
――確かに、煌四に対しても油百七に対しても炉六は決して態度を変えませんでしたね。炉六がそういった態度でいるのはどうしてなのでしょう?
自分の情報を相手に与えたくないからだと思います。それをすると自分が不利になってしまう事を分かっているから。
――なるほど。では最後に、『火狩りの王』をどんな人に見て欲しいと思われていますか?
あまり他にはない作品だと思います。『火狩りの王』は、視聴者にも見たいという気持ちを持ってもらわないと、物語や設定を理解する事が難しい作品ではあると思うんですけど、一度観たら気になって最後まで見てもらえる作品だと思います。世界観も面白いですし、キャストもすごく魅力的な方がたくさん出演しているので、楽しんでもらえるのではないかな? と思います。

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着