L→R 近藤芳樹(Vo&Gu)、谷田七海(Dr)、ハイスクール・ジュニアやますけ(Gu)

L→R 近藤芳樹(Vo&Gu)、谷田七海(Dr)、ハイスクール・ジュニアやますけ(Gu)

【molly インタビュー】
より深みと広がりを見せた
2ndミニアルバム

対になるものがどちらもあるのが
自分にとっての正解

近藤芳樹(Vo&Gu)

近藤芳樹(Vo&Gu)

近藤さんのお書きになる曲には、よく“月”が出てくるのも特徴的です。

自分にとっての掛け替えのないものの象徴が“月”なんですよね。月はお昼にも見えるし、真っ赤に見える時もあるし、かたちも変わるし、朧月みたいに雲によって見え方も違って、いつも同じに見えない。いろんな顔があって面白いと思っていて。だから、「朧月」も「夜汽車に乗って」も“月”みたいな存在を歌っていて…“どんだけ好きなんだ!”って恥ずかしくなります(苦笑)。だから、書きがちなんですけど、そろそろ卒業しなきゃなとも思っているので、月よりきれいなものをめっちゃ探し中です(笑)。

「夜汽車に乗って」は幻想的な世界を生々しい音で鳴らしている印象がありました。歌詞も現実と夢が融合しているロマンチックな楽曲で。

自分は現実に起きた出来事しか曲にできないなと思っているんですけど、それこそ僕にとっての“月”を象徴するような存在が、すごくロマンチックなんですよ。だから、“現実にロマンスを混ぜた時に生まれるものってなんだろう?”と考える中で、“mollyの曲には幻想が全然ない”と気がついて。そういうものを書きたいと思ったら、すらすら筆が進みました。「夜汽車に乗って」はメンバーが歌詞をすごく気に入ってくれていて、自分でも自分のこれまでの想いが書けたと思っています。

“月を卒業しなきゃ”もそうですが、きっと近藤さんは今、少年と青年の狭間にいるのでしょうね。どこか大人になりきれていない「ファム・ファタール」や、「夜汽車に乗って」の《大人になるってことだった》など、そういうニュアンスが端々に転がっている気がします。

そうなんですよ、歌詞を書いていると“大人”という言葉がすごく出てくるようになっちゃったんです。だから、作詞の時には“大人”も禁じています。やっぱり“出会い”と“別れ”、“生”と“死”、“現実”と“幻”のように対になるものがどちらも存在することが、自分にとっての正解ではあって。《大人になるってことだった》という歌詞は、大人でもあり子どもでもある真ん中の部分を切り取ったつもりです。《永遠と明けない夜も存在するはずだ》と思う子供と、結局夜は明けちゃう現実世界と。なので、「夜汽車に乗って」は子供のわがままと無慈悲さの両方が出ていると思うんですよね。

そういう葛藤があるのも成長したい願望があるがゆえでしょうね。だから、アルバムを作る時に“前進”というワードが出てきたのだと思いますし。

最近になってやっと、ちゃんとJ-POP以外のジャンルを聴くようになって、アレンジやサウンドのミックスの仕方には、本当にいろんな種類があることを知ったんです。知識が増えれば増えるほど面白くなってきて、それを蓄えているのが今ですね。前は曲を聴いて“あっ、これ、mollyで使ってみよう”という感じだったんですけど、最近は“この曲にはあの曲のあの要素を入れてみたらどうかな?”と引っ張り出すようになってきました。自分の声との相性を考えるとどうしても曲作りは守りに入っちゃうので、それをどうにかするのが課題です。ちゃんと合うものを見つけて、その武器を振り回していきたい。ちゃんと爪痕を残せる前進をしていきたいんですよね。

近藤さんはヴォーカリストとしてのご自分とソングライターとしてのご自分を分けているんですね。

ヴォーカリストとしての自分と作曲者としての自分は絶対に分けないといけないと思っています。やっぱりステージに立っていると、ヴォーカルはヴォーカルでしかないんですよね。選ばれしヴォーカリストは自分で作詞作曲していようがしてなかろうが圧倒的な歌を歌うし、時にすごくやさしくて、時に子供みたいにわがままなイメージがあるんです。だから、ライヴでも作曲者がそのまま出て歌うよりは、“ヴォーカリスト”として歌いたいし、自分のイメージするヴォーカリストになっていきたいなと。

12月の東名阪リリースツアー『少女はイヤホンで幻を聴く』では、そんな姿が見られるのではないかと楽しみにしています。

オリジナルメンバーのベーシストが脱退してどうなるのかと思っていたんですけど、今のライヴもリハの雰囲気もめっちゃいい感じです。“ベーシストが違うだけでこんなに音って変わるんだ!?”と驚いています。サポートベーシストの子は僕の要望を自分なりに噛み砕いてプレイしてくれるので、僕もフラットな状態でいられるのでやりやすいです。今回は「朧月」というリード曲があるので、この曲を際立たせたい。今までは寄り添い型というか、近い距離で届けるような曲やライヴが多かったので、その良さも残しつつ、観ている人を圧倒するライヴをしようと思います。

圧倒するライヴはmollyの新境地になりそうですね。それを中学時代の近藤さんが書いた曲で実現させるのもなかなか粋です。

あははは。中学時代の自分が聴いたら驚くと思います(笑)。この先「朧月」がどんなふうに育っていくのか、僕もすごく楽しみなんですよね。

取材:沖さやこ

ミニアルバム『メメント・モリ』2022年11月11日発売 RED
    • RED-020
    • ¥2,200(税込)

『molly 2nd mini album「メメント・モリ」リリース・ツアー『少女はイヤホンから幻を聴く』』

12/10(土) 東京・下北沢daisy bar
12/18(日) 大阪・心斎橋Pangea
12/24(土) 愛知・新栄RAD SEVEN

molly プロフィール

モーリー:2019年春に活動をスタートさせた、地元の名古屋をこよなく愛する4人組バンド。感情がそのまま溶け込んだ繊細な歌声と、瞬間を謳歌するエネルギーで聴く者を惹き込むライヴが魅力。名古屋のライヴハウスを中心に果敢に活動中。19年9月から5作のデモを会場限定でリリースし、22年3月に初の全国流通盤ミニアルバム『moment』、同年11月に2ndミニアルバム『メメント・モリ』をリリースした。molly オフィシャルHP

「朧月」MV

ミニアルバム『メメント・モリ』
official teaser

OKMusic編集部

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