【かりぃーぷぁくぷぁく
インタビュー】
渋谷系とスパイスカレーへの
熱狂は似ている!?
一番カレーが食べたかった時は
いつだったのか?
かりぃーぷぁくぷぁく
今回の「パンが無ければナンを食べればいいじゃないのよ」はリファレンスとして、PIZZICATO FIVEの「東京は夜7時」とフリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」が明確に感じられる抜群のマッシュアップですね。
これはもうスパイスカレーブームは渋谷系だと言っている限り、やはりそれを代表するような楽曲をということですか?
思い入れとしてはそうです。これがやりたくて、改めて5月にアーティストとして世に出ようと思いました。だから、もちろん1曲目も大事ですけど、一番伝えたいことをこの曲に込めていて、当時の熱狂というか“こういうのあったよね”という気持ちをみなさんと共有したいなと。
そういった想いがありつつ、歌詞の内容はコロナ禍真っただ中じゃないですか。これもまたすごいリアルでした。やっぱりここ数年は寂しかったですよね。
寂しかったですし、一番カレーが食べたかった時はいつだったかと思うと、やっぱりコロナ禍真っただ中の時なんですよ。一年前の20時過ぎって本当にお店がどこも開いていなくて、自分は神戸に住んでいるので、せっかく東京まで来たのに20時を過ぎちゃってどこにも入れなくて、“コンビニでご飯を買っている自分なんなんだろう?”と思ったので。カレーを食べたい気持ちが一番表せるシチュエーションを選んだらそうなりました。
しかも名店の名前を語る部分がエレガントですね。
本当ですか? いや、その店の名前自体がすごい素敵なんだと思いますけど。でも、どうしても食べたいと思ったお店を並べるようにはしていますね。
聴いていると無性に食べたくなります。
今日も2軒行ってきました(笑)。今日はフラヌールとムルギーに行ってきて、昨日の夜はナタラジで食べたんですけど。
で、今はかりぃーさんが“渋谷系”と言われていた音楽の中の、キャッチーというか美しい部分を援用してアレンジしてらっしゃる。知識がなかったら作れなかった音楽ですもんね。
でも、作曲自体は一世代下の子にやってもらいました。だから、そこを勉強してもらったり、私からも伝えながら“こういう感じのものがいいと言われてたんだけど、分かるかな?”とすり合わせながらやっていったので、非常にいいかたちに仕上げてもらったと思うんですけど。
では、渋谷系ど真ん中ではない世代の方のフィルターを通ってるんですね。確かにリアルタイムで聴いていた人がやるとまたちょっと変わってくるのかもしれない。
“これは違う!”とかいう話が始まっちゃうとちょっと面倒くさいと思うけど(笑)。
ポップスとして成立するところに着地していて聴きやすかったです。
ありがとうございます。この曲はジャンルで言ったら、たぶんジャズだと思うんですよ。だからと言って“ジャズをやっている”と言うとね、なんかよく分からない感じになるけど、渋谷系だとなんとなく腑に落ちちゃうのって不思議な現象ですよね。
逆に言うと、それだけリファレンスの2曲が初めて聴いた人にとってはいわゆるジャズ的なものだったってことかもしれません。そうやって伝承されていくというか。
そうですね。生き証人みたいな人たちがね、どんどん伝えていかないとなくなってしまうものなので、伝言ゲームみたいなかたちで違うものに変化しながら。たぶんカレーもそうだと思うんですけどね。
この楽曲自体は最終的にお腹空くんですけど(笑)、MVはすごい切なくてですね。
オール渋谷ロケの感じがなかなか切なかったです。
そう言っていただけるとすごい伝わったんだなと、めちゃめちゃやった甲斐があります。スクランブル交差点のシーンは一発撮りなんですよ。だから、本当に“今しかない!”って(笑)、そしたらモーセのように人が開いたという。渋谷でロケと言ってもウェイウェイ!している渋谷のイメージにはしたくなくて。疎外感が大事にしたい部分だったんですよね。《つめたい夜のひかり》と歌詞にありますけど、工事の音がガンガン鳴って、“誰が住むんだよ?”“誰が働くんだよ?”みたいなものがどんどん建っていって、自分らの好きな渋谷じゃない渋谷がどんどん出来上がっているじゃないですか。やっぱりそれがお腹が空いていることに加えてキツかったなと。
分かります。もう以前の面影はないですからね。
楽しい部分も全否定はしていないんですけど、やっぱりちょっと恐ろしかったです、音が。
ところで、かりぃーさんのお衣装は何をイメージしているんですか?
今回に関してはピチカートを彷彿させるスタイルにしたかったので、タイトにシュッとさせてほしいと要望を伝えて作ってもらいました。ただ、これに関してはこのバッグがありきだったので、この子が主役で自分は背景なんです。これも言っとかなきゃいけないんですが、かりぃーぷぁくぷぁくはよくアイドル活動って言われるんですけど、自分にとってのアイドルはカレーなので自分は推し活をしているんだなと。
かりぃーぷぁくぷぁく 衣装拡大図
カレーの推し活なんですね(笑)。
だから、たくさんカレーに囲まれている1作目の「マリー・アン・ドゥ・トロワ・ネット」の衣装も、推しに囲まれる高揚感っていうものを体験したいというところで、やってもらいました。だって、あらゆるジャンルでもし本当に好きなものが四方八方にあったらみんな狂喜しませんか?(笑)
間違いないです(笑)。
「マリー・アン・ドゥ・トロワ・ネット」衣装
取材:石角友香
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配信シングル「パンが無ければナンを食べればいいじゃないのよ」2022年11月20日配信リリース
かりぃーぷぁくぷぁく:性別、年齢にとらわれないジェンダーレス・エイジレスアーティスト。カレーが⼤好きで、歌唱する全ての楽曲の作詞を担当し、全曲がカレーやスパイスにちなんだ歌になっている。特技はWebデザインができることで、⾃分⾃⾝の公式サイトのデザインも担当。2022年5月に配信リリースしたデビュー曲「マリー・アン・ドゥ・トロワ・ネット」では、⾃⾝が選んだ名店のカレーを模したレプリカをスカート部分に配置したドレスを着⽤し、全⾝全霊をかけ、常軌を逸した“カレー愛”を表現した。かりぃーぷぁくぷぁく オフィシャルHP
「パンが無ければナンを
食べればいいじゃないのよ」MV