はじめしゃちょーやフィッシャーズな
ど、トップYouTuberたちの素顔と動画
製作の裏側に迫る大規模展覧会へ 特
別展『動画クリエイター展』レポート

YouTuber(ユーチューバー)に代表される動画クリエイターの活躍とコンテンツ製作の舞台裏に光をあてた特別展『動画クリエイター展』が、2022年10月8日(土)に東京・お台場の日本科学未来館で始まった。はじめしゃちょー、Fischer's(フィッシャーズ)、リュウジなど、今を輝く9組のトップYouTuberをフィーチャーした本展。内覧会当日は本人たちも来場して開幕の喜びを語った。会場は普段からキッズの来館者の多い未来館、そして今や子どもたちの憧れの的である動画クリエイターをテーマにした企画展ということで、今回は親子目線も交えながら本展の様子を紹介していこう。
チャンネル登録者数、合計約3千万人のトップYouTuberが未来館に集結!
さまざまなオンラインプラットフォームを通じ、誰でもスマホひとつで自分の思う「好き」や「面白い」を世界へ発信できるようになった現在。とりわけ今から約15年前に日本へ上陸したYouTubeは、エンターテイメントの世界に「誰でもどこでも動画配信」という新たなカルチャーを生み出し、そこで輝くクリエイターたち、すなわちYouTuberは、子どもたちの「将来なりたい職業」ランキングで常に5本の指に入るほど今や憧れの存在になった。
国立の科学館で動画クリエイターを初めてメインに据えた大型展となる本展では、「おめがシスターズ」(YouTubeチャンネル登録者数・約32万人)、「鹿の間」(同・約67万人)、「しらスタ」(同・約174万人)、「葉一」(同・約182万人)、「はじめしゃちょー」(同・約1030万人)、「ひまひま」(同・約55万人)、「フィッシャーズ」(同・約768万人)、「ポッキー」(同・約327万人)、「リュウジ」(同・約332万人)という9組のトップYouTuberをフィーチャー。彼らの活動を紹介する展示を通じて、動画クリエイターたちの知られざる裏側を知ることができる。
内覧会に合わせて開催された式典では、リモート出演となったおめがシスターズ以外の8組が会場に集結。単純に計算すると9組合計でチャンネル登録者数がほぼ3千万人というスタークリエイターたち。本展の展覧会サポーターを務めるガチャピンも特別ゲストとして加わって、全員が揃った壮観な風景は煌めきがハンパない!
左:鹿の間、右:しらスタ

左:葉一、右:はじめしゃちょー

式典では、それぞれが自身の展示の注目ポイントを紹介。はじめしゃちょーが「会場を回ってみて、僕も非常に勉強になった」と本展の感想を語れば、中学生YouTuberのひまひまは「本当に中学生!?」と思ってしまうようなハキハキとした受け答えを見せる。
左:ひまひま、右:ポッキー

左:おめがシスターズ、右:リュウジ

フィッシャーズ
さらに「アデュー」の決めポーズでおなじみのフィッシャーズが持ち前の明るさで会場を盛り上げ、おめがシスターズは肝心な記念撮影の場面でまさかの“機材ミス”が起こって予期せぬ爆笑を誘うなど、各クリエイターの味わいが溢れ出るイベントになった。
パパママには懐かしく、キッズには発見の多いネットコンテンツの歴史
「爆誕」「傑作」「体験」「未来」の4章で構成されている本展。導入の「爆誕」では、90年代中盤から始まったインターネットの普及を経て、どのように「動画クリエイター」なる存在が生まれていったかという流れを時系列で紹介している。
画期的なOS「Windows95」の発売を皮切りに始まったIT革命の到来。ケータイでさまざまなコンテンツが楽しめるようになった「iモード」の登場。そして「mixi」などのSNSの出現で個人による情報発信が盛んになり、YouTubeやニコニコ動画のようなプラットフォームの登場で動画クリエイターが活躍できる時代へ。40代以上の人であれば、きっとその多くが青春時代に起きた懐かしい現象であり、21世紀に生まれた若者たちにとっては教科書では詳しく学ぶことがないであろう情報産業の現代史である。
展示の中には2ちゃんねるの開発者で今では“論破王”でおなじみのひろゆき(西村博之)や、VOCALOID(ボーカロイド)という文化を牽引した初音ミク、日本人YouTuberの草分けとなったHIKAKIN(ヒカキン)、そしてVTuber(バーチャルYouTuber)のキズナアイなど、ネットコンテンツ時代の開拓者となってきた面々の紹介も登場している。なお、展示中の難しい漢字にはすべて読み仮名が付けられているので、子どもたちにも親切だ。
スタジオ再現や“金の盾”の展示も! トップYouTuberたちの素顔を目撃!
続く「傑作」は、本展の中心的な空間。ここには今回フィーチャーされている9組それぞれのブースが設置され、本展でしか見られない限定動画、素顔を語るインタビュー映像、撮影スタジオの再現空間や私物の展示を通じて、彼らの動画製作の舞台裏に迫っている。
ファン垂涎な限定動画の詳細については実際に会場を訪れて確認してほしいが、例えば『とある男が授業をしてみた』というチャンネルで活躍する教育系YouTuber・葉一のブースには、彼の動画に欠かせないホワイトボードが!
ボード上の板書はもちろん本人の直筆。「前夜に1時間半かけて書いた」そうで、式典では「子どもたちが見るものなので、文字のサイズまで見やすさを考えていて、『あ、2ミリずれたから書き直さなきゃ』みたいになって、いつも1時間くらいはかかってしまいます」と画面には見えない苦労を語ってくれた葉一。スタジオの傍らには板書のもとになっているノートも複数展示されており、教育に対する彼の熱い思いが伝わってくる。
一方で、歌うことの楽しさを伝えてくれる「しらスタ【歌唱力向上委員会】」でおなじみ・しらスタの私物は、なんと、あのYouTubeチャンネル登録者数100万人を超えたクリエイターに与えられる、あの「金の盾」。トップクリエイターたちの「金の盾、届きました」系の動画でお目にかかることはあっても実物を直接見るのは初めて。YouTubeフリークならば、これを見に来るだけでも本展を訪れる価値が十分あるといえるだろう。
ほかにも、“アル中”を自認する料理研究家・リュウジのジョッキや、Yogiboに埋もれてクマの「所沢」と写真が撮れる、はじめしゃちょーのスタジオ再現など見どころは尽きない。

一方で、素顔のインタビュー動画では、それぞれのクリエイターが動画制作の道に入ったきっかけなどを率直に語っている。YouTuberというと、好きなことを仕事にできていて楽しそう、みんなキラキラして時代の最先端を走っている……といった印象を抱いている人は少なくないかもしれないが、そもそも、まずファンが一人もいない状態から不特定多数の人に対して自分らしさを表現していくこと自体が大きな勇気のいること。そして、インタビューを通じて彼らの素顔を知ると、視聴者が「面白い」と思ってくれるコンテンツを届け続けることへの苦労とこだわりが感じられ、YouTuberという存在への印象がちょっと変わるかもしれない。
動画の作り方を体験したら、今度は自分がYouTuberデビュー?
もうひとつのメイン空間である「体験」では、企画、撮影、編集の3エリアでトップYouTuberたちの仕事を疑似体験できる。
7種類ある体験のうち、はじめしゃちょーとコラボしたブースでは、何とあの「開封の舞」の撮影体験ができる。「(激しく開けようとすると)中の商品に傷つけてしまうことがあるので絶妙な塩梅が必要。中身を傷つけてしまうと作っている会社の人に怒られてしまうので、もし傷付けてしまっても、そこをうまくごまかすのも編集の技術」と式典の中で裏話を語ってくれた、はじめしゃちょー。おもちゃの刀やハンマーを持ち、段ボールを模したオブジェの周りを30秒動き回ると、あっという間に自分出演の「開封の舞」が完成。はじめしゃちょーのように思いきりやるのが、面白くなるポイントだ。
そのほか、グリーンバックを使った撮影体験やVTuberのなりきり体験など、「これやりたかったんだぁ〜」と感動する体験の連続。ちなみに「撮影」の体験で作った動画は自分のスマホにダウンロードできる。年齢問わず楽しめる体験ばかりなので、見るだけでなく手と体を動かして親子の絆を深めるのもいいだろう。
YouTuberの仕事を体験したら、もうあなたも“クリエイターの卵”。家に帰ったら次は自分がスマホの前に立って、世界の人々へ自分の思いを発信してみるのもいいかもしれない。特別展『動画クリエイター展』は、2023年4月2日まで日本科学未来館で開催中。もしかしたら本展をきっかけに、未来のトップクリエイターが生まれるかも。

文・撮影=Sho Suzuki

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