『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ

『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ

チョーキューメイ、
ポしなとレトロリロンが出演した
自主企画ライブのレポートが到着!

 チョーキューメイが、自身初企画『忘れた頃にやってくる』を開催。レトロリロンポップしなないでと創りあげた“ふと思い出してしまう”一日となった。

 2022年6月度タワレコメンにも選出され、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進を続けるチョーキューメイが、9月11日(日)東京・Shibuya eggmanにて3マンライブ『忘れた頃にやってくる』を開催した。彼らにとって記念すべき初企画となるイベントには、初ライブのときに対バンをして以来、縁を感じるバンドだというレトロリロンと、メンバーが兼ねてより好意を寄せていたポップしなないでが参加。イベントタイトルにこめられた「忘れた頃に、ふと思い出してしまうような日にしたい」という想いを体現するエモーショナルな一日となった。
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/レトロリロン

『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/レトロリロン

 “才能ないならやめちまえ”という印象的なフレーズで、一気にオーディエンスを惹きつけたのはレトロリロンである。刺激的なリリックの「それでも生きていたい」を投下し、感情の濃淡によって自身の持つ世界観を色濃く描きあげていく。人間の持つ情けなくも愛しい一面を映し出したかと思えば、「エスケープ」ではバンドで音を重ねる楽しさをまざまざと見せつける。間奏の変拍子だって、4人にかかればお手の物。息のあったグルーヴをShibuya eggmanに刻み付けた。

 ムーディーで抜きの美学が光る「Slow time lover」、ギターのカッティングに色気が香る「Restart?」。いずれの曲でも常にバンドは呼吸を続け、繊細かつ大胆に抑揚をつけて奏でられていく。「きれいなもの」の前半では涼音(Vo&Gu)とタイキ(Dr)による緻密なセッションパートも繰り広げられ、彼らが持つスキルを遺憾なく発揮した。

 涼音はMCで「人に評価される・されないは関係なくて。自分のなかで、これは大事って思う何かがあるのなら、くじけそうになっても大事にしてください」と告げると、柔らかく優しいアルペジオの「ひとつ」を導く。“苦労も努力も報われない”と歌いながらも、ただ嘆くだけでなくしっかりと自身の足で立つさまは“特別な自分”に誇りを持っていることを感じさせる。最初から最後まで嘘のない言葉を紡ぎ続け、真っすぐな生き様を音に乗せて証明したのだった。
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/ポップしなないで

『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/ポップしなないで

  ミュージカルのような歌声で観客を虜にした、ポップしなないで。同期で「Sunset」を流し無機質に歌い始めたかと思えば、中盤からはエネルギッシュな表現を届けていく。最新曲の「UFOを呼ぶダンス」では時に力強い声も用いて、作品をドラマチックにプレイ。楽曲の世界に必要以上に入りこみをせず、時にストーリーテラーのように時に役者のように、音に乗る様が印象的だった。

 「魔法使いのマキちゃん」ではかめがい(Vo&Key)がフロアへ楽しそうに視線を落とし、「初夏これから」ではスィングに乗せて会場が一体となってクラップ。余すことなく“ポしな”ワールドを魅せつける。なかでも、かめがいのボーカルが光ったのは「支離滅裂に愛し愛されようじゃないか」だ。早口言葉のようなリリックをハッキリ発音するだけでなく、柔軟に声を変え様々な表情を乗せていく。可愛らしくポップなだけではなく、圧倒的なスキルを持ち合わせていることを誇示したのだった。

 かめがいは「最後まで楽しんで帰れよ」と告げると、ラストナンバーの「救われ升」を投下。いきいきと呼吸するドラムのビート、リズムを軽やかに乗りこなすボーカルに促され、会場には自然とこぶしが掲げられる一幕も。余裕のあるステージングで先輩アーティストとして、後輩の初企画に華を添えたのだった。
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ

『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ

 そして、いよいよチョーキューメイの登場だ。最初のCD『教えて』に収録されている「孵卵」で幕をあけると、テクニカルな演奏とオリジナルな歌声でオーディエンスを圧倒。ボーカルの麗は、K-POPアイドルのようなトップスとミニスカートというファッションだが、放たれるオーラはロックスターの“それ”だ。椎名林檎やYUKI、黒木渚などの面影が脳裏をよぎるものの、決して○○っぽいで消費されない空気を発する。ベースとドラムのグルーヴが冴える「たいむかぷせる」、自然とクラップが会場から沸いた「貴方の恋人になりたい」と続々とキラーチューンを導いていった。

 ドラマ『イケメン共よ メシを喰え』のエンディングテーマとなった「心を照らせ」ではメンバー同士で楽しそうにアイコンタクトを取り、ライブ初披露となる「燃え尽きろ君の命」ではベースラインが聞かせどころで伸びやかに歌う。前半のパフォーマンスで狂気を纏っていた人たちとは思えぬほど、一変して軽やかに音を重ねていく。言葉の重みが響く「リンカーネーション」では麗がバイオリンも演奏し、より楽曲をドラマチックに演出。その後もこちらもライブ初披露の「溶けた魔法」に続き、「おやすみパパママ」「白い坂道をくぐったら」とカラフルな楽曲群を魅せつけ、スキルフルかつ想いの乗ったステージをやりきった。

 メンバーが去ったあとも拍手は鳴りやまず、ほどなくしてアンコールへ。最後の1曲となったのは、チョーキューメイ始まりの歌である「眠れる姫」だ。どんなにモーションをつけても音が散らない楽器隊は、それぞれが高いスキルを持ちお互いを信頼しあっていることを感じさせる。今ある全てをステージに残し、初企画は大成功を収めたのだった。

 11月27日(日)には、チョーキューメイ2回目の企画となる『忘れた頃にやってくる2』が東京・吉祥寺ROCK JOINT GBにて開催予定となっている。クジラ夜の街との2マンライブで彼らがどのような一面を見せるのか、胸を高鳴らせて待ちたい。

文:坂井彩花

【自主企画ライブ 情報】

『チョーキューメイ presents『忘れた頃にやってくる2』』
11月27日(日) 東京・吉祥寺ROCK JOINT GB
開場16:30/開演17:00
出演:チョーキューメイ / クジラ夜の街

<チケット>
・オフィシャル先行受付期間
9月11日(日)21:00〜9月25日(日)23:59
配信シングル「燃え尽きろ君の命/溶けた魔法」2022年8月24日(水)配信
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ(麗)
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ(れんぴ)
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ(藤井ごん)
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/チョーキューメイ(空閑興一郎)
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/ポップしなないで
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/レトロリロン
『忘れた頃にやってくる』2022年9月11日 at Shibuya eggman/出演者集合写真
『チョーキューメイ presents『忘れた頃にやってくる2』』
チョーキューメイ

OKMusic編集部

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