神山智洋(ジャニーズWEST)は、スペ
シャルな声を持っている人~安部公房
作品に挑んだ『幽霊はここにいる』フ
ォトコール&取材会レポート

パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』が2022年12月8日(木)から東京・PARCO劇場、23年1月11日(水)から大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。開幕を前にした12月7日(水)、舞台の一部を公開するフォトコールと取材会が行われた。
昭和を代表する作家・劇作家の安部公房。PARCO劇場では1973年のオープニング記念公演『愛の眼鏡は色ガラス』(当時の名称は西武劇場)をはじめ、安部公房の作・演出作を数多く上演してきたが、今回43年ぶりに安部公房作品が上演されることになる。
『幽霊はここにいる』は1958年に千田是也演出、田中邦衛主演で、俳優座劇場にて初演。岸田演劇賞を受賞し、翻訳版がヨーロッパなど世界各国でも上演されている傑作戯曲だ。今回は、文学座の若手で注目の演出家・稲葉賀恵のもと、神山智洋(ジャニーズWEST)、八嶋智人、木村了らが出演する。
パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』フォトコールの様子
ーーいよいよ明日から初日を迎えるということで、今のお気持ちをうかがいたいと思います。
神山智洋(以下、神山):いよいよ明日から『幽霊がここにいる』の幕を開けるわけなんですけど、非常に稽古中は楽しくて、和気藹々とした稽古場になって。その中でも八嶋さんがムードメーカーとして、いい空気をたくさん作ってくださった。結構タイトなスケジュールの中で、みんなで一丸となって作り上げまして、今日までずっと修正していました。本番が始まっても修正できるところは、もちろんしていくべきだと思うし、アップデートはこれからも続けていきたいなと思います。
明日始まりますが大千穐楽まで、誰ひとり怪我なく病気なく欠けることなく走り抜けれればなと思います!
八嶋智人(以下、八嶋):そうですね、ムードメーカーとしてはですね(笑)、今、最後まで演劇が上演できるのは奇跡みたいになっているこのご時世なので、それは我々が気をつけてやっていくということもありますし、60年以上前に書かれた安部公房という作家の何とも刺激的な作品を、現代の人、神ちゃん(※神山のこと)の若いファンの人たちもたくさん観にきてくれると思うので、それはもうバトンタッチしていければいいかなと思って。
とにかく演出の稲葉さんの持つイメージをより具体的に、よりブラッシュアップして作っていくために、最後まで探求しているいい座組みだなと思いますので、そのエネルギーを皆さんに受け取ってもらえたらなと思います。
木村了(以下、木村):60年前に安倍公房さんが書かれた戯曲が現在になって蘇るということで。まったくもって全然古臭くないので、絶対に楽しめる作品になっていると思います。『幽霊はここにいる』と聞くと、ホラーなのかなと思う方もいらっしゃると思うんですけど、純粋に楽しめるので、ぜひ劇場に足を運んでくれればなと思っております。よろしくお願いします。
パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』フォトコールの様子
稲葉賀恵(以下、稲葉):楽士の方を含めるとキャストは21人いて、裏にいるスタッフのみなさんを含めて、かなり大勢の方々と本当に一丸になって作ってきました。その中でも本当にキャストの皆さんが前向きに舞台上で輝いているのを見て、もう早くお客様に観ていただきたいなという気持ちで、これまで舞台稽古を重ねてきたので、明日からがすごく楽しみ。
ここから成長していけるように、日々健康に気をつけていきたいなと思っております。よろしくお願いします。
ーー今の時代にということで、稲葉さんの演出面でのこだわりは?
稲葉:私が演劇をやっているときに持っている視点の全てがこの戯曲に入っていて。本当に20代のときからやりたかった戯曲でした。それこそ音楽劇だったり、コメディの要素だったり、人を楽しませる要素がありながら、かなり今の人たちに問いかけるものがものすごく多い作品だと思うので、自分事のように感じていただける目線が今だから作れている。しかも神山さんがこの役をやることによって、60年前のものではなく、今の自分事のように感じられるような作品になったなと感じてます。
演出の稲葉賀恵
ーー神山さんの印象はいかがですか?
稲葉:神山さんは芯がめちゃくちゃ強い。本当に本当に芯が強くて、あと正直だなって。舞台上にいて、嘘がない気がしていて。そうすると、ものすごく素直な声として、セリフが聞こえてくるんですよ。それがすごく気持ちよくて、スペシャルな声を持っている人だなと思います。
八嶋:化粧水ボイスと言われていますからね。
神山:すーっと染み渡るみたいです、私の声は(笑)。
稲葉:あとは本当に熱い人だなと思います。ものすごく覚悟を持って前に立ってくださるので、すごく助けられました。
パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』フォトコールの様子
ーーそれを受けて、神山さん、いかがですか?
神山:全くその通りだと思います(笑)。もちろん主演としての覚悟というものは持たないといけないものと思っていますし、深川という役がこの芝居の中で唯一、幽霊が見えるという立ち位置なので、キャストの皆さんもそうだし、見てくださるお客さんにも幽霊の存在というものをしっかりと認識してもらわないといけない。本当に幽霊がそこにいるということを常にイメージしながらやっています。
台本の中にも幽霊のセリフがありますしね。そこでどういうことを言ってるんだというのも、言いはしないんですけど、自分なりにとか、稲葉さんと考えたりとかしながら作っていきました。でもやっぱり演劇が面白いなって、毎年やらせてもらって思っていて、今回の『幽霊はここにいる』もそうなんですけど、僕自身もそうだし、観てくださる方たちも戦争を知らない方というのがほとんどだと思うんですよね。
そういう人たちに過去に日本でもこういうことがあったんだよ、その方たちの努力というか、命の上に僕たちは立たせてもらっているんだよというのをこの舞台で感じてもらえたらなと思っています。
木村了、八嶋智人、神山智洋(左から)
ーー見えない姿があるという設定で演じるのはなかなか大変ですよね。
神山:最初はめちゃめちゃ大変でしたね。今ここにいるとして、次お芝居が進んでいく中で、次はどこにいるんだ。最初は点でしかなかったので、お稽古をしながらそれを線にしていく。幽霊の動きもしっかり作りながらやっています。
ーーPARCO劇場で主演というのが決まった時はどのように感じましたか?
神山:純粋にPARCO劇場という伝統のある会場でお芝居ができると知った時は、喜びももちろんあったんですけど、驚きの方が結構強くて。僕なんかでいいんですか? って。
このお話をいただいたのが今年の春頃でして、そのときにちょうど髪の毛を伸ばしていたんですよね。お芝居で役柄がどうなのか分からないから、髪型が決まるまでとりあえず伸ばしておこうと思って……。
八嶋:結構長かったよね?
神山:お芝居の中での髪型が決まって、バッサリ。キャストからも稲葉さんからも「かわいい」という声を非常にいただくんですよね。好評です!
神山智洋
ーー八嶋さんとの共演もすでに息がぴったりですね。
八嶋:共演は初めてです。
神山:メンバーの桐山(照史)が……。
八嶋:そうですね、WESTのメンバーは共演経験もありますし、僕も奈良出身なので、WEST方面で。まぁWESTなんだろうなと(笑)。
ーー共演してみていかがですか?
八嶋:あのね、びっくりするんですけれど、(神山さんとは)年が20才以上違うんですが、僕よりものすごくしっかりしているんです。僕が稽古の合流が遅れたもので、セリフがちょっとオタオタしても、ものすごく落ち着いて返してくれる。どんなに悪球を投げても、胸元にちゃんと返してくれる。それはびっくりしました。
常にいろいろなアクシデントが舞台上では起こりますが、一番落ち着いて対処しているのではないかな。それから、ジャニーズの皆さんは皆そうかもしれませんけれども、段取りがついたときの覚えるスピードの速さね。
木村了、八嶋智人(左から)
木村:本当に神ちゃんはすごく落ち着いています。芯が1本通ってるので、こちらが何をしても受け止めてくれるし、まっすぐ返してくれるので、とてもやりやすいです。
八嶋さんは本当に太陽のような方なので、稽古場にいるだけで、明るくなる。バランスのとれた稽古場で、稲葉さんがいることで、統率の取れた座組みになっています。多くの方にこの舞台を観ていただきたいなと思いましたね。
八嶋:そうですね。PARCO劇場という話がありましたけど、安部公房スタジオは、PARCOの前身なる西部劇場を主戦場とされていた。安部公房作品をPARCO劇場、しかも新しくなったPARCO劇場で上演するというのは、ひとつ演劇界の中でも面白い出来事かなと。その中で参加させてもらうのは嬉しいです。

パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』フォトコールの様子
パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』フォトコールの様子

パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』フォトコールの様子
ーー幽霊であっても会いたい人はいますか?
神山:僕はジャニーさん(※ジャニー喜多川)ですね。ジャニーさんはすごく偉大な方だし、僕を見つけてくださって、デビューさせてくれた。いろいろお仕事をさせていただくようになったのも、ジャニーさんがいたからだと思ってます。芸能界の父だと思っています。
幽霊になってでも会いたいなという思いはもちろんありますし、僕も含めたジャニーズWESTのライブや舞台、芸能の活動を……見てくれてるとは思うんですよね。どこかで。「頑張ってるよ」というのをしっかりと伝えたい相手はジャニーさんですね。
ーーそれでは最後に、観劇を楽しみにされている皆さんに一言お願いします!
神山:最後まで、怪我なく病気なく誰ひとり欠けることなく、キャスト・スタッフ、さらには幽霊一同、会場で皆さんをお待ちしています。『幽霊はここにいる』という世界観に飛び込んでもらえたらなと思います。ぜひ楽しんでもらえたらなと思います!
取材・文・撮影=五月女菜穂

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