『ブシロード15周年記念ライブ』リレ
ーインタビュー企画vol.1 『少女☆歌
劇 レヴュースタァライト』小山百代
佐藤日向が語る「みんながポジショ
ンゼロなコンテンツ」

2022年11月13日に、ベルーナドームで『ブシロード15周年記念ライブinベルーナドーム』が開催される。様々なコンテンツを展開するブシロードが各コンテンツを一同に集結させるお祭り、今回SPICEは出演する各コンテンツから代表の方に連続インタビューを敢行することにした。第一弾は『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』から主人公愛城華恋役の小山百代と、星見純那役の佐藤日向。10周年記念ライブでお披露目となったスタァライトも5周年を迎えるが、改めてブシロードの中でのスタァライトとはどんなコンテンツなのか?独占でお届けする。

■舞台をやったときにやっとスタートできた安心感があった
――ブシロード15周年記念ライブに向けてのインタビュー連載の1発目という事で、今回は『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を代表してお二人にお越しいただきました。まず自分がスタァライトに関わるって決まった時の気持ちをまず教えていただければなと思うんですが。
小山:オーディションがもう6~7年前のことなんですが、合格をいただいた時はちょっと信じられない気持ちでした。上京してオーディション初めて受かった作品だったので、凄く嬉しかったです。
佐藤:ちょうどオーディション中が現役高校生だったので、十代のうちに出来る事は何かって模索中だったんです。メディアミックスっていうものが、当時は今ほどメジャーではなかったので、どういったものなんだろうって思いながら受けたんですけど、いざ合格が決まってキャスト表を見た時に、自分の憧れの方がいらっしゃったり、過去にオーディションで会った百代ちゃんがいたり、自分の中では想像のできないメンバーがそろっていたので、これからどうなって行くんだろうってワクワクした気持ちしかなかったですね。
――あらためてブシロードって色んなコンテンツがあると思うんです。ご自身が他にも関わられてるものもあると思うんですけど、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』はその中でどういうコンテンツなのか、客観的でもいいので印象をお聞きできれば。
小山:スタァライトの印象ですか、最初のオーディション時点で、アニメとゲームと舞台っていうのは最初から明示されていたんです。凄い盛りだくさんだなっていうのと、自分がやりたい事とやってきた事が詰まっていたものだったので、絶対にやりたい! とずっと思っていました。
佐藤:横浜アリーナで行われた『ミルキィホームズ&ブシロード10周年&スクフェス4周年記念ライブ in横浜アリーナ』の時に初お披露目だったんですけど、その時点で反響というかお客さんの期待度が凄く高かったのを覚えていますね。とは言え扱う内容がかなり舞台に特化したもので、使う用語とかも舞台用語がかなり多いコンテンツではあるとは思っていました。
――確かにそうですね。
佐藤:私達は演者側として知っているワードだったり仕組みはわかってるんですけど、知らない人が見た時にどう感じるのかな?とは思っていて。コンテンツとしては舞台先行だったので、舞台をやった時にやっとスタートできたというか、安心感があったのを覚えていますね。そこのタイミングで客層がかなり幅広いコンテンツなんだなと感じました。
――僕の個人的なスタァライトの印象は、舞台人ならではの「頑張っても報われない事多いよね」みたいな嘆きを「キラめき」を奪い合うという形で描いている所ですね。そこから立ち上がることを「アタシ再生産」と名付けているのも凄い作品だなと思っています。実際僕の周りのアニメが好きな演劇人の間では、観ていてしんどい展開もあるという意見が結構多いんですよ。
小山:泥臭さがリアルに描かれているというか、各キャラクターによっての葛藤が違ったりするのは、演劇をやってる人もやってない人も、感じ取り方が違う凄い面白い作品だと思いますね。
――佐藤さん演じる星見純那はアニメ一話でいきなり乱入されて敗北しちゃいますしね。その辺も芸能のシビアな部分を重ねるとある意味リアリティがあるというか。
佐藤:そうですね。
佐藤日向 撮影:大塚正明
■視点が変わるだけで演出そのものが変わると思っている
――改めてメディアミックスが頭から決まってるコンテンツで、舞台からアニメ、ゲームなど展開していく中で、自分の中で意識が変わったりはあったんでしょうか?
佐藤:まず舞台先行で、アニメの脚本が出来てない状態だったのもあって、アニメーションでどう描かれるかはわからない状態で舞台に立って演じるという、いつもの自分の役の作り込み方で『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #1』をやらせて頂いて。その後テレビアニメシリーズのアフレコだったので、生身で演じるものとアフレコをするための映像を通してお芝居をするっていうギャップはやっぱり感じましたね。演じ方とか発声の仕方も全然違うし、キャラの作り込み方もちょっと違ったなと思いました。舞台ではこの純那だったけど、アニメではこの純那、みたいな演じ分けというか。芯の部分は同じなんですけど、細かいディテールみたいな部分では違うのかなって。演じていてそこは変わったというか変えた部分ではありますね。
小山:演じるという意味でいうと、華恋はそこまで舞台とアニメで大きく矛盾があるという感じではなかったんですけど、私達も知らないような細かな情報がアニメーションの中でたくさん含まれていたので驚きましたね。私達が『#1』をやっている頃は、ばなな(大場なな)がまさかこういうキャラクターだった事は私達自身も知らなくて。
佐藤:舞台とアニメではそこで受け取ってる感情も違ったよね。アニメの脚本と舞台の脚本を違う人がやってるっていうのもまた面白いのかなって思いますね。考えが1個にならず、幅広くキャラクターの受け取り方が見てる側も演じてる側もあるので、違いがあるのかなと思います。
――アニメーションが動いていても声を入れているご自身は動かないじゃないですか。皆さんが自分の肉体を使って演じたキャラが、アニメーションとして動いているのは面白いと思ったんです。
小山:『#1』がアニメの第一話と重なる部分だったと思うんですけど、舞台の方の演出家が児玉明子さんで、アニメの方の演出家と言っても過言ではないのがアニメーション監督の古川監督だと思うんです。ト書き(せりふ以外の,主として登場人物の動作や行動を指示する部分のこと)だったり筋書きが同じものだとしても、視点が変わるだけで演出そのものが違うのかなと私は思っていて。
――そうだと思います。まず二次元と三次元で演出も変わりますよね。
小山:生身の人間で表現できる部分って限界があるので。レーザーをどう使うのかとか、パネルを使って映像を投影するのかとか、生だからこそできる面白さが舞台ではあったと思うんですけど、アニメーションでは古川監督の細かな部分というか、私が演じていたものを見て取り入れてくださった逆輸入的な物もあったりして。例えばテレビアニメシリーズの2話の金テープみたいなものが弓矢を放つと出るのは『#1』の演出内にあったものを取り入れてくださっているんです。お互いの演出部分が輸入されるのが凄く面白いなって思っていて。アニメでしか表現できないものがふんだんに詰め込まれているのがテレビアニメシリーズだと思っているので、そこが舞台を観た事ない人も入りやすい演出の一つなのかなと思います。
小山百代 撮影:大塚正明
■私たちの作品で舞台に足を運ぶことに対する敷居がなくなると嬉しい
――小山さんで言うと座長という立場じゃないですか。主人公を振られた時に自分の中の意識として変わった部分ってあったりしたのでしょうか。
小山:元々、九九組9人全員が違うフィールドでやってきているメンバーだったので、自分がどうひっぱろうとか自分ががんばらなきゃというよりは、各々がやってきた事を出せる場がスタァライトなんです。だから私がもっとこうしようとか言うことは特に無くて、もうみんなそれぞれが色んなジャンルでやってきた事を出し切る場が『#1』の舞台だったと思っています。アニメはアニメで私も含め、経験が少ない面々が声優を主にやってるメンバーに支えてもらう部分がたくさんあったんですけど、座長だからとか真ん中だからという意識はあんまりなくて。そういう風にしてくれたのはみんなが支えてくれたからだというのが一番大きいですね。
――今回はブシロード15周年記念のインタビュー連載という事で、スタァライト以外の他のコンテンツ作品で、好きなものや印象に残ってるものって何かありますでしょうか。
佐藤:同じ舞台でいうとアサルトリリィの舞台は何度も拝見させていただいていて。アサルトリリィもスタァライトと同じで舞台もやって、アプリもやって、ライブもやって、同じような形で活動しているコンテンツなので、凄く刺激をもらうというか。同世代の面々で九九組のメンバーもいますし。
――そうですよね。
佐藤:舞台ももちろん観させていただいて、女の子が戦うという面では近しいものがあるのかなって。なんとなくの印象なんですけど、アニメファンの方たちってあまり舞台を観に行く機会って無かったと思うんですよ。
小山:舞台って行くハードルが結構高いかもね。
佐藤:4~5年前にスタァライトが初めての舞台ですっておっしゃる方が多かったんです、なのでアサルトリリィとスタァライトで舞台というものに足を運んでくださる人口が少し増えたんじゃないかなと思っていて。私たちの作品でアニメファンの方が舞台に足を運ぶことに対する敷居が無くなっていたら嬉しいですね。
――佐藤さんはいかがですか?
佐藤:スタァライトの舞台の一部が元宝塚の方や、ジャズダンスだったりの色んなジャンルが混ざった結構クラシカルなダンスをやっていたんですけど、二部はRakudaちゃんという方が振り付けてくださってるわりとポップス寄りのダンスだったんです。そうやって色んなジャンルのダンスを踊らせてもらって、それを経てD4DJに関わったんです。私はPhoton Maidenで活動させてもらっているんですけど、スタァライトの活動が無かったら、Photon Maidenでのダンスをちょっと踊れなかったと思うんです。私にとっては両方大事なターニングポイントになっているので、是非Photon Maidenも注目して欲しいです。
撮影:大塚正明
■ブシロードにおけるスタァライトの立ち位置は「真ん中」
――さらにお聞きしますが、数あるブシロードコンテンツの中でスタァライトは他のコンテンツにはここだけは負けないと思うという所があればお聞きしたいです。
小山:どれをとっても個性的というか、歌に関しても誰がどこを歌ったか聴いたらすぐわかるというか。「今、麻帆さんだ!これは輝ちゃんだ!」とすぐわかるところとか、9人が何もかぶっていないので、そういうところでは初めてスタァライトを観た方でも9人がどういうものなのかを認識しやすいグループなのかなって、そこが強みだと思います。
佐藤:そうですね、確かにめちゃくちゃ仲いいですね。スタァライトの現場よりもプライベートの方が会ってると思う。常に9人の中の誰かしらとは連絡をとっています。ポンと伝えたくなった事とか、見て欲しいものとかがあるとすぐ九九組に送りたくなるみたいな。
小山:そんな感じだよね。
佐藤:コロナ禍でライブも少なくなったりして、なかなか9人で集まる事がなくなっちゃったんですけど、それでもその中でもどこかでつながっているというか、ちょくちょく9人のLINEも動くんですよ。変顔とか間違っちゃった瞬間の写真とかをめちゃくちゃ送るっていう九九組のLINEグループのアルバムがあるんですけど、会えない間はそういうのを見て元気出してます。
――プライベートで仲がいいのはファンは嬉しい感じだと思います。やはり舞台をやっているからこそ生まれるシンパシーみたいなものはあるかもしれませんよね。ブシロードコンテンツの中でも特殊な立ち位置というか、全部のコンテンツが特徴的ではあるんですけど、改めてスタァライトの立ち位置ってどういうものだと思われますか?
佐藤:ライブとかだとミルキィ(ホームズ)さんがいて、バンドリ!さんがいてというのが大きくて、三森さんはミルキィだし、(伊藤)彩沙ちゃんとあいあいさん(相羽あいな)はバンドリ!で、経験したものを私達に背中で見せてくれるというか、いい先輩がいるグループです。スタァライトが始まって5年経って、ライブに出る中だと真ん中ぐらいのキャリアなのかな。
――そうですね、真ん中ぐらいになるかもしれないですね。
佐藤:ですよね、まず10周年の景色を9人で見ているので、それを持って15周年のステージに立てるのは凄くありがたい事だなと思ってます。立ち位置と問われると、「真ん中!」かな(笑)。
――そう考えると、先輩コンテンツもあるし後輩コンテンツもあるしという所ですもんね。
佐藤:なんか、5年経ったんだな……という感じがします。スタァライトはライブの数も他のコンテンツに比べると多くはないんですけど、1回が大きいというか、その分込める気持ちが大きいので。横浜アリーナのお披露目の景色をこの5年を忘れる事はなかったので、また15周年であらたな景色を目に焼き付けたいですね。スタァライトとしてはドームに立つのは初めてなので、またひとつ素敵な思い出が作れたらいいなと思います。
小山:私の印象なんですけど、スタァライトに関してはコンテンツ自体が舞台を扱ってるというのも相まって、いわゆる裏方の方が媒体に出る機会が多い珍しいコンテンツだと思うんです。
――作中でも舞台創造科が出てくるくらいですもんね。
小山:そうですね、例えば、他のブシロードコンテンツさんの中でも、誰が作詞なのかとか誰が作曲なのかっていうのをそこまで重視するかというと、そういう印象はあまり無いんです。どのキャストが歌っているかという印象の方が強いと思うんですけど、スタァライトに関しては「(中村)彼方さんが作曲してくれたんだ!」とか「本多(友紀)さんが作曲だからスタァって付いているんだ!」とかそういう考え方があったり、例えばデザインで言うと濱(裕斗)さんがいつも担当してくださっているので、「濱さんがデザインっていう事はこういうのが」みたいなお客さん側がキャストだけでなく裏方の方の名前を覚えた上で、裏方の皆さんのお仕事の内容をちゃんと把握しているっていう凄い不思議なコンテンツになっているので、裏方だけど裏方じゃないみたいなところがあると思っています。メインはキャストだけじゃない珍しいコンテンツ、立ち位置にあると私は思いますね。キャラ重視のコンテンツもあると思う中でキャラとキャストと裏で支えてくれている方が、全員前に出てくるっていう。みんなが主役なのかなと思える。立ち位置はポジションゼロということでいいですかね!
佐藤:はい、ポジションゼロで!
小山:みんながポジションゼロなコンテンツです(笑)。
――ありがとうございます。それでは最後に、15周年ライブに対する意気込みをそれぞれ聞かせていただければと思います。
小山:5年前にこのブシロードライブ10周年の時にお披露目した私達が、この5年舞台やアニメやライブを経て、15周年のライブにまた立てる事が凄く嬉しく思っています。今回は9人全員で出演する事はわなかったんですけど、9人の想いで舞台に立ちたいです。スタァライトらしさをドームで存分に発揮したいし、まだスタァライト観た事ない! という方もきっと観てくださると思うので、このブシロード15周年のライブをきっかけにスタァライトされる人が1人でも増えたら嬉しいです。一緒に楽しんでいただけたらと思います。
佐藤:あらためまして星見純那役の佐藤日向です。ブシロードの10周年ライブの時がスタァライト九九組の9人が初めて全員揃った日だったので、実質顔合わせみたいな日だったというのを凄く覚えています。そこから5年経って9人でいる事が当たり前になっているのが、私の中で凄い大切な存在になっているんだなというのを日々実感しています。さっき百代ちゃんも言ってましたが、今回9人で揃う事ができないんですけど、2022年に歌って踊るっていうのが、九九組は今回のライブが初めてになるんです。開催は11月なので、初めてだけど今年の歌い踊り納めになるのかなと。みなさんには是非どんな曲を歌って踊るのかを想像していただきながら、ここに来るまでにまだ披露してない新曲がたくさん積もっているので、過去の楽曲を聴いて待っていただけたら本当に嬉しいです。お待ちしております!
インタビュー・文=加東岳史 撮影=大塚正明

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