井上芳雄「笑いながらも心に染みるも
のがある」~KERAにとっては異色とも
言える、KERA・MAP #010 『しびれ雲
』が開幕 

劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の新作、KERA・MAP #010 『しびれ雲』が、2022年11月12日(土)下北沢 本多劇場で開幕した。井上芳雄、ケラリーノ・サンドロヴィッチよりコメント、舞台写真が届いた。
本公演は、本来11月6日(日)が初日であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕延期、7公演が中止となり、準備期間を経て開幕の運びとなった。
 撮影:引地信彦
 撮影:引地信彦

 撮影:引地信彦
作品は、KERA・MAP『キネマと恋人』(2016、2019年)の舞台となった“梟島(ふくろうじま)”を舞台に描かれる、まったく新たなストーリー。ある地方の小さな島。少しとぼけた響きが微笑ましい独特な方言を持つ小さなコミュニティには、未亡人の波子(緒川たまき)やその妹の千夏(ともさかりえ)、その夫の文吉(萩原聖人)をはじめとした人々が住み、家族、友人、恋人……それぞれに人間関係を育む人々の日常が繰り広げられている。そんな島に、ある日忽然と謎の男(井上芳雄)が現れて……。

 撮影:引地信彦
 撮影:引地信彦
 撮影:引地信彦
本多劇場初登場となる井上芳雄をはじめ、緒川たまき、ともさかりえ、松尾諭、三宅弘城、三上市朗、萩原聖人など華やかな出演陣が、小さな梟島に生きる個性豊かな人々を演じる姿に、時間を忘れて、いつまでも梟島弁と、潮の香りと、波の音に包まれていたいような気持になる。どこか自らの日々の暮らしとも重なるような、それはKERAが公演前に公言していた“小津作品”への憧憬のような、懐かしさも感じさせる手触りもある。KERAにとっては“異色”とも言える新たな色の作品が誕生した。

 撮影:引地信彦
 撮影:引地信彦

井上芳雄 コメント
通常でも、新作ですしギリギリの状態でドキドキしながら迎える初日、今回開幕が少し伸びてしまい、お客様に申し訳なかったのですが、遂に迎えられた初日は最高でした。
今回は大爆笑を狙うような芝居ではありませんが、最初お客様がどっと笑った時、感動して少し涙が出ました。ここまでの道のりを経て、初日の幕が開いて、良い芝居をやらせてもらっていて心底嬉しいです。
また、僕は本多劇場に立つのが初めてですが、客席との距離感や温度感を感じながら、お客様がしっかり観て反応してくださっていることが伝わって来て、教えてもらう事だらけです。
KERAさんと前回ご一緒した『陥没』、そしてコロナ禍で本番が出来なかった『桜の園』以来、KERAさんの作品で芝居をするのはやっぱり楽しいな、と改めて感じました。
『しびれ雲』は演じながら、笑いながらも心に染みるものがあって、KERAさんは作りたいと仰っていた通りのものを作られ、本当に凄いなと思ってます。
「また明日やるのが楽しみだ」と思えるのが幸せな事だし、お客様には胸を張って「良い作品ができました」とお伝えしたいです。
最後まで無事にできるようにと祈りつつ、皆様の健康も祈っています。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント
今回は珍しく、姑息に笑わせようとか無闇に緊張させようとかいった狙いが全く無い、真っ直ぐで暖かでささやかな群像劇です。普遍的な人間の営みを描いていて、登場する人々もどこにでもいる平凡な人達。一方、失われてしまった「家族」と言う制度とか型みたいなものも描いています。お客さんはどこかしら自分と重ねる部分があるのではないでしょうか。
そろそろこうした芝居を作っておきたかった。50代最後に皆で創作できたのは幸せです。なので、リラックスして好きに観てもらいたいと思っています。
最終稽古の最後に、キャストには、細かいミスがあったとしても、梟島の人として皆が生きてくれていればきっと良い拍手が貰えるだろうからそれを信じて、というようなことを言ったんですけれども、とても良い拍手だった。お客さんはすごく集中して観て下さっていて嬉しかったです。
座組も新鮮なバランスでとてもいい感じです。座長の井上芳雄君は、いつもは帝劇みたいな広い劇場でやっている人ですから、本来のスケール感と全く違う会場で演じているわけですけれど、良くこんなにスッと順応できるなと驚きます。
今回、チケットを手にしながらも開幕延期でご観劇がわなかった7ステージのお客様には、申し訳ない気持ちでいっぱいです。もう少し早く開けられなかったのかという声も聞こえてきましたが、準備不足の杜撰な状態で開幕してしまうというのは僕の本意では無く、そこを貫かせて頂きました。ご理解ください。
『しびれ雲』は、10月から年末にかけてを描いています。少々気が早いですが、ご覧になったお客様に、良い年を越せそうだなあと感じて頂けたら嬉しいです。
 撮影:引地信彦
 撮影:引地信彦
本公演は、12月4日(日)まで下北沢 本多劇場にて上演、その後、兵庫、北九州、新潟を巡演する。

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