ハナフサマユ

ハナフサマユ

【ハナフサマユ インタビュー】
小さな躓き、挫折、失恋、
小さな幸せとかをテーマにしている

これがちゃんとできたら、
今後も大丈夫だろう

ドラマ『カラ恋』のために書き下ろした「だらしない」「アネモネの果て」「Instinct」にも、毒気や人間の暗部が表れているのを感じました。

ドラマのことを踏まえて曲を作ったんですけど、“こんなにも報われない恋があるんだな”と思いながら書くのがつらいところもありました。“体でつながっているけど、心も求めている”というストーリーだったので、軽くは描けなかったんですよ。

episode1『繋がってるのは、カラダだけ』の主題歌の「だらしない」は満たされない想いが生々しく伝わってきました。

自分だけだったら書かなかったことも歌詞にしていますし、新たな気づきをいろいろいただきました。ドラマの映像が出来上がったあとに書き下ろしたんで、台詞や場面とじっくり向き合うことができたから書けたのかなと思います。「アネモネの果て」は「だらしない」よりは少し希望が見えてくる曲ですね。episode2は最後に主人公がちょっと前向きになるシーンがあるので、それをお花に喩えています。

episode3『エッチなことしたいって言ったら、嫌いになりますか?』の主題歌「Instinct」は?

“本能を曝け出した先に愛はないのかな?”というのを伝えたかったんです。幸せが見える曲ではありますね。この曲のあとが「Happy Wedding」ですけど、“全てを曝け出して、相手の嫌なところも受け入れる関係が成り立った人が結婚に至るんじゃないかな?”と。私は結婚したことがないので分からないですけど、そうであってほしいという願望も込めています。この曲は兄の結婚式や親友の結婚式でも歌いました。

今後、「Happy Wedding」を結婚式で流すファンがいると思いますよ。

結婚を予感するような曲がこれまでにあまりなくて、どちらかと言うと寂しい曲のほうが多かったですからね(笑)。「Happy Wedding」を流してくださると嬉しいです。

うっかり「だらしない」を流さないように気をつけないと(笑)。

「だらしない」を流してはダメです(笑)。「だらしない」はアレンジャーさんが気に入っていらっしゃって、家で流しているそうなんですけど、4歳の息子さんが《あぁあぁだらしない男に溺れてファスナーを下ろした》って歌っちゃうみたいで。

マズいですね(笑)。

口ずさんでくれるのは嬉しいんですけど、ちょっと内容が…“大丈夫かな?”って(笑)。姪っ子も「アネモネの果て」の《ヤワな細胞》ってところをずっと言うんですよ。“ヤワな細胞って何?”って保育園で言われていなければいいんですが。

シリアスなテーマについて描かれている曲ですが、子供も口ずさみたくなるキャッチーさを持っているということですね。

《ヤワな細胞》は「アネモネの果て」のキーワードなので、意味が分からなくても子供が口ずさみたくなっているのは嬉しいです。

『カラ恋』のテーマやストーリーに寄り添いながら曲を作れた経験は、今後にも活かしていけるんじゃないですか?

そうだと思います。“これがちゃんとできたら、今後も大丈夫だろう”みたいな(笑)。そういう気持ちになれたところがあるので。1通の手紙をもとにして作詞作曲をした「感謝の手紙」のあとに『カラ恋』の主題歌のお話をいただいたので、もっとこういう書き下ろしをしたい気持ちが高まっています。

「感謝の手紙」は昨年の10月に配信リリースしましたが、医療従事者支援チャリティープロジェクトのために書き下ろした曲ですよね?

はい。『カラオケ文化の日』の事業として作ったんですけど、ありがたいことに今年もその事業の曲に選んでいただきました。まだまだ医療の現場で戦っていらっしゃる方々がたくさんいるので、届けていきたいです。そう言えば、沖縄の幼稚園の生活発表会みたいなところで、この曲を選んでくださった先生がいて。“毎日働いているママ、パパは子供たちにとっての戦うヒーローだよ。ありがとう”という想いを込めて子供たちが歌ってくれたんです。子供たちからの手紙もいただきました。この曲が広げてくれた輪は、すごく大きかったんですよね。

温かい曲もたくさん収録されているアルバムですね。「話をしようよ」もとても穏やかな風景が浮かびます。

コロナ禍で誰かと会って話をする機会が少なくなっていますけど、話をすることで見えてくること、気づくことってあるんです。聴く人によっては卒業の歌としても感じられると思いますし、みなさんそれぞれのとらえ方をしていただきたいです。

「透明」は言葉を超えて伝わるものについて描いていますね。

はい。悲しみを抱えている人ほど、誰かに頼ることが下手くそで、何かを言っても伝わらず、逆に強がりにさせてしまうこともあると思うんです。“透明”で連想できるものは、自分の中では“涙”と“存在を消してしまうこと”で。“涙も流れないように、姿も消してしまわないように。消えてしまう透明ではなく、このアルバムのタイトルでもある結晶のように光り輝くように”という願いを込めています。

「夕焼けカタルシス」はとてもすがすがしい気持ちになれる曲でした。

ありがとうございます。夕焼けは一日頑張った自分へのご褒美みたいな瞬間だと私は思っていて、帰り際に夕焼けを見ると背中を押されるんですよね。毎日頑張る人の中で、夕焼けが心を解放する瞬間になったらいいなぁと思いながら、この曲を書きました。

メロディーがとてもきれいです。

実はAメロBメロがもともとは別の曲のものだったんです。サビのメロディーが良かったのに、AメロBメロが良くならない曲があって、その一方でAメロBメロが良いのにサビが微妙な曲もあって(笑)。“これ、最高の組み合わせかも!?”と思って掛け合わせた結果、とてもきれいにはまりました。たまたまどちらの曲も“人生は躓きながらも前を向く”という曲だったからこそだったんですけど、今までになかった作り方でした。

このアルバムを振り返ってみて、改めて感じることはありますか?

“人生を描く”というのは大きなテーマですけど、それぞれの曲はわりと身近なことをピックアップしていたり、生活の中で何気なく当てはめられたりすることがたくさんあると思います。一枚を通してみなさんの感情を当てはめていただいて、最終的に輝けるようなアルバムなったら嬉しいです。

年末にかけてイベント出演がたくさん決まっていますね。

はい。ハナフサマユを知らないみなさんにも曲をお届けできる機会がすごく好きなんです。私のことをまったく知らない方々の足を止めて、何らかのメッセージを心まで届けられるのは本当に難しいことだからこそ、足を止めてCDまで手にしてくださるみなさんの存在を身近に感じられるのは、とても嬉しいことなんです。少しでも多くのみなさんにお届けできるきっかけになるのであれば、フリーのイベントでもどんどん歌っていきたいと思っています。

取材:田中 大

アルバム『結晶』2022年10月19日発売 徳間ジャパンコミュニケーションズ
    • TKCA-75125
    • ¥2,500(税込)
ハナフサマユ プロフィール

ハナフサマユ:隙あらばマンガを読み、ヨーグルトがないと生きていけない。基本的にはドライだがステージではアツくありたい超ハレ女。自分の想いを言葉にして伝えることが苦手だった小学生の頃、映画『タイヨウのうた』に感銘を受け歌を作るようになる。その後、阿部真央に憧れ、書き下ろし楽曲は300曲以上! 20年9月、ミニアルバム『call for love』でメジャーデビュー。21年夏、“ハナフサマユ”としてイメージ一新! 同年10月には全国カラオケ事業者協会主催「カラオケ文化の日」事業における作詞作曲・歌唱に抜擢された「感謝の手紙」を配信シングルとしてリリースし、同月には待望のメジャー1stフルアルバム『Blue×Yellow』を発売する。さらに、22年3月に放送されたABCテレビ・スペシャルドラマ『今夜、わたしはカラダで恋をする。』の主題歌に大抜擢され、配信シングルとして「アネモネの果て」をリリース。22年10月にはメジャー2ndアルバム『結晶』を発表。23年2月放送されたスペシャルドラマ『今夜、わたしはカラダで恋をする。Seson2』のドラマ主題歌2曲(「ボーイフレンド」「プリンセスになって」)を其々デジタルシングルとしてリリースし、同年9月にはメジャー3ndアルバム『バートレット』を発表。ハナフサマユ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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