神保悟志、英雄 山本五十六の喜怒哀
楽を引き出してみせ、舞台『アルキメ
デスの大戦』で「役者のパワーを生で
堪能してみて」

テレビドラマ『相棒』シリーズなどで知られる俳優の神保悟志が開幕を目前に、出演する舞台『アルキメデスの大戦』について取材会をおこなった。
同作は、第二次世界大戦が近づく1933年の日本を舞台に、巨大戦艦建造をめぐり、数学者の櫂直(かいただし、鈴木拡樹)らが攻防を繰り広げる物語。神保は伝説的な海軍少将の山本五十六に扮し、櫂とともに戦艦建造計画に隠された真実を追いかけていく。原作は、三田紀房による漫画。2019年には菅田将暉主演で映画化された。また山本五十六も過去に、映画、ドラマなどさまざまな作品を通してその人物像が語り継がれてきた。
神保は「山本五十六さんについては、色々な資料や映画でその人物像を拝見してきました。大変英雄視されている方ですが、ただそのイメージに縛られてしまうと、自分の演技の幅が制約されてしまいます。最初はこれまで語られてきた五十六像に忠実に演じたいと考えていましたが、そうではなく自分なりに表現したい。実際、僕らが抱いている五十六像はたくさんある顔のなかでも一面、二面にしか過ぎないと思うのです。もっと多角的に見て、そして軍人としてだけではなく、人間としての山本五十六を演じたい」と、自分なりの解釈を大切にしながら役にアプローチしていくという。
神保悟志
特に神保が重要視しているのが人間味である。心身ともに強くて頼もしい印象がある山本五十六だが、「神保版山本五十六」はキャラクターの味わいがこれまでとは異なりそうだ。
「元帥という立場なので、様々な決断を要求される。本来であればドンと構え、多少のことには動じないでしょう。当然、みなさんも山本五十六にはそうあってほしいと思われるかと。でも人間なので、きっと喜怒哀楽があるはず。それを明確に出していきたいです。その都度、感情を抑えこむのではなく、どちらかというと一般人と同じように、怒ったり、悲しんだりするところをあらわしたい。そういった部分を出しながら、最終的には誰もが抱いている山本五十六像へと結びつけたいですね」
約90年前の日本の姿を描いた物語ではあるが、しかし昨今もロシアによるウクライナ侵攻が勃発するなど、どれだけ時代が経っても世界各地で戦争が起きている。私たちの日常も決して無関係なものではない。そういった意味で、舞台を通して戦争に向き合うことはとても重要な意味を持つ。神保も、同作に流れているテーマ性を見逃さないでほしいと口にする。
「戦時下の状況や空気感は体験していないので実際には分かりません。しかし、「戦争とはこうして起きていく」、「人間の心はこうやって変わっていく」ということが作品を通して伝わるはず。人間の変容、そして社会の危険性。それらを感じてもらえるのではないでしょうか」
『アルキメデスの大戦』
また舞台独特のリアリティは、映画版以上に、演者らの気持ちや作品のメッセージを観客にダイレクトに届けてくれるだろう。神保は「稽古場でも毎日、火花を散らしながらみんな熱く演じているので、そこが本番でも見せ場になる」と語る。
「ライブは、こちらの怖さも興奮もお客様にすべて伝わる。そして、その場にいる人たちだけの高揚感が生まれる。舞台はまるで打ち上げ花火みたいなものですよね。役者のパワーや演出の素晴らしさを感じてもらえるはずなので、生の『アルキメデスの大戦』を堪能していただきたいです」

舞台『アルキメデスの大戦』は10月1日(土)から17日(月)まで東京・日比谷シアタークリエ、10月21日(金)から23日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティほかにて開催される。
取材・文=田辺ユウキ

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着