【THE MADNA インタビュー】
昔も今も変わらずに
特別なものって素敵だと思う
自分にとっての特別を考えた時に
原宿が浮かんだ
そうした中、2ndシングル「CREAM SODA」がリリースされます。これははどういうところから生まれた楽曲なのでしょう?
涼太
俺らの曲の作り方って、まずは太嘉志がもとになるトラックを持ってきて、そこにメンバー全員がメロディーを持ち寄ってかたちにしていくスタイルが多いんですよ。それを聴き込んでいく中で感じたものを俺が歌詞にしていくという。今回はノスタルジックでエモーショナルな気持ちが生まれてきたので、だったらそういう歌詞にしたいというところから、まずタイトルが決まったんです。
“CREAM SODA”と言えば、80年代のロックカルチャーの代表ともいうべき原宿初のファッションブランドですよね。
涼太
それもあるんですけど、クリームソーダって大人になっても特別というか、憧れの飲み物っていうイメージがあるんですよね。喫茶店に行ってもなんとなく“頼んでいいのかな?”って躊躇してしまうような、メニューの中でも高嶺の花みたいな存在というか。そういう昔も今も変わらず特別なものって素敵だと思って、“じゃあ、俺にとっての特別って何だろう?”と考えた時に原宿が浮かんだんですよ。今となっては当たり前に行ける街になっちゃったし、カルチャーも変わっちゃったけど、あの頃の空気感とか本当に良かったなって。それをうまく楽曲に落とし込めないかと思って書いていったんです。
ダブルミーニングなんですね。どんなに時代が移り変わっても好きなものや憧れって色褪せないし、その気持ちは貫いていいんだっていうすごくポジティブなメッセージを歌詞から感じたんですよ。“あの頃は良かった”とただ懐かしむのではなく、普遍のものとして現在進行形で大事にし続けようっていう。
太嘉志さんは何をイメージしてトラックを作られたんですか?
太嘉志
この曲のトラックは“自分が今まで影響されてきたジャンルの曲たちのイメージを全部足したらどうなるんだろう?”っていうところから組み立てたものなんです。別にそんな話を涼太としたわけじゃないのに歌詞がめちゃくちゃマッチしていて、こんなすごいことってあるんだなって。ちょっと感動しています、今。フュージョン(『ドラゴンボール』に登場する技の一種。ふたりの人間が合体・融合し、ひとりの人間になる技のこと)が成功したみたいな感じ。違うかな?
先ほど、太嘉志さんのトラックをもとにメンバー全員がメロディーを持ち寄るとおっしゃいましたけど、そういう作り方って実は珍しくないですか?
朋
他のバンドではあんまりやっていないかもしれないですね。でも、THE MADNAはほぼ全曲、太嘉志のトラックに対して全員がメロディーを持ち寄るんですよ。そこから、この曲にはどれが合うか考えていって。しかも、一曲丸ごと誰かひとりのメロディーにするのではなく、パートによって違っていたりもするので。で、その段階で一回、涼太の声で録ってみて、そのあと各楽器でアレンジをして、最終的に歌詞が乗ってくるという。出来上がりでガラッと印象が変わる曲もありますし、紆余曲折はありますけど(笑)。
でも、メンバー全員がメロディーを作れるってめちゃくちゃ強みじゃないですか。歌う立場としてはどうでしょう? 自分でつけたメロ以外を歌う感覚って。
涼太
めちゃめちゃ楽しいですよ。自分にはない引き出しなので、“あっ、いいじゃん!”“これ、カッコ良い!”とか思いながら歌ってます。メロに刺激されて歌詞が出てくることも全然ありますし。
「CREAM SODA」はこれまで以上にポップかつ、ミクスチャーらしいラウドでアグレッシブなサウンドで、いっそうパワーアップした印象ですが、みなさんそれぞれにこだわったポイントなどはありますか?
理緒
この曲に限らず、僕はできる限りタイトで、かつリズムというよりメロディーで歌うドラム…端的に言うと“美しいドラム”を目指しています。ギター、ベースとのユニゾンのさせ方やフレージングに関しても自分らしいポップさを意識しながら叩いていて。「CREAM SODA」もそうですが、最近、自分自身でもドラムがすごく気に入っている曲が多いんですよ。なので、個人的にはドラマーの人にぜひ聴いてほしいです(笑)。結構分かりづらいこだわりも多いんですけど、そこが面白いところだと思うので解きほぐしながら聴いてもらえたら。
朋
この曲ってメタルだったり、ラウドだったり、逆にポップなロックだったり、いろんな要素が入り混じっているんですが、ベースに関して言えばトータル的に楽しい雰囲気を常に出しておきたいっていうか。“楽しい”と言うと語弊があるかもしれないけど、ラウドな箇所でも跳ねられるみたいな、ワクワク感がポイントだと思っていて。なので、そういうニュアンスを感じ取ってもらえたら嬉しいです。
太嘉志
もともとこの曲にはギターソロのセクションがなかったんですよ。入れる気もまったくなかったんですけど、作っているタイミングでお客さんから“ギターソロの曲が欲しいです”とか、ビジュアル系って“咲く”っていう文化があるんで、“咲きたいです”“そろそろ咲かせてください”みたいな声がたくさん届いたんですよ。だったら入れてみようかなって、初めてファンのみんなの要望がリアルタイムで反映された曲になっているんです。なので、ギターソロは聴いてほしいポイントですね。WIN-WINな曲になりました(笑)。
涼太さんはどうでしょう? 聴いてほしいポイントとかあります?
涼太
あざとさ…ですかね。ちょうど女の子に可愛いって言われたい時期だったんですよ(笑)。“こんな言葉を歌っちゃう涼ちゃん、どう? 可愛くない?”みたいな。
カップリングもまた個性的ですよね。今回のシングルはType-AからCまで3パターンありますけど、3タイプ共通の「空虚」は「CREAM SODA」とは対極とも呼ぶべき切ないバラードです。
涼太
こういう世界観も好きなんですよ。救いようのない歌詞とかすごく好きで。
Type-Bのみ収録の「アナキストべィビィ」は「CREAM SODA」のポップさをさらに突き詰めた印象がありますが。
涼太
これもプリプロしている段階でクレヨンで自由に絵を描くような、カラフルで温かみのあるイメージが浮かんできたので、歌詞もそういうものにしてみました。
逆に「Deep6」はかなりヘヴィに攻めていますね。まさしくミクスチャーロックな一曲で、とてもライヴ映えしそうです。
涼太
そうなんですよ。ライヴで遊べる曲にしたいと思っていて。この間、俺らが企画したハロウィンイベント(『THE MADNA presents HELLOWEEN PARTY トリップモンスター』:10月23日@新宿BLAZE)で初めて披露したんですけど、“これは化けていくな”という手応えがありましたね。でも、どの曲もそうですけど、ライヴに行きたくなるような曲になってたらいいなって。もちろんそのつもりで作っていますし、このシングルがライヴハウスへの招待状になってくれたらいいなって思います。俺はもうそれだけですね。やっぱりライヴがしたいですし、たくさんの人にライヴに来てほしいので。
リリースに先駆けてリリースツアー『〜THE MADNA CREAM SODA TOUR「チェリーボゥイ&チェリーガァル」〜』も開催されますね。ツアーへの意気込みもぜひ!
涼太
“どんなツアーにしたいですか?”っていう質問をよくされるんですけど、俺は“どんなツアーにしたい”っていうのがなくて。初日からステージを重ねていくうちに“あぁ、これはこういうツアーなんだ”って気づかされる感覚なんですよね。自分自身もその過程を楽しみたいと思っていて。なので、お客さんとスタートラインは一緒なんです。来てくれる人には純粋に楽しんでほしいですし、楽しませる自信もありますし、誰より俺自身が楽しんでやろうと思っているので。そこは負けないって感じです(笑)。
では、最後にこの先、THE MADNAが目指すところを教えてください。
理緒
やっぱり多くの人に聴いてほしいですよね。そのためにもひとつひとつ地力をつけて、より大きなステージを目指していきたいと思っています。
朋
せっかくこんなに何でもありなバンドをやれているので、バンドとして挑戦をやめないことを目標にしていきたいですね。常に挑戦的でありたいです。
太嘉志
僕はメンバーといろんなところに行きたい。九州とかでもライヴをやりたいですし。
涼太さんは?
涼太
俺は…何だろうな? ダサいくせにでかい口を叩いているバンドマンを黙らせたいですね(笑)。マジで潰そうと思っています、音で。
めちゃくちゃ期待しています!
取材:本間夕子
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シングル「CREAM SODA」2022年11月23日発売
little HEARTS.MUSIC
- 【Type-A】(CD+DVD)
- LHMH-1036
- ¥1,980(税込)
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- 【Type-B】(CD)
- LHMH-1037
- ¥1,650(税込)
- 【Type-C】(CD)
- LHMH-1038
- ¥1,650(税込)
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『THE MADNA CREAM SODA TOUR「チェリーボゥイ&チェリーガァル」』
※終了分は割愛
11/20(日) 茨城・club SONIC 水戸
11/26(土) 兵庫・神戸KINGS X
11/27(日) 大阪・心斎橋VARON
12/02(金) 長野・CLUB JUNK BOX
12/10(土) 愛知・名古屋ハートランド
12/11(日) 静岡・sunash
12/26(月) 東京・新宿BLAZE
マドンナ:2021年12月にデビューEP『Beautiful Inferno』を発表。メンバーの狂った遺伝子が混ざり合った予測不能なサウンドで、最後まで飽きさせない無限の可能性を秘めた傑作となった。22年11月に2ndシングル「CREAM SODA」を発表し、結成1周年ワンマンツアー『THE MADNA CREAM SODA TOUR「チェリーボゥイ&チェリーガァル」』を開催。23年4月に3rd シングル「sweet dream」、10月には1stアルバム『ElecT ЯiP』をリリース。THE MADNA オフィシャルHP
「CREAM SODA」MV