純烈 小田井涼平の卒業発表からダチ
ョウ倶楽部とのコラボ、その裏に隠さ
れた不思議な縁

9月1日から全国ロードショーとなった主演映画『スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免』の舞台挨拶にて、年内でグループを卒業する小田井涼平の後任としてライダー出身の俳優・岩永洋昭加入をサプライズ発表した男性歌謡コーラスグループ・純烈。彼らが9月14日に新曲「君を奪い去りたい」を発売する。小田井卒業のシメに合わせて、別れソングを集めた今作。Gタイプには、純烈&ダチョウ倶楽部として歌唱し8月に配信した「プロポーズ」に加え、猿岩石の大ヒット曲「白い雲のように」のカバーが収録される。ここでは、小田井卒業発表からダチョウ倶楽部とのコラボ。その裏に隠された不思議な縁を巡る話を、現メンバー4人に訊いた。
――まずは改めて、小田井さん卒業に関してなのですが。なぜこの時期だったのですか?
小田井涼平:タイミング的には、僕としては1度目の『紅白(歌合戦)』出演がった年に、僕のなかでは区切りをつけるつもりで、その翌年1年間やったら卒業しようと思っていたんです。が、そのときにメンバーのスキャンダルが発覚して、彼が辞めることになったんですね。そこで事務所の方と話をして、4人体制で落ち着くまでやることになったんです。そうしたら、ほどなくしてコロナ禍で、コンサートの中止や延期が相次いでしまった。なので、まずはそのコンサートを消化してからじゃないと卒業できないなと思ったんですね。その間にあった映画(『スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免』)の撮影は、割り切って楽しくやらせていただいて。それで、コロナ禍でやれなかったコンサートツアーも全部やれたので、今年4月のタイミングで卒業を発表したんです。
――なるほど。そして、この小田井さんの卒業発表を受けて、純烈は新メンバーの募集を。
酒井一圭:いや、募集はしてないです。小田井さんも、白川(裕二郎)も、後上(翔太)も募集してないですから。勝手に。
白川:リーダー(酒井)のチョイスで選んでくれたんですよ。
酒井:それと一緒で。だから、記者会見のときも「新メンバー募集のオーディションはしません。いままで通り“酒井フィルター”で選びます」といったんですけど。そこで「理想はどんな方ですか?」と聞かれたので、後上が179cmなので身長は175cmぐらいから2mぐらいまで。年齢は30~50代ぐらいの人を自分で見つけようと思いますといったら、それを見た人が「僕、やりたいです」といろいろいい出してくれて。
酒井 一圭
世の中の人はここまで親しみを持って純烈を見ててくれてたのかと思って、嬉しかったですね。(酒井)
――あのニュースになっていた名古屋CBCの永岡アナウンサーとか、ですよね?
酒井:そうです! すべてはあの永岡アナ始まりで。名古屋の方がそんなこといってくれたのが嬉しかったので、僕が「それおもろいやん」ってポジティブな反応をしたもんだから、そうしたらモノマネの人(松本人志のモノマネのJP、イチロー氏のモノマネ芸人のニッチロー)やタレントさん(JOY、楽しんご、野々村真)、ゆるキャラまで次々に「僕も!」といいだして。そうしたら素人の人まで「うちのパパどうですか?」というのが事務所とかインスタに来るようになり。あらゆるメディアに出るたびに「募集してない」っていえばいうほどに応募がきて。世の中の人はここまで親しみを持って純烈を見ててくれてたのかと思って。それは嬉しかったですね。
――これが、例えばEXILEのようなダンス&ボーカルグループのオーディションでは絶対にこういう展開にはならないですもんね。
酒井:それが「純烈やったら俺でもできるんちゃう?」という感覚を抱いてくれて。いろんな状況のいろんな方から応募があって面白かったですよ。で、そのトドメとしてやってきたのが。
――ダチョウ倶楽部さん!
酒井:そうなんです。ダチョウさんも募集してないのは分かった上で、肥後さんたちが一番悲しいときに「ダチョウ倶楽部は解散しません。2人で純烈のオーディション受けます」と追悼コメントを出されて。あれだけ人を喜ばしてる芸能界の大先輩がそういって下さったのがすごく嬉しかったですよ。
後上 翔太
「一期一会のご縁、偶然が全部地続きで繋がっていく」という純烈らしさの真骨頂なんですよね。今回のコラボは。(後上)
――仕込みかなのかなと思ってたんですが。
酒井:それが、全然仕込みじゃないんですよ! だからこっちも驚いた。ホント不思議(微笑)。
白川:とくにダチョウさんとかは小さい頃からテレビで見ていたので、そういう方が純烈に? と最初は半信半疑でした。でも、この間さっそく歌番組をご一緒させていただきましたけど、やはりすごくありがたかったです。ああいったことがあっても、お2人はプロとしての姿勢を見せてくださって。そういったところは僕たちも学ばなきゃいけないなと思いましたね。そのときは「白い雲のように」を歌わせてもらったんですが、改めて「ああ、この歌は天国に行かれてしまった上島さんに向けた歌だな」とグッと来るような熱い気持ちが感じられたんですよね。今後もダチョウさんとのコラボは楽しんでいきたいですね。
後上:純烈って、そもそも偶然が偶然を呼ぶグループなんですよ。
――えっ。どういうことですか?
後上:例えば、僕らの“スーパー銭湯アイドル”というのも、スーパー銭湯に行き着く前にキャバレーでやらせていただいてて。そこに偶然、テリー伊藤さんのご来店があったからこそ、そこからラジオや『スッキリ』に出させて頂いて。その番組を見た健康センターのエンタメ事業部の方からご一報頂いて、という流れがあったからなんですね。なので、その流れの一つでも欠けるといまの純烈はない。そういう歴史をもつグループだと思うんですけど。今回も、小田井さんが卒業を発表するタイミングがいまじゃなかったら、「俺も、俺も」ってみなさんがこぞっていってくださるほど純烈の楽しいイメージは、まだ浸透していなかったかもしれないですし。だから「日々の一期一会のご縁、偶然が全部地続きで繋がっていく」という純烈らしさの真骨頂なんですよね。今回のコラボは。
――へー、そうなんですね。
小田井 涼平
僕が抜けても純烈は純烈。いろいろ思いを込めすぎると湿っぽくなってしまうので。僕はフラットな感覚でやらせてもらいました。(小田井)
小田井:僕は単純に、これは“いじり”やと思ってますけどね。今回の一連のことに関しては、自分が卒業するっていっただけで「こんなムーブが起こるんや」と思って。こんなにいじられるグループになったんや、おいしいやんこれ、と思いましたね。ありがたいことですよ。
――ホントそうですよね。小田井さんがまだ在籍しているにも関わらず「僕も!」って新メンバーになりたい人が有名人から一般人まで次々と出てくるなんて、まずありえないですもんね。
小田井:他の人やとこうはならないでしょうね。僕らは世間様がいじりやすいような活動をしてますから。
――このムーブメントも純烈ならではだと。
小田井:そう思います。
――そこにダチョウ倶楽部さんがのっかってきたことに関してはどう感じられました?
小田井:僕が抜けても純烈は純烈、2人でもダチョウさんはダチョウさんなので、僕的にはその2組がユニットを組んでコラボしましたという、すごく純粋な感覚でやらせてもらいました。僕が卒業するとかダチョウさんは上島さんのことがあってとか、いろいろ思いを込めすぎると湿っぽくなってしまうのでね。だって、明るくないとダチョウ倶楽部さんと組んだ意味がなくなりますから。と僕は思うんで。僕はフラットな感覚でやらせてもらいました。
白川 裕二郎
「この歌は上島さんに向けた歌だな」とグッと来るような熱い気持ちが感じられて。今後もダチョウさんとのコラボは楽しんでいきたいですね。(白川)
――後上さんはダチョウ倶楽部さんとのコラボ、いかがでしたか?
後上:ダチョウ倶楽部さんは芸人さんの世界のなかでもレジェンド中のレジェンドの方なので、TV画面を通して、前からの姿しか見たことがなかった訳ですけど。一緒に活動していく中で、横に立ったり後ろ姿を見たりできる。それ自体がとても貴重な経験で。本当に肥後さんが純烈を頭の中に思い浮かべてくれたことへの感謝。それしかないですよね。
――このユニットで最初に配信シングルとしてリリースした「プロポーズ」は、元々番組でダチョウ倶楽部さんがモノマネをして下さってたんですよね?
酒井:はい。あのタイミングは『紅白』に出るか出ないかで純烈がすごく話題になってて。なおかつ小田井さんとLiLiCoさんとの結婚もあったから、まずはじめにジモンさんが「LiLiCoさんいけるな」ってなって。そこからの組み立てで肥後さんが小田井さん、上島さんが自分をやってくださった。そうして、最後にLiLiCoさんご本人が出てくるという出し物だったんですけど。これも縁があるというか。
――そこからダチョウ倶楽部さんとは縁がつながっていたのですね。
酒井:いや。実はもっと前からです。僕は純烈やる前。『竜兵会presents「太陽様を囲む会」』という竜兵会のトークライブがあったとき、新宿ロフトプラスワンでマイクスタンドを用意したりしてましたから。たまたまですけど。
――ええーっ!!
酒井:そういう風に「ええーっ!」てなる話ばかりですから。純烈界隈は。例えば、僕らのデビュー曲(「涙の銀座線」)は琴姫さんが作曲して下さったんですが、僕らがまだ俳優時代、ボイトレに通っていた先生に「誰か作曲家いないですか?」って聞いて、そこで紹介してもらった方が琴姫さんだったんですよ。琴姫さんは「旦那は作詞家」とおっしゃってて。よくよく聞いたら、氷川きよしさん、天童よしみさんで2年連続で日本作詞大賞を受賞されていた水木れいじ先生で。それで、紹介してもらって。事務所のスタッフやレコード会社の人みんなで先生のところにお願いにいったんですよ。だから、2ndシングル(「キサス・キサス東京」)の作詞が水木れいじ先生なんですね。とかね。そういうのがず~っと続いていくんですよ。純烈は。
>>次のページでは、メンバーの“人運”エピソードと今後の展望について訊いています。
――メンバーの誰かが強運なんですかね。
酒井:僕らはライダーや戦隊にはなれた。これ以上にハネたい、売れたいという思いで純烈を作ったのに、なぜそこに後上という素人を入れたのか。当時、「なんでライダーや戦隊で固めないんですか?」ってよく聞かれたんです。でもこの世界、努力は当たり前、才能あるのは当たり前。そのなかで、最終的に最重要なのは“運”なんですね。
――ほほぉー! それでそれで?
酒井:それで「誰か運のいい人いませんか?」ってみんなに聞いて回った訳。そうしたら、会社にいた1人の子が「僕の後輩で車にパーン引かれて、車はペチャンコになったのに3日で退院した訳わからん奴がいますよ」っていうから「そいつ連れてきてくれ」って。ギャル男みたいな風貌で来たのがコイツです。
後上:ふふふっ(苦笑)。
酒井:その風貌を見て、この2人(小田井、白川)が「嘘やろ。ほんまに入れんの?」って凍りつくという(笑)。それで「2人は入れたくないって。僕らが狙ってるおばちゃんたちも一番嫌いなタイプだから、まず日焼けサロン通いを止めてください。持っている先が尖ってる靴とかジャラジャラのアクセサリーは捨ててユニクロ的なファッションにしてください」というところからスタートしました。
――運で選ばれた。
後上:みたいです(笑)。そうじゃないと自分である必然性はまったくないですから。でも、僕の運だけではないです。リーダーとかも“人運”はすごくいいんで。各々発揮するところが違う、なにかしらの運を持ってるんじゃないのかなと思います。
酒井:そうだね。その人運の連鎖が、純烈はいまも続いてるんですよ。それにずっと助けられてますね。苦しいときも、芸能界の先輩方がいろいろいじりながらも僕らを助けてくれた。だからこそ、僕らも歯を食いしばって復活できた訳ですから。いつか僕らも誰かを助けられるグループになれたらと思っていた訳です。
酒井 一圭
――自分たちが芸能界の先輩方に助けられたからこそ。
酒井:そう。そうやって芸能界ってできてるんだなとも思ったから、今回のダチョウさんのこともね、最初に「純烈に加入したい」といったとき、僕がポジティブな反応をしたことに対してまずお礼をいいたいという話で、雑誌社さんを通じて対談の申し込みがあったんです。対談してみたら、ジモンさんも肥後さんも「ダチョウ倶楽部としてこれからいくぞ」という前向きな感じやったんですよ。それで、僕はそこでさっき話してたことを思い出して。僕のほうから「もし肥後さんとジモンさんが今後もポジティブな感じで活動する感じやったら、純烈と一緒にコラボとかどうですか?」って聞いたんです。
――酒井さんからの提案だったんですか?
酒井:ええ。そうしたら、肥後さんが「ダチョウ倶楽部はデビュー以来たけし軍団でも断るようなキツい仕事も全部引き受けてきて。誘われた仕事は1回も断ったことがないので、純烈のリーダーさんがそうおっしゃってくれるなら僕らはやります」とおっしゃってくれたんです。そのときにね、肥後さんとジモンさんが「光が見えてきたよ」って2人で小声で話してて。
――うわー、なんか泣けちゃいますね。
酒井:そう! そこから純烈&ダチョウ倶楽部につながっていったんです。だからね、すべて縁なんです。今回も、小田井さん卒業という面白いものをぽちゃーんと池に投げたら、なにかが起こると思ってたし。これからもきっと起こるんですよ。それで、いいことがあると、くるぞくるぞーって悪いニュースがくる。でもそこは、2018年の1回目の『紅白』に出た嬉しさと、あの直後のスキャンダル発覚による謝罪会見の体験があるから、もう免疫ができてる。だから怖いものはないです(笑)。
小田井 涼平
――そして、そんな純烈は9月14日に最新シングル「君を奪い去りたい」【Gタイプ/Eタイプ/Fタイプ】をリリース。今作は全曲お別れソングでしたが、これは小田井さん卒業にちなんで、ですか?
酒井:うん、まさに!
白川:「君を奪い去りたい」と「いつまでも忘れないから」(Eタイプ収録)はみんなで歌ってますけど、「愛言葉」(Fタイプ収録)は小田井さんがメインボーカルですからね。
酒井:これも小田井さんの卒業がなければこうはなってなかったですから。EタイプとFタイプは小田井さんのシメの作品という感じです。そこにイレギュラーでダチョウさんが現れて、Gタイプまでいっちゃった感じです。
小田井:作家の先生方としては、僕の卒業というよりも、ファンの気持ちで書いてらっしゃるんだと思いますけどね。リスナーのみなさんに向けてのお別れソングではなく、僕を応援してきてくれたファンの方に的を絞って書かれてる気がして。だから、今作に関してはみんなに届けたいというよりも、ファンの方に届けたい、刺さってほしいと僕は思ってます。
――「愛言葉」は合言葉であり、みなさんへの“ありがとう”を伝える愛言葉であり。
小田井:いろんな意味がこもっていますよね。僕らからの愛、みなさんからの愛、いろんなことをかけての言葉ですね。
――純烈&ダチョウ倶楽部の歌唱が収録されたGタイプでは、「プロポーズ」に加えて、新しく猿岩石の「白い雲のように」をカバーされていました。なぜこの曲をやろうと?
酒井:竜兵さんといえば有吉(弘行)さんだからです。これから出演していくフェスは純烈ファンだけじゃなく、たくさんの人がいる。実は、フェスに出てほしいというのも込み込みで、僕はコラボの話をもちかけてたんです。
後上 翔太
――それは、純烈ファンのマダムだけではなく、フェスに出て、多くの人々に笑ってもらうことでダチョウ倶楽部さんを励ましたいという酒井さんなりの作戦ですね?
酒井:そうです。それで、フェスに出たとき。「プロポーズ」は『紅白』で歌った曲だけど若い人は誰も知らない。でも「白い雲のように」だったらみんな分かってくれるし、竜兵さんと有吉さんのつながりも分かってくれる。これからフェスに出ていって。「じゃあみんなで歌おうか。“ヤァー”」を一緒にやって、この曲を歌うというのが、笑いを通して、音楽を通して一番のエールの交換になるかなと思ったんですよね。
――若い世代の純烈ファンが増えそうですね。
白川:若いファンって、まったく想像がつかないんですよね。
酒井:おばちゃんとかおばあちゃんに慣れすぎて。

白川 裕二郎
――はははっ。さて、このあとの純烈は?

酒井:小田井さんが12月31日に純烈を離れるので、その最後のステージが『紅白』になるように、連続出場に向けて1日1日頑張る。
小田井:発表したのにその年だけ出られないというのも、逆に純烈らしくておもろいなと思ったりしますけどね。どっちに転がってもおいしいなって思うんですよ。まあ僕は、100%今年出られた方が嬉しいですけど。
酒井:小田井さん、純烈入って15年ですから。我々としては絶対今年も『紅白』は出ないと。
――新メンバーはどんな方ですか? しゃべれる範囲で雰囲気だけでも教えてもらえたら嬉しいのですが(※取材は発表前に実施)。
酒井:俺と後上よりもカッコいい。
後上:うん、間違いないね。
酒井:白川と同じぐらい。あくまでも俺目線だけどね。

取材・文=東條祥恵 撮影=菊池貴裕

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