「楽しく、大変に」玉野和紀が語る『
CLUB SEVEN 20th Anniversary』~何
が起きるかわからない、シリーズ歴代
キャストをはじめ、豪華メンバーが大
集結

2023年2月に東京・シアタークリエにて『CLUB SEVEN 20th Anniversary』が上演される。本作は、ソング&ダンス、芝居、タップ、ミュージカル、スケッチなどあらゆる要素を取り入れた“怒涛のジェットコースター大娯楽エンターテインメント”『CLUB SEVEN』シリーズの20周年記念公演。
今回は、脚本・構成・演出・振付を手がける玉野和紀をはじめ、『CLUB SEVEN』シリーズに欠かせない吉野圭吾、東山義久、西村直人、そして歴代キャストから原田優一、中河内雅貴、町田慎吾、上口耕平、中塚皓平、大山真志、香寿たつき、北翔海莉を迎え、彩吹真央、愛加あゆ、実咲凜音、音波みのり と『CLUB SEVEN』に初出演の計16名が集結。毎日、男性7人(4チーム)+女性2人(日替わり)という編成で上演される。
『CLUB SEVEN 20th Anniversary』
脚本・構成・演出・振付・出演の玉野和紀に話を聞いた。
「やろう」「なんでもやろう」でやってきた。
ーー『CLUB SEVEN』シリーズで玉野さんおひとりの取材ってこれまでありましたか?
初めてなんじゃないかな。いつもはにぎやかなのがいっぱいいますからね(笑)。ちょっと寂しいです。
ーー脚本が書き上がったところだとうかがいました。
そうなんですよ。だから今はもう、みんなでやるのが楽しみです。当て書きですし、よく知ってるメンバーに出てもらいますから、画も見えています。女性キャストはトリプルキャストみたいな感じになるので、そこがどんなふうになるのかも楽しみですよね。
玉野和紀
ーーチームによって「スケッチ(コント)」が変わるそうですね。
そうです。さすがに全部は変えられないから、ダブっているところもあるんですけど、いや~観たい!
ーー他のキャストは出ない日に観られますが、フル出演の玉野さんと西村さんは観られないですね(笑)。20周年のアニバーサリーとしてどんな公演にしようと考えられましたか?
今回は、これまで参加してくれたメンバーに声をかけることから始まりました。みんな忙しいので全員集合というわけにはいきませんが、それでもよく集まったなと思うメンバーです。出られなかったメンバーも『やりたかった』と言ってくれているんですよ。そんなふうに言ってもらえるのはやっぱりうれしいです。
ーー『CLUB SEVEN』シリーズの歴代キャストは皆さんご活躍されている方ばかりですからね。
それはすごくうれしいことです。出てくれたメンバーがみんなスキルアップして、アンサンブルだったところからどんどん役付きになっていってね。
ーーその初期メンバーである、吉野圭吾さん、東山義久さん、西村直人さんも出演されますね。
このシリーズは、20年前に声をかけた吉野圭吾、東山義久、その前から一緒にやっていた西村直人、引退しましたが原ちゃん(原知宏/2011年に芸能界を引退)、そして僕の5人で始まりました。そこから20年、よくやったなと思います。最初はみんなどちらかというとダンサー寄りで、だから内容もダンスが多かった。でもそこからだんだんお芝居が増えて、スケッチが増えていって。この20年の変遷は面白いなと思っています。
ーーきっと、やったことがないこと、やるとは思っていなかったこともたくさんやってこられましたよね。
そうですね、歌のハモリなんて最初は「大丈夫!?」ってくらいでしたから(笑)。それでも「やろう」「なんでもやろう」と言ってやってきた。まるでクラブ活動みたいにみんなで集まって、いろんなことにチャレンジしてきました。その中でみんながスキルアップしていったんじゃないかなと思います。そんな思い出の詰まったシリーズなので、今回は「あれもやりたい」「これもやりたい」と言っていたら、えらいことになっちゃって(笑)。
玉野和紀
ーーえらいことになっちゃってるんですか?
スケッチは4チームで15種類になりました。つまりチームによってほぼ違うラインナップ……うわ~。
ーーうわ~(笑)。
まあ、全部覚えるわけじゃないですし…ね……(笑)。だけど女性キャストは大変だと思います。トリプルではありますが、全チームに出ることになるので、覚えなければいけないことも多い。でも大丈夫です、みんな宝塚(歌劇団出身)なので!
ーー宝塚歌劇団への信頼が(笑)。
それはもう! できる方々です! だから大丈夫です!!(笑)
「楽しく、大変に」が『CLUB SEVEN』のモットー。
ーー『CLUB SEVEN』といえば、ダンスや歌はもちろん、50音順メドレーやスケッチ、ミニミュージカルなどがおなじみですが、今回はどんな構成になりそうですか?
今回はスケッチが多いぶん、二幕は思い切ってミニミュージカルをやらず、50音順メドレーだけにしました。50音順は歴代最高の曲数です。前回が77曲、今回91曲です。
ーーええ!
ふふふっ。
ーーたっぷりですね。
今までのおもしろかったものを集めていたら、どんどん増えていっちゃって。これならあと9曲増やして100曲にしようかなと思ったんですけど、そういう話じゃない(笑)。今回は長くなるかもしれません。3時間で終わる計算ではありますが、みんな余計なことをやり始めるから……。
玉野和紀
ーーしかも今回、元気な方が多いので。
元気っていうか、危険な人物が多いんですよね。
ーーははは!
危険な人物は好きです(笑)。そして僕たちは「時間の魔術師」にならなきゃいけない。「え、3時間もやってたの!? あっという間だった」と思えるようなものをつくらなければ。だからぜひご覧ください! どうなるんでしょう!?(笑)
ーーこのシリーズで玉野さんは脚本・構成・演出・振付・出演とやられていて、毎回大変な労力だと思います。どうして20年もやってこられたのでしょうか?
それはやっぱりお客さんの笑顔です。お客さんがよろこんでくださる姿は舞台から見ていてうれしいし、そうするとがんばれますから。それにこのシリーズは「お見せする」というカタチじゃなくて、「一緒に楽しもう」という空気感、ライブ感がすごくあります。“無茶ぶり”のコーナーも、「ライブ感が出るように」と始めたものなんですよ。最初の頃は反対されましたけど。
ーー誰に反対されましたか?
出演者に。「玉野さん、お客さんにきちんとしたものをお見せしたいから、もしやるんだったら事前に言ってください」って。僕は「完璧じゃなくて一生懸命やればいいんだよ。“Show must go on”の気持ちでとにかくやるって姿が面白いんだよ」という話をして、だんだんみんなが納得していってくれました。古川雄大は千穐楽の挨拶で「今日で無茶ぶりがなくなるのがうれしい」って言ってましたけどね(笑)。
ーー(笑)。そのくらい必死だったってことですね。
「でもやる、とにかくやる」という姿勢は『CLUB SEVEN』ならではかなと思います。無茶ぶりだからきちんとしたものはお見せできないかもしれないけど、人間って紙一重じゃないですか、泣きも笑いも。すっごく必死な姿がおかしかったりする。それはわざとそうしているわけではないから、そのときしか見ることができない。だから同じことがない。そこが刺激でもあるし、嫌なところ(笑)。みんなあとで「ああすればよかった!」と思ったりもします。舞台上でポンとやれってなかなかできるものじゃないから。でもだからこそ、みんなとやっている感覚もすごく生まれるんですよ。誰かが助けてくれたり、拾ってくれたりする中で、カンパニーの色が出る。このシリーズは最初からみんなアンサンブルでみんな役付きです。ときに主役になり、ときにアンサンブルになり、みんなでやる。それがカンパニーとして楽しい。稽古場は笑いが絶えないですよ。「楽しく、大変に」っていうのが『CLUB SEVEN』のモットーです。
玉野和紀
ーー何年か前に稽古場を取材させていただいたとき、みなさん「大変だ大変だ」と言いながらもすごく楽しそうにやっていらっしゃったのを今も覚えています。
そうそうそう(笑)。
ーー玉野さんにこうやってお話をうかがっていると、玉野さんからみなさんへの愛情やリスペクトや信頼があるからこそ、みなさんがのびのびと力を発揮できる場になるんだろうなと感じます。
みんないい仲間ですよ。同志です。
笑ってもらいたい、楽しい気持ちになってもらいたい。
ーーいまは激動の時代でもありますが、2023年だから特にこうしたい、と考えられたことはありますか?
『CLUB SEVEN』は最初から「お客さんに楽しんでもらおう」というサービス精神だけでやってきてるので、2023年だからこうしたい、というのはないんですけど、思い出すのは東日本大震災の年の公演で。
ーー2011年4月に上演された『CLUB SEVEN 7TH STAGE!』ですね。
地震が起きたとき、僕らは稽古中でした。その日を境に演劇も全部止まったので開幕できるかわからなかったんですけど、3~4日後にはまたみんな集まって、とにかく稽古は進めていたんです。それで東宝さんが震災後に最初に上演したのが、『CLUB SEVEN』でした。僕自身「こういうときにこういうことをやって、いいのだろうか」と思いましたが、みんなで「思いきってやろう」と一致団結して、開幕しました。そしたら、お客様のアンケートに「仙台から来ました」という方がいて。そこに「親子で楽しみにしていたけど、震災で家がぐちゃぐちゃになったので、母が『お母さんは行けないけど、あなたは行きなさい』と背中を押してくれました。バスを乗り継いで来ました」「震災後、初めて笑いました」と書いてあった。
ーーはい。
それを読んだときに、もう、ぜっったい続けようと思いました。今もこういう時代だからこそ笑ってほしいです。劇場にいる時間だけでもいいから、いろいろ忘れて楽しんでもらえたらなって。その思いだけです。そのためだったらなんでもします。全力でお客さんにサービスしたい、笑ってもらいたい、楽しい気持ちになってもらいたい。『CLUB SEVEN』の目標はそれだけです。笑えるところは笑ってもらって、みんなの一生懸命さを見てもらえればいいなと思っています。かっこいい姿はそれぞれの出演作でどうぞご覧ください(笑)。
ーー『CLUB SEVEN』で笑いをとる姿もかっこいいですけどね。
そうですね。そこからパッと真面目に歌ったり踊ったりすると落差があって余計に素敵に見えますしね。だからこそやっぱり振り幅が広いほうがいいなと思いますね(笑)。
玉野和紀
取材・文=中川實穗    撮影=中田智章

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