Superfly 約3年ぶりの有観客ライブ
に見た、演者と観客が共に空間を作り
上げていくライブの醍醐味

Superfly 15th Anniversary Live “Get Back!!”

2022.11.23 有明アリーナ
デビュー15周年を記念して開催されたスペシャルライブ『Superfly 15th Anniversary Live “Get Back!!”』。開演前の会場内に足を踏み入れて、まず目に飛び込んできたのはアリーナのど真ん中に設営されていた大きな円形舞台。このステージ上でどのようなパフォーマンスが繰り広げられるのか想像し始めた時点で、既にワクワクが止まらなくなった。事前にアナウンスされていたバンドの編成は――Superfly:越智志帆、Guitar:八橋義幸、Guitar:名越由貴夫、Keyboards:鶴谷崇、Bass:須藤優、Drums:玉田豊夢、Strings:門脇大輔 / 山本大将 / 高橋輝 / 村中俊之、Trumpet:川上鉄平、Trombone:五十嵐誠、Sax:村瀬和広、Background Vocal:稲泉りん / 竹本健一 / 塚本直 / Luz / 若島史佳、Dancer:calin(LIFULL ALT-RHYTHM) / Miyu / Fumiya Matsumoto / Keita――という大所帯。15周年という節目にふさわしい場面の連続となったライブの模様をレポートする。
オープニングムービーが流れ、SEが鳴り響き始めると、観客の間から沸き起こった激しい手拍子。1万4千人が集まった客席からステージに向かって届けられたエネルギーが早くも物凄い。バンド演奏が始まった瞬間、人々の胸の高鳴りが会場内の空気をビリリと震わせるのを肌で感じた。ステージを覆っていた紗幕が上昇し、360°に向かって広がっていった1曲目は「Bi-Li-Li Emotion」。バンドメンバーの中心に立ち、歌声を響かせる越智志帆の姿は、“全身全霊”という表現がまさしくふさわしかった。続いて「タマシイレボリューション」と「Hi-Five」も披露されたが、加わる観客の手拍子も熱い。演者と観客が空間を共に作り上げていくライブの醍醐味も再確認させられるオープニングであった。
最初のMCで、約3年ぶりに観客の前で歌うことへの感慨を語った志帆。「ライブってどうやってやるんだっけ?って感覚をほぼ忘れているので、心配しながらここに立っているんですけど、みんなを目の前にするとあっという間に思い出しますね」という言葉が、ステージで歌える喜びで満ち溢れている。そして、さらに多彩な楽曲が届けられていった。ピアノ伴奏と歌からスタートした後、バンドサウンドが合流しながら温かく響き渡ったのは、メジャーデビューシングルの表題曲「ハロー・ハロー」。無数の思い出が蘇って、胸がいっぱいになったファンがいたのではないだろうか。続いて「輝く月のように」「フレア」「Wildflower」……様々な時期の楽曲が披露された。ステージを覆った紗幕にプロジェクションマッピングで海中の映像が投影された「On Your Side」は、印象的だった1曲として思い出される。幻想的な演出が楽曲の世界を美しく彩っていた。
中盤のMCでは、円形ステージにした意図について語られた。会場に集まった人々を少しでも近くに感じたい気持ちが、この形式に至った理由だったのだという。ピースマークをモチーフとしたステージのデザインについても触れた後、「アリーナ!」「スタンド!」「有明!」と呼びかけて観客を煽り、心底嬉しそうに笑顔を輝かせた志帆は、その後も素晴らしい歌声を届けてくれた。ステージの外周やアリーナの2方向に突き出した花道を巡りながら、観客の一人ひとりを心から慈しむかのように歌っていた「愛をこめて花束を」。バンドメンバーの演奏のソロ回しの間に衣装を着替えて再登場し、ビートを絶妙に乗りこなしながら歌い上げた「Beep!!」。パンチの利いた歌声、間奏で吹き鳴らしたブルースハープが観客の手拍子を一際激しいものにした「マニフェスト」……強力なナンバーの連発によって、ますます熱気で満たされた有明アリーナ。ダンサーのKeita、トランペットの川上鉄平がフラッグをなびかせながらステージの外周を走り、それを指標とした巨大ウェーブが客席内に巻き起こった直後には、「Force」へ突入。エモーショナルなギターソロに続いてダンサー各々が披露したソロパフォーマンスが、観客の大喝采を浴びた。
ダンサーを引き連れてステージの隅々や花道をまでを巡りながら歌い、観客の興奮を一層高めていた「Alright!!」を経て披露されたのは、今年リリースされた2曲。何本もの火柱が激しく立ち上る空間から届けられた「ダイナマイト」は、生々しいエネルギーが漲っていた。続いて「Voice」も堪能し、昂る胸の内を抑えきれない様子だった観客。そんな風景を観ながら嬉しそうに笑顔を浮かべていた志帆は、今回のライブに向けて、昔の楽曲と向き合った旨を語った。
「いつも進化してたい。最新の自分が一番良くありたいと思ってやっているので、昔の曲を聴くのはドキドキしたんですよ。歌が未熟でがっかりするだろうなと思って。でも、昔の自分もすごいなあって思ったんです。今の私には真似のできない何かがあるような感じがして、初めて“いいじゃん!”って思えたんですね。今の私と昔の私が合体したような気がして、そういう状態で歌を届けることができて、すごく幸せです」と語った彼女を温かい拍手が包んでいた。そして、来年の6月からアリーナツアーを行うことが発表された後、本編を締め括ったのは「Starting Over」。エンディング間際に響き渡ったアカペラの波動は、胸を打って止まない雄々しいエネルギーを帯びていた。
耳を傾けていた全ての人を祝福するかのようだった「Beautiful」。バンドメンバーたちも共に歌い、温かい一体感を生んでいた「愛と感謝」……アンコールでまず2曲を披露した後、志帆は改めて想いを語った。
「今日のライブをやるにあたって、どんな15年を過ごしてきたのか考えたりもしたんです。歌うこと、歌詞を書くこと、メロディを作ること。この3つのことを本気で、真剣に毎日考えまくった15年間だったなと思いました。この3つのシンプルなことしか実はやっていなくて、他のことはいろんな分野のプロフェッショナルな方々に協力していただいています。昔はシンプルなことしかできない自分が駄目なのかなと思って、頑張んないとって気負っていたこともあったんですけど、最近はものすごく心が軽やかです。プロフェッショナルな人たちと一緒に新しい物を作るって、なんて楽しいんだろうって、すごく思えているんです」
――想いを言葉にしながら浮かべる表情が、とても晴れやかだった。そして、ラストを飾ったのは「Presence」。恐れずに未来を切り拓いていく気持ちが刻まれたこの歌は、瑞々しいエネルギーで満ち溢れていた。
こうして終演を迎えた『Superfly 15th Anniversary Live “Get Back!!”』。先述の通り、約3年ぶりの有観客ライブだったわけだが、空白の日々の中でも深まり続けた美しい色合いを実感できる空間だった。15年間の活動の軌跡はとても濃密だったが、この先も美しい何かが生まれるはず――そう確信できるライブを目の当たりにできたのがとても嬉しい。Superflyは、これからも素敵な音楽をたくさん届けてくれるはずだ。

取材・文=田中大 撮影=神藤剛、カワベミサキ

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