KUWATA BANDのライヴ盤
『ROCK CONCERT』に見る
若き桑田佳祐の心意気と、
図らずも示した独自のメソッド

『ROCK CONCERT』('86)/KUWATA BAND
https://okmusic.jp/news/438107
桑田自身が失敗作と認めた!?
さらに言えば、KUWATA BANDを聴くことで我々がサザンオールスターズ楽曲のどこに惹かれるのかが分かるし、桑田佳祐のメソッドが唯一無二であることを体験できるとも言える。KUWATA BANDを反面教師や他山の石と言うのは乱暴であろうけど、ニュアンスとしてはそれに近い。フリスビーや鍋敷きにするほど盤の中身がないとはまったく思わないし、誰が言ったか分からないけけれど、“しょせんご飯にみそ汁だ”なんて批判はほとんど暴言だと思う。しかしながら、サザンや桑田佳祐に大きな思い入れがない自分でも、『NIPPON NO~』に違和感があることは否めない。『NIPPON NO~』にはKUWATA BANDが発表したシングル4作品=「BAN BAN BAN」「MERRY X'MAS IN SUMMER」「スキップ・ビート (SKIPPED BEAT)」「ONE DAY」は一切収録されていないが、『ROCK~』にはその4曲に加え、「BAN BAN BAN」のC/Wだった「鰐」も収録されている。その違和感の正体を探るにあたっては、そこがわりと小さくないポイントではないかと思う。アルバム収録曲とのシングルの差異がよりはっきりし、それによって件の桑田佳祐のメソッドが必然的に浮き彫りになっている。そうしたところが確実にあるのである。