BUMP OF CHICKEN「カルマ」の歌詞に見る人生観

BUMP OF CHICKEN「カルマ」の歌詞に見る人生観

BUMP OF CHICKEN「カルマ」の歌詞に
見る人生観

BUMP OF CHICKENの人気曲「カルマ」が導き出す世界

BUMP OF CHICKEN『カルマ』は、2005年11月23日に発売された11枚目のシングルで、テレビゲームでもありアニメ化もされた『テイルズ オブ ジ アビス』の主題歌にもなった楽曲です。
作詞作曲を手がけるのはボーカルの藤原基央。
ゲームやアニメの物語とのリンクが求められる主題歌ながら、しっかりとBUMP OF CHICKENらしい音を響かせ、リリースから月日を経ても根強い人気を誇る楽曲となっています。
この楽曲には二人の人間が登場しますが、カルマがもたらす結果は一体どのようなものなのでしょうか。
歌詞の意味を読み解きながら、この曲に込められた思いを考察していきます。
居場所を奪って生きる人間の悲しさ
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
命というものは、この世に生み出された瞬間から一人分の場所を取って生きている。
人が「生きる」ということの尊さや煩わしさが感じられる歌詞です。
意識をしていなくても、本人の意思に関係なく、椅子取りゲームのように、自分の場所を守らなければならない。
それは生きることの重さでもあり、否応なしに場所を奪い合う、人間の悲しさでもあります。
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
優しく、何も傷付けず、きれいな人間でいたいと願っていても、人は知らず知らずのうちに誰かを、何かを傷付けているもの。
生きるということは、少なからず手を汚すことは避けられないのでしょう。
記憶に疑われているのは、自分というものを持たず、流されるように生きてきたことを意味しているのかもしれません。
確固たる自分を持たないまま生きている人は大勢います。
自分の人生なのに記憶に疑われるとは、何とも皮肉なものですね。
「ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れない」人生の厳しさ
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
この世に生まれ落ち、心臓が動き出した瞬間から場所を取る人間。
生きている限り、嫌でも場所を取り、自分の場所を奪われないよう他人と戦う人生。
「ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない」
ここで歌われている陽だまりは、一人一人が持つ居場所であり、許されているスペースです。
競争が嫌いな人でも、自分の場所を確保するには争いに参加せざるを得ません。
人生は椅子取りゲーム。他の誰かを招き入れ、一緒に生きられるほど自分の陽だまりは大きくないのです。
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
一人分のスペースをどんどん拡張し、生きやすい世界を手に入れたいのも人間の性です。
他人の陽だまりまで奪い、人のもので輝きを手に入れる人生に、どこまで意味があるのでしょうか。
人生を豊かにするために必要なのは、他人から奪ったたくさんの陽だまりではなく、「1と0の間」にある、目には見えない何かです。
理屈ではなく、感情。
目に見えないものこそ、人が生きていくために必要なのかもしれません。
「ガラス玉ひとつ 落とされた 落ちた時 何か弾き出した」という歌詞からは、生まれるその瞬間から奪い合いが始まっていることが分かります。
心臓が動き出した瞬間、この世に生を受けた時からすでに、競争は始まっているのです。
最初の居場所は、命が生まれた瞬間に誰かから奪うことで手に入れている。
命を巡る椅子取りゲームは、人が生きる限り続くのかもしれません。
「ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない」というのは、人が共存していく難しさも歌っているように思えます。
一人では生きられないのに、居場所を奪うことでしか生きていけない。
そんな、人間が抱える矛盾を表現しているのではないでしょうか。
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
何のために生まれたのか分からない人生でも、自分と同じ様に鼓動を響かせて生きる誰かに出会えた時に初めて、生きている素晴らしさを実感できる。
「同じ鼓動の音」を持つその人は、惹かれ合う運命の相手なのでしょう。
別の人生を生きていても、同じ境遇や同じ苦しみを経て、自分と相手を重ね合えた時、この世に産み落とされた命の意味を知る。
それはつまり、生きる喜びに出会えるということでもあるのです。
「沈めた理由に十字架を建てる時」果たされた約束は何か
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
人生にくたびれ、傷付き、互いに同じ心臓の音、悲鳴に惹かれて出会った二人。
まるでパズルのように、ぴたりと重なり合い、互いを補い合える関係はまさに、鏡合わせ。
この二人は似ているからこそ、互いに求め、支え合うことができるのです。
それはまさに、人生の伴侶ではないでしょうか。
運命の人と言い換えることもできます。
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
広い世界に産み落とされ、場所を奪い合いながら必死に自分の居場所を守り続けて来た「僕」が、「一人分の陽だまりに」招き入れた初めての人。
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
カルマ 歌詞 「BUMP OF CHICKEN」
https://utaten.com/lyric/jb10511033
『カルマ』には、「重ねる」「約束」という歌詞が印象的に使われています。
長い間、自分一人の場所を守りながら、奪い合って生きてきた「僕」が、初めて心惹かれ、寄り添いたいと願った相手と重ねるもの。
それは、人生ではないでしょうか。
同じ鼓動の音を持ち、互いの悲鳴を探し求めて出会った二人。
交わした約束が果たされるのは、共に沈み、十字架を立てる時。
人生という旅を終え、最期の時になってようやく果たされる約束は、結婚ではないでしょうか。
長い人生を共に生きるという約束。それがまっとうできるのは、人生の終わりです。
一人分の陽だまりを必死に守り続けることをやめ、愛する人と一緒に小さな陽だまりに入る喜びを知ったのでしょう。
約束が果たされた時、「僕」の心には一体どのような思いが浮かんでいるのでしょうか。
「僕らはひとつになる」と歌われているように、最後は心も身体もひとつに溶け合い、誰にもほどくことのできない強い絆で結ばれた二人。
人生は、まるでガラス玉のように簡単に転がり、落ち、時にはひび割れる不安定なものです。
しかしその先で、かけがえのない人と出会い、人生を共に歩むという約束をまっとうできたら、きっとその人生は幸福に満ちていることでしょう。
モノクロの世界観が印象的なMVにはもう一人のメンバーが登場し、曲の中で登場する「鏡」をイメージさせます。
人とのつながり、人生のカルマを強く感じさせる楽曲の世界観をぜひ、映像でも味わってみて下さい。

アーティスト

UtaTen

歌詞検索・音楽情報メディアUtaTen

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着