俗に言う
スーパーグループとは一線を画す、
超一級のコラボレーションだった
「リトル・ヴィレッジ」

バンド・アンサンブルの
お手本のような、うまさ、
センスが味わえる

自分のソロ作『Bring The Family』の出来映えに気を良くしていた充足感もあってのことだと思うが、ハイアットも音楽キャリアの何度目かのピークを迎えていたのだと思う。とにかく彼が絶好調なのだ。それを支えるライやケルトナーは百戦錬磨のプレイヤーであり、歌伴に回った時にどのようにギターのオブリガートを加えればいいのか、瞬時に掴むのだろう。実にツボを押さえた心憎い演奏をしている。そんな裏方仕事に注視して耳を傾けてみるのもこのアルバムの聴きどころだと言える。

また、このアルバムを魅力的にしているのはハイアット、ライ、ニックの3人のヴォーカルが偶然にも同じ声質を持っていて、コーラスが実にナチュラルなのだ。普段の各自のソロ作ではなかなかコーラスを聴くことが少ないだけに、これも偶然の産物だったのだなと、ため息まで出てしまう。そういうわけで、この原稿を書くために久しぶりにアルバムを繰り返し聴いたが、本人たちは「それほどでも…」と謙遜しているようだが、これは聴きどころ満載の名盤だ。

ちなみにアルバムは本作1枚しか出なかった(アウトテイクはいっぱいありそうだ)はずだが、何とボストンでの放送用の音源がライヴ盤『Crazy 'Bout an Automobile (Remastered) [Live. Boston, Massachusetts, April 1992]』として、公式にApple Musicにアップされている。公式とはいえ、ブートレッグには違いないと思われるので、おおっぴらにオススメできるものではないが、一時的にせよ、彼らがいかに素晴らしいバンドであったかが分かる内容になっている。

TEXT:片山 明

アルバム『Little Village』1992年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. Solar Sex Panel
    • 2. The Action
    • 3. Inside Job
    • 4. Big Love
    • 5. Take Another Look
    • 6. Do You Want My Job
    • 7. Don’t Go Away Mad
    • 8. Fool Who Knows
    • 9. She Runs Hot
    • 10. Don’t Think About Her When You’re Trying to Drive
    • 11. Don’t Bug Me While I’m Working
『Little Village』(’92)/Little Village

OKMusic編集部

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