柿澤勇人は大人の恋愛を繊細に、濱田
龍臣は初々しい恋模様をチームで魅せ
る ミュージカル『東京ラブストーリ
ー』空・海ゲネプロレポート

漫画家・柴門ふみが1988年に発表した漫画「東京ラブストーリー」。1991年にはフジテレビによってテレビドラマが放送され、社会現象を巻き起こした。
初のミュージカル化においては、ブロードウェイの第一線で活躍するグラミー賞受賞作曲家、ジェイソン・ハウランドが音楽を担当。演出はミュージカル『アリージャンス~忠誠~』で共同演出を務めた豊田めぐみ。脚本・歌詞を佐藤万里が担う。さらに、チーム空では柿澤勇人、笹本玲奈、廣瀬友祐、夢咲ねね。チーム海では濱田龍臣、唯月ふうか、増子敦貴、熊谷彩春がメインキャストを務め、綺咲愛里や高島礼子らが脇を固める。
初日に先駆けて行われた、空・海各チームのゲネプロの様子をお届けしよう。

※ネタバレが気になる方はご注意ください。
【あらすじ】
2018年春。愛媛・今治に本社のある『しまなみタオル』の東京支社に異動になった永尾完治(柿澤勇人・濱田龍臣)は、アフリカ育ちの天真爛漫な女性・赤名リカ(笹本玲奈・唯月ふうか)と共に新プロジェクトを任される。 ある日、既に上京していた地元の高校の同級生・三上健一(廣瀬友祐・増子敦貴)に会いに行くと、完治が高校時代から想いを寄せる、関口さとみ(夢咲ねね・熊谷彩春)もやって来た。 昔話で盛り上がりつつも、予想外の再会に動揺する完治。そこに突然、リカが現れた。……この夜、恋が動き出す。

幕が開くと、オーケストラの演奏のもと、一面の星空の中で男女が情熱的ながら切ないダンスを披露する。物語の行く末を想像させる幻想的で美しいシーンの後、雰囲気をガラリと変えて街の雑踏に。物語の舞台は2018年に変わっているが、どこかレトロでポップな印象の衣裳やヘアメイクがオシャレだ。一見シンプルな舞台セットも、物語が進むにつれて様々な見え方に変化していくのが面白い。原作を1本の舞台に収めるため設定や流れが変更されている部分も多いのだが、それぞれの恋愛模様や仕事に関するストーリーをうまく盛り込んでいると感じた。名セリフなども随所に散りばめつつ、世代でなくても楽しみ、共感できるような物語になっている。
物語を彩る楽曲も魅力的なものばかり。恋の始まりを感じさせるナンバーや、相手を好きだからこそ感じる不安を歌ったもの、心を決めて歌う力強い楽曲まで、どれもキャッチーでドラマティックに仕上がっている。また、ポップな楽曲に合わせた華やかなダンスで行われるアンサンブルキャストによるアクロバットなどのパフォーマンスも楽しく、見応えは十分だ。
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト 
両チームとも、丁寧な芝居で天真爛漫なリカに振り回されながらも惹かれていく完治の心の動きを伝えてくれる。リカとさとみの対比、真逆の魅力もそれぞれのナンバーから見えるため、二人の間で揺れ動く気持ちも理解できる。彼らがどんな道をたどるのか、原作を知らない方はもちろん、知っていてもドキドキしながら見守ってしまうはずだ。
キャストによって同じナンバーでも受ける印象が違うのに加え、セリフが多少違う部分も。ベースは同じキャラクターでありながらそれぞれが自分なりの解釈でセリフや楽曲を捉えて表現していることで、個性の違う四人が観られる。各チームを見比べるのも楽しいだろう。
“空”のメインキャストは、大人の恋愛の機微を繊細に見せる。柿澤が演じる完治の人の良さや不器用さ、愛嬌にグッと惹きつけられる。リカを演じる笹本は、明るく溌剌とした魅力と彼女が抱える孤独のギャップを印象的に表現。三上を演じる廣瀬は、体格が良いこともあってソロナンバーのダンスが非常に華やかで色気を感じさせる。さとみ役の夢咲はひたむきで素朴で、完治の初恋の人と聞いて納得できる愛らしさ。
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 柿澤勇人
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 夢咲ねね

ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 

ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 廣瀬友祐、夢咲ねね(左から)
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 夢咲ねね、柿澤勇人(左から)
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 笹本玲奈、柿澤勇人(左から)
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト  綺咲愛里、廣瀬友祐(左から)
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 夢咲ねね、笹本玲奈(左から)
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト 笹本玲奈
ミュージカル『東京ラブストーリー』空キャスト  廣瀬友祐、柿澤勇人(左から)
対する“海”はフレッシュで軽やか。若いカップルたちの初々しい恋模様といった印象を受けた。濱田が演じる完治は朴訥とした雰囲気で、リカに翻弄される姿が可愛らしい。唯月はリカをパワフルに演じ、目が離せない存在感を放っている。増子は軽やかでスマートな立ち居振る舞いの中に三上の苦悩を見せ、さとみを演じる熊谷も、三上への想いと自分らしさの間で悩む様子を丁寧に演じている。
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト  濱田龍臣
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト  熊谷彩春、増子敦貴(左から)

ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト  綺咲愛里、増子敦貴(左から)
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト  唯月ふうか
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト  熊谷彩春
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト  熊谷彩春、唯月ふうか(左から)
ミュージカル『東京ラブストーリー』海キャスト  増子敦貴、濱田龍臣(左から)

また、三上の同僚である長崎尚子役の綺咲は、リカとはまた違う都会的な女性のイメージ。物語が進むにつれ彼女の苦しみも見えてきて、人間関係と恋模様がより複雑に、魅力的になっている。そして完治とリカの上司・和賀を演じるのは、ミュージカル初挑戦となる高島礼子。部下に対してフラットに接し、若い恋人たちを温かく見守る魅力的な上司としてホッと和ませてくれる。恋愛を主軸にしたストーリーだが、和賀と完治のシーンでは仕事に対する向き合い方や人生について考えさせるセリフも多い。
綺咲愛里
高島礼子
高島礼子
東京で働きながらも地元・愛媛を大切に思っている完治、幼い頃は海外で暮らしていたリカ、思い出を大切にしながらも生まれ育った場所に対しては複雑な思いを抱く三上とさとみをはじめ、生まれた土地でずっと親の言う通りに生きてきた尚子、自分で道を選んできた和賀と、「東京」に集まる人々の様々な立場や思いが描かれるため、誰かしらに共感を覚えられるはずだ。恋模様にドキドキするだけでなく、永尾完治をはじめとする登場人物の生き方に共感して応援したくなったり、彼らの言葉に気付きをもらったりもできる作品だと感じた。
彼らの恋の行先、そして彼らが選ぶ生き方を、ぜひ劇場で見届けてほしい。
本作は11月27日(日)〜12月18日(日)まで東京建物 Brillia HALLにて東京公演が行われた後、12月23日(金)〜25日(日)まで大阪公演、2023年1月14日(土)に愛知公演、1月21日(土)・22日(日)に広島公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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