9月11日@新宿ReNY

9月11日@新宿ReNY

PENICILLIN、
O-JIRO 50歳記念
『とのさまGIG』2デイズの
レポートが到着

陰と陽。黒と白。裏と表。森羅万象は対極的二要素によって構成されている、という理(ことわり)は東洋文化におけるひとつの重要な概念であるというが。このたび、9月10日、11日にわたってPENICILLINが新宿ReNYを舞台に繰り広げた2デイズ公演は、彼らの持つ二面性をあらためて感じさせてくれるものとなったのではなかろうか。

ちなみに、PENICILLINは毎年9月にドラマー・O-JIROのバースデー企画として、その名も『とのさまGIG』と称したライヴを長年ずっと継続して来ているのだが、2022年はO-JIROの50歳という大きな節目を祝う場であると同時に、PENICILLIN自体もちょうど30周年イヤーの最中ということもあり、恒例の“とのGIG”にプラスアルファの要素を加え、今春に集中開催された『30th anniversary 関東サーキット2022 「The Time Machine」』の続編的な位置づけで第1夜は『PENICILLIN 30th anniversary とのさまGIG 2022 「The Time Machine ~Return of 劇薬」~』、そして第2夜は『PENICILLIN 30th anniversary とのさまGIG 2022 「The Time Machine ~Return of MAD MEN」~』というかたちで行われたのだ。

「昨日に引き続き、今年の“とのさまギグ”は『The Time Machine』シリーズの一環ということで、過去のツアーをリバイバルするというコンセプトでやっております。昨日は2003年にアルバム『赫赫』(かっかく)を出した時のツアー『劇薬』のセットリストを元にお送りしましたが、今日は1998年に出したアルバム『Ultimate Velocity』の時の『MAD MEN』ツアーの再現ですね。このアルバムはPENICILLINにとっての代表曲も入っている作品ですが、意外と久しぶりにやる曲もあったりするんですよ。でも、24年前のことだとはいえ当時たくさんツアーを廻ったので、カラダで覚えているというか刻み込まれてる感覚が自分としては凄くあって、ほんとにこの曲たちをやっているとタイムマシンに片足を突っ込んでいるような感覚がします(笑)。というわけで、今日はみんなで3日後に控えているO-JIROくんの50歳の誕生日もお祝いしながら、楽しい時間を過ごしていきましょう!」(HAKUEI)
9月11日@新宿ReNY

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ここであらためてふれておくと、かれこれ四半世紀前に発表された『Ultimate Velocity』とはPENICILLINのメジャー3rdアルバムであり、アニメ『すごいよ!!マサルさん』のOP曲として話題となった♪愛に気づいてください!♪の歌い出しで有名な「ロマンス」も収録している、オリコンチャート最高位2位の記録を誇る偉大なる一枚。そして、アルバム『赫赫』の世界を体現していった第1夜ではメンバー全員が黒をベースとしたダークなモードの衣装をまとっていたのに対し、この『Ultimate Velocity』の世界を表現していくことになった第2夜での彼らは、珍しく白を大胆にフィーチャーしたコスチュームにてステージへと登場することに。これはつまり、それぞれのアルバムについての音楽的な質感やトーンとシンクロした表現手法であり、前者が攻撃的で尖ったサウンドの目立った仕上がりだったのに比べて、いわゆるヒットチューンを擁した後者は明るくポップセンスを漂わせた作風が特徴となっているため、その違いを端的にヴィジュアルの面でも体現してくれていたわけだ。さすが、ヴィジュアル系黄金期の覇者として今に至るまで30年間もサバイブし続けて来たバンドだけあって、PENICILLINの音と視覚を融合させたパフォーマンスの充実ぶりは今もって顕在であると言えよう。

「今回のオレたちの衣装なんだけど、昨日HAKUEIが言ってたように『赫赫』のジャケットはデザインが黒っぽかったから衣装も黒にすることになったんだよね。だったら2日目の方は「『Ultimate Velocity』の収録されてる「make love」のPVが全員衣装が白かったんで今日の[MAD MEN]の方は全員、白い衣装で行こう」っていうアイディアを出してみた」(千聖)

どうやら、筆者の勘ぐりをよそにリアルな背景は意外とアバウトな流れだったようなのだが、それでも結果として見せ方と音を完全にマッチングさせてしまうあたりが30周年選手だからこその貫録なのかもしれない。
9月11日@新宿ReNY

9月11日@新宿ReNY

「楽しいねぇ。合計250曲…いや、260曲くらいあるとなかなか普段はライヴで出来ない曲たちも出てきちゃうけど、こうやって『The Time Machine』でいろんな曲たちを久しぶりにやってみると凄く楽しいなって思います。あとですね。僕もこのたび2日後にレベル50になるわけですが、これでPENICILLINもようやく全員50代に突入ということで、今日はこうしてみなさんにこれだけ祝っていただいてるわけですし、もう今日から50ということで良いです(笑)」(O-JIRO)
 
そんな今宵のO-JIROは千聖からプレゼントしてもらったという、スターウォーズ柄のネクタイを着けた姿で終始とても嬉しそうな笑顔でプレイしていたのだが、正直その姿は50歳には見えないほどパワフルにしてどこかキュートでもあり、彼はやはりPENICILLINにとってのマスコットキャラ的な存在であるのだなと再確認するに至った。
 
かくして、この『PENICILLIN 30th anniversary とのさまGIG 2022 「The Time Machine ~Return of MAD MEN」~』はここぞの「ロマンス」で本編ラストを締めくくったほか、配信終了後にさらに続けられたWアンコールで聴けた「天使よ目覚めて」までの計19曲で音楽を通じて、我々は疑似タイムリープを体験したと言えるはず。
9月11日@新宿ReNY

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陰と陽。黒と白。裏と表。2夜にわたり対極的二要素を表現したPENICILLINの2デイズ公演はこれをもって終わったものの、PENICILLIN 30th anniversaryにまつわる動きはこの先も続いていくとのことで、まず10月1日、2日は恵比寿LIQUIDROOMにて千聖の誕生日を祝う『ROCK×ROCK』シリーズと、またもの『The Time Machine』を連動させた 『PENICILLIN 30th anniversary ROCK×ROCK2022 「The Time Machine ~Return of BLUE HEAVEN'S DOOR~」』と『PENICILLIN 30th anniversary ROCK×ROCK2022 「The Time Machine~Return of mouth to mouth~」』が2デイズで執り行われることになっているそう。
 
その後、11月2日にフルアルバムとしては2014年の『瑠璃色のプロヴィデンス』以来、実に8年ぶり(!!!)の作品となる『パライゾ』が待望のリリースとなるうえ、11月23日からはコロナ禍発生以降としては初であり3年ぶりとなる全国ツアー『PENICILLIN 30th anniversary 『パライゾ・マスター』』が、タイミング良く『HAKUEI BIRTHDAY LIVE』の意味も持つ12月16日のSpotify O-EAST公演まで続いていくことも決定。2022年いっぱい、PENICILLINの記念すべき輝きの日々はまだまだ続いていくのである。

Live photo by オリタタクヤ
Text by 杉江由紀
【セットリスト】
1.地球
2.CRASH
3.99番目の夜
4.QUARTER DOLL
5.make love
6.そして伝説へ
7.anti beauty
8.prison
9.love&peace
10.Buttrefly
11.XXX
12.Melody
13.REAL
14.fantasia
15.ロマンス
<ENCORE 1>
1.Tomorrow
誕生日セレモニー
2.Mr.Freeze
3.Chaos
<ENCORE 2>
天使よ目覚めて

【ライブ情報】

■PENICILLIN30th anniversary 『ROCK ×ROCK 2022』
【千聖BIRTHDAY LIVE】
「The Time Machine ~Return of BLUE HEAVEN'S DOOR~」
10月1日(土) 東京・恵比寿LIQUIDROOM

■『The Time Machine ~Return of mouth to mouth~』
10月2日(日) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
一般チケット発売中!

■『PENICILLIN30th anniversary 『パライゾ・マスター』 TOUR』
11月23日(水・祝) 埼玉・HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3<QD限定>
11月27日(日) 神奈川・新横浜NSB 12/03(土) 柏PALOOZA
12月10日(土) 愛知・名古屋Electric Lady Land
12月11日(日) 大阪・梅田Shangri-La
12月16日(金) 東京・Spotify O-EAST【HAKUEI BIRTHDAY LIVE】
*10月05日(水)よりファンクラブ(QUARTER DOLL)会員先行受付開始

9月11日@新宿ReNY
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OKMusic編集部

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