L→R 本城聡章(Gu)、大槻ケンヂ(Vo)、橘高文彦(Gu)、内田雄一郎(Ba)

L→R 本城聡章(Gu)、大槻ケンヂ(Vo)、橘高文彦(Gu)、内田雄一郎(Ba)

【筋肉少女帯 インタビュー】
誰よりもぶっ飛んでいる若者は
若い頃の自分自身だった

今、こじらせてる若者にこそ
聴いてもらいたい3曲

そう考えると、今後のネット社会では、もう生まれ得ない感性なのかもしれませんね。

大槻
でも、近年の若者が作ったボカロとか歌い手さんの動画とかを観ていると、歌っていることって基本一緒だと思いますよ。孤独で、自分と世界がどうつながっているのか分からなくて。生に執着する気はないけど、死に怯えていて、その死がすぐ隣にあるのか遠いのか分からない、その間に君がいる…みたいな。だから、今回の3曲はそういう今のこじらせている若者にこそ聴いてもらいたい、歌詞を読んでもらいたいっていう気持ちが、僕はとてもありますね。
内田
じゃあ、TikTokだ! よく分からないけど。

ライヴには若い世代も増えていますし、触れてみれば共感できる人って、きっと現代にも多いはず!

大槻
うん、そうですね。逆に当時のファンの方々はどうされているかなぁ? 僕が確認できている一番古いファンでさえ、1994年とか95年から来てらっしゃる方なんですね。『とろろの脳髄伝説』を出した85年にいた方たちはどうされているんだろう?

今よりも女性ファンの比率が高かったでしょうから家庭に入って、場合によってはお孫さんもいるみたいな…。

大槻
あぁ! お孫さんはいるかも。お子さん連れてくるファンの人とかも結構いるよね。
内田
うん。もう結構前からね。そもそも1985年ってレコードを出してはいたけど、ほんとにどインディーだったから、当時を知っている人もそんなにいないっちゃいない。
大槻
いないね。プレス枚数だってそんなになかっただろうしね。
内田
ガラッと変わったのは、その数年後ですよね。だから、もう好きなことをやっていた。
大槻
自由にやらせてもらっているロックバンドが出した曲なので、かなり自由ですよ。だから、みんなに聴いてほしくて、まかり間違って10代の若者とかに届いたら感想を訊いてみたいし、当時のファンの人も何かのきっかけで聴いて、ハッとしてくれたら嬉しいですよね。

11月にはツアーもありますし、この機会に昔のファンもぜひ筋少のライヴに復帰してほしい個人的な理由のひとつが、コロナ禍によるライヴスタイルの変化なんです。今ってライヴでペンライトを振れるから、頭を振れなくても楽しめそうじゃないですか。

大槻
まさかペンライトをみんなで振るライヴをやるバンドになるとは思わなかったんですけど、意外に筋肉少女帯のステージには合っているんですよね。以前はペンライトを振るのってさ、アイドルさんと声優さんとレゲエのフェスくらいだったのに。で、筋肉少女帯がどれかと言うと…これは僕の持論なんですけど、やはりね、50をすぎたらロックバンドはアイドルなんですよ。

あぁ、なんだか分かります! 

大槻
うん。人気商売の人は50をすぎたら全員おじさんアイドル…“おじドル”だと僕は思っているんで。だって、アラカンにもなってキャーキャー言われて、アクリルスタンドとかのグッズを販売して、チェキまで売って…って、そんなの現実じゃないですよ! たぶんね、お客さんもメンバーもバイアスがかかってるんです。お客さんは夢を見ているし、ロックバンドも“ロック”という何十年も前に若者の象徴と言われた概念の幻影みたいなものを見ているんじゃないかな? もう誰も現実を見ていない! そこがいい!と思うんですよ。
内田
あははは。異次元にいるんだよね。
大槻
そうそう、異次元! アイドルって異次元の存在じゃないですか。何ひとつ現実じゃないっていう、その高みに我々もやっと到達しかけているんだなぁって。だから、ペンライトを振るのは自然の帰結であったというか。

昔は50をすぎてもバンドを続ける人は少なかったけど、そろそろ団塊ジュニアも50ですし、今後はどんどん出てくるでしょうね。

大槻
もう高齢化ですよね。ライヴとかやるとステージは全員55歳以上とかザラですよ。下手に40代がいると“若造がいる!”みたいな。内田くん、我々は老害にならないようにしようね。“後輩にはやさしく”は心がけよう!
内田
あははは! ロックの先輩は、やっぱ怖くなくちゃダメなんじゃないですか? (笑)

取材:清水素子

結成40周年記念CD+DVD「いくぢなし(ナゴムver. サイズ)」2022年11月9日発売 徳間ジャパンコミュニケーションズ
    • TKCA-75110
    • ¥3,850(税込)

ライヴ情報

『筋肉少女帯 Debut35th
カウントダウン シリーズ』
11/08(火) 神奈川・川崎 CLUB CITTA'
11/12(土) 愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
11/16(水) 大阪・なんば Hatch
11/26(土) 東京・江戸川区総合文化センターÍ

筋肉少女帯 プロフィール

キンニクショウジョタイ:1982年に中学の同級生だった大槻と内田を中心に結成。インディーズでの活動を経て、88年にメジャーデビュー。不条理で幻想的な詩世界と、卓越した演奏力が高次に融合する独自の世界は、日本ロック史上に際立った異彩を放ち、その名を残すことになる。98年に活動凍結。各ソロ活動を経て、06年に大槻、内田、橘高、本城の4人で活動を再開し、大型イベントへの出演他、精力的なライヴ活動を展開。16年10月には『再結成10周年 パーフェクトベスト+2』を、17年10月にはカバー、セルフカバー曲なしの全曲書き下ろしのオリジナルアルバム『Future!』をリリース。18年6月にはメジャーデビュー30周年イヤーに突入し、さまざまな作品のリリースやライヴを行なっている。今年2022年には、筋肉少女帯Debut 35thカウントダウン・シリーズライヴを各地で展開、11月には結成40周年記念CD+DVD「いくぢなし(ナゴムver.サイズ)」をリリース。来年のメジャーデビュー35周年アニバーサリーに向けて精力的な活動を展開中。筋肉少女帯 オフィシャルHP

「いくぢなし (ナゴムver.サイズ)」
リリックビデオ

OKMusic編集部

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