MY FIRST STORY、始まりの地O-nestに
見た変わらぬ想いと高みへの期待

MY FIRST STORY 『MYFIRSTSTORYpre.「X」SpecialShowcase

2022.09.15(thu) Spotify O-nest
MY FIRST STORYがデビュー10周年を記念した、初のベストアルバム『X』をリリース。本作のCD購入者特典として企画された、超プレミアムライブ『MYFIRSTSTORYpre.「X」SpecialShowcase』が、東京・Spotify O-nestで開催された。9月からはベスト盤を掲げた全国ホールツアーが予定されており、ツアーファイナルには自身2度目となる、横浜アリーナ公演を行うことが発表されている。そんな現在のマイファスにとって、O-nestは少し狭すぎる会場かも知れないが、「MY FIRST STORYとして初めてのライブをやらせてもらったのがO-nestだった」と語るメンバーにとっての思い出の地であり、初心を思い返すことの出来る貴重な会場である。抽選で選ばれた、わずか200人の観客の大きな期待がライブハウスに充満する中、1stアルバム『MY FIRST STORY』の1曲目「institution」をSEに、小さなステージにメンバーが登場する。
ライブハウス独特のピリッとした緊張感が走る中、「行くぞ渋谷、楽しんで行こう!」とHiro(Vo)が叫び、Teru(Gt)のギターイントロで静かに始まった1曲目は「Calling you」。Hiroの切ない歌声に観客がクラップを合わせると、Nob(Ba)と Kid'z(Dr)がビートを重ね、ライブが本格スタート。1stアルバム収録のこの曲を1曲目に選んだのには、きっと意味があるのだろうと思っていたら、MCで「初めてここでライブをやった時も、1曲目は「Calling you」だった」と語っていて「やはり」と納得。いつも以上に前のめりに、いつも以上にイキイキとステージを楽しんでる感のある4人。メンバーはあの頃と同じ「Calling you」を演奏しながら、ステージからの風景にどんな想いを馳せているのだろう? と想像してしまう。
続いて間髪入れずに始まった曲は、ライブ定番曲の「不可逆リプレイス」。突き上げるビートに観客が力強いクラップを合わせ、フロアにワッと熱気が上がる。限りなく近いところから迫りくる歌や演奏に乗せた感情と一音一音の響きに、改めてこのライブの超プレミアムぶりを感じていると、Hiroの切ないハイトーンが響く「I'm a mess」がさらなる追い込みをかけ、サビに合わせてジャンプする観客が会場を揺らす。
MCでは、「僕ら、初めてライブをやったO-nestに帰ってきたわけですが。や~、すごい景色だな! あの時には想像出来なかった景色が10年経ったいま、広がってると思うと感慨深いです」と噛みしめるように語ったHiro。「『PUNK Ollie』ってイベントでね、バンド名もまだ無くて。Pay money To my PainのKのところに行って、「バンド名、まだ無いんだけど」「MY FIRST STORYでいいんじゃね?」って、その場で決めました」とバンドの命名秘話を語ったり、ライブを見に来ていた活動休止中のSho(Gt)をステージに上げてレアな話を語ったりと、アットホームな雰囲気の中で思い出話に花を咲かせたMCタイム。ファンからの質問コーナーも設け、好きな曲を聞かれると、「Tomorrowland」(Teru)「大迷惑」(Kid'z)「あいことば」(Nob)「I'm a mess」(Hiro)とそれぞれが答えたり、サービス精神旺盛すぎる長尺MCは30分に及んだが、これまたファンにとっては超プレミアムで嬉しいばかり。
真っ赤な照明に照らされたTeruのソリッドなギターイントロが空気を一変した「ALONE」で始まった後半戦は、Kid'zのダイナミックなドラムにNobが重厚なベース、痛烈なハイトーンボイスやシャウトで存在感を放つHiroのボーカルと、それぞれがしっかり主張。マイファスサウンドの真骨頂を見せつけると、「MEMORIES」のヘヴィなビートにクラップやヘドバンを力いっぱい合わせて、合唱パートで心の大合唱を響かせてと、観客も一人ひとりが存在を主張。バンドと観客の気持ちがバチバチと音を立ててぶつかり合い、一体感というより共犯、共有といった感じで、一緒に最高の場を作り上げていくこの感覚は、小さなライブハウスならでは。「ラスト2曲、全力で盛り上げていきましょうか?」とHiroが煽り、限界突破の盛り上がりを見せた「REVIVER」でこの日のクライマックスを生むと、「10年前を思い出して、1stアルバムからラスト1曲を送りたいと思います。本日はありがとうございました!」と始まったラストナンバーは「Second Limit」。イントロに観客から歓喜の拍手が上がり、メンバーが本当に楽しそうに笑顔で演奏する姿がすごく印象的だったこの曲。10年前と変わらぬ想いと、10年経って大きく成長したバンドのスキルや高い意識を持って。ここからも記念イヤーを爆進していくであろう、MY FIRST STORYの活躍により一層の期待を抱かせてくれる、超プレミアムな夜となった。

取材・文=フジジュン 撮影=ヤマダマサヒロ

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