luz 「後悔をしないように生きる」
姿を見せた東名阪ツアーファイナル・
LINE CUBE SHIBUYA公演(画像:全9枚

luz 7th TOUR -CARNIVAL-

2022.8.4 LINE CUBE SHIBUYA
「後悔しないように生きる」
忙しさに追われ流されるままの日々を送ってしまう身にとっては、なかなか難しいことである。けれども、この心と体を手にできるのは一度だけであり、一日たりとも無駄にするのはやっぱりもったいない。自らの信念と生き様を刻むようにステージに立ち、全身全霊で歌い、彼を求める人々の光であろうとするluzの姿は、人はどう生きるべきか、そのひとつの在り方をまざまざと示していたようにも思う。
2022年7月21日に活動12周年を迎えたluzが、7月から8月にかけて開催した東名阪ツアー『luz 7th TOUR -CARNIVAL-』。ここでは、8月4日に東京・LINE CUBE SHIBUYAにて行われた千秋楽であり、数々の新たな試みにluzの貪欲さが見て取れた初のホールワンマン公演の模様をお伝えする。
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オープニングムービーで“秘密の晩餐会”へといざなわれ、紗幕のかかったステージが眩い光に照らされると、そこには白地にラメや鮮やかな赤が映える「CARNIVAL」のMV着用衣装をまとったluzと、RENO(Gt)、MiA(Gt)、MASASHI(Ba)、LEVIN(Dr)という鉄壁のバンドメンバー、モンスターと化したダンサーの姿が! 幕開けは、ダーク&ゴシックを極めた今ツアーのテーマ曲「CARNIVAL」だ。どっしりした骨太のバンドサウンドに重なるluzの艶やかで甘美な歌声、妖しく蠢くモンスターたち、紗幕に映される暗い森を思わせる影絵。狂気と背徳の扉がついに開かれてしまったわけだ。
「最後の夜を始めよう。“CARNIVAL”へようこそ!」
歓迎の言葉を合図に紗幕が振り落とされ、「ダーリン・ブルー」へ。白いマイクスタンドを手に歌う姿も、衣装の裾を華麗に揺らすターンにも、惚れ惚れしてしまう。
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luzの振付につられてオーディエンスも手を揺らした「酔いどれ知らず」。MiAと背中合わせになったり、RENOをバックハグしたりしつつ、ラストのロングトーンに絶対王者感をにじませた「クイーンオブハート(SISTER Edition)」。「暴れるぞ!」のひと言でオーディエンスの“折りたたみ”スイッチが入った「ドローレ」。ゴリゴリなライブアレンジで強度MAX、しかし最後は“猫ポーズ”でオーディエンスをキュン死させた「キャットラビング」。ジャジーなテイストをスキャットやアカペラで彩った「ブラックレディー」。盲目的な恋とその悲哀を生々しく表現した「エンジェルフィッシュ」。再カバー動画を投稿したばかり、早速生で聴ける!というオーディエンスの高揚が満ちた「毒林檎とシンデレラ」。オリジナル曲とカバー曲を織り交ぜながら、休むことなくluzが放つさまざま色香は実に芳醇だ。
ステージの一段高いところに置かれたキングチェアに腰かけて歌ったのは、岡本信彦に提供した「愛憎カタルシス」。轟音の中で迷いなく<狂愛に堕ちていく>さまは、圧倒的だ。かと思えば、Royal Scandal名義で発表した「光」、「光彩(Live ver.)」ではていねいに繊細な歌声を響かせ、「ロミオとシンデレラ」では一途で可憐な少女を思わせるのだから、その豹変ぶりにあらためて驚かさる。
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白衣装から一転、黒衣に着替えて、自ら激しくヘドバンしたり身体を折りたたんだりしながら歌う「FANATIC」からは怒濤のたたみかけ。弦楽器陣がセンターのお立ち台に集った「FAITH」。「あなたのすべてを支配します」と宣言してLINE CUBE SHIBUYAが闇の儀式会場と化した「涅槃」。luzの切れ味鋭いラップからのツインリードギターもエモーショナルな「M.B.S.G.」。巻き舌やデスボイスもありで挑発した「Dearest,Dearest」。「Identity Crisis」に至るまで容赦なく扇動し続け、おまけにすべての表現に抜かりのないluzは、あまりにもカリスマティックだ。
「初ホールでファイナル、ありがとう! みんなと無事この日を迎えられて本当によかったです」
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いつものように本編ではほぼぶっ通しで歌い続けたluzは、アンコール冒頭、そう笑顔で挨拶。「ギルティでジーザスなツアーだったね」と独特の感想を述べるMiAに「クセつぇえな!(笑)」とツッコんだり、ホールに響き渡るMASASHIの低音ボイスを堪能したり、「18歳くらいの勢いで叩いた」というLEVINとツアーの感動を分かち合ったり、バンマスのRENOとツアーの手応えを確かめ合ったり。すっかりおなじみとなったバンドメンバーとの結びつきと信頼が、和やかな中にもしっかりと感じられる。
「いろんな初めての企画をやらせていただいた今回のツアーなんですけど、アンコールでも新しい試みをしちゃいたいと思います!」と言うと、ステージに大きな回転式ルーレットが登場。ツアー開催に際して、luzがこれまで投稿したオリジナル曲&カバー曲を対象にリクエストを募ったわけだが、投票数上位8曲の中から、披露する曲をその場で選ぼうというわけだ。「なにが出るか、神様と悪魔の定め!」と唱えてluzがルーレットを回すと……このツアーで初めて「一騎当千」に針がピタリ。「ギターがめっちゃ簡単だから」という理由でRENOはじめバンドメンバーが思わずガッツポーズするいっぽう、「『XYZ TOUR』でよくあらきと一緒に歌っていた「一騎当千」、今日はあらきも観に来てくれているし、一緒に歌っていたときの気持ちを思い出して歌います」とあらきにこの想い届け!なluz。オーディエンスも思いきり手を上げて、ジャンプして、こんなの楽しいに決まっている。
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「今日限定でMVと同じく「CARNIVAL」に登場してくれたダンサーさん、せっかくなのでもう一度お呼びして、これまた懐かしい曲をやっちゃいます!」と前置きしたのは、「キューティーハニー」。「誰もが知っている曲をこんな激しいアレンジでやるのは僕くらい(笑)」という言葉通りの突き抜け方で、歌声もダンスもなんてキュートでセクシー。luzの<ハニー フラッシュ!>、魔性の必殺技だ。
さらに、あらきと同じく観に来ているという奏音69のために、「ルーレットは絶対」の掟を破って!?歌った「ファーストレディ」。奏音69にもこの想い届け!なluz、ここに至ってもファルセットもフェイクも見事で、切ないにもほどがある。
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「後悔をしないように生きる、明日死んでも悔いが残らないような人生を送る、というのが僕のモットー。好きな人と音楽をして、それを好きな人が聴いてくれて、こうして初めてのホール公演を行うことができて。これ以上ないくらい、僕は幸せです。10周年がちょうどコロナとぶつかってしまって、もどかしい状態が2年くらい続いたけど、その中でもみんなは待っていてくれました。後悔のない人生を歩む、という選択は間違っていなかったな、と思います。10年前に両親を亡くした僕をすごくかわいがってくれている唯一の肉親が、今日は地元・福井からわざわざ観に来てくれているんですけど……この景色を見せることができて嬉しいです。後悔のない人生をみなさんにも送ってほしいし、僕のことを応援してくれる限り絶対に後悔させないから。これからも、よろしくお願いします」
途中、涙をこらえながら大事に想う人々に感謝し、決意表明したluz。
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ラストナンバーは、オーディエンスひとりひとりがスマホで光を灯した「Despair」だ。会場を隅々まで見渡しながら、「大好きだよ!」と真っ直ぐに告げたluz。いつか歌声を重ねることができるように、願いを込めてオーディエンスがハミングした壮大なコーラスパートは、まるで賛美歌のような美しさをたたえていた。スペイン語で“光”を意味する、“luz”という名前。luzとリスナー、お互いが<瓦礫の中で><見つけた><君>であり、希望を失ったときに光をもたらしてくれる存在なのだ。
なお、この日の模様は10月に配信予定とのこと。詳報を楽しみに待とう。
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文=杉江優花 撮影=加藤千絵(CAPS)

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