東啓介×有澤樟太郎「分かち合いなが
ら一緒に戦っていきたい」〜ミュージ
カル『ジャージー・ボーイズ』Wキャ
スト対談インタビュー

多くのミュージカルファンから熱烈な支持を受ける『ジャージー・ボーイズ』が、2022年10月〜12月に東京をはじめ全国で上演される。本来は2020年に上演予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け本公演は全て中止となり、急遽コンサート版として上演された経緯がある。
本作は世界的なヒットを記録したフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの実話を基に、珠玉の音楽で彩られたミュージカル作品。演出は2016年の日本初演から引き続き藤田俊太郎が務める。キャストはチームBLACK(中川晃教藤岡正明・東啓介・大山真志)とチームGREEN(花村想太・尾上右近・有澤樟太郎・spi)の2チーム制という新たな試みでの上演だ。
本稽古に突入する前の段階で、ザ・フォー・シーズンズのメンバーのひとり、ボブ・ゴーディオ役をWキャストで務める東啓介と有澤樟太郎に話を聞くことができた。2020年のコンサート版に出演した経験を持つ東と、今回が初参加となる有澤。それぞれが作品に対して抱く素直な想いを語ってくれた。
ーー『ジャージー・ボーイズ』への出演が決まったときの心境はいかがでしたか?
有澤:まさか自分がザ・フォー・シーズンズのメンバーに決まるとは、という感じです。『ジャージー・ボーイズ』は今の仕事をさせていただく前から映画を観ていて、ミュージカル版があることも知っていました。過去のインタビューでは、華やかなミュージカルという印象を持っていたので「憧れの作品」だと話したことがあります。そんな作品に携われるのはとても嬉しいです。実在するボブ・ゴーディオさんはすごく多才な人物なので、演じさせていただくことをプレッシャーに感じつつも、楽しみたいなと思っています。
東:出演が決まる以前に観劇したこともある作品だったので、あの『ジャージー・ボーイズ』に出演できるなんてと本当に嬉しかったです。2020年はプレッシャーも感じつつ稽古に挑んでいました。そのときは本公演からコンサート版に変わってしまいましたが、できたこと自体は本当に良かったと思います。今回は改めて本公演ができるということで、前回できなかった分の想いも重ねて、気を引き締めて頑張りたいです。
ーー東さんと有澤さん、それぞれのお互いの印象は?
東:実は今回ご一緒する前に何度か会ったことがあるんです。けれどそれから結構時間が空いてしまったので、歌稽古で会ったときに緊張しちゃいましたね(笑)。めっちゃ敬語で喋ってるなあって思ったり(笑)。嬉しさと共に緊張もあって、早く歌声を聴いてみたいなと思います。でも僕がグイグイ行き過ぎてしまうと歌稽古前に緊張させちゃうかなって、勝手にソワソワしちゃいました(笑)。
有澤:僕たち、同い年なんですよね。自分がデビューしたての頃は同い年の役者の方が少なかったので、当時から結構意識はしていました。早い段階から主役を演じていて、ミュージカルや映像で活躍していて多才だし、歌もうまいし、趣味もあってすごいなあって。地元には絶対いない感じの人です(笑)。共演することをすごく夢見ていたので、緊張はしているんですけどめちゃくちゃ嬉しいですね。今回一緒に同じ作品にガッツリ携わることで、とんちゃん(東の愛称)からアドバイスがもらえたらいいなあと。Wキャストとして同じ役を演じていくことになるので、分かち合いながら一緒に戦っていきたいなと思っています。
ーー現時点で、ボブ・ゴーディオという役へどのようにアプローチしていきたいと考えていますか?
東:僕はコンサート版には出演しましたが、本公演は今回が初めてになります。なので演出の藤田さんとも話したのですが、改めて全部ぶっ壊してイチから作ろうかなと。当時のニュージャージーの文化や環境を踏まえ、その状況下で生きてきたひとりの男として、ちょっと“男”が強くあってもいいんじゃないかなあなんて思っていて。頭のキレの良さや豪快さはもちろんあると思うのですが、いろいろ試してみるのも楽しいかなあと。これまでのキャストの方が作り上げてきたものも持ちつつ、自分のボブ・ゴーディオを話し合いながら作りたいです。樟太郎くんとは別々のボブ・ゴーディオではあるけれど、一緒に素晴らしいものを作り上げていきたいなと考えています。
東啓介
有澤:まだ台本の完成したものをチラッと見ただけで、今はとにかく歌稽古に集中しています。最初に歌稽古が設けられているので、本稽古に入るまでにしっかり課題を潰していかなきゃいけないなと。ボブ・ゴーディオという役に関しては、まだ作る前なのでこれからという感じです。スターでもあり天才なんですけど、ひとりの男としてすごく人間味のある人物だと思っています。何よりこの作品はザ・フォー・シーズンズの4人をはじめ、カンパニーのチームワークが揃ったときにすごいエネルギーが出ると思うんです。その一員としてしっかり役を全うしたいなと思います。
ーー世界中で愛されている本作ですが、それはなぜだと思いますか?
東:ボブ・ゴーディオの台詞で「僕たちをトップに押し上げたのは彼ら彼女たち(一般大衆)だった」という台詞があります。ザ・フォー・シーズンズのメンバーも「みんながいるから自分たちがいる」とちゃんと理解しているからこそ、今もなお愛されているんじゃないかなと思います。
有澤:曲自体がものすごく有名で受け継がれていますよね。それがミュージカル『ジャージー・ボーイズ』でニュージャージーから成り上がった男たちの物語として描かれていて、フランキー・ヴァリの生き様も後世に受け継がれているところが作品の魅力であり、愛される理由かなと思います。音楽の面も大きいですけれど、彼らがどうやってここまで来たのかという物語自体が魅力的ですよね。
ーー名曲揃いの本作ですが、お気に入りの曲やフレーズを教えてください。
東:コンサート版で歌った「My Eyes Adored You」。当時のことと重なる部分もあったので、すごく思い出深い曲です。あと「December, 1963 (Oh, What a Night)」はコンサートでは歌えなかったので、今回歌えるのがすごく楽しみです。台詞では、物語終盤にボブがグループの音楽的な成功について「ああしたことは全て起こり得なかったはずだ、僕がいなければ」と言うところ。かっこよ過ぎだろと(笑)。
有澤:「Sherry」をはじめとする名曲を歌っているときに「うわー自分がこの曲を歌っているんだ」と、まずそこで感動しちゃいます。最初にトミーが歌う「Silhouettes」もめっちゃ好きですね。台詞では、1幕中盤のボブの「本当に成功しているんだって僕がわかったのは、親がビジネススクールの話をしなくなったから」というセリフ。日本ではあまりない独特な言い回しが印象に残っています。
ーー今回はフランキー役が二人になり、完全2チーム制という点が新しいと思います。それぞれのチームの推しポイントはありますか?
東:BLACKは2020年のコンサート版からメンバーが変わっていないんです。そのときからチーム感があって、役と僕ら個人の自然体が合体したような、素の4人が生きている姿がすごく出るんじゃないかなと。(藤岡)マサさんがすごく引っ張ってくださるし、(中川)アッキーさんはこの作品を誰よりも理解していると思います。いろいろお話を聞きながら、チームの色をさらに色濃く強くしていきたいですね。
有澤:本当に個性溢れる粒揃いのメンバーだなと思います。GREENはフィールドが違う方が多いので、どうなるのか読めないところが魅力なのかなと。spiさんは以前から知っていて、(尾上)右近さんは歌舞伎を観に行かせていただきました。花村さんは出身地が近いので、そういうところでコミュニケーションを取っています。お客様もどんなチームになるんだろうと思っているんじゃないでしょうか。チームBLACKに対して、チームGREENは相乗効果でいい刺激を与えられるようになれたらいいですね。みなさん壊して作っていこうという姿勢なので、僕自身それがすごく助かっています。心置きなく遠慮なく、役に集中して頑張っていきたいです。
有澤樟太郎
ーー東さんと有澤さんはそれぞれチームで年少組になるかと思うのですが、ご自身の役割やキャラクターみたいなものはありますか? 役柄ではなく、みなさん個人の関係として。
東:自分がどういう立ち位置なのか明確にはまだ分からないですけど、割と藤岡さんにおもちゃにされてますかねえ(笑)。すごくいい距離感だなと思います。僕はイジられながらツッコミながら、どちらも担っている感じですね。ずっと笑っている気がします。
有澤:GREENチーム全員では、まだ一度しか会ったことがないんです。僕も年下ですし、メンバーを見てもあまりイジられるようなキャストはいないので、多分自分がイジられ役になるんだろうなあ(笑)。
ーー今日は撮影や歌稽古があったとお聞きしました。お二人でどんなお話をされましたか?
東:歌稽古のときに「『ジャージー・ボーイズ』の曲って難しいよね」みたいな話を(笑)。僕と樟太郎くんは歌のパートが違うので、「同じ役でもチームによってパートが違うんだね」という話もしました。
有澤:今日は歌稽古をやって撮影をやって……なんだか不思議だなあと感じました。自分で言うのもあれなんですけど、僕は身長184cmでまあまあ大きい方なのに、とんちゃんはもっと大きいんです。二人で近い距離で撮影していたときに「これ普通じゃないよなあ。客観的に見てすごい構図だよなあ」と思いました(笑)。そういうところも楽しみにしてもらえればと(笑)。
ーー歌稽古をやってみて、ご自身の課題など感じるところはありましたか?
東:いやあ、全部ですね(笑)。『ジャージー・ボーイズ』の歌い方って本当に特殊で、いろんな声質を使い分けないといけないので体に馴染ませるまでが大変なんです。でも、それを乗り越えたら絶対に上達するんですよ。樟太郎くんは既にパートもちゃんと覚えていてハモリに流されないので、まじですごいなと。僕なんてずっと「ああわかんない!」ってなっているのに(笑)。
有澤:僕もハモリは周りの声を聞くと惑わされちゃうので、これまでは本番の段階で徐々に聞くことができるようになってくる感じでした。けれど今は稽古の時点でそれを求められていて。人の声を聞いてリズムを取ったり歌ったりしないといけないので、使ったことがないような脳の部分を使っているような気がします。身体的にも、歌稽古のあとにドッと疲れるんですよね。いろんな先輩からアドバイスを受けてはいましたが、いざやってみると全部知らないことで、それは同時に吸収したいことでもあるからすごく楽しくて。今日はとんちゃんと歌稽古で、二人での稽古ってなかなかできないので貴重な時間だったと思います。朝早くからでしたが、そんなこと関係ないくらいめちゃくちゃ楽しかったです。
ーー『ジャージー・ボーイズ』という作品のファンの期待や熱は、お二人にも伝わっていると思います。そんなお客様に向けてメッセージをお願いします。
東:『ジャージー・ボーイズ』は本当にいろんな方に愛されていて熱狂的なファンの方も多いので、もちろん比較される怖さというのはあります。けれど、観に来てくださるみなさまには純粋に音楽を楽しんでほしいですし、夢や目標がある方には『ジャージー・ボーイズ』を観てそれを追いかけ続けてほしいです。GREENとBLACKどちらのチームの色も、物語と楽曲の楽しさも味わっていただきたいので、そのために僕らは一生懸命頑張ります。よろしくお願いします!
有澤:僕の周りの人も『ジャージー・ボーイズ』を観て「めちゃくちゃ面白かった」と話していて、その人の心に残る作品になっているのだなと感じます。それはこれまでのカンパニーが作り上げてきたものがあるからだと思うので、いい意味で引き継いでいきたい気持ちと、さらに超えていきたい気持ちがあります。ボブ・ゴーディオ自身がグループに途中から加入したメンバーなので、僕も同じく初めましてという形で加わって、作品としてさらにみなさまの印象に残るものになればいいなと思います。
(左から)有澤樟太郎、東啓介
ヘアメイク:東啓介=谷口祐人(amber_be)/有澤樟太郎=SHIO
スタイリスト:東啓介=青木紀一郎(ALVARO)/有澤樟太郎=山田安莉沙

取材・文=松村 蘭(らんねえ)   撮影=古熊美帆

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