L→R 本城聡章(Gu)、大槻ケンヂ(Vo)、橘高文彦(Gu)、内田雄一郎(Ba)

L→R 本城聡章(Gu)、大槻ケンヂ(Vo)、橘高文彦(Gu)、内田雄一郎(Ba)

【筋肉少女帯 インタビュー】
誰よりもぶっ飛んでいる若者は
若い頃の自分自身だった

1982年に結成された筋肉少女帯が放つ40周年記念作は、なんと若き日の自分自身とのコラボレーション! 1985年にリリースされた「いくぢなし」に2022年の筋肉少女帯が挑み、サブカルアングラ少年の不可思議な心象風景をアラカンのバカテクで再構築するという、空前絶後の化学反応を果たしている。その制作秘話と今だから話せる当時の深層心理について、結成時からのオリジナルメンバーである大槻ケンヂ(Vo)と内田雄一郎(Ba)が語ってくれた。

こじらせた若者のもどかしさ、
歪んだ優越感が全て込められている

結成40周年記念CDとして、ナゴムレコードに在籍されていたインディーズ時代の楽曲を再録音リリースされていますが、いわゆるセルフカバーというのとは少し違いますよね?

大槻
“40周年記念で何をやろう?”となった時に、僕、個人的には若い人たちとコラボをしたいと思ったんですよ。“じゃあ、一番ぶっ飛んでいる若い人って誰だろう? 今から若い人の音楽を勉強するのもあれだしなぁ”と考えたら、誰よりもぶっ飛んでいる若者というのは若い頃の我々、いわば自分自身ではないかという結論になったんです。だから、セルフカバーというよりも、もっともぶっ飛んでいる若者たちとのコラボですよね。若い頃の自分たちという、マルチバース的な別次元の存在との出会い。
内田
それで30年以上前の作品をリメイクすることになり、“じゃあ、ベーシックは内田くんが作ってね”と言われて…。

ええ!?

大槻
今回3曲ともそうだよね。
内田
うん。“当時、かかわっていた人がベーシックを作ってよ”と言われて。どうアレンジしていくのかっていうのは、ちょっと難しかったです。

確かに「いくぢなし」が収録された『とろろの脳髄伝説』(1985年8月発表のアルバム)に参加されているのは、現メンバーの中では大槻さんと内田さんだけですが。そもそも過去の自分とコラボしようとなった時に、なぜ「いくぢなし」を選ばれたんでしょう?

大槻
過去の曲って今でもライヴでかなり披露しているんですね。ただ「いくぢなし」はインディーズでリリースしたあと、メジャー2ndアルバムの『SISTER STRAWBERRY』(1988年12月発表)に語りの尺を増やしたロングバージョンみたいなかたちにして収録していたので、いかんせんライヴで尺を取りすぎるんですよ。あれ1曲やる間に他の曲が数曲できちゃうんで、やりたくてもセットリストにあんまり入れられなかったんですね。でも、インディーズで出した“ナゴムver. サイズ”だったらセットリストに入れられるんじゃないかということで、もう1回やりたい気持ちがずっとあったんです。また、ポエトリーリーディングとかラップみたいなものに個人的に興味があって、ちょうど「いくぢなし」はそういう曲でもあるなぁと。
内田
いろんな変遷があって「いくぢなし」は長くなっていったので、サイズについては強いオファーがありましたね。とはいえ、当時のことはあまり覚えていないので、若い時の自分たちが作ったものをなぞるような感覚というか、カップリング曲も含めあまり大きな変更点はなく、原曲の演奏・フレーズを踏襲していきました。細かいところはそれぞれのメンバーに任せつつ、わりと昔のまんまのシナリオでやって…そうか! これは『犬神家の一族』なんだ!
大槻
あっ、僕も今、思った。
内田
『犬神家の一族』って1976年の映画を同じ俳優さんで2006年に作ったんですよ。市川崑監督が、シナリオもそのままで。
大槻
一部同じ俳優さんだよね。
内田
そうだね。もう亡くなっちゃってる人もいるからね。
L→R 本城聡章(Gu)、大槻ケンヂ(Vo)、橘高文彦(Gu)、内田雄一郎(Ba)
結成40周年記念CD+DVD「いくぢなし(ナゴムver. サイズ)」

OKMusic編集部

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