アジカン伊地知&フジファブリック金
澤が料理を振る舞い、KANA-BOON谷口
が舌鼓ーー料理と音楽が融合したイベ
ント『FM802 ROCK&DISH』で耳も心も
お腹もいっぱいに

FM802『ROCK & DISH』2022.12.6(TUE)大阪・心斎橋Music Club JANUS
2022年12月6日(月)、大阪・心斎橋Music Club JANUSにて、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの伊地知潔(Dr)とフジファブリック金澤ダイスケ(Key)によって発足した、大阪のラジオ局・FM802の新たな部活動・料理部『ROCK&DISH』の初イベントが開催。記念すべき第1回のゲストとして、KANA-BOONの谷口鮪(Vo)が登場した。
料理部「ROCK&DISH」の部長を務める伊地知は、料理研究家という肩書きを持ち、Youtubeチャンネル『KIYOSHI'S KITCHEN』も開設するなどミュージシャンきっての料理好きとして知られる。副部長の金澤も、伊地知とレシピ本を出版したこともあるほど料理の知識が豊富だ。そんな2人が、ゲストのオーダーをもとにステージ上で料理と音楽を振る舞うというスペシャルな内容が楽しめるのが同イベント。間近でミュージシャンの料理姿が見られ、同じレシピで作られたワンプレートフードが食べられるということもあって、チケットは完売。五感と心とお腹がしっかり満たされた、素晴らしい夜の模様をレポートしよう。
料理と音楽を1度に味わえるスペシャルイベント

『FM802 ROCK&DISH』特製カレー粉

JANUSに足を踏み入れると、いつもとは明らかに違うスパイシーな香りが漂っていた。ロビーではイラストレーター・Urata Spancallが描いた2人の似顔絵があしらわれたバンダナや伊地知の手ぬぐい、そして谷町六丁目にあるスパイスショップ「SLOKA SPICE WORKS.」で伊地知が自ら調合したオリジナルカレー粉が販売されていた。これは伊地知が味見をしながら作った2種類のカレー粉のうち、金澤も気に入った方を販売したもので、決め手について金澤は「香りがふくよかに感じられた。食欲をそそるのではないかと思った」とステージ上でも明かしていた。
『FM802 ROCK&DISH』バンダナ
また、この日の調理に使用されたエレコムのIHホットプレート「HOT DISH」の見本も展示されており、観客は興味深そうに手に取っていた。会場は着席スタイルで、ステージには長机が置かれ2つの「HOT DISH」と食材が並び、上手にはドラムセットがセッティング。さらにフロアにはスクリーンが用意され、料理中の手元が映し出される仕様に。来場者は独特の雰囲気の中、ワクワクした様子で開演の時を待っていた。
『FM802 ROCK&DISH』
定刻になり、司会進行を務めるFM802 DJの加藤真樹子がビストロ風の衣装で登場し挨拶。「FM802のイベントで調理台とドラムセットが共にあるのはなかなかない!」「最後まで皆でほこほこ良い気分の夜にしましょうね」と、シェフであり料理部長の伊地知と副部長の金澤を呼び込んだ。
FM802 DJ 加藤真樹子
「ROCK&DISH」のロゴがプリントされたエプロンを身につけた2人。伊地知は首にグッズのバンダナを巻き、金澤はスキップするかのごとく元気に登場。前日はW杯の日本対クロアチア戦だったため、「寝不足からの大阪ですからね、高まってますよ」と金澤。真横にドラムが置いてあることについて「どういうこと?」と金澤に振られた伊地知は「いつでも叩けますよ」と、早速開幕のドラムを披露。これには会場も大喜びで拍手を送る。
『FM802 ROCK&DISH』
お互いの料理の腕前について伊地知は「ダイちゃんは知識が半端じゃないです。あとで「何それ? 見たことない!」みたいなのが出てくると思うんですけど、実はスーパーで簡単に買えるものだったり。料理の知識が豊富すぎて僕はいつも勉強させていただいてます」と述べ、金澤は「潔くんは料理を作ることが本当に大好きで、日々研究して色んな種類の料理を手際よく作ることができる。それを目の前で見ることができるのは本当に貴重な機会じゃないですか」と話した。大勢の人に調理を見られるのは2人とも「恥ずかしい」としながらも、満員の客席を見て嬉しそうに笑顔を浮かべていた。
そして「そのお料理を皆さんと同じように楽しみにしている、今日のゲストをお迎えしたいと思います!」と、KANA-BOONの谷口鮪が呼び込まれる。全体的にイエローがキーカラーになっていたが、谷口もイエローのフーディで登場。統一感があって素敵だ。「今日は呼んでいただいて光栄でございます」と挨拶し、「今日はお昼抜いてます」と意気込む。過去に1度イベントで谷口に料理を振る舞ったことがあるとして、金澤からは「リアクションが良い」、伊地知からは「そこまでして(昼食を抜いて)くれる」と褒められ、持ち前の後輩力を発揮していた。
KANA-BOON 谷口鮪
やがて、某番組のように谷口がチリンチリーンと鈴を鳴らして「オーダー! 体があたたまるホットなワンプレート!」「ウィームッシュ!」とオーダー。いよいよ前半の「DISH」パートがスタートした。谷口と加藤はステージから2人の料理を見守りつつ実況した。
伊地知は「ジンジャー豚すき」、金澤は「リンゴとヒハツ香るキーマカレー」
『FM802 ROCK&DISH』
早速調理をスタートした2人。金澤はにんにく、生姜、玉ねぎをみじん切りしたものを炒める。伊地知は合わせ調味料を作り、生姜をすりおろす。金澤は楽しくてたまらないのか、炒める際の「ジュ〜」という音をマイクで拾ったり、ルンルンでボケたり、そこにすかさず3人が突っ込んだりと、息ぴったり。仲の良さが伝わってくる。
フジファブリック 金澤ダイスケ
料理が進むにつれて良い香りが会場に充満し、空腹を刺激。豚こま肉を投入した伊地知は「豚肉に含まれるビタミンB1は体を温めると言われていまして、体を温めることに関して生姜と豚肉はすごく相性がいいです」と料理研究家らしいコメントも。開始から15分程度ながら、あとは中火で10分煮込むだけで完成というところまで到達。工程が簡単なので自宅でも作りやすいメニューだ。
金澤の方は鶏ミンチ、いんげん、じゃがいもが入って彩り豊か。さらにリンゴの半分を炒め、もう半分はすりおろす。サクサク食材をカットする包丁さばきも流石だ。「やや巻きで」との指示がスタッフから入り、伊地知はドラムで様々なビートを叩いて金澤を応援。金澤もノリノリで会場を湧かせた。
『FM802 ROCK&DISH』
そうこうしている間に伊地知の料理が完成。一方金澤は、様々な調味料に加えて「ヒハツ」という粉末のスパイスを投入。エアコンの風で飛びそうになるところを伊地知と谷口がガードして手伝う場面も見られた。金澤は「ヒハツはちょっとシナモンに似てるんですけど、沖縄とか東南アジアにあるスパイスで、体を温めるんです」と説明。そして最後にオリジナルカレー粉を投入すると、会場が一気にスパイスの香りに包まれた。料理開始から約30分。伊地知は「ジンジャー豚すき」、金澤は「リンゴとヒハツ香るキーマカレー」をそれぞれ完成させた。

「ジンジャー豚すき」
「リンゴとヒハツ香るキーマカレー」

いざ実食! ゲストの谷口の前に、ご飯に盛られたできたての料理が運ばれる。まずは豚すきをパクリ。子どものように口いっぱいに頬張り「やっべ」と至福の表情を浮かべる。本当に良い食べっぷりで、そんな姿を見ている先輩2人も嬉しそうだ。豚すきについて「お肉柔らかいですわ。砂糖の甘さも染み込んで、ご飯がめちゃくちゃ進みます。今まで生きてきた中で1番卵黄を落としたいです」と感想を伝える。
『FM802 ROCK&DISH』
続いて、キーマカレーを実食。しっかりと味わいながら「食べたことないカレーです。カットリンゴがすごくフルーティ。辛いとかじゃなくてちゃんとスパイスの風味を感じます。和風カレーではないですね、かといってスパイス大国のカレーという感じでもなく、子どもから大人まで食べられます」とコメント。2人の料理知識が垣間見えるトークが披露される間も谷口は夢中で食べ続け、ステージ上で「ごちそうさまでした!」と完食。「鮪くんは呼びがいがある」と伊地知も喜んでいた。
ASIAN KUNG-FU GENERATION 伊地知潔
ここからは客席の実食タイム。「お腹をいっぱいにして、その後のライブをお楽しみください」(伊地知)、「2つの料理はそれぞれ食べても美味しいし、実は一緒に食べても美味しいんですよ」(金澤)、「マジでめちゃくちゃ美味しいです!」(谷口)と伝えて、メンバーはステージを後に。
実食してみたところ(ご馳走様でした!)、金澤のカレーは酸味もありながらリンゴの甘みも感じられるスパイシーかつオシャレな味で、後から少し辛さがやってきた。伊地知の豚すきは、生姜がしっかり効いたさっぱり風味。しらたきや豆腐に味が染み込んでいて、確かに卵が欲しくなった。また、金澤が言っていた通り2品を一緒に食べてみても本当に美味しかった。レシピはエレコムのWebサイトで公開中なので、ぜひチェックして自宅でも作ってみてほしい。
さらに、かとまきサンタによるエレコムの調理アイテムが当たる抽選会も行われ、幸運な当選者に一足早いクリスマスプレゼントが贈られる嬉しい特典も。
エプロン姿で奏でる、この日だけのセッション

『FM802 ROCK&DISH』

後半は音楽を味わう「ROCK」パート。ステージにはキーボード、ギター、ドラムがセッティング。伊地知と金澤はエプロン&バンダナ姿のまま登場し、金澤は「すごい料理の匂いしますね!」と興奮。谷口は「お腹いっぱいで眠くなっちゃった(笑)」とほっこり。谷口が「本業やります!」とライブをスタート……と思いきや、谷口のギターにトラブルが発生。「こういう時にヒハツを振りかければいけるんじゃないか(金澤)」と、ヒハツが魔法の粉扱いになっていたのは思わず笑ってしまった。
KANA-BOON 谷口鮪
無事に谷口のギターが復活し、伊地知のカウントからASIAN KUNG-FU GENERATIONの「君の街まで」を披露。張りのある谷口の歌声と金澤の滑らかなピアノを伊地知のドラムが力強く支える。「楽しいですね〜」と大好きな先輩2人に囲まれた谷口はニコニコ。伊地知から「上手だね。やりやすいし、気持ちいい!」と谷口がお墨付きをもらう場面も。
ASIAN KUNG-FU GENERATION 伊地知潔
2曲目はKANA-BOONの「結晶星」。曲名が谷口から伝えられると客席からは歓喜の声が上がった。原曲よりもテンポを落としたアレンジで、大人っぽい雰囲気で奏でられるサウンドに満たされる。客席は心地良さそうにゆらゆらと体を揺らし、グッドミュージックに身を任せていた。豊かな時間はあっという間。ラスト1曲とのことで「名残惜しいですけど、おふたりとセッションできてすごく嬉しかったです」(谷口)、「本当に。またやろうね」(伊地知)と約束を交わす。
フジファブリック 金澤ダイスケ
最後は金澤がレコーディングに参加したKANA-BOONの「スターマーカー」を披露。サビでは客席の手が左右に振られ、2番ではクラップが発生。メロディの良さが引き立つアレンジが素晴らしい。珠玉のアンサンブルに全身を委ねた幸せな時間が過ぎてゆく。曲を終えて谷口が「耳もお腹いっぱいになりましたか?」と問いかけると、客席からは惜しみない拍手が送られた。加藤も「『ROCK&DISH』はすごく幸せなイベントですね! 耳も心もお腹いっぱいです」と充実の笑顔を見せた。
『FM802 ROCK&DISH』
この日の感想を聞かれた金澤は「料理をして、音楽もして、実際食べるところまで共有するイベントはなかなかない。僕たち自身を全部楽しんでいただけたような感じがしてとても楽しかったです。ありがとうございます」と手応えと感謝を口にした。
伊地知は「構想は去年、もっと前からあったかもしれないですけど、コロナでできなかった。今日やっと開催できて本当に嬉しく思っております。第2回、第3回と続けていきたいと思ってます。毎回ゲストも変えていきたいなと思っておりまして……」と意欲を見せると、谷口が「僕は、もう呼ばれないんですか!? さっき、「またやろうね」と言ってくれていたのに、「どんどんゲストは変えていきます」なんて……そんな!」と座り込んで悲しむ谷口。それを慰めるという寸劇も(笑)。
『FM802 ROCK&DISH』
最後は「ごちそうさまでした〜!」と全員で写真撮影。こうして第1回目の『FM802 ROCK&DISH』は大成功のうちに幕を閉じた。お腹も心も耳もたっぷり満たされた、素晴らしい夜となった。何よりも伊地知、金澤、谷口の関係性と互いのリスペクトが感じられる、終始温かい雰囲気に包まれたイベントだった。『ROCK&DISH』チームのスタッフも、エプロンをつけてプレートを運んだりゴミを回収したりと本当に部活動のように、チームで作り上げるんだという意気込みを目にすることができたところにも心が温まった。きっと来場者も最高に幸せな気持ちで帰路についただろう。次回の開催が今から楽しみだ。
取材・文=ERI KUBOTA 写真=FM802提供(撮影:田浦ボン)

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