左から時計回りに K.A.Z(Gu)、D.I.E.(Key)、JOE(Dr)、I.N.A.(Computer&Per)、CHIROLYN(Ba)、KIYOSHI(Gu)、hide(Vo&Gu) 

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【hide with Spread Beaver
インタビュー】
雲の上のhideさんの魂とか
存在とつながって一緒に演奏する

2022年夏に公開された映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』が映像作品化され、hideソロデビュー30周年永眠から25年にあたる2023年春にはライヴ『hide 30th solo-debut anniversary hide Memorial Day 2023 “hide with Spread Beaver appear!!in OSAKA/in YOKOHAMA”』の開催も発表された。そこでhide with Spread Beaverのメンバーでhideの楽曲の共同プロデューサーであるI.N.A.(Computer&Per)に同映画とライヴ、そして現在彼が進めている『STOCKS.TOKYO Project』について語ってもらった。

hideというオリジナリティーを
ちゃんと確立していた

I.N.A.(Computer&Per) (C)HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD. / photo by KAZUKO TANAKA(CAPS)

I.N.A.(Computer&Per) (C)HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD. / photo by KAZUKO TANAKA(CAPS)

映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』のBlu-ray&DVDがリリースされました。振り返ってみて、I.N.A.さんにとってどんな映画になりましたか?

この映画はhideさん の実弟である松本裕士さんの著書『兄弟 追憶のhide』をもとに、僕が書いた『君のいない世界 〜hideと過ごした2486日間の軌跡〜』も原案協力というかたちで脚本にミックスされているんですね。また、劇中で使われた音楽の編集や監修も僕がやっていて。そうしたスタッフ目線の部分と、純粋にお客さんの目線で観た部分の両方があって。でも、撮影が始まってからは僕の仕事は終わっていて、作品自体にはタッチしていなかったし、コロナの影響で撮影が1年延びた影響もあって、最初に映画を観た時は結構間が空いた状態になっていました。映画は一応フィクションではあるけど、実際にあったドキュメントを物語にしているし、それがあまりにもリアルだったから、閉じていた記憶の扉を無理矢理開けられたような感じで、そこからいろんな感情が吹き出してきましたね。だから、最初に観た時は映画がどうということよりも、正直言ってつらかったです。いろいろなシーンが自分が実際に観てきたものとオーバーラップして。泣きすぎて頭が痛くなったくらいでした。でも、改めて何週間か空けて観直した時は、もう映画として楽しめましたけど。

hideさんの曲や名前を知っている人はもちろん、当時はまだ生まれていなかったけどネットなどで知ったファンも多いので、そういう人たちには当時何が起きたかを知るにはすごく分かりやすく作られていましたね。

hideさんが亡くなって2023年で25年になりますけど、hideさんのファンというのは僕らと同世代の50代からその子供の30代、さらには孫の世代まで広がっているんですね。当時まだ生まれていなかった世代の人たちにも、hideさんのことが知られているのは本当にすごいことだと思うんですよ。そういった意味でもこの映画は“お母さんたちの時代に何があったのか?”みたいな目線で観た方も多かったと思います。単純にYouTubeなどでMVなどの映像を観て“カッコ良い!”と思って興味を持った方もいて、そういう人たちにとっては、今のアーティストの曲、60年代や70年代の曲、それこそhide with Spread Beaverの曲も、初めて聴いたものは全部が新曲という感覚のようですね。

映画の中ではスタジオでの音楽制作の現場のシーンも出てきますが、実際にあんな感じだったのですか?

劇中でおもちゃの音を録音するシーンなどが出てきますけど、ああいうことを本当にやっていましたね。単に新しいことや楽しいことが好きで、それをそのままやりたかったんだと思います。本当に遊び感覚でしたから。アメリカでは一緒に住んで、毎日8畳くらいの部屋で、ずっとそういう作業ばかりやっていました。子供が集まって音楽で遊んでいるような感覚でしたね。もちろん大変なことも多かったけど、それ以上に楽しいことのほうが大きかったです。それが映画の中でもすごくうまく表現されていたのが嬉しかったです。

I.N.A.さんにとってhideさんはどんな人でしたか?

世間一般にはロックスターですけど、hideさんとは年齢が同じで誕生日も1日違いという奇跡のような関係だったし、パートナーを組んで制作をしていたから、僕にとってはすごく身近な友達であり仕事仲間ですね。だから、そういう質問はよくされますけど、あまりピンとこないんですよ。でも、映画を観て“とんでもない世界の中心に置かれていたんだ!?”と改めて思いました。

映画の最後には、hideさんが亡くなったあとに行なわれたツアー『hide with Spread Beaver appear!! “1998 TRIBAL Ja,Zoo”』様子も描かれていていますね。

あのシーンは観どころのひとつだと思います。これは裏話ですけど、使われている音源はそのツアーの横浜アリーナ公演の実際の音源で、現在の技術を使って再編集して音をきれいに作り直したものなんです。スクリーン上で演奏しているのは演者の方たちですけど、オケは当時の僕たち、hide with Spread Beaverが演奏していた音なので、その時のプレイヤーの感情が音に表れていると思うし、そういった意味ではすごくリアリティーがあると思います。

映画制作にあたって当時の音源を改めて聴いて、どんな感想を持ちましたか?

20年以上振りに聴いたんですけど、感傷的になるようなところはなくて。“こういうふうに演奏していたんだな”とか、“ここの演奏は粗いけど、みんなはこんな気持ちだったのかな?”とか、いろいろ思いながらミックス作業をやっていましたね。

そもそもhide with Spread Beaverの曲は決して古さを感じさせないですよね。

それはずっと言われて続けていることですけど、hideというオリジナリティーをちゃんと確立していたからだと思います。その時代ごとの音を吸収しながら、ちゃんと自分の音楽として表現していたので。古くない一番の理由は、そこにあると思います。技術的なところで言うと、アメリカを拠点に制作していたから、当時はまだ日本で使われていなかった技術もいっぱい使っていました。今となっては誰もが普通に家でコンピュータを使ってやっているようなことですけど、その先駆けみたいな感じだったので、その部分もあるでしょうね。

ライヴシーンでは丸いスクリーンにhideさんが映っていて、それが演奏とリンクして動いていたわけですが、当時はすごく難しかったんでしょうね。

当時は難しいとは思っていなかったんですけど、あとになって“大変だったんでしょ?”ってたくさん言われたので、“じゃあ、大変だったのかな?”という感じです。もともと僕は技術屋ですから、“そんなたいそうなことはしていないけどな”っていう(笑)。
左から時計回りに I.N.A.(Computer&Per)、D.I.E.(Key)、K.A.Z(Gu)、JOE(Dr)、CHIROLYN(Ba)、KIYOSHI(Gu)、hide(Vo&Gu)
I.N.A.(Computer&Per) (C)HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD. / photo by KAZUKO TANAKA(CAPS)
L→R  I.N.A.(Computer&Per)、K.A.Z(Gu)、JOE(Dr)、hide(Vo&Gu)、D.I.E.(Key)、CHIROLYN(Ba)、KIYOSHI(Gu)
L→R  D.I.E.(Key)、JOE(Dr)、KIYOSHI(Gu)、hide(Vo&Gu)、I.N.A.(Computer&Per)、K.A.Z(Gu)、CHIROLYN(Ba)
Blu-ray&DVD『TELL ME 〜hideと見た景色〜』

OKMusic編集部

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