L→R 桜井秀俊(Vo&Gu)、YO-KING(Vo&Gu)

L→R 桜井秀俊(Vo&Gu)、YO-KING(Vo&Gu)

【真心ブラザーズ インタビュー】
“楽しく生きるぞ!”っていう覚悟を
持つようなアルバムにしたかった

ニューアルバム『TODAY』は“これぞ、真心!”と嬉しくなるど真ん中な楽曲から、遊び心や挑戦心にあふれたものまで全10曲を収録。その楽曲解説から真心ブラザーズの“TODAY=現在”を紐解く。愛と自由にあふれた最新作を喰らえ!

愛がないと大変、
愛がないとキツくてしょうがない

いちファンとしての率直な感想ですが、最新アルバム『TODAY』はここ数年で一番好きです! “これぞ、真心!”という嬉しさもあるし、今の時代にこんな音楽が欲しかったというところでのフィット感もあるし。愛と自由にあふれた、素晴らしいアルバムになりましたね。

YO-KING
“愛と自由”ですよね、本当に。前作『Cheer』は2020年10月発売だからコロナ1年目の春夏に作った作品だったんだけど、コロナで自粛してる時は癒やしのように曲作りをしていたから、曲数がめちゃめちゃあったんですよ。そこから2年が経って、“もういい加減に終わろうよ”って気持ちもあるし、社会情勢だなんだで俺でも重苦しく感じることがあって…こんな俺がキツいってことは、みなさんはもっとキツいんだろうなと思っていて。だから、今回は“楽しく生きるぞ!”っていう覚悟を持つようなアルバムにしたかったんですよ。

今思うと『Cheer』はこんな時期だからってところで、努めて明るくみたいな感じがあったと思うんです。

桜井
それはね、振り返るとそうしていました。“アガる感じの演奏をしよう”って心がけて作っていたなって、今作を作りながら思いましたね。「どか~ん」(1990年9月発表のシングル)の歌詞に《死物ぐるいの明るさで》があったと思うんですけど、今回はそれもせずに。
YO-KING
生命力っちゅうか、そういうところに懸けるしかないってくらい重苦しくはあったよね。俺は自分のことを“音楽芸人”だと思っているけど、時代を切り取るアーティストとしてカッコつけて言わせてもらうなら、『TODAY』は時代をものすごく切り取ったアルバムになったと思う。切り取らざるを得なかったとも言えるんだけど、いろんな諦めとか、“でも、負けないぞ!”みたいな気持ちがあって。“やっぱり明るくて軽いほうがいいよね”っていう不屈の闘志というか、そういうものが芽生えた気がするんです。だから、“分かる!”って人にはすごい共感してもらえると思うし、それがどれだけいるかにすごく興味がある。確かにここ数枚では出色のできだと思いますね。

「破壊」が象徴的だと思うんですけど、この不条理な世の中に怒りや拳ではなく、愛と自由を持って立ち向かう姿勢に真心イズムを感じました。

YO-KING
やっぱ愛がないと大変だよね、この時代生きてくのに。愛がないとキツくてしょうがないと思う。で、愛って何かと言ったら…誰にでも分かりやすく言えば、“やさしい”ってことだよね。やさしくなきゃダメだと思う。
桜井
“やさしくなければ生きる資格がない”と言いますからね。
YO-KING
そうね。それが本当に分かる時代になったというか。どんな人に対しても愛が出せるかどうかで、その人の幸せも決まってくるからね。

桜井さんはアルバム完成しての感想はいかがですか?

桜井
こんなにもいろいろやろうとしなかったことはなかったと思う。今までのアルバムだとあの面もこの面も、ついぶち込みたくなっちゃっていたけど、今回はメンバーも制作スタッフも一曲一曲のどこにフォーカスを当てるかが分かった上でグイグイと作り進めていけた…こんな気の多いバンドが、何に焦点と光を当てるべきかを作りながら探っていましたからね。それぞれの曲がアルバムという塊の一面一面をしっかり構成してくれて、“結果、こんな良い結晶になったよ!”みたいな作品ですね。

今作を作り進めていく中で鍵になった曲ってありました?

桜井
何だろう? 「白い紙飛行機」はTVのテーマ曲として作ったからもともとあって、最初に「BOY」を録って…
YO-KING
「白い紙飛行機」も今聴くと、このアルバムの雰囲気あるけどね。暗すぎないけど、ちょい暗いみたいな。

幸福感もあってラストにぴったりな曲です。でも、曲を作った時にはアルバムの全体像は見えていなかったんですよね?

桜井
もちろん。マスタリングして、最後に通して聴いた時、ラストの「白い紙飛行機」が短編映画のエンディングみたいな役割をしていて、“あっ、そういうふうになるんだ!?”と思えて面白かったですね。

今回は曲について訊いて、真心ブラザーズの“TODAY=現在”を紐解いていきたいと思います。オープニングの「一触即発」「君がすべてだったよ」は両A面シングルでいけるんじゃないかと思う、まさに真心ど真ん中な2曲だと。

YO-KING
この2曲はね、実は最後の最後に作ったんですよ。僕、曲はすごい作るんですね。ランニングやヨガと一緒で、体の各所を手入れするためだったり、作るっていうシステムを維持するために作るんだけど、その積み重ねの末に、みんなに喜ばれる曲が作れる心と体に持っていくというか。だから、最後の最後で作れたのは、そこまで積み重ねた曲があったからで。30年以上のキャリアのテクニックも使っているけど、そこにてらいもなくて。“みんなが喜ぶなら使えるものはいくらでも使おう”と思っています。

「君がすべてだったよ」は2001年の“別れの三部作”の続編といった雰囲気もあります。

YO-KING
そう! まさに続編。だから、《僕らが見た夢は「サヨナラ」と空に消えた》なんてフレーズは「流れ星」(2001年3月発表のシングル)を意識していて。あっ、その流れで忘れないうちに言っておくと、「ブレブレ」の《考えがコロコロ変わる》っていうのは「愛」(1995年5月発表のアルバム『KING OF ROCK』収録曲)のフレーズです。

《考えがコロコロ変わる》ってところがぶれていないって面白さですね(笑)。

YO-KING
そうそう!(笑) そういう何重にもなってる洒落なんです。

「一触即発」は最後に録ったというのもあってか、桜井さんのギターもキレッキレで、すごくカッコ良いです。

桜井
これはね、バンドが最高で! サンコンJr.と鹿島達也さんの波に乗っかっていっただけ。今回、周知のミュージシャンが“こんなのが欲しいんだろ?”って楽しんで演奏してくれて、いいヴァイブスがあふれていたし、すごく楽しいレコーディングでした。
L→R 桜井秀俊(Vo&Gu)、YO-KING(Vo&Gu)
アルバム『TODAY』

OKMusic編集部

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