津田健次郎、大九明子監督らが「あの
こと」を観て、語る 映画『あのこと
』26名のコメントが到着

12月2日(金)公開の映画『あのこと』をいち早く鑑賞した映画監督、作家、声優らのコメントが到着した。
『あのこと』は、ポン・ジュノ監督(『パラサイト 半地下の家族』)が、審査員長を務めた2021年のヴェネチア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を受賞した作品。アニー・エルノー氏が自身の経験をもとに書き上げた『事件』を原作に、1960年代の法律で中絶が禁止されていたフランスで望まぬ妊娠をした大学生が、自らの願う未来をつかむために独りで戦う12週間を描いた作品だ。メガホンをとったのは、オードレイ・ディヴァン監督。ディヴァン監督は、映画・映像産業における男女の平等、性とジェンダーの多様性を促進することを目的としたフランスのNGO・Collectif 50/50のメンバーであり、ジャーナリストでもある。アンヌ役で主演するのは、『ヴィオレッタ』の子役で知られるアナマリア・ヴァルトロメイ。
アンヌの毎日は輝いていた。貧しい労働者階級に生まれたが、飛びぬけた知性と努力で大学に進学し、未来を約束する学位にも手が届こうとしていた。ところが、大切な試験を前に妊娠が発覚し、狼狽。中絶が違法の60年代フランスで、アンヌはあらゆる解決策に挑む。
(c)2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILM
劇場封切に先駆けて本作を鑑賞したのは、フリーアナウンサーの宇垣美里や、映画監督・写真家の枝優花氏、俳優・文筆家・映像作家の小川紗良、映画監督の清水崇氏、映画監督の大九明子氏、声優の津田健次郎ら26名。コメント(五十音順、敬称略)は以下のとおり。
今祥枝(映画・海外ドラマ 著述業)
自分の体のことなのに、自由に決断できないことへの怒りと恐怖で震えた。女性に強いられる快楽を求めることへの罪の意識にも。1960 年代を描いて、これほどの現代性があることに驚きがある。
宇垣美里(フリーアナウンサー)
予期せぬ妊娠によって奪われた彼女の日常。
迫り来るタイムリミットの恐怖と、
手立てのない絶望、生々しい痛みの描写に息もできない。
これが決して過去の話ではないことに、燃えるような怒りを覚えた。
枝優花(映画監督・写真家)
次第に大きくなる命の重さ。
自分自身とそれを天秤にかけ選択を迫られ
視界が狭くなっていくと同時に浅くなる呼吸。
スクリーンを通し、彼女と呼応し心臓が押しつぶされるような 100 分間。
小川紗良(俳優・文筆家・映像作家)
こんなにも見せる映画は初めてで、正直戸惑った。それでも、見たことを悔やんではいない。私たちの心身は、今もなお彼女と地続きの世界に在るのだから。
清田隆之(文筆業・桃山商事代表)
命の責任を一人で背負い、孤立と絶望の中で究極の選択を迫られる……。若い女性をそんな状況に追い込む社会は今なお続いていて、その原因の一端は我々男の無知と偏見にあると、改めて痛感しました。
久米宏(フリーアナウンサー)
セックスをテーマにしたサスペンスとして 超一級品
いい歳をしたオジサンの僕は 何回か失神しそうになりました
こだま(エッセイスト)
分厚い壁を前にして、ひとりで抱えるしかなかった苦しみを思う。傷だらけになっても手放さなかった強さを思う。ただ女に生まれただけなのに。
児玉美月(映画執筆家)
この映画のカメラは決して少女から目をそらさない。
「選択肢はない」女性の身体の行方が「運任せ」にされてしまう悲劇から、わたしたちが目をそむけないために。
小池真理子(作家)
「あのこと」以外、何も考えられなくなる。世の中のことすべてがどうでもよくなる。すさまじい恐怖、怯え、孤独……いつの時代でも、女性が抱え込むものは変わらない。映画に登場する学生たちの中に、若かったころの私自身のまぼろしを見たように思った。
佐久間裕美子(文筆家)
フランスの女性が中絶という自己決定権を奪われていたことは過去の史実ではない。世界中の多くの場所で、今も自己決定権が行使できない女性たちがいる。この世界は、いつまで女性が自分の人生を選ぶ権利を剥奪し続けるのだろうか。
シオリーヌ(助産師/性教育 Youtuber)
「選択肢はない」たったそれだけの言葉で、人生の主導権を奪われる無力感。その思いは決して、過去のものではない。
清水崇(映画監督)
寄り添う映画。ここからは誰も逃れられない。誰もがより早く学ぶべき人生の問いと葛藤、苦悩があり、人の自然/動物たる由縁がある。
世界中の皆が格好つけて逃げようとするが……実は、この悶絶は本作内だけでは終わらない。
本作では描かれない後日譚にこそ、“母性”や“父性”の本当の地獄が待ち構えている。
今こそ恥をさらして、時代や宗教観の問題じゃない事を思い知れ!
SYO(物書き)
観賞中、壊れそうなほど感情と思考がのたうっていた。
溢れたこの涙に、まだ言葉はつけられない。
ただ、心に刻み付けた。忘れないように。
痛みを知ること。理解は、その先にしかないから。
瀬戸あゆみ(モデル・Dear Sisterhood ディレクター)
ふと気づいた時には、もう遅い。画面の中に入り込んでいて、アンヌの苦痛や絶望を、一緒に「体験」させられてるかのような没入感。
ホラー映画だっけと思わせるような臨場感と緊迫感で、恐怖さえも感じた。
観終わった後の、やり切った、戦い切った、というぐったり感も込みで、楽しんでほしい。
(ちなみにわたしはひとりで叫びました。)
宋美玄(医学博士・産婦人科医)
妊娠してしまったら中絶が選べず詰んでいた時代、積み上げたものが崩れていく辛さが迫真の演技とともに伝わった。
この作品を見れば、中絶の権利は絶対に守られるべきと強く思うはず。
武田砂鉄(ライター)
彼女はずっと独りだ。この圧倒的な孤独に光は射すのだろうかと凝視し続けた。
でも、その目線は、この作品に出てくる無数の傍観者と同じ目線なのかもしれない。
大九明子(映画監督)
愛しい映画「女は女である」で、アンナ・カリーナが子供を欲しがる若い女性を演じていたフランスで同じ頃、アンヌは「事件」の渦中にいた、という衝撃。
津田健次郎(声優)
たった独りで彼女は何と闘ったのか…?無情に過ぎゆく日々が緊迫し、逃げ場なき小さな世界でもがく彼女の自由への渇望がスクリーンを越え現代を侵食。死を賭した闘いの物語が胸を突く。時に残酷に、時に優しく降り注ぐ陽光の美しき残像が今も瞼に焼き付いている。
戸田真琴(AV 女優・文筆家・映画監督)
アンヌの呼吸が、わたしの呼吸に。アンヌの視界が、わたしの視界になっていく。 例えようのない苛立ちの中、傷みも暗闇も失望も、こんなに鮮明なのだ。
野中モモ(ライター・翻訳者)
60年代フランス、春から夏への12週間。アンヌの体と心はまぶしい光と反比例するように重たく沈む。それでも前に進み続ける彼女から目を離せない。
野村由芽(me and you)
ささやかな夢をえたいだけの彼女を反逆者に仕立て上げるのは誰か。
大きなもののために小さな自分の欲望を押し潰せと言われたなら、泳いで、踊って、抱きしめて、アンヌのように抵抗したい。
ふくだももこ(映画監督/小説家)
ぽちゃん。
痛くて、苦しくて、悲しい音。
妊娠や出産にまつわるすべての決定権は、当事者にだけあるべきだと思う。
政治や宗教や社会が決めてはいけない。
本来それらは、様々な選択をした者たちを守るために存在するはず。
産むも、産まないも、託すも、私たちが決めることなのだ。
Homecomings 福富優樹(ミュージシャン)
ひりひりと近づいてくる不安と焦り、眠る前やふとした瞬間に心臓と背中の間がざくっと揺れる感覚。年齢も性別も関係なく、世界中が向き合うべき映画。
松田青子(作家、翻訳家)
この恐怖と痛みを絶対に他人事にさせない映画。なぜなら絶対に他人事ではないからだ。
ROTH BART BARON 三船雅也(音楽家)
美しい景色の裏側で、青いシャツの背中に抱えた希望と暗闇を彼女の肩越しに追体験する。
僕は彼女のように諦めない心を持ちたいと思いました。
山崎まどか(コラムニスト)
自分の身体についての選択肢がないということの恐怖を、まざまざと思い知らされる。
孤独に戦うヒロインを演じたアナマリア・ヴァルトロメイの瞳から、切実さが伝わってきた。

『あのこと』は12月2日(金)Bunkamura ル・シネマ他 全国順次ロードショー。

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