「待ってたら良いことあるんだね」『
ロックロックこんにちは!Ver.24』初
日ーースピッツを子供の頃から敬愛す
る、四星球、マカロニえんぴつと共演

『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』2022.9.22(THU)大阪・Zepp Namba (OSAKA)
スピッツのレギュラーイベントである『ロックロックこんにちは!』が3年ぶりに戻ってきた。『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』と題して、9月22日(木)、23日(金)に大阪・Zepp Namba (OSAKA)で開催。今回は初日の模様をレポートする。
某長寿クイズ番組を匂わせる駄洒落なサブタイトルだが、その流れに沿って「こんにちは!ハンター」をFM802 DJの中島ヒロト&加藤真樹子が務めることに。スピッツメンバーが解答者として2チームに分かれ、くつろぎながらふざけながらはしゃぎながらクイズに挑む企画VTRと楽屋生中継がステージ上のスクリーンに映し出されて緩やかにスタートする。奥田民生吉井和哉らが出演した過去の懐かしい映像からクイズが出題。1990年代後半から開催されているイベントだけに、誠に懐かしくもあり、そして改めて歴史も感じる。
マカロニえんぴつ
トップバッターはマカロニえんぴつ。
<今 煙の中で溶け合いながら探しつづける愛のことば>
1曲目、そう歌われた瞬間、「あぁ今日は良いイベントに間違いない」と確信できた。ボーカル・はっとりのニクイ、粋なはからい。よく考えてみれば「愛のことば」はアルバム「ハチミツ」(1995年発表)収録だから、1993年生まれのはっとりは2歳か……と変な感心もしてみたりする。てか、山ほどフェスやイベントに呼ばれている人気若手バンドだが、こういう何気ない演出によって観る側は、とてつもなく心を掴まれる。すぐに「マカロニえんぴつです、宜しくお願いします!」と締められ、そのまま「レモンパイ」へ。ポップなのはもちろんだがダイナミックさを感じるし、続く「はしりがき」でもメロウでありながら、しっかりと粗削りなロックさが届けられる。とにかく、今このバンドはノッテいるとしか思えない勢いを、続けざまに歌われる「洗濯機と君とラヂオ」からもビシバシと感じられた。はっとりが曲中に「もうちょっといけそうな気がします!」と聴き手を、自身を鼓舞する様に言うのも堪らない。
マカロニえんぴつ
よくMCが上手くないと自虐するはっとりだが、この日のMCは真っ直ぐ素直で心に響いた。「スピッツファンは何割くらいですか?」とアンケートを取った上で、スピッツファンに対して「音楽ファンということですよね? 僕たちのことも受け入れて下さってますよね?」と呼びかける。そして、「スピッツって、日本人の心の中にいるよね? 世代性別関係なく、気付いたらココにいない?」とも胸を差しながら畳みかける。リスペクトを込めた上で、敬称略でスピッツと呼び、家族で旅に行く時はカーステレオから必ずスピッツが流れていたと話す。血液に、DNAにスピッツが流れていると語り、「車は青い車じゃなかったけど」と茶目っ気を見せて「たましいの居場所」へ。車のCMで絶賛流れまくっている曲だけに、この繋ぎっぷりも天晴れであった。

マカロニえんぴつ
マカロニえんぴつ

ポップで大衆的なのに激しいロックさもある……「星が泳ぐ」の泣きのギターを聴いていたら、思わずナチュラルにスピッツを思い出してしまった。「若造バンドを見初めてくれて呼んでくれて、ありがとうございます」と謙虚に礼を述べていたが、スピッツが血液にDNAに流れている彼らが呼ばれるのは必然だとも思わせてくれた。
「スピッツを聴いている時の自分が、マカロニえんぴつを聴いている時の自分が、四星球を聴いている時の自分が、何よりも好きな自分でありますように。マカロニえんぴつという音楽でした」
そう言って、ラストナンバー「なんでもないよ、」が歌われたが、これだけ誠実に歌を伝えられる20代のヤングバンドは本当に稀有である。スピッツへの強い気持ち強い愛しか無かった、素晴らしきトップバッターだった。
マカロニえんぴつ
■四星球
四星球
幕間にも企画VTR生中継をはさみ、2番手は四星球。あれだけ良いスタートダッシュをマカロニが飾った後、それをどう乗り越えてくれるのかという期待しかない。だが、個人的に四星球のスピッツへの強い気持ち強い愛も知っているだけに何の不安も無かった。それを証明するかの様に、登場SEはスピッツ「青い車」であり、北島康雄はお馴染み段ボールで作った小道具の青い車に乗って現れる。「スピッツ絡みのネタしかありません!」と大宣言していたが、その康雄の格好は「空も飛べるはず」ジャケットやMV時の白い衣装であり、小道具のサッカーボールまでしっかりと持っている。
四星球
そんな中で「濃すぎた?」としつこく青い車の色に対して言っているなと思ったら、何と群青色だったというオチ! ほんまにスピッツネタ縛りやんと思っていたら、メンバーたちが「ハチミツ」ジャケットの女の子だったり、「ハヤブサ」ジャケットの赤い人だったり、「醒めない」ジャケの生き物だったりと、アルバムオンパレードなネタが連発される。その間も、康雄はMCに「シャイな女の子が僕をにらみつけております」、「誰よりも速く駆け抜ける」、「右手に小銭ジャラジャラ」、「ゴミできらめく世界」などとスピッツの歌詞を忍ばせていく。もう最高としか言葉がない。
四星球
曲が始まっても「1987→」の矢印、『クリスピー』ジャケットの羽根つき帽子、「小さな生き物」ジャケットの少年がまとう羽根、『スーベニア』ジャケットの亀などが連発される。まさかのマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」の句読点までもが段ボールで作られていて、もう脱帽するしかない。「ついてこれてますか!?」と言いながら、段ボールをハサミで切って作ったと説明するが、そのハサミは『CYCLE HIT』ジャケットのハサミと全く気が抜けない。その後も「見っけ」、『惑星のかけら』ジャケットの弓矢、「チェリー」の歌詞<夢を渡る黄色い砂>、「運命の人」の歌詞<バスの揺れ方で人生の意味が解かった>、「空も飛べるはず」の歌詞<隠したナイフが似合わない>、『オーロラになれなかった人のために』ジャケットのナイフと梨、「ニノウデの世界」、「フェイクファー」ジャケットのジュースカップ、「優しいあの子」、「大好物」など全く息継ぐ暇すら無いパーフェクトなスピッツネタの数々……。
四星球
四星球
康雄の中学時代の甘酸っぱい、女子とのスピッツ思い出も明かされたり、康雄がバニーガールの格好で完璧な「バニーガール」カバーを披露したりと書きどころ満載過ぎて、四星球の曲名をひとつも書いてないことに今気付いてしまった。が、この日はコミックバンド四星球の魂が、生き様が尋常じゃなく鳴らされた凄すぎるライブだった。なので、曲名を書かなくても、それは充分に伝わるのではなかろうか。最後は四星球の「スーシンチュウ」という呼び方が中国語という説明から、ありがとうは中国語だと「シェイシェイ」と説明されてスピッツ「謝々!」が鳴らされる〆へ。そして、山ほどある小道具の中からパーツがかき集められ、「WE ♡ SPITZ」と福笑いの如く表現されて終幕。ぐうの音も出ないくらいのスピッツへの強い気持ち強い愛……。本当に凄まじかったです。
■スピッツ

スピッツ

大トリのスピッツを前に企画VTR生中継が再び流されるが、解答者にはスピッツの代わりとして四星球、マカロニえんぴつが登場。四星球のライブMCでスピッツのベース・田村明浩がお気に入りと紹介されていた四星球ドラムのモリスが扮するSUPER BEAVERのボーカル渋谷龍太も登場する愉快な一幕も! この日は「ロックロック図鑑」にハントされたアーティストたちとして全バンドが紹介されていたが、スピッツは最終形態に進化したと称されて登場。まさしく最終形態に進化したライブとなる。
スピッツ
1曲目「恋する凡人」のギターのザクザクしたイントロリフからドキドキワクワクする。つい最近の気がしていたのに、実は12年前の楽曲だが、ポップさはそのままにロックの荒々しさもあって興奮してしまう。それまで熱狂していた観客たちも、より大熱狂している。「そりゃトリだもんな、スピッツのイベントだもんな」と思うが、そんな簡単な言葉ではおさまらないスピッツメロディーの輝きをみせつけられた。「野生のポルカ」の勇ましいメロディーでは、相変わらず所狭しと動き回るベースの田村。何年経っても、何歳になっても、スピッツは本当にエネルギッシュなバンドである。「ラズベリー」でも感じたが、スピッツの静かな強さは永遠に安泰であり、一瞬で持っていかれてしまう。
草野マサムネがいつものクセで「ロックロックこんにちは!」とコール&レスポンスをしようとしたのも可愛らしかったし、そんなスピッツが結成35周年ということにも驚愕してしまった。こんなに色褪せないエバーグリーンなバンドは本当にいないし、軽やかなタフさも例を見ない。「四星球に、マカロニえんぴつに、35周年で接待してもらっている」という言い方も謙虚で素敵だった。

スピッツ

コロナ禍で最近はオールスタンディングでの大勢の観客の姿を観ることが中々できなかったが、制限をした上とはいえ、この日のオールスタンディングな光景は当たり前のはずなのに懐かしくもあり、とてつもなく嬉しかった。
「コロナ禍を乗り越えてお逢いできて嬉しく思います。また、こうやって集まれたから、待ってたら良いことあるんだね」
このマサムネの言葉を感動して噛みしめていたが、いつの間にか、大阪のコンビニではカールとおにぎりせんべいが売っているというほのぼのした話題に変わっていたのもご愛敬だった。そして、「スピッツ結成当時くらいに流行っていた楽曲」として鳴らされたのは、BOØWY「ONLY YOU」。疾走感があるポップなビートで、こんなにもスピッツに合う曲なんだと発見の喜びに浸る。そこからの「メモリーズ・カスタム」→「けもの道」という流れは、個人的に大好物なスピッツのポップでありロックな要素大爆発で最高でしかなかった。
スピッツ
アンコールでは「ハチミツ」、「君は太陽」というええメロディー……と唸るしかない2曲で〆られた。実はスピッツ35周年、四星球20周年、マカロニえんぴつ10周年というアニバーサリーな面子によるイベントだった今回。ほんでもって、来年2023年は『ロックロックこんにちは!』25周年! ここでしか絶対に観られないスピッツのアホアホであったりユルユルであったりという魅力がこれでもかと詰められたイベントなので永遠に続いて欲しい。
スピッツ
そうそう最後に書いておきたいのは、つい先程までのライブ写真が早業としか思えない程の早さでスクリーンに映し出され、関わったスタッフたちの名前も丁寧に記されたエンディングVTR。『ロックロックこんにちは!』の隅々にまで気遣われた愛に思わず胸がキュッとなる。そりゃ、スピッツを始めとしてミュージシャンにも観客にも長年愛されるわけだ……。何はともあれ、来年の25周年を心からお待ちしております。
取材・文=鈴木淳史 写真=オフィシャル提供(撮影:河上良、山元裕人)

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