【大西亜玖璃 インタビュー】
今度は私自身がリスナーのみなさんを
引っ張っていきたい
シングル「はじまるウェルカム」の表題曲は大西亜玖璃自身を前向きな気持ちにし、パワーに満ちあふれた一曲だという。そんな彼女のハッピーオーラを音源にパッケージした本作のレコーディングや、MV撮影時のエピソードについて詳しく訊いた。ピュアで豊かな彼女の表情の変化を想像しながら、インタビューを読み進めてみてほしい。
お客さんを歓迎する想いを、
今回の楽曲では描いています
これまでのインタビューで恒例とさせていただいている質問からうかがわせてください。新シングル「はじまるウェルカム」の収録曲をお菓子やスイーツで例えるならば?
(目の前に置かれた作品資料のアーティスト写真に目を落としながら)うーん…表題曲「はじまるウェルカム」は何だろう? 衣装のTシャツに“APPLE”って書いてあるから、りんごしか思い浮かばなくって(笑)。きっと聴く人の力に…あっ! りんごだけに、果実のように“実になる”楽曲です!(笑顔)
なるほど(笑)。カップリング曲「結んで、ひらいて」はいかがでしょうか?
さわやかで青春感があるので、甘酸っぱいレモンスカッシュで!
今回も素晴らしいイメージづけです! では、改めて「はじまるウェルカム」はTVアニメ『新米錬金術師の店舗経営』のオープニングテーマに起用されています。このアニメはどんなお話でしょうか?
主人公のサラサ・フィードがひたむきに頑張って店舗経営をする物語です。
そんなアニメと今作「はじまるウェルカム」とのつながりは?
学校では錬金術の成績も良かったサラサですが、店舗経営となると想像とは違った部分も出てきて思い悩んだりしていて。それでも「はじまるウェルカム」の歌詞の《きっとAllright悩むはGoサイン キチンとやりましょう》というような想いを大切にしながら仲間と励まし合ったり、“はじまるウェルカム”というタイトルどおり、お店に来てくれるお客さんを歓迎する想いをサラサが持っているので、今回の楽曲ではその気持ちを描いていますね。
そうした意味での“はじまるウェルカム”だったのですね。“困難も受けてたつぞ!”という意思表示なのかと思っていました。
もちろん、その考えも間違いではないですよ! とても前向きな歌詞なので、新学期や新生活など、何か新しいことを始める時に聴くと悩みを吹き飛ばしてくれると思います。
とはいえ、確かにいきなりお店を任されたとしたら、誰であっても最初は混乱してしまいますよね。個人的には《自由すぎるって、なんて不自由なんでしょう》というフレーズが印象的でした。
自分のお店だとひとつの商品に専念して、“このお店ではこれしか売りません!”とも言いきれるわけじゃないですか。それに、アニメでは従業員として支えてくれる子たちがいましたが、現実ではどうなることやら。確かに自由すぎることって不自由ですよね。大人になればなるほど感じます。ちなみに私はレコーディングの際、自由に歌いすぎると自分の癖が強めに出ちゃうんですよ。
というと?
「はじまるウェルカム」ではなかったのですが、3rdシングル「ジェリーフィッシュな君へ」(2022年4月発表)の表題曲では歌詞を少しだけ台詞調にしたり、掛け声を入れてみたりと、自分なりにニュアンスを添えて歌ったんです。そんなふうに自由に歌ったテイクが採用されることもあるんですけど、「はじまるウェルカム」は全体的に伸びやかで、メッセージが真っ直ぐに届く仕上がりになっていると思います。
なるほど。実際にレコーディングブースに入った際、大西さんはどんなことを考えることが多いのでしょうか? 例えば、歌詞の情景を思い浮かべたり、楽譜のメモ書きを意識しながら譜面を追ったり、人によってさまざまなスタイルがあると思いますが。
私の場合は歌声を伸ばすところやリズムなど、細かなメモ書きに意識を向けていることが多いですね。それと、私の音楽活動はいつも楽曲側が引っ張ってくれているイメージがあって。歌詞が前向きなら私自身も前向きな気持ちにさせられるんです。それこそ「はじまるウェルカム」は歌詞に引っ張ってもらいながら、今度は私自身がリスナーのみなさんを引っ張っていきたいと考えていました。
そんな「はじまるウェルカム」ではMVも制作されました。今回はミュージカル風かつフラッシュモブの要素が取り入れられていますね。
そうなんです。私は街をお掃除する3人娘のひとりを演じていて、途中で街の仲間たちが集まって一緒にダンスをするんです。それこそゴミをひとつ拾うだけでも大喜びをするくらい、元気なイメージが伝わるように頑張りました。
ダンスシーンには大西さん関係のスタッフさんがちらほらと…。
いましたね!(笑) 一緒だったのでとても楽しかったし、みなさんがダンスの練習をしている様子を見て“可愛いな~”と思っていました。誰でも踊りやすい振り付けだからこそ、ダンスを通してそれぞれの個性が表れているところもすごく好きです。
その他、撮影時に印象に残っていることは?
スタッフさんが花びらを投げてくれたシーンですね。なぜだか祝われている気分でとっても面白かったです。ただ、今回は撮影途中でかなり雨が降ってしまたんです。最終的には雨足も弱まって、“私、ツイてるな!”と思ったものの、これまでのMV撮影では決まって晴れていたから、今回もデビュー曲のタイトルのように“本日は晴天なり”だと思っていたのに!
あははは。ちなみに、これは触れて良いものか自信がないのですが、大西さんがオレンジ色のアフロを被り、エアギターやドラム缶演奏をするシーンはなかなかにエキセントリックでした。
私もそう思います(笑)。MVの監督さんに撮影前からずっと“あぐぽん(大西の愛称)はアフロがいいと思う!”と言われ続けていたのですが、次第に私もノリノリになりまして。でも当日、実際に被ってみたら…
イメージが違ったわけですね。
最初こそ“大丈夫なのか?”と不安になりましたが、アフロの上にリボンを付けてもらったらすごく面白いテイストになったので“アフロもありだな”と思い直して。それに、アフロを被っている女性声優さんなんて、見たことがないじゃないですか。私が業界初の“アフロ声優”なのかもと考えると、なぜだか嬉しい気がしますね。
なるほど。読者のみなさんには“パパイヤあぐり”の誕生秘話をお届けしました(笑)。それでは今後、MVで挑戦したいことは?
自然が好きなので、森林に囲まれて撮影したいです。もしくは、白くて何もない空間でも。
後者の場合、5分弱の尺を自分の画だけで持たせるのが大変そうですね。
アップの画角が多いのか、あるいはダンスをするのか。どんな映像になるのかを考えただけでも楽しそうです!