小倉 唯

小倉 唯

【小倉 唯 インタビュー】
私自身もみなさんの近くに
ずっとい続ける存在でいたい

自分が楽しく感じることを
ずっと続けていきたい

「Dramatic!」は“成功の影に努力あり”といったメッセージのように、小倉さんの活動を応援している方なら、間違いなく刺さる楽曲となっていると思います。

私がお世話になりっぱなしの大森祥子さんと俊龍さんの黄金タッグで、安定感が桁違いでした。それでいて、おふたりが想像した私の未来も反映されているようで、メッセージが本当にエモくて。歌詞を引用するとしたら、1番Bメロの《「想像さえ超えた奇跡(ばしょ)に いるんだ、今」》なんて、活動を続ける上である種の達観の域にあるというか。自分からは絶対に出てこない、大森さんの視点だからこそ生まれたフレーズですよね。

個人的には2番サビに登場する《洗いざらしデニムで》にもグッときました。

そうですよね! 楽曲のテーマとしていた“さわやかさ”が、こうした固有名詞で表現されたことには本当に度肝を抜かれて。私も作詞をすることがあるからこそ、本当に驚きや発見ばかりの歌詞でした。

ここで学んだスキルが今後の小倉さんの自作詞曲にも受け継がれていくのかもしれませんね。

そうなると思います。何より私自身、大森さんの作詞術には本当に影響されているので。

「Precious.」は他2曲と比べてダンサブルな仕上がりとなっていますね。ライヴでも盛り上がりそうです。

本当にカッコ良いですよね。こちらは私の作詞曲で、芯のある強い女性像を意識してみました。聴いている方の背中を押せたり、自己肯定感を高めていただけたりしたら嬉しいです。もともと、いつか“Precious”という言葉を使って作詞をしてみたいと考えていたのですが、トラックを聴いて、これならぴったりとハマるかもしれないと思い、「Precious.」というタイトルに決めました。

以前から温めていたネタなのですね。タイトルの“.(ピリオド)”にはどんな意味が?

明確な意味はないのですが、タイトルをひと目で見た時の印象がスタイリッシュになる気がして。視線の流れがぴたりと止まるような力強さを込められるかなと。

1番のサビの歌詞でも《受け入れたい No.》と“受け入れたいの”という言葉をひねったかたちにしているあたり、小倉さんが備えているウィットさを感じます。

私はこういう細工が本当に大好きなんですよね。「ta・ta・tarte♪」(2022年2月発表のアルバム『Tarte』収録曲)でも、“ゆめ”や“リアル”と歌う部分を歌詞では《理想》や《現実》と表記していたように、視覚と聴覚で異なる意味を感じられるようにしていたり。今回もやっちゃいました(笑)。

挑戦したんですね(笑)。国語の授業のような話になりますが、“受け入れる”という言葉は意味合いとしても否定系の単語と結びつくことも少ないため、そのギャップにますます釘づけにさせられました。

そのあたりも私的に目指していた部分です! 相手の想いを受け入れたいけど決めきれない、そんな心の迷いをうまく表現できました。

ラップ調のパートやサビ直前で挿入されるK-POP調のコーラスなど、レコーディングも難しそうだと感じましたが。

最初にデモ音源を視聴した際は、歌い方が難しそうだなと不安も過りましたが、いざ録り進めると楽しく、キャッチーに仕上げられました。途中、囁くように歌ったりして、いくつかパターンを録り溜めた上で、最終的にはトラックダウンの現場でスタッフさんと採用テイクを選定しましたね。

小倉さんご本人もトラックダウンに参加していると。

そうですね、この作業で曲のタッチがまったく変わるので、ここ何年間かはなるべく参加するようにしています。

インタビューの総括として音楽活動の全体像について改めて訊かせてください。このタイミングで教えてほしいのですが、小倉さんは今現在、音楽を表現する上でどんなことを大切にしているのでしょうか?

私もまだ探り探りな部分はありつつも、現時点ではファンの方が楽曲を受け取る際にどんなことを感じるのかという視点を持つことと、制作をともにしてくださる作家さんのご意向をうまく汲み取ることです。みなさんで同じ方向を向くことが大切だと思うんですよね。付け加えるならば、私の瞳で見えているものや自分なりの感性、それにもとづくオリジナリティーでしょうか。でも、こうした抽象的な考えって、常日頃から変化していくものだとも感じています。

そうした考えは、時代や年齢にあわせてアップデートされるものだと思います。小倉さんは自身の感性を磨くべく、どんなものから刺激を受けていますか?

最近はTikTokなどのSNSですね。私は制作のために情報収集をすることをしておらず、日常で見たり聴いたりしたものが、アイディアとして勝手に脳内に蓄積されるタイプなんですよ。その点でTikTokは、流行の音楽や映像が自動的に流れてくるから便利だと思います。ちなみに私のフィードには、アイドル、ペット、あとはメイクやコスメといった美容系のネタがたくさん流れてきます(笑)。

ところで20代も後半になると、一般的には人生の新たなステージを意識する方も多くいますが、小倉さんは3年後、あるいは5年後といった未来を見据えて、どのようなアーティストになることを目指していきたいですか?

歌もダンスも、もちろん声優活動も含めて、それを求めてくださる方がいる限り、自分が楽しく感じることをずっと続けていきたいです。ファンのみなさんとはもう長いおつき合いなので、ひとりの人間としての私の性格的な部分も理解してもらえていると思うし。そうした意味では、今後の生き様や人生も温かく見守り続けていただけたら嬉しく、私自身もみなさんの近くにずっとい続ける存在でいたいですね。

“こうなりたい”というより、“ずっとこうでいたい”という考えなのですね。

もちろん、さまざまな変化や未来のかたちがあると思います。それこそ現代はどんな場所でも働ける時代だと思うので、もしかすると私が急に山籠りをしたりする可能性も…でも、その時は“今から山で歌います!”と、山奥で配信ライヴなんてしちゃうかもしれませんね!(笑)

取材:一条皓太

シングル「Love∞Vision」2022年12月21日発売 日本コロムビア
    • 【初回限定盤A】(CD+DVD)
    • COZC-1966〜7
    • ¥2,310(税込)
    • 【初回限定盤B】(CD+ミニ写真集)
    • COCC-18055
    • ¥2,310(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • COCC-18056
    • ¥1,595(税込)
小倉 唯 プロフィール

オグラユイ:2009年に声優デビュー。以降、多くのTVアニメやゲーム作品などで主演やメインキャストを担当。近年では、番組ナレーションなど、活躍の場を広げる。多くの話題作で活躍する声優でありつつ、2012年に「Raise」でアーティストデビュー。18年には初となる単独アリーナ公演を成功させ、19年に行なった自身3度目のライヴツアーでは6都市7公演を大成功に収め、約20,000人を動員。20年には全楽曲のサブスクを解禁した。22年にソロアーティストデビュー10周年を迎え、12月に日本コロムビアへ移籍後初のシングル「Love∞Vision」リリース。23年4月にシングル「秘密♡Melody」を発表した。同年11月にシングル「Empty//Princess.」をリリース後、同月にワンマンライヴ『小倉 唯 Memorial LIVE 2023~To the 11'Eleven~』を開催。12月には7月に開催したワンマンライヴを収めた映像作品『小倉 唯 Memorial LIVE 2023〜10th Anniversary Assemble!!〜 Blu-ray』を発売する。小倉 唯 オフィシャルHP
小倉 唯 日本コロムビア アーティストページ

「Love∞Vision」

「Precious.」CHOREOGRAPHY VIDEO

「Dramatic!」試聴動画

「Love∞Vision」MAKING ダイジェスト

OKMusic編集部

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