【she9 インタビュー】
配信というかたちで
she9の世界観の広さを見てもらえる
私にとってデートは
“戦”みたいな感覚がある
続いて、8月に配信される「デート前夜の女子」にいきましょう。
じゅり
“デート前夜の女の子”というテーマで曲を作りたいと前々から思っていたんです。女子というか、私にとってデートは“戦”みたいな感覚があるんですよ。特に初デートは勝負ですよね。本当に好きな人がいて、その人とデートすることになった時のそこに向けた意気込みとか気合いみたいなものを、戦に例えて表現する曲を作ったら面白いんじゃないかという想いがずっとあって、それを今回ようやくかたちにしました。歌詞を書くにあたり、実際にデート前夜に自分は何をするかと考えて、“パックするよな”や“全然下手だけど自分なりに頑張ってネイルするよな”とか思って、それをそのまま書いた歌詞になっています。
苑
「デート前夜の女子」は“デート=戦”という大きいテーマがあったので、最初は法螺貝を鳴らしてみたり、馬を走らせてみたりするイントロをつけようかという話になったんです。でも、それがすごく長くなっちゃったんだよね?(笑)
AMI
そう(笑)。みんなで作ったんですけど、戦を表した雄大なイントロがずっと続いて、全然曲が始まらないという(笑)。
yuzu
で、“うわっ、これはダメだ!”となって、そこで我に返りました(笑)。
そんな「デート前夜の女子」でこだわったところは?
苑
この曲のAメロのドラムに関しては16ビートをキープするのが苦手で、しかも折り返しのあとにスネアを2発に増やしていたりするので、そこはレコーディングする時に気をつけました。そこからのBメロはライドにいきつつダットットというフィルを入れているんですけど、そんな自分にちょっと酔っている感じが伝わることを意識したりとか(笑)。そこのフィルが好きなんですよ。あとは、楽器隊の3人で揃えるキメが結構出てくるので、そこはすごく気をつけましたね。
yuzu
この曲のベースはイントロでメロディアスなフレーズを弾いていて。歌っているように聴こえるようにしたくて、何度も弾き直しました。あとは、2番のAメロで休符を入れたフレーズを弾いていて…私は普段はあまり休符は入れないんですけど、この曲は入れようと思ってやってみました。最近は休符をうまく使うことの大事さを感じていて、突き詰めていきたいと思っているんですよ。この曲はそこに向けた最初の一歩になりましたね。あとは、間奏でギターがチョーキングしているところで、それに合わせてスライドでハイポジションにいっているんですね。そこはクゥーッてなりながら弾きました(笑)。
AMI
「デート前夜の女子」はテーマが“戦”なので、ギターも“強気でいっちゃえ!”っていう気持ちでいましたね。“荒々しくいったるぞ!”くらいの感じが出るといいなと思ってフェンダージャズマスターを使っています。ジャズマスはトレブリーで、突き刺さるような音がするから。あとは、カッティングとか頭のジャジャッというフレーズのキレも意識したし、2番の落ちサビが難しかったですね。ブリッジミュートしてズンズンさせたいんですけど、なかなかいい感じにズン!と鳴らせないんですよ。ブリッジミュートももっと極めたいと思っていて、ライヴごとにうまくなるといいなという想いから、あえてこの曲に入れました。
意欲的ですね。「チェケラダンス」もそうですが、she9ならではの疾走感はAMIさんのシャープなカッティングやリズミカルな裏メロなども要因になっていることを感じます。
AMI
私はファンクとかもよく聴いていて、カッティングが好きなんです。カッティングの音の切り際とかを注意して聴いていますね。最近はずっとアベフトシさんのバッキングを練習しています。“追いつかない!”とか思いながらも頑張って(笑)。
おおっ! さらに、ギターソロのちょっと枯れた感じの音も絶妙です。
AMI
私は枯れた音が好きですね。音色はまだまだ勉強するところがたくさんありますけど、本当に今は楽しい時期で、アンプをいろいろ替えたり、エフェクターも新しいものを買ったりしています。それぞれの曲であったり、曲中の場面に合わせた音を出せるようにしたいし、それをライヴでもちゃんと出せるようにしたいと思っています。
では、ヴォーカルは?
じゅり
私はどの曲も歌詞のストーリーを届けたいと思っていて、特に「デート前夜の女子」はそういう気持ちが強かったので、なるべく素直に歌うことを意識しました。でも、この曲はレコーディングする前にライヴで歌うことが多かったから、ライヴの癖というか、周りで音がバァーッと鳴っている状態に慣れてしまっていたんです。なので、シンプルに歌うことにちょっと苦労がありましたけど、なるべくシンプルに、カッコ良く、素直にということを心がけました。ただ、サビの終わりの《〜しれないわ》というところは女子らしく歌うことを意識しました。
じゅりさんの歌を聴いていると情景はもちろん、主人公の表情も浮かんできて、それが大きな魅力になっています。
じゅり
実際にそういう表情で歌っているからだと思いますね。「デート前夜の女子」の《心は雨模様》というところとかも、すごく悲しい顔になって歌っているんです(笑)。テクニック的なことで言うと、例えば吐息の量を増やすと悲しい感じの歌になるじゃないですか。そういうことは分かっているけど、それを意識して細かく使い分けているわけじゃないっていう。私は表情によって自然と歌のニュアンスが変わるタイプなので、表情を一番意識して歌っています。