白服(MeseMoa.)インタビュー リー
ダーとして10年グループを牽引してき
た白服が、卒業発表を経て今思うこと

MeseMoa.から白服とフォーゲルが2023年の年末に卒業、二番煎じとにーちゃんは「2023年3月14日の日本武道館公演後に活動休止期間を数ヶ月程度設け、その間に、今後についての結論を改めて出すことになりました。」とアナウンスされた。

この発表から約1か月(取材時点)ーー リーダーとして10年グループを牽引してきた白服に登場してもらい、卒業発表を経て現在の気持ち、グループの転機や思い出、リーダーとして感じるメンバーの変化や魅力などをたっぷりと語ってもらった。
――2023年の年末を目処にMeseMoa.から卒業することを発表してから、約1か月が経ちました。ファンの方たちの反応をどう受け止め、今はどんなお気持ちなのでしょうか。
卒業は長い時間をかけて悩んで、考え抜いて導き出した答えだったから、迷いはなかったし覚悟もできていたんですけど……そのお知らせがファンのみなさんを驚かせてしまうだろうし、哀しませてしまうことにもなるだろうなと思うと、やっぱり発表前はすごく緊張していました。発表の2日後にファンのみなさんとお会いする対面イベントがあって、それは卒業発表する前にみなさんが申し込んでくださったものだから、突然の発表のあとでどんなことを話そう、どんな顔で会ったらいいんだろうっていう戸惑いみたいなものはどうしてもお互いにあって。
――きっと、動揺されているファンの方も多くいたことでしょうね。
本当にその通りで。動揺して涙が止まらないファンの方をいざ目の前にすると、僕も泣きそうになってしまって。でも、必死に我慢はしていました。その対面イベントのあと、卒業発表してから初めてのMeseMoa.ライブのときには、なにもなかったようにステージに立つわけにはいかないだろうから、開演前にステージにメンバー9人がそろって、自分たちの口からあらためて卒業発表とそれに対しての想いを伝えたんですよ。
――すると、観客のみなさんも気持ちを整理しやすかったはずです。やはり、MeseMoa.はファン想いなグループですよね。
僕たち自身、アイドルが好きで、応援するメンバーの卒業もたくさん見てきたから、自分たちだったらどうしてほしいかということは考えるし、考えたいんです。ただ、SNS上やオンライン特典会でしか交流できていなくて、まだ卒業発表を受け止めきれないファンの方たちもたくさんいるので。応援したい気持ちもあるけど、寂しかったり、怒りさえ覚えたり……その気持ちもすごくよくわかるし、すべてを受け止めるのが自分の責任なんだとも思っています。
――白服さんはリーダーとして10年グループを牽引してきたわけですが、大きな決断をした今、いろいろと思い出すこともあるのではないでしょうか。
MeseMoa.ってあくまで企画ものみたいなノリでメンバーが集まったグループで、正直に言うと長く活動するつもりはなかったし、まさか10年も続くグループになるなんて思っていなかったんですよね。でも、始めてみたら意外とたくさんの反応をもらえて、楽しいからって調子に乗って続けていくうちに、絶対無理だと思っていた中野サンプラザ単独公演という夢が2015年にって、これをお仕事にしよう、やれるまでやろう!っていう決意が固まって。振り返ると本当にいろんなことがありました。
白服(MeseMoa.)
――その2015年あたりの出来事が、やはりMeseMoa.にとっての大きな転機となったのでしょうか。
そうですね。あと、むすめん。からMeseMoa.へ改名して、MeseMoa.としての1stシングル「Muddy Water」をリリースした2017年もターニングポイントだったな、と思います。「Muddy Water」から全国でフリーライブを行うようになったら、ファンの方が目に見えて増えましたから。同年にリリースしたMeseMoa.の1stアルバム『Secret』、そのリード曲「Shadow Kiss」のMVがだいぶ過激(メンバー同士のキスシーンが多数)で賛否両論あったんですけど、爆発的にたくさんの方に観てもらえて。そういう新しい挑戦がうまいこと重なって、多くの人にMeseMoa.を知っていただくことができた実感がありました。
――挑戦をするときには、不安やおそれを抱いたりもします。MeseMoa.が臆することなく次々と新たな一歩を踏み出すことができているのはどうしてなのでしょうか。
確かに挑戦するときって怖くて、メンバーみんなで「これ大丈夫かな?」っていう話し合いをすることもよくあります。でも、リスクを冒してこそなにかを得られるし、リスクを冒してこそ前に進めるんじゃないかなと思うんです。
――なるほど、揺るぎない信念があるのですね。リーダーとして決断しなければいけない局面、そのときに大事にしていることはほかにもあるのでしょうか。
会社(株式会社DD)とメンバーで話し合っていろいろ決めさせてもらえるということは本当にありがたいことなんですけど、たくさんの意見をまとめるのはやっぱり大変なことで。目的と手段と優先順位、この3つを明確にするということは心がけています。なぜそれをするのか、それを成し遂げるためにはなにが必要なのか、それにあたって優先するべきはどんなことなのかっていうことをちゃんと説明できるようになれば必ず理解を得られると僕は思っているので。
――それはまさにリーダーに求められるものだと思うのですが、もともとリーダー気質なのか、MeseMoa.でリーダーを務めるようになって意識が芽生えたのか……
それはもう、完全にあとから芽生えたものですね。自分が声をかけてメンバーを集めたという経緯があっただけで、もともとリーダーをやりたかったわけではないし、自分ではリーダーに向いていないと思っています。こだわりが強い人間なので、最初のころは自分の意見を通そうとしがちでしたし(苦笑)。でも、いろんな人の意見もちゃんと聞かなきゃってだんだん気をつけるようになっていって。リーダーシップ論の本とかビジネス書なんかもたくさん読みました。それまでは「趣味です」っていう言い訳ができていたけど、この活動をちゃんと仕事にしようと決意したからにはそういう甘えは捨てなきゃいけないですから。
白服(MeseMoa.)
――リーダーとして思い悩んだこと、苦しんだこともあると思います。そうした困難を白服さんはどうやって乗り越えてきたのでしょうか。
サブリーダーであるぷんちゃん(気まぐれプリンス)の存在はすごく大きいです。彼は僕が悩んでいるときや困っているとき、一緒に考えてくれるんですよ。大きい声でしゃべったりみんなを力強く引っ張っていったりするのが苦手な僕に対して、ぷんちゃんはそういうことが得意。苦手な部分を補って支えてくれるぷんちゃんこそリーダーに向いているよなって僕は思っていたりもします。ぷんちゃん、あおいくん、僕の3人で結成してメジャーデビューしたダンスボーカルユニット・トラフィックライト。では、ぷんちゃんがリーダー、僕がサブリーダーなんですけど、ぷんちゃんの頼もしさをあらためて感じたし、お互いにいい刺激があって。ぷんちゃんとの信頼がより深まったんじゃないかなと思っています。
――この流れで、MeseMoa.のリーダーとして感じる、メンバーの変化や成長、魅力をお聞きしたいです。
二番くん(二番煎じ)は、ダンスがすごくうまくなったし、めちゃくちゃかっこよくなったなと思っていて。今、二番くんと白服ってステージ上でそんなにイチャイチャしたりしないですけど(笑)、普段は力を抜いて気楽にしゃべれる楽しい人でもあります。ノックン(ノックソ)は、本当に陽気な人で場を和ませてくれるんですよ。コテコテの関西人でありどんな人とも仲良くなれてしまうノックンから、トークや人付き合いに関していろいろ学べているし、自分の至らないところを補完してもらっているなとも思います。野崎さん(野崎弁当)は、いい意味で変わらないですね。ブレないし流されないし、絶対になあなあで済ませない人。仲が良かったり長く一緒に活動していたりすると、メンバー同士で注意し合うのに気を遣ってしまいがちですけど、必要なときはズバっとダメ出しをしてくれます。トイレ掃除を率先してやってくれるところも昔から変わっていないし、ありがたい存在です。野崎さんってキモいキャラみたいな位置づけだったりもしますけど(笑)、めちゃめちゃキレイな顔をしているし、見た目もずっと変わらないな、すごいなって秘かに思っています。……普段こんなふうにメンバーのことを話す機会ってあまりないから、なんか恥ずかしいですね(笑)。
――各メンバーさんにぜひ読んでいただきたいです(笑)。
みんなも照れくさいでしょうね、きっと。あおいくんは、加入当時中学生でしたからね。未成年のときはMCでヒヤヒヤすることもありましたけど(笑)、気づいたら自分の考えや発信力をちゃんと持った大人になっていて。MeseMoa.を引っ張っていくんだっていう自覚も芽生えたと思うし、ダンスも抜群にうまいし、多くを語らないけど行動で示していく彼の姿勢、尊敬しています。なおかつ、レッスンでもステージでも一緒にふざけてくれたりもして。一緒にいていつも楽しいな、と思わせてくれる最年少です。ゲルたん(フォーゲル)も、すごく変わりましたね。最初のころはちょっと内気で、ダンスの先生に「パフォーマンス中は下を向かないようにね」って注意されていたのに、今ではダンスで引っ張って、ぶりっこキャラで沸かせてくれますから。でも、今も昔も率先して楽屋の片付けをしてくれるところは変わらない。見習わなきゃいけないなといつも思います。とみたん(とみたけ)は、楽屋でもステージ上でもすごく盛り上げてくれる人。最初のころは、あおいくん同様MCでヒヤヒヤする場面もありましたけど(笑)、やっぱり考え方や発言が大人になったし、パフォーマンス面でも心強い存在になったなと。彼の言葉にハっとさせられたり、感動してしまったりすることもあるんですよ。僕と真逆の性格のとみたんは、一緒にいて不思議と心地よい人だったりもします。にーちゃんはとにかく歌がうまくて、MeseMoa.を歌唱面でしっかりと支えてくれる人。にーちゃんと僕は考え方や感じ方が似ていて、話し合いのときに僕の意見を素早く理解してくれるし、補足説明してくれたりもするんですよ。言いづらいことを論理的に展開して伝えるのが上手な彼に、すごく助けられています。
――あらためておひとりおひとりに触れていただくと、本当に個性豊かであり、絶妙なバランスで成り立っているグループなのだなと感じます。
本当にそうなんですよ。MeseMoa.は奇跡のバランスで成り立っていて、それぞれの個性がちゃんと際立っていて。だから10年続けてこられたんじゃないかなと思います。ちゃんと理解し合っているからこそお互いに補い合えるし、卒業するメンバーがいてもそれぞれの役割が変化してうまくバランスを取っていけるって思います。
白服(MeseMoa.)

次ページでは、自分の中での変化や卒業するまでに挑戦したいことについてお届けします。

白服(MeseMoa.)
――先ほど触れられたリーダーとしての意識変化とは別に、白服さんがご自身に対して感じる変化もあるのでしょうか。
最初のころは、これはしなきゃダメ、これはしちゃダメっていうルールを自分の中で決めてしまっていたんですけど、“純粋に楽しもう”という気持ちを持てるようになったのは大きな変化ですね。
――エンターテインメントは発する側がまず楽しんでこそ、受け手も心から楽しめるものなのかもしれません。
そう思います。アイドルって正解がないというか……歌やダンスが上手でルックスがよければ必ず人気になるわけじゃないし、こうあるべきっていう自分の中の固定概念を一度捨てなきゃいけないと思ったタイミングがあって。自分が全力で楽しめば、観ている方にも必ず伝わる。それは今も肌で感じていることです。
――グループとしても個人としても活動に真摯に向き合い、試行錯誤や挑戦を重ねてきたこの10年。なにが支えになってきたのでしょうか。
それはやっぱり、ファンの方たちの存在ですね。自分のメンバーカラーが黄色なので、ファンの方たちのことを“黄推し”と呼んでいるんですけど、黄推しは自分のクソ真面目で不器用なところ、抜けているところも含めて応援してくれていて、「リーダーって大変だよね」「あのとき大丈夫だった?」って察してくれるし、寄り添ってくれるんですよ。あと、黄推しじゃない他推しの方も、わざわざお手紙やメッセージ、対面イベントでお会いしたときに「白服さんがリーダーでよかった」とか、すごく嬉しい言葉をかけてくれることがあって。わかってくれる人がいる、それだけで幸せだし報われるんですよね。ファンのみなさんがいるからここまで歩いてこられた、本当にそう思います。
――メンバー同士はもちろん、グループとファンの方たちも本当に想い合って、強い絆で結ばれているのですね。2023年3月14日には、ついに日本武道館のステージに立つMeseMoa.。まだ先のことではありますが、どんな公演にしたいか、どんな自分を見せたいか、その決意をお聞かせください。
今はまだ実感が湧かないんですけど……武道館は、自分の好きなアイドルの公演を観に何度も足を運んだ場所。イベントで立ったことはあるものの、単独で立てば、見える景色は全然違うと思うんですよね。自分の人生できっと最初で最後の武道館になるでしょうから、やっぱり特別な公演にしたい気持ちはありつつ、でも普段通りのライブがしたいなという気持ちもあるので、MeseMoa.らしく、なおかつこれまでにない演出も取り入れた公演にしたいです。そして、この世のかっこいいとかわいいを凝縮して煮詰めたような自分を見せたいなとも思っています。
――楽しみにしております。ちなみに、日本武道館公演をもって卒業、という選択肢もあったかとは思うのですが、そうしなかった理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。
武道館で卒業がきれいなのかなということは自分自身考えたし、ファンの方たちの中でもいろいろな意見はあると思います。でも、夢だったステージを卒業公演にしてしまっていいんだろうかという想いもあったし、そこまで急いで卒業したい!というわけではなかったので。MeseMoa.に関わるいろいろな方になるべく迷惑をかけないように早めに相談した結果、少し先に卒業することになったというのが正直なところです。
――自分のことだけではなく、グループのこと、会社のこと、周りのことも考えての決断だったのですね。
どうしても後ろめたさはあるんですけど、せめて自分にできることはして旅立ちたいなと。わがままなお願いかもしれませんが、体制は変わっても“続ける”という道を選んだMeseMoa.を今後も応援していただけたらと心から願っています。
白服(MeseMoa.)
――白服さんの誠意、きっとメンバーや会社スタッフ、ファンの方たちに届いているはずです。2023年の年末を目処にMeseMoa.を卒業するまで、挑戦してみたいことはありますか?
挑戦したいこと……すみません、パっと出てこなくて(苦笑)。たぶん、この10年でいろいろチャレンジしてきて、思い残すことがないというか。あれもやってみたい、これもやってみたい、という願望が明確だったら、それを全部クリアしてから卒業しているだろうし、それがないから卒業できるんだろうなと今思いました。
――その言葉、腑に落ちました。
あ! でも、冗談みたいなことだったらひとつだけあります。これまでYouTubeに面白ネタもたくさん投稿してきた中で、壮大すぎてボツになった案があって。昔のバラエティ番組でよくやっていた、クイズに不正解するたび傾斜がきつくなるすべり台にはりついてなんとか耐える、あれに憧れがあるんですよ(笑)。制作費がとんでもなくかかるみたいで、実現は難しいでしょうけど……。
――言っておくと、なにかの弾みで実現できてしまうかもしれません(笑)。
じゃあ、それを願って(笑)。
――それから、後輩グループへ、今の白服さんが贈りたい言葉もお聞きしたいです。
この夏、株式会社DDの全グループが集まるイベント『DD Party 2022』を行なっているんですけど、グループそれぞれにカラーがあるし、歌もダンスもどんどん伸びているし、本当に頼もしいなと思うんですよね。DD創設のきっかけとなったMeseMoa.の体制が変わるにあたって、後輩グループたちも会社全体を支えられるような存在になってほしいし、コロナ禍のような想像もしなかったことが起こったり、時代や社会が大きく変わっていったりする中でも、今ある時間、自分たちを支えてくれている会社の力やファンの方たちの応援を無駄にしないように、全力で向かってほしい。みんなならそれができると僕は信じています。DDを選んでくれてありがとう、これからもDDをよろしくね、ということをなにより伝えたいです。

取材・文=杉江優花 撮影=菊池貴裕

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