『TRIANGLE'22 Acoustic Resort』Da
y.1 全国屈指のリゾート福岡糸島で
初開催された珠玉のアコースティック
フェスをレポート

『TRIANGLE'22 Acoustic Resort』Day.1

2022.09.03(sat) 福岡県糸島市 福岡LASPARK RESORT内特設ステージ
2001年、九州各地を回るライブイベントとしてスタート。2016年からはシーサイドももち海浜公園にて開催される野外フェスへと形を変えながら、九州で長く愛され続けている音楽イベント『TRIANGLE』。新型コロナの影響で開催中止となった一昨年、同じく開催中止になるもアーティストの発案で配信ライブ形式で開催した昨年を経て、今年は“原点回帰”と“新しい挑戦”というテーマを掲げ、3イベント9公演を開催。
『TRIANGLE』を代表する精鋭バンドが九州4箇所のライブハウスを回った『TRIANGLE TOUR’ 22 〜Return to the Roots〜』、Zepp Fukuoka3DAYSを行った『TRIANGLE'22 Keep on Doing in Zepp Fukuoka』と続き、『TRIANGLE’ 22』を締めくくったのは、9月3日(土)、4日(日)福岡県糸島市の福岡LASPARK RESORT内特設ステージにて開催された『TRIANGLE'22 Acoustic Resort』。普段はバンドスタイルでライブを行っている豪華出演バンドによる、アコースティック編成でのスペシャルなステージはどれも貴重かつ、贅沢! 『TRIANGLE』への愛に溢れ、たくさんの奇跡と感動の瞬間を生み出した2日間。ここでは1日目の様子をレポートする。
SIX LOUNGE 撮影=タカギユウスケ
SIX LOUNGE 撮影=タカギユウスケ
『TRIANGLE』初の開催地となった、LASPARK RESORT。福岡の都心部からもほど近く、普段はグランピングやバーベキューで利用されている、海や山の大自然に囲まれた会場は雰囲気抜群! あいにくの荒天となり、雨に打たれながらのイベントスタートとなった初日だったが。トップバッターであるSIX LOUNGEが登場し、代表曲といえる「メリールー」でライブが始まると、悪天候も関係なしにフィールドに熱気が上がる。軽快な演奏に乗せて、<さあいくぜ、気持ちいいとこはみんな知ってんだ>と歌う「ラブポップ」を披露すると、「気持ちよくなってきました?」と笑うヤマグチユウモリ(Vo)。
SIX LOUNGE 撮影=タカギユウスケ
SIX LOUNGE 撮影=タカギユウスケ
「ナイトタイマー」、「SUMMER PIXY LADY」と続き、バンド編成よりも曲やメロディの持つ雰囲気や世界観、ウェットで抜けの良いヤマグチの歌声の魅力がダイレクトに伝わるアコースティックならではのステージに、早くもこのフェスならではの魅力や面白さを感じていると、早くも最後の曲。「天使のスーツケース」のたっぷり気持ちを込めた歌と演奏で魅せた3人は、「時間あるね、1番だけやって帰ろうか?」と予定になかった「最終兵器GIRL」を披露。牧歌的な曲調に観客が手拍子を合わせ、大きな拍手に包まれながら名残惜しそうにステージを去っていく。シンプルな歌と演奏だからこそ伝わるバンドや楽曲の魅力と芯の強さを見せつけて、「もっと見たい!」と思わせてくれたSIX LOUNGE。このフェスの楽しみ方や面白さも実証した、トップバッターとして申し分のないアクトだった。
KOTORI 撮影=松尾凌太
夏の終わりを連想させる「4号線」でライブをスタートするや、アコースティックの温かいサウンドに乗せた、横山優也(Vo&Gt)の切ない歌声で聴く者の胸を締め付けたKOTORI。「トーキョーナイトダイブ」から、<果てしなく広がる空>と雄大に歌う「ソングバード」を披露してオーディエンスをステージに釘付けにすると、「あれ? やんでませんか?」といつの間にか雨がやんでいたことに気づいた横山。「海が見えるステージに合うと思って、アレンジし直して来ました」と夏の終わりを歌った「海」、<無くしてしまった答えは雨の中>と歌う「雨のあとを」と、このシチュエーションにぴったりな曲が続き、自然や天候を完全に味方にしたKOTORI。
KOTORI 撮影=松尾凌太
KOTORI 撮影=松尾凌太
あまりにドラマチックな展開にすっかりやられていると、「あと2曲、元気な曲を」とギターをかき鳴らし、「GOLD」、「素晴らしい世界」で高らかに希望を歌い、ビールで祝杯を上げる。太陽や青空、雨や夕焼けや星空といった自然や天候の計算出来ない演出は、フェスの醍醐味のひとつだが。この日のKOTORIはちょっと神がかってるほどに、自然の演出を活かしたステージだった。
四星球 撮影=タカギユウスケ
四星球 撮影=タカギユウスケ
「今日はアコースティックですが、何もやることは変わりません!」と北島康雄(Vo)が早々に宣言し、1曲目「運動会やりたい」で幕を開けた四星球のステージ。あえて変化を言うならば、曲がよりクリアにポップに聴こえ、歌詞が聴き取りやすいくらいだろうか? 楽曲後半はフィールドの観客を赤組と白組に分けて対決を行い、全員強制参加型のライブスタイルは宣言通り、いつもと何も変わらない。熱いメッセージを送った「薬草」では、声が出せなくてもクラップで気持ちが通じ合えることを証明し、「UMA WITH A MISSION」ではボーカルが歌わなくても楽曲が成立することを証明した彼ら。「Mr.Cosmo」のUFO呼びでは出演者全員の顔写真に体が描かれたパネルを用意して、大合唱感を無意味に演出。
四星球 撮影=タカギユウスケ
四星球 撮影=タカギユウスケ
ラストはモリス(Dr)がダンボール製の特製カホンを叩いて始まった、「クラーク博士と僕」で大団円でフィニッシュ。北島の「好きな音楽のために、イヤな雨を耐えてるわけでしょ? イヤなことも楽しもうとしてるんでしょ? それって生きてく上でめちゃくちゃ大切なことやと思いました。みなさん、めちゃくりゃリスペクトしてます!」というMCもグッと来たりと、たくさん笑ってちょっぴり泣ける四星球の魅力が凝縮された良いライブだった。
Dizzy Sunfist 撮影=タカギユウスケ
Dizzy Sunfist 撮影=タカギユウスケ
「晴れ女が来たでーー! 天気は雨でも心は晴れで!!」と明るく登場すると、椅子の上にあぐらをかいてアコギを抱えたあやぺた(Vo&Gt)。moAi(Dr)がアコギ、メイ子(Ba)がカホンと、パートもチェンジした特別編成で登場したDizzy Sunfistは、「ブチアガる準備、出来てますかー!?」とあやぺたが煽り、「Andy」で勢いよくライブをスタート。moAiのギターソロという貴重なシーンも魅せながら、続く「Hey! Stay by my side!」を披露すると、「今日はカバーを持ってきました!」とmoAiの切ないアルペジオで始まった曲は、ZONE「secret base ~君がくれたもの~」のカバー。夏の終わりの雰囲気にあやぺたの力強く感傷的な歌声もハマって、会場の空気を変えたこの曲に会場中から大きな拍手が起きる。
Dizzy Sunfist 撮影=タカギユウスケ
Dizzy Sunfist 撮影=タカギユウスケ
再び雨脚が強くなる中、「びしゃびしゃなってるか~い!?」と笑顔で煽り、「ウチらの夢はまだまだ死なんぞ!」とギターをかき鳴らして「The Dream Is Not Dead」へ。大きな夢に手を伸ばすようなロングトーンを響かせると、「いいね、浜辺で雨で大好きなバンドのアコースティックがいっぱい聴けて、お酒も飲めて。人生、最高裁判所! 雨のフェスって一生、心に残るから。ドロドロになってもそれが良い思い出で。いつでもこの雨を思い出さえてくれるから」とポジティブなメッセージを送り、ラストは「Tonight,Tonight,Tonight」で美しく軽快にフィニッシュ。まさに天気は雨でも心は晴れ。びしゃびしゃになりながら、みんなの笑顔が耐えない、明るく楽しい時間となった。
Survive Said The Prophet
Survive Said The Prophet 撮影=サトウアイコ
Survive Said The Prophet 撮影=サトウアイコ
「“雨バンド”なんてTweetしちゃったけど、雨やみましたね!」とYosh(Vo&Gt)が笑顔を見せ、どっしりした演奏と伸びやかな歌声で聴かせた「Win / Lose」で始まったSurvive Said The Prophet。憂いあるギターイントロで「Right and Left」が始まると、フィールドから思わず漏れた歓喜の声と共に観客の手が上がる。軽やかにステージを跳ねながらアグレッシブに歌うYosh、サビメロに合わせて手を振る観客。「今日、雨の中でも台風の中でも音楽を応援する、日本一カッコいいオーディエンスが集まってるって聞いてるけど、どうですか!?」と聞くYoshに大きな拍手が起きると、「こういったパワーやエナジーがカルチャーと呼ばれて、そのカルチャーを握りしめたお前たちが未来の音楽を作ってるんです。一言一言、音楽に対してはポジティブでいて下さい!」と願いを込めたメッセージを送り、「HI l LO」を投下。
Survive Said The Prophet 撮影=サトウアイコ
Survive Said The Prophet 撮影=サトウアイコ
アコースティックながら鋭くキレのある演奏と、力強く主張するボーカルに呼応するように、晴れ間が見えてきた空を見て、「晴れたね!」と嬉しそうに呟いたYosh。楽曲に込めた想いを熱く語り、温かいアコギの音色に悲痛な叫びがダイレクトに伝わった「MUKANJYO」から現在、延期公演の真っ最中であるアコースティックツアーでリアレンジしたというジャジーな「SPINE」と続いた後半戦。ラスト「When I」に全員が手を振り合わせてピースマークを掲げると、会場は大きな多幸感に包まれた。
九州DJ大作戦 : 片平里菜
九州DJ大作戦 : 片平里菜 撮影=松尾凌太
九州DJ大作戦 : 片平里菜 撮影=松尾凌太
2017年、TOKYO TANAKA(MAN WITH A MISSION)が、九州北部豪雨被災地支援を目的に発足。『TRIANGLE』とタッグを組んで、グッズの販売や募金活動を行い、これまでも様々な支援活動を行って来た九州DJ大作戦。そんな九州DJ大作戦とのコラボステージに登場したのは、片平里菜。
福島市出身、18歳で東日本大震災を経験した彼女。「ライブハウスに送られる物資がすごく心強かったし、音楽が私と震災後の街に力をくれた」と自身の経験や考えを語り、代表曲といえる「女の子は泣かない」、デビュー曲「夏の夜」といった楽曲を温かい弾き語りで届ける。「最後は命の歌を歌って帰ります」と、願うように祈るように歌った新曲「予兆」の歌声が深く深く胸に響いた。
九州DJ大作戦 : 片平里菜 撮影=松尾凌太
九州DJ大作戦 : 片平里菜 撮影=松尾凌太
『TRIANGLE』スペシャルトークセッション
続いて、メンバーの負傷により、急遽出演キャンセルとなったハルカミライに代わってステージに立ったのは、KBC九州朝日放送アナウンサーの長岡大雅とXmasEileenのDJ。さらに北島康雄(四星球)、あやぺた(Dizzy Sunfist)、横山優也(KOTORI)がステージに呼び込まれ、始まった緊急企画は「『TRIANGLE』スペシャルトークセッション」。『TRIANGLE』の思い出から全く関係ない話まで、ワイワイと愉快なトークで盛り上がった後は、横山がアコギを背負って弾き語りを披露。「みんなで歌える曲を」と始まった、ゆず「夏色」のカバー。さらに出演出来なかったハルカミライの想いを背負って、「ファイト!!」、「アストロビスタ」の2曲を熱唱。ハルカミライのキャンセルは残念だったが、他では絶対に見れないスペシャルなトークと弾き語りライブは大満足の内容だった。
SUPER BEAVER 撮影=タカギユウスケ
SUPER BEAVER 撮影=タカギユウスケ
雨も上がってすっかり陽が落ちた頃、電飾で明るく飾られたステージに堂々登場したのは、初日のトリを務めるSUPER BEAVER。盛大な拍手に迎えられてメンバーが登場すると、渋谷龍太(Vo)が「締めくくらせていただこうかな」と告げ、シンバルカウントから「名前を呼ぶよ」でライブが始まる。渋谷が歌い始めた瞬間、ヒリついた緊張感が走り、会場の空気が一変。アコースティックの優しいサウンドに乗せたメロディや歌の力は、バンドサウンド以上に強くダイレクトに心に響き、高ぶる感情を抑えられない観客から力強く拳が上がり、曲中にも拍手が起きる。色気と力強さと圧倒的求心力をまとった、渋谷のその姿はまさにロックスター!
SUPER BEAVER 撮影=タカギユウスケ
SUPER BEAVER 撮影=タカギユウスケ
続いて、観客の軽快な手拍子で始まった「赤を塗って」で一体感を生むと、『TRIANGLE』がいつもの形で開催出来なかった3年について、「我々もオンステージして、面と向かって音楽を鳴らせるってことがどれだけ尊いかってことが、しっかりと分かれたと思います」と真摯に語り、披露した曲は「人として」。星空の下、騒がしい虫の声と共に響く演奏とエモーショナルな歌声にすっかりやられてると、グルーヴィーな「mob」で踊らせ、ラストは「東京」を披露。ライブ終演後、贅沢で幸せな時間があっという間に過ぎ去り、観客が充実感と余韻に浸っていると、空に大きな花火が上がる。この日見た貴重なアコースティックライブの数々は、大雨や夕焼け空、雨上がりの夜空に上がった大きな花火といった風景と共に、いつまでもみんなの記憶に残ることだろう。

取材・文=フジジュン

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