Michael Kaneko、UEBO、Bialystocks
が極上の歌声とグルーヴで魅了ーー音
楽で心満たされた『T.B.O presents
#梅田界隈 ver0724』

T.B.O presents #梅田界隈 ver0724』2022.7.24(SUN)大阪・BananaHall
7月24日(日)、『T.B.O presents #梅田界隈 ver0724』がBananaHallで開催された。「T.B.O」とは「たとえばボクが踊ったら、」の略で、2016年9月に「関西で魅力的なキモチいいフェスをしたい」という想いのもとでスタートした、関西のコンサートプロモーター・夢番地が主催する同名のライブイベントだ。『T.B.Opresents #梅田界隈 ver0724』は、今年9月11日(日)に開催予定の「たとえばボクが踊ったら、 #004」に向けたオムニバスイベント。6月26日(日)に梅田シャングリラで行われた『#梅田界隈 ver0626』に続く第2弾となる。今回の出演者は、Bialystocks、UEBO、Michael Kanekoの3組。残念ながら急遽出演キャンセルとなった、Blue Vintageの分も梅田で鳴らされた、極上の音楽に満たされた一夜をレポートしよう。
■Bialystocks

Bialystocks

ステージにはグランドピアノとギターがセッティングされ、青いライトにほのかに照らされていた。赤いステージ幕が重厚な雰囲気を感じさせる。トップバッターはBialystocks。2019年に甫木元空(Vo)が監督をつとめた映画「はるねこ」での⽣演奏上映をキッカケに結成された。ボーカルであり映像作家もある甫木元と、数々のアーティストのサポートや劇伴を手がけ、ジャズシーンでも活躍する菊池剛(Key)による2人組バンドだ。普段はサポートメンバーを交えてライブを行うスタイルだが今回は2人きり。なかなか見ることができないレアなステージングとなる。

Bialystocks

ライブは「花束」からスタート。甫木元の高らかな歌声と菊池の指先から生まれるピアノの音が会場に満ちてゆき、客席はうっとりと耳を傾けた。続く「フーテン」では甫木元が透明感のある美しい歌声を響かせながら、抑揚をつけて客席を世界観に引き込んでいく。そして菊池は優しいながら力強さも感じさせるパフォーマンスを見せた。2人のハーモニーは素晴らしく、「またたき」ではジャジーに、「ごはん」では甘く透き通るように、曲によって音の表情を変化させて魅了した。
Bialystocks
MCでは「すっごいしっとりと始まっちゃいましたけど、いつもはバンドセットでやっていて。今日はピアノがあるので久しぶりに2人編成でやっています」と甫木元。大阪どうですかと振られた菊池は「すぐ隣の隣の居酒屋に入ったくらいしかまだ大阪を経験してないですけど、美味しかったです(笑)」とゆるいトークを繰り広げて和ませた。甫木元がギターを手にした後半戦はより伸びやかに華やかに、そして情熱的に楽曲を披露して会場を盛り上げた。

Bialystocks

情景が浮かぶ美しいハーモニーに心が震えた「Nevermore」、ピアノとソウルフルな歌声の会話するような応酬で迫力を増した「OverNow」、ロードムービーのような壮大な雰囲気で希望を感じさせた「光のあと」を続けて演奏。最後は「差し色」で珠玉のメロディラインを存分に奏で、澄んだ空気感で会場を包み込んだ。シンプルな構成ながら最高に贅沢な時間をくれたライブだった。

Bialystocks

■UEBO

UEBO

2番手はUEBO。「うめかわ(梅田界隈)へようこそー! そろそろ踊りたいんじゃないのー?」と客席を総立ちにさせ、1曲目に「Mabataki」をドロップ。張りのある歌声とダイナミックなサウンドでオーディエンスの体を揺らす。「Sign」でさらに会場の温度を上げ、「Wave」で一気に夏の海へトリップ。トロピカルな雰囲気で会場がパッと明るくなった。UEBOのおおらかな歌声に乗って、夏風と波が運ばれてくるようだ。「梅田踊れ〜!」の合図で客席はダンス! メンバーの楽しそうな笑顔も印象的で、ハッピーな空気が会場に充満した。
UEBO

UEBO

メンバー紹介と短めのMCを挟んだ「Milk & Coffee」ではゆらゆらと体を揺らしてチルタイム。<梅田を目指して>と歌詞を変えて歌い、会場を盛り上げた。同期も使って表現の幅を広げた「Voyage」はメロウで、どっしりとしたリズムと切ないメロディ、安定感のあるビッグスケールの歌声が本当に心地良かった。

UEBO

ここでUEBOが「昔、同じ事務所で音楽やってた仲間がいて」と話し始めた。「天然で、生活力のなさたるや半端じゃなくて、周りが思わず手を差し伸べたくなるようなタイプで、それで天才的なシンガーだったからすっごい嫉妬してさ。やな態度とったりしちゃったわけ。時が巡って、彼が音楽がうまくできないという情報を小耳に挟んだり、気づいたらミュートしてたはずなのに彼の名前とか調べてさ。すげえ嫌な態度とっちゃったけど、俺もしかしたらあの人のこと好きだったのかなと。そんな昔の仲間に向けて今思うことを歌にしました」と、「Predawn」を想いを乗せて披露した。

UEBO

さらに、「Memories」でそれぞれのソロをバッチリキメてグルーヴィーに客席を躍らせた後は、6月末にリリースされたばかりの新曲「Circle」をプレイ。パワフルな生命力と多幸感で会場を完全に掌握し、素晴らしい一体感で盛り上げた。「この曲はここで鳴らしたいイメージがすごくあったんだよ。本当に嬉しかったです。最後はリリース前にいっちょ、梅田の皆と踊りたいと思うんですが、いかがですか!」と、8月リリースの新曲「Knock Knock」を披露するスペシャルな展開に。全員でハンズアップし、最高潮にぶち上げてライブは幕を閉じた。

UEBO

Michael Kaneko

この日のトリは、2020年の『TBOpresents「Chillax」』にも出演したMichael Kaneko。サポートメンバーの松浦大樹(Dr/saccharin)と近藤邦彦(Key)がステージに現れると、待ってましたと言わんばかりの拍手が会場に沸き起こった。時間差でMichael Kanekoが登場。1曲目は「Alive」。よく伸びる歌声とセッションでしっとりと聴かせながら、じわじわと会場の熱量を高めてゆく。続けて「Circles」を披露。持ち前の歌唱力と演奏力、醸し出す大人のムードでゆったりとオーディエンスを躍らせた。MCで明かされたが、この2曲はほぼリハなしのセッションでの演奏だったらしい。さすがのライブ感だ。

Michael Kaneko

しっとりした雰囲気から一転、MCでは「皆さんこんばんは!」と明るく挨拶。Blue Vintageの出演キャンセルを嘆きつつ「ここからは盛り上がっていきましょう! 立ってください!」とグルーヴィーな「GIRLS」をドロップ。続く「SANDIE」では激しいセッションと緩急のある照明の演出で、異世界に連れていかれたような没入感を創り出した。そして「皆さん、チルしていこうぜ」と、コロナ外出自粛期間中に制作した「Tides」でクールダウン。

Michael Kaneko

ここからは近藤とのデュオコーナー。「長めに時間をいただいたので、最近ライブでできていない曲をたくさんやろうと思うんですけど。僕が25歳くらいの時に地元・葉山公園の階段に座ってサンセットを眺めながら書いた曲です」と「Separate Seasons」を静かに歌い始める。オレンジ色のライトに照らされて、美しくもどこか切なげなメロディとピアノの旋律がしっとりと会場を満たしていった。

Michael Kaneko

そして、6月29日にリリースされた新アルバム「The Neighborhood」から「SHIGURE」をプレイ。本作はコラボレーションアルバムで、様々なミュージシャンとともに楽曲を創り上げている。「SHIGURE」はさらさとのコラボ曲。ライブではこの日が初披露のため、1人でどう演奏するか悩んだらしいが「やってみます!」と前向きにトライ。真剣な表情で歌う姿に、客席は聴き入っていた。
いよいよ本編はラスト2曲。松浦のビートが軽快に刻まれる中、「盛り上げていきますか! カモンハンズオン!」の言葉を合図に客席が一斉に手を振り、スリリングな骨太サウンドの「DRIVEAWAY」をドロップ。松浦・近藤によるコーラスがサウンドに厚みを加える。曲の後半はものすごい音圧と熱量を孕んだ3人のセッションで圧倒した。

Michael Kaneko

最後は同じく新アルバムからハナレグミとのコラボ曲「RECIPE」を披露。<めっちゃ好きなんだ>というキュートな歌詞が印象的な楽曲で、照明もカラフルに彩られ、ハッピー感満載でライブは大団円を迎えた。「まだまだ足りない!」といった客席の様子から、いかに楽しいステージであったかがひしひしと伝わってきた。
アンコールでは、Michael Kanekoが来場したオーディエンスに改めて感謝を述べて「Breakdown」を演奏。歪んだギターソロから、激しくも息の合ったセッションで、会場の熱をもう一段階引き上げてフィニッシュ。3組がそれぞれに素晴らしい歌声とグルーヴを提示した「梅田界隈」の夜だった。『たとえばボクが踊ったら、 #004』まであと約1ヶ月。またひとつ想いが高まる素敵な日となった。

Michael Kaneko

取材・文=ERI KUBOTA 撮影=うつのみや

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