【石川雄規インタビュー到着】初代タ
イガーマスクSSPW 12・8後楽園ホール
大会で“燃える情念”石川雄規の30周
年記念試合を体感せよ!

初代タイガーマスク佐山サトルのストロングスタイルプロレスVol.20 12・8後楽園ホール大会で、“藤原喜明50周年記念・石川雄規30周年記念試合”として、藤原喜明(藤原組)&関本大介(大日本プロレス)&日高郁人(ショーンキャプチャー)組と、スーパータイガー(SSPW)&船木誠勝(フリー)&石川雄規(フリー)組による6人タッグマッチがラインナップされている。
今回、石川がタッグを組むスーパータイガーと船木、対戦相手となる藤原、日高、関本の5選手は、いずれも石川自身が30年のレスラー生活のなかのさまざまなステージで、それぞれに濃密な時間を共有した男たち。あるときは闘い、またあるときはいっしょに汗を流した仲間たちである。
――スーパータイガー選手との出会いはもう15年ほど前にさかのぼりますね。
「彼がスーパータイガーとしてデビュー、いや、スーパータイガーに変身したときからです。彼は『ボクはどんなマスクマンになればいいんだろう』と悩んでいましたね。ある部分、自分の意思ではないところでマスクをかぶることになって、自分がどこへ向かって歩んでいけばいいのか、わからなかったんだと思うんです。独りぼっちだったんです。そのとき、オレは彼に、孤独でいいじゃないか、孤独で悲しみを背負ったヒーローになればいいじゃないか、という話をしたような気がします」
――これまでタッグを組む機会はありませんでしたね。
「同じコーナーに立った記憶はありません。対戦したときのことはよくおぼえていますよ。ある時期はほんとうによく闘っていました。何度もやりました。あんまり蹴りまくられるので、試合前にドアの内側で待機しているとき、遠くのほうで彼の入場テーマ曲が聞こえてくると、うわー、蹴られるなあ、おっかないなあ、イヤだなあと思ってました。彼との闘いは会話でした。レスリング、格闘技の言語があるので、闘いながら会話ができるような感覚がありました。今回はタッグを組むので、対戦相手を蹴りまくってほしいです」
――船木誠勝選手とのタッグも初めてですね。
「タッグを組むのは初めてだし、同じリングに立つのも二度目です」
――いまから5年前、リアルジャパン時代の2017年4月に石川&ケンドー・カシンVS船木&関本というカードがありました。プロフェッショナル・レスリング藤原組の時代までさかのぼれば、船木選手との出会いはじつに30年以上も前のことです。
「道場でいっしょに練習をさせていただいたのは2年、2年足らずでしょうか」
――1991年(平成3年)1月に第2次UWFが解散して、同年3月、船木選手は藤原組に合流。石川選手は91年、フロリダのマレンコ道場での修行から帰ってきて、マレンコ先生と空中正三さんのラインから藤原組に入門し、92年4月に日本で正式デビューした。
「あの時代の藤原組の練習は……殺されるかと思いましたよ。それがいまのオレの魂になったわけですが」
――もうちょっと整理したほうがよさそうですね。石川選手は学生時代にスーパータイガージムに入門。佐山サトルに師事し、シューティングを学んだ。道場で“神様”カール・ゴッチと遭遇し、大学を卒業後、週刊プロレスに載っていたゴッチさんの家の写真だけを頼りに単身フロリダに行って、ほんとうにゴッチさんの家を訪ねていってしまった。しかし、ゴッチさんにもう弟子はとらないと断られ、マレンコ道場を紹介され、そこで半年間ほど修行を積んだ。そして、マレンコ道場からの逆輸入の新弟子として藤原組に入った。
「まあ、そんなところです」
――これだけでも、スポーツ根性マンガの主人公みたいなプロフィルです。その後、船木、鈴木みのる、ケン・シャムロックらが藤原組から独立して93年(平成5年)にパンクラスを設立。石川選手だけが藤原組に残った。
「そして、93年、ついにアントニオ猪木さんと闘うことができた」
――記録を調べてみると、93年12月に猪木さんが藤原組の後楽園ホール大会に来場して、そこで試合開始前に石川選手とスパーリングをした。正式に試合で対戦したのは翌94年(平成6年)4月4日、新日本プロレスのリングで、猪木&馳浩VS藤原&石川のタッグマッチでした(広島グリーンアリーナ)。
「オレは、プロレスラーになりたかったんじゃないんです。ならなければならなかったんです、猪木さんと会うために。猪木さんに会いたくて、猪木さんに会いたくて、いつか猪木さんのいるところまでたどり着くぞと、子どものころからそればかり考えて生きてきた。周りのオトナたちはそういうオレをバカだ、できるはずがないと否定したけれど、夢はかなうんだ、オレはレスラーになって、いつか猪木さんと同じリングに立つんだと」
――デビューからわずか2年で夢がかなってしまったわけですね。
「猪木さんに会ったら、……ずっとお会いしたかったです、とそれだけを伝えたかった。それだけなんです。アントニオ猪木。猪木イズム。オレのなかでは、猪木さんだけが正しかったんです」
――そして、石川選手は95年(平成7年)に藤原組から独立。藤原組の仲間たちといっしょに新団体、格闘探偵団バトラーツを旗揚げしました。
「バトルとアーツでバトラーツ。格闘芸術です。猪木さんの話に戻りますが、アントニオ猪木のプロレスにはいろいろものがつまっている。スポーツとしてのプロレスがある。スキャンダラスなプロレスがある。オレのプロレスは体育会系プロレスではなくて文系プロレスです。文学的プロレスといってもいい。Read between the lines。行間を読む、読ませるプロレスです。猪木さんのプロレスのなかのその“行間を読ませるプロレス”を継いでいる人がいないので、オレがそのへんを継ごうと考えました」
――文系プロレス、文学的プロレスというのは、あまり語られてこなかった部分ですね。
「オレよりずっと才能のあるレスラーはたくさんいると思うんですよ。でも、オレのような気の狂ったようなレスラーはいない。その狂いっぷりが、オレだけの強さなのかもしれないから。そういう人間のたたずまいをお客さんに観にきてほしかった」
――バトラーツはたび重なる経営危機があり、所属選手の大量離脱があり、活動停止―活動再開を経て、2011年(平成23年)の解散まで通算16年つづきました。その後、石川選手は2013年(平成25年)6月、カナダに移住。バトル・アーツ・アカデミーBattle Arts Academyのヘッドコーチとしてカナダ・トロント郊外ミシサガに5年間滞在しました。
「越谷のバトラーツの道場に修行に来ていたアンソニー・カレーリがカナダに帰り、自分の道場、道場というか大きなトレーニング・ジムを開くことになった。オレはそこの師範として彼に呼ばれたました」
――アンソニーというとわかりにくいかもしれませんが、彼はカナダに帰ったあと、WWEと契約してサンティノ・マレラのリングネームで活躍した有名な選手ですね。
「WWEスーパースターになったことで、ジムを開くことができたわけです。でも、彼はもともと柔道でカナダのナショナル・チームにいましたから、そういうしっかりしたベースがあった。プロレスラー志望だったんだけど、どうしても日本で修行がしたくて、バトラーツのビデオを観て、これだッと思って越谷の道場を訪ねてきたんです」
――半年くらい越谷の道場で暮らしていましたね。
「バトラーツはほんとうにいろいろな人材を輩出しました。いろいろな人たちとの出逢いがあって、いろいろなつがなりが生まれた。バトラーツを解散したあと、オレもこのトシで自分が生活の場をカナダに移して、そこでレスリング、格闘技を教えて、また新人を育成するようになるとは思わなかった。アンソニーは自分の道場をバトル・アーツ・アカデミーと名づけた。つまり、格闘芸術です。地元の若者たちだけでなく、アメリカからも、ヨーロッパからも、オーストラリアからもミシサガの道場にたくさんの人たちが集いました」
――2018年6月に帰国。ことしデビュー30周年を迎え、ここからは“一期一会”の現役生活ということになるのでしょうか。
「日本に帰ってきてから、2019年8月、2020年3月にドイツ遠征に行ったのですが、2度めのドイツ遠征のあと、腰と右ひじに痛みが出て、ちょうどコロナのパンデミックが重なった時期ですが、腰部脊椎狭窄症と診断されて大きな手術を2回受けました。椎間板も潰れた状態で、坐骨神経マヒもあり、このままだとまともに尿も排泄もできなくなるという状態でした」
――引退を考えたりしませんでしたか?
「手術から2年たって、いまはまたスパーリングができるようになりました。ヒザも悪いのでジャンプはできませんが、もともとオレはジャンプするような動きはしないので。体のはりも戻ってきましたね。レスリングはできます。お医者さまに感謝。試合のオファーをくださったリアルストロングスタイルプロレスさんに感謝したいと思います」
(聞き手・斎藤文彦)

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