平井堅「ノンフィクション」歌詞の意味は?“帰れないサヨナラ”人生の暗い一面に切り込んだ曲を考察

平井堅「ノンフィクション」歌詞の意味は?“帰れないサヨナラ”人生の暗い一面に切り込んだ曲を考察

平井堅「ノンフィクション」歌詞の意
味は?“帰れないサヨナラ”人生の暗
い一面に切り込んだ曲を考察

TBS系ドラマ「小さな巨人」主題歌

『瞳をとじて』や『POP STAR』など、数々のヒット曲を世に送り出してきた平井堅。
安室奈美恵あいみょんといった、時代を彩る多様な人気歌手とのコラボでも知られる、日本を代表するアーティストです。
平井堅といえば、甘く切ないラブソングをイメージする方が多いかもしれません。
しかし、今回考察する『ノンフィクション』は、本人いわく「人生の苦渋や苦難を歌った」1曲。
平井 堅-ノンフィクション【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
TBSの日曜劇場『小さな巨人』の主題歌として書き下ろされた楽曲で、「生きること」をテーマに実体験に基づいて制作したそうです。
ドラマ主題歌という枠を超えて、舞踏家・工藤丈輝(くどうたけてる)と共演したMVや、欅坂46の平手友梨奈とコラボした『2017 FNS歌謡祭』でのパフォーマンスも大きな話題を呼びました。
そんな独特な世界観で表現される深遠な楽曲『ノンフィクション』。
果たして、その歌詞にはどのような意味が込められているのでしょうか。
実体験に基づく苦悩と切望
まずは1番の歌詞から見ていきましょう。
ノンフィクション 歌詞 「平井堅」
https://utaten.com/lyric/sa17051103
「夢はわないことの方が多い」と、冒頭から現実が突きつけられます。
嫉妬することへの自己嫌悪、ぐっすり眠れない夜、身近な人の裏切り。
どれも生きていく中で遭遇する人生の暗い側面だといえそうです。
そんな苦しい現実にさらされ続けていると、心身の疲労が積み重なり、頭がマヒして何事にも興味が持てなくなるのかもしれません。
「惰性で見てたテレビ消すみたいに」人生を終わらせたくなるというのは、自分の人生が他人事のように思えたり、ふとどうでもよくなったりする感覚を表しているのではないでしょうか。
続いて、サビの歌詞に入ります。
ノンフィクション 歌詞 「平井堅」
https://utaten.com/lyric/sa17051103
『ノンフィクション』には、親しい人が突然命を絶つという平井堅自身の経験が反映されているそうです。
「人生は苦痛ですか? 成功が全てですか?」というフレーズは、その親しい人への問いかけであるとともに、今まさに苦しんでいる人への言葉かけのようにも聴こえます。
「響き消える笑い声」は頭の中で響いては消える大切な人の声、「一人歩く曇り道」はその人を思い出しながら一人で歩く寂しさを表していると解釈できそうです。
「あなた」の本当の姿がみすぼらしくても欲まみれでも、生きて会えるならそれでいい。
「僕はあなたに あなたに ただ 会いたいだけ」からは、そんな切なる思いがあふれ出しているように感じられます。
「あなた」がもういないということ
続いて、2番の歌詞に入っていきましょう。
ノンフィクション 歌詞 「平井堅」
https://utaten.com/lyric/sa17051103
1番と同様、思い通りにいかない人生の苦悩が語られていますね。
「熱い戦いをただベンチで眺めてばかり」という部分は、主戦力として活躍できないことへの劣等感や虚無感を表していると推測できます。
それでも、取るに足りないように思える一生を健気に守る自分、生きることを諦められない自分が確かに存在するようです。
続いて、サビの歌詞に入ります。
ノンフィクション 歌詞 「平井堅」
https://utaten.com/lyric/sa17051103
1行目は「人生は悲劇ですか? 成功は孤独ですか?」。
成功が孤独かどうかは成功した人にしか分からない問いです。
はたから見て成功者に思える人でも、苦しみを抱えて最悪の結末を迎えることもあるでしょう。
成功できてもできなくても、人の一生には常に悲劇のタネがついて回るものなのかもしれません。
そして人生を悲劇で終わらせないためには、本音で語り合える存在が重要だといえます。
正しくなくても、くだらなくても、生きて会えるならそれでいい。
そう思いながらも、もう二度と会えない大事な人。
「鞄の奥で鳴る鍵 仲間呼ぶカラスの声」からは、記憶の中の笑い声がやみ、現実に虚しく響いている音にフォーカスが移ったことが読み取れます。
大切な人がもう存在しないという、どうしようもない現実に立ち尽くすような描写ですね。
どれだけ悔やんでも「帰れないサヨナラ」
ここからは最後の歌詞を見ていきます。
ノンフィクション 歌詞 「平井堅」
https://utaten.com/lyric/sa17051103
「何のために生きるか」や「誰のために生きれるか」と、生きる目的や活力について投げかけているようです。
自分の境遇を恨んでしまいそうなときや悲しみに限界を感じたときなど、生きることをやめたくなる瞬間は人それぞれでしょう。
それを踏みとどまらせる何かや誰かの存在があったなら、「あなた」の未来は変わったのかもしれません。
「秘密 涙 ひとり雨 目覚めたら襲う不安」は、毎晩のように人知れず涙を流し、毎朝のように不安に襲われ苦しんでいる「あなた」のイメージなのかもしれません。
手遅れになった「あなた」に二度と会えないという現実。
「信じたいウソ 効かないクスリ」というのは、ウソだと信じたい、クスリを使っても眠れないといった、遺された者の悲痛の思いを表現していると考えられます。
ただ、どれだけ悔やんでも最後に会った日に戻るようなことはできません。
「帰れないサヨナラ」とは、最後に手を振って別れた瞬間が脳裏に焼きつき、気持ちの整理がつかない状態を表しているのではないでしょうか。
続く最後の歌詞は「叫べ 叫べ 叫べ 会いたいだけ」。
苦しみや悲しみ、後悔といった感情が混ざり合い、「会いたい」という思いがピークに達しているようです。
そんな届かない想いに悩み、悲嘆に暮れることもまた、人生の現実「ノンフィクション」なのでしょう。
人生の暗部に切り込んだ歌詞
今回は、平井堅『ノンフィクション』の歌詞の意味を考察しました。
決して美しいことばかりではない人生の暗部に切り込んだ、メッセージ性の強い歌詞でしたね。
本当に追い詰められている人や絶望している人は、外から見るだけでは分からないものです。
大抵の場合、誰だって自分の人生で精一杯でしょう。
それでも互いに苦しみを共有できるほどの友人がいれば、大事な人に花束を手向けさせるような悲劇は少なくなるのかもしれませんね。

UtaTen

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