『ベルばら』の華やかな原画や、宝塚
歌劇の麗しい衣装など、豪華絢爛な展
示を楽しむ 『ベルばら展』レポート

『誕生50周年記念 ベルサイユのばら展ーベルばらは永遠にー』が、2022年9月17日(土)から11月20日(日)まで、東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)にて開催される。
春はあけぼの、夏は夜……というのと同じくらい、「ベルサイユ」といえば「ばら」である。漫画家・池田理代子による国民的少女漫画『ベルサイユのばら』(愛称:ベルばら)は、1972年生まれ。今年2022年はちょうど50周年のアニバーサリーイヤーだ。この『誕生50周年記念 ベルサイユのばら展ーベルばらは永遠にー』は、作者による原画の展示を中心に、漫画から宝塚、さらにアニメへと舞台を広げてきた『ベルサイユのばら』の世界を総覧する記念展である。
本記事では開幕前日に開催されたメディア向け内覧会の様子を通じて、来場者を待つバラ色の雰囲気をお伝えしたい。
会場エントランス (c)池田理代子プロダクション
革命期のフランスを舞台とした『ベルサイユのばら』の物語では、女に男に貴族に平民、多くの人間ドラマが描かれる。本展はその中でも特に、主人公オスカルと王妃マリー・アントワネットに焦点を当てた構成だ。
天空のベルサイユ宮殿あらわる
序章「ベルサイユのばら」誕生 (c)池田理代子プロダクション
まずなんと言ってもインパクトがあるのは、【序章「ベルサイユのばら」誕生】に設えられた宮殿風のフォトスポットだ。バックに広がる六本木の空が眩しい。
序章「ベルサイユのばら」誕生 (c)池田理代子プロダクション
真っ赤な絨毯を進んでいくと、バラに囲まれた王妃マリー・アントワネットと、エスコートするオスカルの姿が。アンドレとフェルゼン伯が両サイドを固め、激動の運命に翻弄される4人の役者が勢揃いである。それぞれが別の方向を見ていて、視線が絡み合わないのがまた切ない。内覧会当日もこのフォトスポットが大人気で、多くの来場者たちが写真に収めていた。
序章「ベルサイユのばら」誕生 (c)池田理代子プロダクション
地上52階の絶景をバックに立つ、貴人たちの等身大パネル。文字通りの天上人だ。
序章「ベルサイユのばら」誕生 (c)池田理代子プロダクション
見上げると、ガラス一枚分はある巨大な肖像画が。上下左右、全方向からバラの洗礼を浴びられるコーナーである。
序章ではこのほかにも、漫画のハイライトシーンをまとめた「劇画ムービー『永遠のベルサイユのばら』」や、作品の展開をたどった年表「『ベルサイユのばら』メモリアル」などを見ることができる。
原画で追いかけるベルばらの物語
第1章「ベルサイユのばら」 (c)池田理代子プロダクション
会場の大部分を占める【第1章「ベルサイユのばら」】では、漫画『ベルサイユのばら』が『週刊マーガレット』で連載されていた当時(1972~1973年)の貴重な原画が多数展示されている。花びらや点描が飛びまくる華麗な画面が “週刊連載” の原稿なのだと思うと、改めて、創作の勢いの凄まじさに目が眩む。
第1章「ベルサイユのばら」 (c)池田理代子プロダクション
本展のため、東京シティビューがすっかりヨーロッパの美術館風に様変わり。随所に、名シーンを引き伸ばしたタピスリー風の装飾があしらわれている。
第1章「ベルサイユのばら」 (c)池田理代子プロダクション 制作:文化服装学院オートクチュール科学生 企画制作:メイプル
原画に交えて展示されている、オスカルの再現ドレスにもぜひご注目を。男装の麗人であるオスカルが生涯で一度だけ身につけてフェルゼンと踊った、思い出のドレスだ。アイボリーホワイトのシルクサテンを贅沢に使ったドレスの美しさも溜め息モノだが、オスカルのスーパーモデル並の体型を想定したマネキンにも衝撃を受ける。まさに「まるで彫刻のように美しいかた!」である。
第1章「ベルサイユのばら」 (c)池田理代子プロダクション
原画は白黒、カラーのほかに、少し珍しい2色のものなどが存在する。当時は雑誌の多色刷りが難しかったため、人気作品だけに許された趣向だったようだ。写真は連載中唯一という、レアな4色原稿。国庫にお金がない?! という事実をにわかに受け入れられないマリー・アントワネットの脳内が、赤・黄・青・緑の4色でホワワ〜ンと表現されていて面白い。
第1章「ベルサイユのばら」 (c)池田理代子プロダクション
そして、「待ってました!」と叫びたくなるような華やかなカラー原画たち。当時24歳だった作者は、歴史モノはヒットしないという業界の定石を覆すべく、読者へ向けて “とにかく美しく華やかに” 描くことを意識したのだという。画用紙に残る水彩の凸凹や、50年を経てかすかに変色した部分を眺めれば、アナログならではの作者の息遣いが感じられるはずだ。
豪華絢爛な宝塚版の世界
第2章 宝塚歌劇「ベルサイユのばら」 (c)宝塚歌劇団
【第2章 宝塚歌劇「ベルサイユのばら」】では、漫画の連載終了翌年からスタートした宝塚版の『ベルばら』の世界へ。壁一面に歴代のポスターが勢揃いするほか、初演時の脚本と演出(一部)を担当した植田紳爾氏のコメントからは、作品の制作背景や狙いを垣間見ることができるだろう。
第2章 宝塚歌劇「ベルサイユのばら」 (c)宝塚歌劇団
オスカルの居間をイメージした空間に、オスカルとアンドレの舞台衣装が並ベて展示されている。マネキンであっても一歩後ろに控える従僕アンドレの立ち位置が好ましい。
第2章 宝塚歌劇「ベルサイユのばら」 (c)宝塚歌劇団
こちらはオスカルとマリー・アントワネットの衣装。細部まで丁寧に作り込まれ、豪華絢爛という言葉がぴったりだ。
植田氏のコメントによると、宝塚版誕生のきっかけは『ベルばら』の宝塚化を望むある熱心なファンから毎週『週刊マーガレット』が送られてきたから……なのだとか。現在、宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』は通算上映回数1,500ステージ以上、通算観客動員数500万人を記録する代表作となっている。歴史の立役者となった、名もなきそのファンの行動力に拍手、である!
バラの香りは電波に乗って
第3章 TVアニメ「ベルサイユのばら」 (c)池田理代子プロダクション・TMS
続く【第3章 TVアニメ「ベルサイユのばら」】では、1979年に放送開始したアニメ版のエッセンスに触れることができる。アフレコ台本やセル画のほか、アニメ版独自の演出法や、原作との違いを考察するパネル展示が並ぶ。文字を中心とした読み応えのあるパートだ。
第3章 TVアニメ「ベルサイユのばら」 (c)池田理代子プロダクション・TMS
壁一面にレイアウトされた、人物や背景の設定資料。アニメ版のファンなら、きっとこのコーナーにいる間ずっとオープニング曲「薔薇は美しく散る」が脳内再生されることだろう。
さらにさらに咲き誇る!
最後の一角は【第4章「ベルサイユのばら」は永遠に】と銘打たれ、他のメディアとのコラボレーションや、今昔のオリジナルグッズの展開などが紹介されている。
第4章「ベルサイユのばら」は永遠に (c)池田理代子プロダクション
2017年に迎えた45周年記念の際には、カップうどんのパッケージや、お菓子のノベルティにも登場している。ちなみに右端は江崎グリコ「Bitte」とのコラボで、抽選で5,000名に進呈された「オスカルとキスできるタンブラー」。本当に、咲く場所を選ばないバラである。
第4章「ベルサイユのばら」は永遠に (c)池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会
つい先日、製作が発表されたばかりの新作劇場アニメ『ベルサイユのばら』についても、その資料の一部が公開されていた。続報への期待がますます高まる!
スイーツを食べれば良いじゃない
特設ショップ
展示室を抜けると、最後には気合の入った特設ショップが待っている。本展開催を記念して、スイーツやアクセサリー、雑貨など、様々なブランドとのコラボレーションが実現しているほか、展覧会のオリジナルグッズも豊富に揃うコーナーだ。華麗なものからクスッと笑えるものまで、自分へのご褒美からお土産に喜ばれそうなアイテムまで充実しているので、時間を忘れてショッピングしてしまいそうだ。
THE SUN & THE MOON(Cafe)コラボメニュー (c)池田理代子プロダクション
また、同じフロアにあるカフェ・レストランの「THE SUN & THE MOON」では、これまた気合の入ったコラボメニューが登場している。ひとつひとつのメニューがとにかく美しく写真映えするのはもちろん、地上52階の絶景もまた、優雅な気分を高めてくれることだろう。なお、カフェとレストランでコラボメニューの登場期間が異なるので、お目当てのメニューがある場合は事前にチェックをお忘れなく。
THE SUN & THE MOON(Restaurant)コラボメニュー (c)池田理代子プロダクション
『誕生50周年記念 ベルサイユのばら展ーベルばらは永遠にー』は、2022年9月17日(土)から11月20日(日)まで、東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)にて開催。大好きな作品の世界にとっぷりと浸り、記念撮影にお買い物にティータイムと、愉しみが止まらない1日を過ごせること間違いなしだ。ぜひとっておきの装いで、“宮殿” に参上を。

文・撮影=小杉美香

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