看板役者の古田新太と初出演の神尾楓
珠が世代について語るーー劇団☆新感
線最新作『薔薇とサムライ2-海賊女王
の帰還-』

2022年劇団☆新感線42周年興行・秋公演 SHINKANSEN☆RX『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』が2022年9月9日(金)から12月6日(火)まで富山、新潟、大阪、東京にて開催される。今作は天海祐希扮する海賊アンヌが古田新太扮する石川五右衛門と共に大暴れする『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive~』の12年ぶりの続編となり、新感線の大人気シリーズ『五右衛門ロック』のスピンオフ作品。更に新感線としては4年ぶりとなる生バンドが入る。大阪市内では記者会見が行われて、古田と天海、そして新感線初参加の神尾楓珠が参加。さらに古田と神尾の対談も実施した。
新感線☆RX『薔薇とサムライ2−海賊女王の帰還−』
この物語について、古田は記者会見で「大雑把にざっくり言うと、前作でアンヌという海賊が五右衛門の手助けもあって、女王様になりましたけど、代替わりというか、新たな人たちに大きな役割を譲っていこうとしている。世代交代が軸となる」と話した。また、天海は「4年ぶりの新感線で、本当はもうちょっと毛色の違うものをやらせて頂けたらとも思っていたのですが、世の中が鬱々とした不安な中で、新感線を観てパッと明るいスカッとした気分で帰って欲しい。新感線パワーでぶっちぎっていけたらと思います」と語った。神尾も「スカッとして確実にエネルギーをもらえるので、観客の皆さんに受け止めて欲しいです!」と意気込みを。
天海祐希
この12年間で個人的に感じた事といった質問など、時折、隙を見ては楽しくふざける古田に天海が的確に正すという場面では、思わず会場からも笑いが起きた。その翌日には古田と神尾の対談も行われたが、今作の軸でもある世代交代をテーマに、ふたりに話してもらえた。

古田新太
ーー古田さんが会見で初めての人と共演するのが楽しみとおっしゃっていて、とても印象的でした。

古田:初めての人と演じるのは楽しいですよ。今まだ10日間くらいしか稽古をしてないですけど、喋っている相手が劇団員の粟根(まこと)とか(村木)仁とか逆木(圭一郎)さんとか、ひとつも面白くないんです(笑)。どう出るかも読めちゃって。だから初めての石田ニコルちゃんと絡んでると楽しいです。「この子嫌がってんだろうな! こんな芝居させられて!」とか思うので。ウチの劇団は、神尾もわかってきたと思うけど、いのうえ(ひでのり)さんが先に演じる見本を真似するというミュージカルのステージングと同じ芝居の付け方をするので、それでいうと宝塚歌劇団出身のゆりちゃん(天海祐希)や森奈みはるさんは慣れてる。ニコルはミュージカルの人だけど、そこまで細かく芝居を付けられた事が無いから、そこで戸惑ってるのが面白い。「そんなにキャピキャピしなきゃいけないんですか?」とか言いながら、キャピキャピしていると「いいぞ! いいぞ!」と思う。神尾とか西垣(匠)とか、今回初めての男の子たちはまだ絡めてないから、そこがいのうえさんに色々言われて「あっ、はい……」みたいな「あっ……」が付く返事をする状況になってきたら面白いなーと。
神尾:すごく特殊な楽しみ方ですね(笑)。
神尾楓珠
ーー神尾さんは、そういういのうえさんの芝居の付け方は実際に経験してみて、いかがでしたか?
神尾:僕はどっちかというと、そっちの方がやりやすいです。まだ、舞台でのお芝居は2回目なので「自由にやって下さい」と言われると、どうしていいかわからなくなっちゃうので。だったら、「ここでこうやって欲しい」と明確に言われた方が、そこに感情を繋げられます。自由にと言われると、試されている感がありますよね。
古田:でも、そういう演出家さん多いからね。
神尾:確かに、舞台はそういうイメージでした。いのうえさんの動きを自分のものに出来るかはわからないですけど、いのうえさんの演出はやりやすいですね。
古田:戸惑いつつも消化していくわけだから、それが得意な奴と得意じゃない奴がいるわけですよ。中村倫也はすぐ理解するけど、勝地涼は理解できないとか(笑)。それはそれで、おいらはどっちも楽しい(笑)。まぁ、予想できないのが面白いから。
神尾:普段、映像の仕事が多くて、その場で監督さんの言われる事をすぐ消化していく感じなので、どっちかというと対応力はある方だと思うんです。でも、舞台となると勝手が違うので、動きが段取りっぽくならないかとかが不安です。
古田新太、神尾楓珠
古田:昨日、ゆりちゃんが言ってたんだけど、アップのお芝居と引きのお芝居というのが映像にはあるじゃない。そうなってくると、引きのお芝居の時に全身が映っていて、どこに力が入っているか、どこがリラックスできているかというのが、舞台だと試される。舞台だと全身が観られていてカメラが寄って来ないから、そこをどうコントロールするかだよね。それを確認するために舞台をやっていると言っていたよ。
神尾:今みたいに自然な会話の中でのアドバイスはありがたいです。自分から、どう質問していいかわからないので、その都度しっかり聴いていきたいです。
古田:今回は結構、若い子がみんなちゃんとしてる役なんだよな。大人の方が馬鹿な役で。
神尾:馬鹿とは思ってないですけど(笑)。
古田:ハハハ(笑)。若い子には、もっと破天荒な役を振った方がいいのにとは思うな。
神尾:僕らはおとなしいというか、ちゃんとした役ではありますね。
古田:ニコルの役もそうなんだけど、若い子の役が真面目過ぎる。ちょっとチンゲが出てる役とかやらしたらいいのに! 映像ではやれない役だから(笑)。ギャグに特化したネタものの芝居とかに出て欲しいよね。綺麗な男の子がチンコとか言うと面白いから!
神尾:役の人間味は見えてこないので、はみ出さなきゃいけないとは思います。脚本に書かれた事だけじゃなくて、はみ出していった方が役柄も深く知っていけるのかなと。それでも、これ以上は駄目というのは、もちろんありますけどね。僕の役で突然チンゲ出すわけにはいかないので(笑)。
古田:カタキンくらいは良いんじゃない(笑)?!
神尾:もっと良くないです(笑)!!
古田新太、神尾楓珠
ーーハハハ(笑)。神尾さんは会見で新感線について、演劇の最高峰とおっしゃってましたけど、こうやって参加できているというのは改めて感慨深いものはありますよね。
神尾:最初は不安の気持ちが大きかったですけど、古田さんや天海さんとお話している内に楽しみになって、ワクワクしてくる感じはありましたね。俳優仲間からも「凄いね! 出たいなぁ!」とか連絡くるので、そう思われている劇団に出られるのは光栄な事ですし、チャンスを無駄にしてはいけないと感じていますね。
古田:まぁねぇ、もう、こういう乱暴な劇団があんまり無いから。ウチと大人(計画)くらいでしょ。今回みたいに、中々、舞台で生バンドとやる機会もないだろうから、そういう高揚感は経験して欲しいしね。
神尾:今まで経験した事がない感情になれると思うので、それは経験してみたいです。
古田:演じる中で歌う事も中々無いでしょ? ただ歌うだけがミュージカルじゃない。そこに役としての感情を入れて歌うからこそ面白いわけなんで。元々、急に歌うなんて変じゃない? でも、それを成立させるのがおいらたちの仕事だから。そういうのを何度も若いうちに経験していくと、映像に戻った時に、ここまでならば映像でも出来るなとかがわかってくる。やりすぎなわけですよ、本来は歌ったり踊ったりというのは。でも、それをやっとくとナチュラルなお芝居に戻った時に、それくらいの感情になる時もあるよねという引き出しが増える。若いチームや若い役者は、そういうのを中々経験できないので、新感線やおいらのプロデュースのお芝居という乱暴なものに出ると、後々の経験の引き出しになるよね。
神尾:やっぱり映像だと時間が短いので、試す時間も無いんですよ。段取りとして撮るのが普通ですし、円滑に進める為には監督の求めてるものだけをやらないといけない事が多いので。でも、舞台だと稽古から色々試せるので、有効的に時間を使いたいです。
古田:潤滑に現場が進むのは一番正しいんだけどね、みんな早く帰りたいから(笑)。それで不幸になる人はいないから(笑)。でも、そういう中でも色々と試して欲しいし、そういう機会を与えてくれる現場も、そんなに無い。いのうえさんの場合は、最初に明確な絵を作っちゃうから、その中で、どう若い子たちが揺さぶられていくかが楽しみだよね。
古田新太、神尾楓珠
取材・文=鈴木淳史 撮影=福家信哉
ヘアメイク=[神尾]内藤歩 スタイリスト=[神尾]杉本学子(WHITNEY)

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