米津玄師「KICK BACK」歌詞の意味を考察!ハングリー精神を呼び覚ます「チェンソーマン」主題歌

米津玄師「KICK BACK」歌詞の意味を考察!ハングリー精神を呼び覚ます「チェンソーマン」主題歌

米津玄師「KICK BACK」歌詞の意味を
考察!ハングリー精神を呼び覚ます「
チェンソーマン」主題歌

TVアニメ「チェンソーマン」オープニングテーマ「KICK BACK」

映画『シン・ウルトラマン』の主題歌『M八七』やPlayStation CMソング『POP SONG』など、数々の映像作品のテーマソングを手がけている米津玄師
2022年11月23日リリースの『KICK BACK』は、TVアニメ『チェンソーマン』のオープニング主題歌です。
作詞・作編曲は米津玄師で、編曲には King Gnu の常田大希も携わっています。
人気作品の主題歌としてはもちろん、2002年リリースのモーニング娘。『そうだ! We're ALIVE』(作詞作曲・つんく♂)の歌詞「努力未来 A BEAUTIFUL STAR」を曲中に組み込んだことでも大きな話題を呼びました。
▲米津玄師-KICKBACK【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
今回は、そんな話題沸騰中の楽曲『KICK BACK』の歌詞の意味を考察していきます。
成功したいけどハングリーでありたい
まずは1番の歌詞を見ていきましょう。
KICK BACK 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/hw22092001
舞台はガラ空きのコインランドリーのようです。
洗濯機が動いている間は、基本的に暇な時間が続くことが想像できます。
そんな空白の時間に「頭の中 呼びかける声」が聞こえたらしい主人公。
日常に潜む不意の孤独に直面し、自分自身と向き合わざるを得なくなってしまったのでしょうか。
沸々と湧き上がってくる欲望の数々。
最後には「この手に掴みたい あなたのその胸の中」という欲へと帰結しました。
主人公が米津玄師のようなアーティストだと考えると、ここでの「あなた」は自分の作品に振り向いてくれた人だと解釈できそうです。
そういった人たちの心を掴んで、売れて楽して生きていきたいというのが主人公の本音なのかもしれませんね。
次に、2番の歌詞を見ていきます。
KICK BACK 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/hw22092001
歌い出しは「4443で外れる炭酸水」。
MVでは、自販機でサワービール(酸っぱいビール)を買い、よくある「当たればもう1本」のスロットで「4443」と4がそろわず、残念がるシーンがあります。
この描写は、炭酸水でお腹を膨らませるはずが、つい誘惑に負けてビールを選んでしまい、さらにスロットにも外れてセカンドチャンスさえ失った状態だといえそうです。
続く「ハングリー拗(こじ)らせて吐きそうな人生」とは、目先の欲望(=ビール)にとらわれて節制(炭酸水で我慢)ができず、ずっと何かに飢えたまま(ビールによる食欲増進状態)でいる嫌な人生を表しているのではないでしょうか。
「止まない雨はない」という言葉に対して「その傘をくれよ」と思ってしまうのも、欲を満たせる安易な選択に走りがちな性格ゆえだと考えられます。
また「あれが欲しい これが欲しい」といった欲望は、日々痛感している虚しさに由来しているようです。
それが行き着く先は「幸せになりたい 楽して生きていたい」、そして「全部滅茶苦茶にしたい 何もかも消し去りたい あなたのその胸の中」。
幸福を望むと同時に、破壊願望も存在する複雑な心境。
これは成功したい気持ちとハングリーでいたい気持ちとの葛藤のように読み取れますね。
初心を取り戻して「良い感じ」?
続いて、サビや終盤の歌詞を見ていきましょう。
ここでは、主人公が成功を手にしたと仮定して考察を進めていきます。
まずは1番のサビです。
KICK BACK 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/hw22092001
「ハッピーで埋め尽くして レストインピースまで行こうぜ」とは、幸せ100%で天寿を全うしようといったニュアンスでしょうか。
波に乗っている成功者の気楽な言葉かけのようですね。
続く「いつかみた地獄」は、かつて主人公が積み重ねた苦労のことだと考えられます。
また「愛をばら撒(ま)いて」というフレーズは、ファンに媚びた態度をとる軽薄さを表しているのかもしれません。
ファンたちに「アイラブユー、マイハニー」と愛を表明しながら「貶(けな)してくれ 全部奪って笑ってくれ」と相反する心境が顔を出す矛盾。
成功を掴み取った今、かつて「あなた(リスナー)」に対して抱いていた破壊願望が自分自身に向いているようです。
続いて、2番のサビを見てみましょう。
KICK BACK 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/hw22092001
「ラッキーで埋め尽くして レストインピースまで行こうぜ」。
幸運の連続で人生が成功するとは考えにくいですが「運がよかっただけですよ」と謙遜する成功者はそれなりに想像できますよね。
苦労して地獄を見てきた主人公には、そんな「良い子」の世界は合わないのでしょうか。
心の奥からは、相変わらず破滅願望が湧き出している様子。
もしかしたら「なんか忘れちゃって」いるものとは、成功を夢見ていた頃のハングリー精神なのかもしれません。
そして当時の成功者像と結びついているイメージが「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」。
奮励努力してなお、手が届くか分からない輝かしい未来。
おそらく主人公の現状は、いまだに理想像と完全には重なっていないのでしょう。
そして最後の歌詞です。
KICK BACK 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/hw22092001
「ハッピー ラッキー こんにちはベイビー」は、作品が話題になるたびに増えていくファンを表していると考えられます。
そんなファンたちに希望を与えたい一方、表面的な言動になってしまいそうで「そりゃつまらない」と自制する主人公。
約20年前の歌のフレーズが頭の中で繰り返され、忘れかけていた昔の成功イメージやハングリー精神がよみがえってきたのでしょうか。
初心を取り戻して新しいスタートを切れそうな雰囲気のなか、かなり気持ちが高揚しているようです。
最後に主人公はつぶやきます。
「なんかすごい良い感じ」
チェンソーとキックバックの意味
今回は、米津玄師『KICK BACK』の歌詞の意味を考察しました。
アーティストを衝き動かす飽くなきハングリー精神が垣間見える歌詞でしたね。
ちなみに曲名にある「キックバック」とは、チェンソーを使っている最中、刃が制御不能になって使用者に跳ね返ってくることで、命に関わる危険な現象だそうです。
もしかすると、とがりにとがったハングリーな欲求が湧き上がる主人公の危うさを「キックバック」と例えているのかもしれません。
また、チェンソーとの関連が見込まれる以上、アニメ『チェンソーマン』とも照らし合わせて考察すると、別角度からの解釈が広がりそうです。
ぜひ『チェンソーマン』の方もチェックして、新しい考察の道を切り拓いてみてください。

UtaTen

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