大橋トリオ、ライブ初披露のlily (石
田ゆり子) も登場した15周年記念公演
オフィシャルレポート

11月3日に東京国際フォーラムホールAで開催された大橋トリオのデビュー15周年記念公演『TRIO ERA 2』のオフィシャルレポートが到着した。

2022年11月3日、大橋トリオのデビュー15周年記念公演『TRIO ERA 2』が東京国際フォーラムホールAで開催された。ステージ後方に「TRIO ERA 弐」の大きな電飾が構え、会場にバードコールの音色が流れる中、ステージにバンドメンバーが登場。THE CHARM PARK(ギター)、小林創(キーボードほか)、須長和広(ベース)、神谷洵平(ドラムス)、KitriのMonaとHina(コーラスほか)に、武嶋聡(サックスほか)は石川広行(トランペット)、太田垣正信(トロンボーン)とともにホーンセクションを構成。ストリングスは伊藤彩、地行美穂(ヴァイオリン)、三木章子(ヴィオラ)、村中俊之(チェロ)のカルテットで、大橋を加えて総勢14名の超豪華編成である。
オーヴァーチュア的な「A BIRD」のインストに続いて披露された「トリドリ」がいきなり強烈。ネオクラシカルっぽかったスタジオヴァージョンからジャズ~アメリカーナ方向へと膨らませた、大橋とバンドの音楽的想像力の結晶というべきアレンジに圧倒された。さらにストリングスが弾む「GIFT」で会場を温めて、大橋は持ち前の落ち着いた口調で「どうも、こんばんは」と挨拶。「15周年ということで、大橋トリオにもまだ需要があるんだと確認させていただきつつ、目一杯音楽を楽しんでいきたいと思います」と語った。
「モネちゃん(上白石萌音)とやった曲をモナちゃん(KitriのMona)とやります」と観客を笑わせて、Monaと並び立ってメロディオン(鍵盤ハーモニカ)のイントロから「ミルクとシュガー」。それまでシンセを弾いていた小林がピアノ、Hina(Kitri)がキーボードに回って、Monaは歌に集中する態勢だ。上白石萌音ヴァージョンはもちろん最高だが、Monaの歌声はもともと大橋とは好相性なので出来はバッチリ。この編成ならではのトランペットソロもかっこいい。
大橋がピアノに向かって流麗なイントロを弾き、これからの季節にぴったりの「MAGIC」、エレピに移動して「angle」を続け、ムードはぐっとジャジーに。前者はフルートソロ、後者ではCHARMのギター一閃とピアノ→メロディオン→トランペットのソロ回し、「モーニン」(アート・ブレイキー)の一節の挿入がシャレている。
大橋がギターに持ち替え、メロディオンで長めのイントロを奏でて「狼と満月」。ストリングスのシリアスな音色が空気を塗り替える。さらにマンドリンにスイッチして「月の裏の鏡」と、スローナンバー連打だ。小林のピアノ、須長のベース、Kitriのコーラス、神谷のドラム……いずれもすばらしい。極上のグルーヴに序盤から陶酔してしまった。
大橋以外のメンバーがはけ、自ら指定した電飾の「弍」に「思ったより天下一武道会感が……」とセルフツッコミを入れて笑わせ、ピアノ弾き語りコーナーへ。譜面をパラパラとめくりながら「くるみ」「Juradira」「Shine」「オールドタイム」のサワリを次々と披露した。少々不安げではあったが、完全主義者のあえてのざっくり演奏というのも楽しいものだ。
大橋、小林、Monaと弦カルで「アネモネが鳴いた」を演奏し、再びメンバーが揃うと、お楽しみのゲストコーナー。大橋のプロデュースで歌手デビューしたlily (石田ゆり子)が「15」の数字バルーンを手に現れる。ステージで歌うのは初めてとのことで、約5000人の観客を前に「あー、緊張する」と繰り返していたが、神谷がサインをねだって客席の笑いを誘うと、少しリラックスした雰囲気に。「心の準備は?」「はい、お願いします。時間が経つとますます緊張するので」のやりとりを経て「ちいさなうた」を歌う。初々しい風情と可憐な歌声に、ステージの上も下もうっとりしていた。
9月にリリースした新曲「さよならの無い世界」をアコースティックかつドラマチックにライヴ初披露すると、弦カルと武嶋以外のホーン隊とKitriが抜ける。「シンプルな編成でもやってみようかなということで、ロックメドレーをやります」と観客に起立を促して、もうひとつの呼び物がスタートした。大橋とCHARMのツインギターで、「それぞれロックの名曲っぽいアレンジでやってみます」ということで「LOTUS」「マチルダ」「Natural Woman」「僕らのこの声が君に届くかい」「CLAMCHOWDER」を連発する。
メンバーがバンド少年に戻ったかのような、大人の遊び心が横溢するひとときを経て、いよいよコンサートは佳境に。管弦入りで壮大な「The Day Will Come Again」から一転、客電を灯してバスドラ4つ打ちで手拍子を促し、軽快な「HONEY」で盛り上がりは最高潮に達する。開幕時と同様にチューニングから始まる「A BIRD」を歌入りで届けて、本編は幕を閉じた。
アンコールの手拍子に応えて大橋とバンドが再登場し、「はだかの王様」から恒例のマイク1本コーナー。ネイサン・エヴァンズがカバーして話題となった「Wellerman」をパーカッションだけの伴奏で見事にハモり、「もう一回、会いたくないですか?」とlilyを招き入れる。lilyも1本マイクに参加してみたかったそうで、曲は大橋がlilyプロデュースを始めるにあたってチェックのために歌ってもらった曲だという「真夜中のメリーゴーランド」。最後に神谷がシンバルを落とすアクシデントが傑作だった。
管弦隊が戻り、大橋はピアノの前へ移動、全員が定位置について「Bing Bang」。コーダで紹介されたメンバーたちが拍手に送られてステージを後にし、ひとり残った大橋は「もう1曲」と、「生まれた日」をピアノの弾き語りで披露。序盤の弾き語りコーナーとはまた違った繊細な歌声で会場を温かく包んでみせると、観客は喝采で応え、大橋トリオバージョンの「ハレルヤ」が流れるなか会場をあとにした。
ピアノ、ギター(どちらもアコースティックとエレクトリック両方)、メロディオン、マンドリンなどさまざまな楽器を演奏した大橋はもちろん、小林、武嶋、Kitriらもスイッチに次ぐスイッチ。みんな忙しかったはずだが、終始楽しそうだった。高いミュージシャンシップで感動を生み出す、大橋トリオの信念を体現するコンサートだったといえる。
ざっくりと前半に近年の曲、後半に長く愛される大橋トリオ・スタンダードを集めたセットリスト。ここ2~3年、大橋はリリースのたびに彼独特の混淆的な音楽性を少しずつ更新している感触があり、個人的にそれを歓迎してもいるので、今後の方向性を予見させるような最初のブロックにとりわけワクワクした。
好き嫌いを超えた「いい音楽」という理想を目指して、オリジナリティと質の高さと親しみやすさを兼ね備えた良作を残し続けてきた、大橋トリオの15年。その足跡をこうして一望すると壮絶にも見えるが、それをいまこんないい表情で演奏できるのは、それだけで祝福にも尊敬にも値することだと思う。
なお、この日のセットリストプレイリストをSpotifyで公開中(※一部楽曲を除く)。またWOWOWで、この「TRIO ERA 2」の模様が12月17日(土)に独占放送・配信される。

文=高岡洋詞 写真=平野タカシ

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