L→R O-JIRO(Dr)、HAKUEI(Vo)、千聖(Gu)

L→R O-JIRO(Dr)、HAKUEI(Vo)、千聖(Gu)

【PENICILLIN インタビュー】
今はアッパーな感じとか、
そういうアプローチの曲がやりたい

今、生きている現代という時代は
楽園である

PENICILLINはルックスにもこだわりがあって、いわゆるビジュアル系で括られるバンドではあると思います。過去作には抽象的な歌詞もあったり、耽美なもの、デカダンな方向もあると思いますが、実は中身はめちゃめちゃ生々しいってバンドなのだろうと。今作『パライゾ』ではそれがよく分かったというところでは、とても発見ではありましたよ。

千聖
いろんな文化が混ざってるバンドなんですよね。個人個人には好きなものの傾向やパターンはあるのかもしれないんですけど、通り一遍の“このアーティスト好き”っていうことで結び付いている集団ではなくて、それぞれ結構バラバラにやっているけど、“PENICILLINで表現する時はこんな感じが好きだな”というバンドとしてのサウンドはまとまっているので、それに対して自分たちの文化をちょっとずつ入れていくと、こういうものになってしまうというか。それが生々しさなのかもしれない。“みんなで合わせたらこういう色になりました”という。

しかも、これはちょっと本筋から離れる話かもしれませんけど、みなさんそれぞれにソロをやられていますよね? ここ30年間、界隈を見る限り、バンドがソロワークやると大体偉いことになる事例がいっぱいあったんですけど、PENICILLINの場合、ソロをバンドにフィードバックさせているようで、そこはすごいと思います。

千聖
フィードバックさせているかどうかは分からないんですけど、ソロは課外授業みたいな感じで面白くて。他のメンバーのプロジェクトを聴いて“HAKUEIくんはこういうアプローチするんだ!?”とか新しい発見もあれば、“やっぱりこういうのが好きなんだな”って確信にも変わることもあるし。逆に他のメンバーも俺に対してそう思っているかもしれないし、お互いに見つめ合うにもいいという。あと、ソロはバンドと形態が違うから、プレッシャーが妙に大きかったり…バンドってすごい守られていることが分かるんです。バンドのありがたみが分かるというか。家にいるとお母さんやお父さんのありがたみが分かるみたいなもんですよ(笑)。バンドだとO-JIROくんがリズムに関しては勝手にやってくれるんですよ。極端な話、ソロだと誰も何もやってくれないですから。そういうところですよね。

なるほど。先ほど“伸びしろしかない”とおっしゃいましたけど、それは30年の間に培われてきた、そうした信頼関係が強固だからであって、それはもう失われようがないんでしょうね。PENICILLINはここまでアルバムを26枚出しています。メジャーデビューから26年ですから、ほぼ一年に一枚ペースです。

O-JIRO
ここ最近はペースが落ちてますけど(苦笑)。
千聖
コロナでね(苦笑)。

ここ2年間は仕方がないでしょう。でも、その強固なメンバーの結びつきだからこそ、活動を継続してこられたわけで、それは称えられてしかるべきことだと思います。

千聖
ありがとうございます。そのニーズがあるというか、“このバンドでこういうことがやりたい”という気持ちのバイタリティーがあるというのは大事なことですよね。

はい。個人的には今日のインタビューでその確信が得られたようで良かったと思います。

千聖
それはこちらとしても良かったです(笑)。

アルバムのタイトルについて訊かせてください。これはもちろん3曲目の「パライゾ」からきていると思いますが、英語の“paradise=天国、楽園”という意味ですよね。どんな想いでこのタイトルをつけられたんでしょうか?

HAKUEI
この曲は昨年作ったパンフレット付きCD「Euphoria」に入っている曲で、今のバンドの核にもなっているようなアプローチだと思っているので、それをリード曲にして、ミュージックビデオも撮ったりしたんですけど、僕の中で“こういう曲もできるんだ!?”って思えたことがすごく嬉しくて。テンポは決して超速ではなく、わりとどっしりとしたリズムで、音圧があって迫力もある。それに対する歌のアプローチも浮遊感があるんだけど、力強い。バンドとしての成長をすごく感じた曲だったんですね。あと、歌詞もサビ頭で《Go to blue heaven》と言ってるんですが、“今、生きている現代という時代は楽園である”というとらえ方をしていて。自分の中ではしゃべり言葉ではなく、ポエティックな表現というか、詩的な表現であえて作ったんですけど、その雰囲気とかもハマっていると思って、いろんな意味でど真ん中にあるような曲だと思ったので、それをそのままアルバムタイトルにしようと提案しました。

ひいては、音楽活動、バンド活動、PENICILLINでやってることが“パライゾ”であるというとらえ方でもいいでしょうか?

HAKUEI
そうですね。それは全体的に言えることかもしれないですけど、音楽を30年もやらせてもらえるってすごく幸せなことなんですね。けれども、ただ楽しいばっかりじゃないし、それは生きていく上で、どんな人にでも共通することだと思うんです。誰しも生まれたっていうことは本当に…ものすごいラッキーなことだと思うし、いろんな人に共通する部分があるんじゃないかと思いますね。

分かりました。では、最後に。『パライゾ』リリース後にはツアーが予定されています。冒頭で今回はハードな音で、いわゆるミドルテンポもほとんどないアルバムですから、そのライヴは推して知るべしというか、ハードなものになると思っております。それぞれにツアーへの意気込みを訊かせてください。

O-JIRO
アルバムのツアーというかたちではすごい久々なんですね。最近はミニアルバムが多かったんですけど、ミニアルバムは6曲くらいですから、その倍くらいは違う曲がセットリストに入っていて。でも、今回は10曲入りのアルバムなので、『パライゾ』のカラーが強いツアーになるし、同じセットリストというか、同じようなセットリストで何回もライヴができるというのはすごい楽しみなんで、ツアーではライヴが洗練されていくんだろうなと。
HAKUEI
みなさん、30周年ということで“そんなに続いているんだ!?”って言ってくださるし、30周年は長いのかもしれないですけど、自分の中では長くやっているとか、そういうことを感じさせないような勢いでいきたいと思っていますね。
千聖
今回も全国を回る規模ではないですけど、コロナ禍で大阪も名古屋も2019年から行ってないくて。こんなことは過去に一回もなかったんですよ。なので、PENICILLINとして大阪、名古屋にも行くことができるということが、まずは良かったなと。自分は配信肯定派ではありますけど、配信にはない生の良さは絶対にあるので、生々しい歌詞のバンドだと言ってもらいましたから(笑)、ぜひ生々しいライヴを観てほしいですね。

取材:帆苅智之

アルバム『パライゾ』2022年11月2日発売 Hysteria
    • 【初回生産限定盤】(CD+多頁ブックレット)
    • PHY-19003
    • ¥3,300(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • PHY-19004
    • ¥3,300(税込)
    • ※通常盤のみボーナストラック1曲含む

『PENICILLIN 30th anniversary TOUR 「パライゾ・マスター」』

11/23(水) 埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3  ※QUARTER DOLL 会員限定
11/27(日) 神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH!!
12/03(土) 千葉・柏PALOOZA
12/10(土) 愛知・名古屋Electric Lady Land
12/11(日) 大阪・梅田Shangri-La
12/16(金) 東京・Spotify O-EAST  ※HAKUEI BIRTHDAY LIVE

PENICILLIN プロフィール

ペニシリン:1992年結成。インディーズ時代からルックスの良さ、異常な盛り上がりにより失神者が続出するライヴが話題となり、レコード会社3社から同時にCDをリリースする。96年にメジャーデビューし、武道館公演を成功させると、98年には代表曲となる「ロマンス」をリリースし、90万枚を超える大ヒットを記録した。2022年に結成30周年を迎え、11月にアルバム『パライゾ』を発表。メンバー全員がソロ活動を展開しており、ソロ活動においてもタイ、ロンドン、ラスベガスなど、日本国外でのライヴを行なっている。PENICILLIN オフィシャルHP

OKMusic編集部

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