Suara

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【Suara インタビュー】
やっぱり前向きに生きたいんだなと
自分自身で再確認した

当時には当時の良さがあるので、
昔の歌もぜひ聴いてほしい

ちなみに、今回が音源初リリースとなる「トキノタイカ」と「愛おしき欠片」は衣笠道雄さん(『うたわれるもの』シリーズの楽曲を数多く手がけた作曲家で2020年に死去)が作曲編曲にクレジットされているということは、実は結構前から準備されていた曲なんでしょうか?

そうなんです。「トキノタイカ」は2019年の暮れに、2曲目の「戦刃幻夢」と2日連続で歌録りをしたんですけど、それが衣笠さんが立ち会ってくださった最後のレコーディングだったので、私も思い出深いんですよね。冒頭の部分とかはそのまま音符に言葉をはめていくとお経みたいになっちゃうので、単調になりすぎずにニュアンスをつけることに苦労したり、サビの頭でしっかりグルーブを出すというのも、すごくこだわった覚えがあります。

イントロの不穏なコーラスから無国籍風のアレンジでエキゾチックに仕上がっていて、“ここから何かが始まる感”は満点ですよね。

まさに《闇の静寂に 蠢くモノ》っていう冒頭の歌詞を彷彿させるような、“何が始まるんだろう?”ってゾワゾワさせてくれる、ちょっとおどろおどろしい雰囲気がすごく魅力的ですよね。改めて衣笠さんのアレンジって天才だなって思います。“トキノタイカ”は『刻ノ代贖』のゲームタイトルをそのまま読んだもので、このタイトル自体がストーリーを物語っているんですよ。

なるほど。“代わって贖う”ですからね。歌詞を見ても“不滅”や“永久”、“来世”といった単語が並んでいて、“限りある命も巡っていくから魂は不滅である”というメッセージが受け取れました。

そこは深いものがありますよね。今世においての使命は今世でしか果たせないけれど、命は尽きても魂は次の使命を背負って生まれ変わる…というところは、日本人に昔から根づいている仏教的な死生観にも通じますし、『うたわれるもの』の中でも変わらずに描かれ続けているテーマなんだなぁと。で、この「トキノタイカ」が衣笠さんの最後の曲だと思っていたら、亡くなったあとに“実はもう1曲ある”ってスタッフさんから渡されたのが「愛おしき欠片」だったんです。デモを聴いた時は衣笠さんがいなくなった寂しさと“やっぱり流石だな!”という想いと、いろんな感情があふれてきたのを思い出しますね。

「愛おしき欠片」も冒頭のストリングスからスリリングで、実に荘厳な曲だなと感じました。《この世はかけがえのないもので作られている》という歌詞が本当に重い。

世の中はいろんなことがあるけれど、それでも素晴らしいというか。悲しみも全部飲み込んで、人々が希望を持てるこの世というものを歌ってくれている気がしますね。この世に衣笠さんが書き残してくださった最後の曲になるので、あまりそれを考えすぎると感情があふれて歌えないだろうと、レコーディングでは曲に集中したんですよ。ただ、曲が本当に難しいので、集中せざるを得なかったというのが本音のところではありますが。

レコード単位で見ると、1枚目の幕開けを飾る「トキノタイカ」と締め括りの「愛おしき欠片」が同じ作品のオープニングとエンディングというのは、とても美しいかたちですよね。ここでアルバムが終わってもいいくらいのクライマックス感があるのに、まだ折り返し地点というのが凄まじいというか。

本当に濃い、贅沢なアルバムですよね(笑)。しかも、初回盤には念願のカップリング集がついてくるんですよ! 私自身、好きなアーティストさんのカップリングをカセットテープにダビングして、自分で勝手にカップリング集を作っていたりしていたから、ずっと出したかったんです。1stシングル「夢想歌」のカップリング「星想夜曲」からタイアップがついていない純粋なカップリング曲をリリース順に並べていて。Suaraの歴史を辿るような内容と、ベストアルバムのような聴き応えになっているので、ぜひ聴いていただきたいです。

1stシングルとなると16年前の楽曲になりますから、ちょっと恥ずかしいとかはなかったんですか?

もしかしたら10年前だったら、そういう想いもあったかもしれないですね。でも、今となっては“当時には当時の良さがあるんだから”って、自分で振り返ることができるようになりました。というのも、2012年に『The Best〜タイアップコレクション〜』を出した時に、自分の年代ごとの良さが一枚の作品に収まることの喜びを感じられたんですよね。もちろん声自体や物理的なレコーディング環境とかは変わっていますけど、今はためらいなく“ぜひ聴いてください!”と言えます(笑)。

14曲の中で特に聴いてほしい曲ってあります?

自分で作詞している曲も多いので、全部思い入れがあるんですけど。やっぱり「星想夜曲」は聴いてくださってる方が多いですし、『Pure2 -Ultimate Cool Japan Jazz-』(2011年5月発表)っていうジャズアレンジの企画アルバムだったりとか、いろんな場面で歌ってきた楽曲なので、すごく思い入れがあります。クリスマスをイメージして作った「恋の予感」もクリスマス時期に歌うことの多い楽曲なので、ファンの方にも馴染みがあるんじゃないかな? そういう可愛らしい系の楽曲も、実はあるんですよ(笑)。

ちなみにアルバムタイトルには“希望の扉”だけでなく、無限や無限大を意味する“Infinity”のワードがついていますが、これはどこからきているんでしょう?

希望を忘れず、希望を持って進んでいきたいという想いから“希望の扉”を持ってきたのプラス、“希望や可能性は無限大である!”っていう、本当にシンプルな理由ですよね。ずっと歌を歌って、ファンのみなさんとつながっていきたいという、その可能性を“Infinity”という単語に込めたかったんです。無限の記号である∞が8を横にしたかたちなので、8枚目のアルバムにはぴったりだなと。他にもトリックがあるので、そのへんは実際にアルバムを手に取ってジャケットを見ていただきたいです。

そう言われると『うたわれるもの』シリーズが訴えている“不滅の魂”とも通じますし、聞けば聞くほどぴったりのタイトルですよね。

そうなんですよ。最初、英語はタイトルに使わないイメージだったんですけど、日本語の“無限”だとちょっと違うし、それこそ日本語だけとなると可能性も限られてしまうなと。ただ、“Infinity”だけだとSuaraっぽくない感じもしたので、“希望の扉”と一緒に並べてみました。おかげで、今は本当にしっくりきてます。

来年5月に大阪BIG CATと川崎CLUB CITTA‘で行なわれるライヴも楽しみですが、なんと国内でのご自身のワンマンは7年振りだとか!

前回の『Suara LIVE TOUR 2016~声を聴かせて~』以来なので、本当にお待たせしすぎたかもしれませんね。前作のアルバムの際はワンマンをお休みさせてもらっていて、そろそろやりたくなった時にコロナ禍が始まり、自然とこんなに空いてしまったんですけど。久しぶりのワンマンで実際にどういう感じになるのか、私自身なかなか今は想像がつかないんですよ。イベント出演だと歌っても5曲とかなので、陸上で例えるならショートトラックでずっと走っていたのが、久しぶりにフルマラソンをする感覚で。そのために準備もしていかなきゃいけないし、この7年でとにかく曲も増えたので、歌いたい曲がありすぎてどうしよう! CLUB CITTA‘は2デイズだから、ちょっとずつ曲を変えて可能な限りたくさんやりたいですね。

そのぶんリハも大変になりますよ?

特にバンドメンバーは大変でしょうね(笑)。今回のアルバムは一曲一曲が本当に壮大なので、それを再現する音作りだけでも大変なんじゃないかと思うんですよ。だから、来年の5月って結構先なんですけど、そのぶん準備に時間をかけて、充実したライヴにしたいですね。こうやって新作を出せて、ライヴというみなさんとつながれる場をまた与えてもらえたことが、今、本当に幸せなんですよ。ここから自分自身も希望の扉を開いて、みなさんとずっと歌で繋がっていける未来を描く第一歩にするために私自身も頑張りたいですし、ぜひみなさんも遊びに来てくれたらなと願ってます。

取材:清水素子

アルバム『Infinity 希望の扉』2022年11月23日発売 F.I.X. RECORDS/KING RECORDS
    • 【初回限定盤】(2CD)
    • KIGA-90037
    • ¥5,280(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • KIGA-37
    • ¥3,300(税込)

『Suara LIVE TOUR 2023 〜Infinity〜』

5/07(日) 大阪・BIG CAT
5/15(月) 神奈川・CLUB CITTA’
5/16(火) 神奈川・CLUB CITTA’

Suara プロフィール

スアラ:学生時代からバンド/ユニットを組み、精力的にライヴ活動を行なう。2005年9月に「睡蓮-あまねく花-」でデビュー。TVアニメ『ToHeart2』のエンディングテーマ「トモシビ」、同じくTVアニメ『うたわれるもの』のオープニングテーマ「夢想歌」を歌うなど、その歌声がアニメ・ゲームファンをはじめとする広い層に届き、注目を集める。10年から香港・韓国などでライヴを行ない、韓国や台湾でもCDを発売するなど、ワールドワイドな広がりをみせている。“Suara”とはインドネシア語で“声”を意味する。Suara オフィシャルHP

OKMusic編集部

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