ミュージカル『生きる』が23年に上演
決定 市村正親・鹿賀丈史に加え、村
井良大、新たに平方元基・上原理生、
高野菜々などが出演

2023年9月、新国立劇場 中劇場にて(その後大阪公演あり)、ミュージカル『生きる』が上演されることが決定した。
黒澤映画を世界で初めてミュージカル化した意欲作である、本ミュージカル。2018年の初演、2020年の再演に引き続き今回が3度目の上演となる。
初演以来、主演の渡辺勘治を演じ続けるのは、日本ミュージカル界のレジェンド、市村正親と鹿賀丈史。役所の市民課に30年休まず勤め続ける課長、渡辺勘治をダブルキャストで演じる。2023年は、2人のデビュー作である『イエス・キリスト=スーパースター』から、50年の節目の年となる。2人が歩んできた道は、日本ミュージカル界の歴史そのものと言えるほど、市村&鹿賀の2人なしで日本のミュージカル史は語れない。
演出を手掛けるのは、世界の舞台で活躍する演出家の宮本亞門。脚本と歌詞は、「アナと雪の女王」などのディズニー映画の訳詞を多く手掛けるほか、劇団四季ミュージカル『バケモノの子』やミュージカル『COLOR』などのオリジナルミュージカルを次々と発表している高橋知伽江。作曲と編曲は、ブロードウェイで今年上演されたミュージカル『Paradise Square』の作曲で本年度のトニー賞優秀作曲賞にノミネートされた、作曲家、ジェイソン・ハウランドが手掛ける。
2020年舞台写真 渡辺勘治役 市村正親   撮影:引地信彦
2020年の再演時、不器用ながらも父親に歩み寄ろうと奮闘する勘治の息子・光男を好演した村井良大は今回も続投となるが、メインキャストのほとんどが一新される。
物語の語り手として重要な役どころである小説家をダブルキャストで演じるのは、平方元基と上原理生。主人公・渡辺勘治と小説家の組合せが変わると、まるで別の作品のようにも感じる本作。実力とキャリア共に十分の二人が、ミュージカル界のレジェンドとどのような化学反応を起こしてくれるのだろうか。
渡辺勘治に再び生きる力を与える女性・小田切とよ役には、音楽座ミュージカルのヒロイン、高野菜々が挑む。彼女が音楽座ミュージカル以外の作品に出演するのはデビュー以来初となる。光男の妻・一枝に実咲凜音、渡辺勘治の公園作りを妨害するヤクザ組長に圧倒的な歌唱力を誇る福井晶一など、ミュージカル界の豪華な面々が揃うほか、本作の登場人物の中でもっとも腹黒い人物の助役を鶴見辰吾が演じることも決定。初演から出演し、独特な存在感で本作の世界観を体現している佐藤誓、重田千穂子は続投となる。
また、黒澤明が1952年に発表した映画「生きる」が、イギリスでリメイク上映されている。脚本をノーベル賞作家のカズオ・イシグロが執筆したことで話題となっている本映画は、先日発表された第80回ゴールデン・グローブ賞にて、主演を演じたイギリスの名優ビル・ナイが主演男優賞にノミネートされている。このリメイク版映画「生きるLIVING」は、来春日本でも公開される。
2020年舞台写真 渡辺勘治役 鹿賀丈史   撮影:引地信彦
そしてミュージカル版の見どころは音楽の素晴らしさ。閉塞感漂う戦後直後の日本、そこに流れ込んでくる開放的なアメリカ文化、未来に向かって日本が立ち上がろとする民衆の力、そして渡辺勘治という無骨な男の生きざま、そのすべてがブロードウェイの鬼才によってさまざまなタイプの音楽で見事に表現されている。1幕ラスト、渡辺勘治が残りの人生を悔いなく生きることを誓う曲「二度目の誕生日」はミュージカル史上に残る名曲だ。
さらに、ミュージカルを知り尽くした宮本亞門の洗練された演出にも注目したい。自身もガンを克服した宮本にとって、本作への意気込みは特別なものがある。3度目の上演となるが、新キャストと共に作品をさらに掘り下げ進化を遂げていく。
【あらすじ】
役所の市民課長・渡辺勘治(市村正親/鹿賀丈史)。早くに妻を亡くしてからは男手ひとつで息子の光男(村井良大)を育てあげ、今は息子夫婦(光男の妻・一枝(実咲凜音))と同居している。毎日毎日同じことの繰り返し、いわゆる“お役人”気質な助役(鶴見辰吾)を筆頭とする役所で、淡々と仕事をこなす日々であった。
そんなある日、渡辺は自らが胃がんであり、残りの人生が長くないことを知る。自らの生涯を振り返ると、そこにあるのは、意味あることを何ひとつ成し遂げていない人生。
愕然とした渡辺は、現実逃避のために大金をおろして夜の街に出る。しかし、30年間真面目一筋を貫いてきた渡辺には、金の使い道すらわからない。そんな時、ひとり出向いた小さな飲み屋で、売れない小説家(平方元基/上原理生)に出会う。渡辺の境遇に興味を持った彼は、“人生の楽しみを教えてやろう”と宣言し、2人は盛り場を何軒も渡り歩く。しかし、渡辺の心は一向に晴れず、募るのは虚しさばかり……。
そんな渡辺の元へ、役所の若い女性事務員・小田切とよ(高野菜々)が訪ねてくる。はつらつとしたとよの初々しさに触れるうちに、渡辺は、自分の人生になかったものを見出すようになる。これからでも、自分に何かできることがあるのだろうか……。渡辺は、第二の人生を歩みだす……。

演出:宮本亞門 コメント
『生きる』を演出して、私自身、生きている今を大切に輝くものにしようと思いました。
コロナ禍を経て、生きる大変さや素晴らしさを感じた方も多いでしょう。そんなあなたに、この作品はミュージカルの枠を超え、人はいつになってもリセットができると背中を押してくれます。今回の再演は新たな素晴らしいキャストも参加して一段と深くなります。
ぜひ劇場に足をお運びください。必ずや今までにない体験、体感をお届けします。

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