L→R Sui(Vo)、Ren(Key)

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【SUIREN インタビュー】
光が俺たちを照らすんじゃなくて、
俺たちが光の前に立てばいい

TVアニメ『キングダム』第4シリーズのOPテーマを担当し、一躍その名を知らしめたSUIRENが、新曲「バックライト」をデジタルリリースした。縦形ショートドラマで知られるクリエイター集団・ごっこ倶楽部の長編作『アンガージュマン』の主題歌として書き下ろされたエッジィなナンバーは、力強き“運命を変える生き方”を示し、物語とあなたの人生に光を当てる。

自分の生き方で運命が変わるんだ
ということが楽曲のテーマ

新曲「バックライト」は気鋭のクリエイター集団・ごっこ倶楽部の初⻑編作品『アンガージュマン』の主題歌として書き下ろされた楽曲ですが、どういった経緯で彼らとコラボすることになったんですか?

Sui
「黎-ray-」(2022年5月発表のシングル)がTVアニメ『キングダム』第4シリーズのOPテーマに起用されたことで、コラボレーションの可能性だったり化学反応みたいなものをすごく感じたんですね。コラボによって創作意欲も湧きますし、もちろん新しくSUIRENを知ってくれた方も増えましたし、僕たちの音楽がリスナーだけじゃなく、クリエイターの方々にも届くクオリティーを持っているんじゃないかという自信も持てた。そこで、さらにコラボレーションができるクリエイターを探していた時に出会ったのがごっこ倶楽部さんだったんです。

ごっこ倶楽部は“日常で忘れがちな小さな愛”をテーマに縦型ショートドラマを配信するという手法で、今やTikTokのフォロワー数が100万人に迫る勢いのクリエイター集団ですよね。私も拝見していますが、先日『TikTok Awards Japan 2022』で“Shortfilm Creator of the Year”を受賞されただけあって、とにかくドラマが面白い。

Sui
僕らも素晴らしいと思いました。さらに監督をはじめ、脚本、出演、スタイリングと自分たちだけでやっていらっしゃるところにもシンパシーを感じたんです。僕らも活動開始から2021年までは、基本的にはずっと自分たちだけでのセルフマネジメント・セルフプロデュースというかたちで活動してきたので。世の中に発信しているものが芝居と音楽という違いはあれど、自分たちを世の中に打ち出していこうという心意気や熱意がすごく伝わってきて、その上で“コンテンツをどう発信していくか? どう見せていくか?”というところまで、しっかりと考えてデザインされているところにすごく共感できたんですよね。
Ren
この取材の段階では、まだ実際にごっこ倶楽部のみなさんとお会いしたことがないので私見ですけど、世の中に対してなんと言うか“時代には流されねぇぞ!”みたいな感覚? 音楽も映像も時代によって作り方や好まれ方が大きく変わってきている中で、ごっこ倶楽部さんの作品には反骨精神のような、さまざまな想いや強い意思を感じました。

とはいえ、ごっこ倶楽部もスマホ視聴がメインで長い映像は観られないという現代の風潮を鑑みた戦略でバズったわけですし、決して時代に背を向けているわけではないですよね。

Ren
そこがごっこ倶楽部さんの素晴らしいところだなと思ったんですよ! “みんなTikTokが好きだから、TikTok上でやればいいんじゃない?”っていう体で、数分の縦型ショートドラマをこまめに上げているのかなと。きっと、表面上は見えないかもしれないけれど、真意はもっと違うとこにあるんじゃないかと感じたんですよね。なので、その真意の部分を今の時代にコミットさせたかたちで打ち出していくという内面の部分にシンパシーを感じるました。
Sui
流行っているものは活用しつつも質は高く保つような本物の価値を見せつけたいという信念みたいなものをすごく感じたんですよね。試しに僕らの音楽を聴いていただいて、“一緒に何かやりませんか?”とお声がけをしたところ…
Ren
メンバーの方が『キングダム』を観ていたようだったので、僕らのことをオープニングの「黎-ray-」を通じて知っていてくださったんですよ。そこから“初めての長編映画を作る”とうかがい、“では、その主題歌を!”という話になったので、いい機会をいただけましたね。
Sui
さらに僕らの音楽を聴いていただいたら、インディーズ時代にリリースした「レプリカ」(2021年9月発表のEP『Replica2』収録)を気に入っていただけたようで。

スリリングなサウンドの中で自身の存在証明を求める、あれも強烈なメッセージが込められた曲ですもんね。

Ren
今回の映画『アンガージュマン』の主題歌を制作するにあたっても“「レプリカ」のような曲で”というオーダーをいただいたのですが、逆にそれ以外の縛りはなく、すごく大枠は自由度が高い中で制作させていただけたので、とても有り難かったです。
Sui
それで映画の台本を読んで、僕らの解釈で作ったデモを何パターンか聴いていただき、選ばれたのが「バックライト」でした。歌詞は僕が書きましたが、まず“アンガージュマン”というタイトルの意味を調べたところ、“運命に従わずに自分の意思で何事も切り開いていこうという態度。運命に従って人間は行動しているのではなくて、行動によって人の運命が変わるという考え方”という哲学用語だったんですよね。

それは知りませんでした! “こんなはずじゃなかった”とくすぶっていた『アンガージュマン』の登場人物たちが、自らの行動によって運命を変えていこうとする物語にはぴったり。

Sui
そうなんですよ。その意味を知ってから改めて台本を読んでみると“なるほどな”と感じて、これはごっこ倶楽部さんが、今回の楽曲「バックライト」を制作するにあたり、リファレンスとして「レプリカ」の名前を上げてくれたことにも通ずる部分だと思いました。僕が歌詞を書く時にテーマにしているのが自分の“存在証明”で、そのテーマがあるからこそ、“アンガージュマン”という言葉の意味を知った時もスッと入ってきたんですよね。僕の人生を振り返ってみると、最初から何も与えられたものなんかなかったし、もしかしたらもっとくすぶった人生を送っていてもおかしくなかった。でも、ちゃんと自分で道を切り開いてきた自負もあったので、自分の生き方で運命は変わるということをテーマに「バックライト」を書いていけたんです。とはいえ、物語自体は結構コミカルな要素もあって重たく感じない部分もあるじゃないですか。なので、そこは音楽に反映させたいという話をRenくんとしたんですよね。
Ren
サウンドに関しては、ごっこ倶楽部さんから“疾走感”というキーワードがあったんですよ。ただ、ライトな疾走感とヘヴィな疾走感で結構違うから、両方のいいとこ取りをすることを一番のキーワードに考えました。ごっこ倶楽部さんの作品って信念がありながら、作品自体はコミカルなところもあって重たすぎず、みんながサッと観て、サッと笑えて感情移入ができるところが大きな魅力だと思うんですよね。その空気を音楽でも出さないといけないと考えたから、重たさもある中に軽快なサウンドを作ろうと決めたんです。

だから、疾走感はあるのにベースが重低音でブンブン鳴っているんですね。

Ren
そうです! 最初からリズムと音で面白いインパクトを出しながら、サビはキャッチーで重たさもちゃんとあるものという。あとは、ありきたりなロックの音じゃなく、どこか尖ったものを入れたかったので、スネアのピッチだったりベースの音色には、かなりこだわりました。シニカルさと軽快さ、ロックとポップをグシャッとした感じで。時代的に音数は少なめな方向に向かっているから、僕たちは逆行しちゃっているのかもですが(笑)。
Sui
そうだね。かなり斬新な曲になったと思いますよ。ただ、メッセージはストレートなので、そのへんはサビでガツンと出していきました。
L→R Sui(Vo)、Ren(Key)
Streaming Single「バックライト」

OKMusic編集部

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