L→R 神田雄一朗(Ba from 鶴)、菊地英昭(Gu from THE YELLOW MONKEY)、岩中英明(Dr from Uniolla/MARSBERG SUBWAY SYSTEM)、渡會将士(Vo from FoZZtone)、MAL(Key)

L→R 神田雄一朗(Ba from 鶴)、菊地英昭(Gu from THE YELLOW MONKEY)、岩中英明(Dr from Uniolla/MARSBERG SUBWAY SYSTEM)、渡會将士(Vo from FoZZtone)、MAL(Key)

【brainchild's インタビュー】
コロナ禍があったからこそ
出来上がった作品

昔の毒ばっかり吐いていた僕とは
ちょっと違う

「Big statue ver.2」はニュース音声のような加工を盛り込むなど、遊び心を感じる仕上がりです。この曲はいつ、どのように生まれたのですか?

菊地
これはいつだっけかな? 「Set you a/n」の時にはまだなかったよね?
渡會
そんな気がしますね。
菊地
ダークはダークなんですけど、ギラギラさせたくて。ギターリフやサウンドはハードロックでもいいんだけど、ベタな感じにはしたくなかった。一回録ったらわりとハードロックっぽく出来上がってしまったので、“これじゃないな”と思って録り直しています。曲のテーマはワッチには伝えなかったよね?
渡會
そうですね。
菊地
ただ、“いろんな声色が入り混じってくるから、その面白みは出したいです”という話をしました。僕はわりとK-POPが好きなので、曲の構成や歌い回しも含めて、そういうテイストも入れたかったんです。この曲のヴォーカルは自分とワッチとで歌い分けをさせてもらっています。
渡會
歌詞は何を歌うべきなのかずっと決まらなくて、この曲は最後に録ったんですよ。歌うべきテーマをギリギリまで探っていた…自分の中でしっくりくるものがずっとなかったんです。そんな時にウクライナとロシアの戦争が始まってしまい…。

今年の2月ですね。

渡會
これまでコロナとも“逃げずに向き合って歌にしよう”と思ってきたから、戦争もちゃんとテーマとして盛り込んで向き合うべきだという気がしていたんです。テーマが決まってからは、“じゃあ、それに相応しい具体的な表現は何かな?”と、そこからいろいろ考えていきました。で、巨像恐怖症という言葉に辿り着きまして。

歌詞にあるメガロフォビアですね。

渡會
そう。巨大な像が建つ時の世の中って、歴史的に見ると政治がヤバかったり、人が死んでいたりするので、“やっぱり日本って今、実は裏でめちゃくちゃヤバいのかな?”とか、そんなことも勝手に妄想で考えたりしましたね。奈良の大仏も建てる時に大飢饉だったり、建てるために人がたくさん死んでいたり、そういう事例がいっぱいあったので、世の中的に“もうこれ以上でっかい像を建てる必要はないんじゃないの?”という想いも含めて、かなり雑多にですけど“戦争反対”的なメッセージはこの歌詞に込めています。

「FIX ALL」の作詞作曲はEMMAさんですが、《閉ざされた世界》という一節など、やはり歌詞からもステイホーム感が伝わってきます。

菊地
アルバム制作の中で本当に最後にできた曲ですね。アルバムには10曲入れようとして制作を進めていたんですけど、最初に入れようと考えていた曲はボリュームがありすぎるというか、ヘヴィな曲だったので“ここに入れたらトゥーマッチかな?”と思ったんですよ。なので、引き算の曲が欲しくて急遽作ったのがこの曲です。《ワンランク昇ろう》というサビの歌詞は、作っている途中にフラッと出てきた言葉をそのまま使っちゃう展開でいいかなと思ったりして。これも結局はコロナ禍の裏返しなんですけどね。“これが終わったらもう一回全部整えて、もっと上へ行こうよ”という想いも込めました。だから、昔の毒ばっかり吐いていた僕とはちょっと違うというか、そのちょっと進化系です(笑)。

サウンド的にもシンセの朗らかな感じに心地良い抜け感があります。

菊地
ちょっとコミカルというかね。カッコ良いのは大好きですけど、ちょっと笑わせたい…そういう曲も欲しいと思って。それをすでにレコーディングが終わっていたワッチに歌ってもらうのも失礼だし、ちゃんと責任を持とうと思って自分で歌いました(笑)。

曲順はすんなり決まったのでしょうか? 「Kite&Swallow」で終わるのが最高ですよね。

菊地
それは初めから決めていました。この曲が完成して初披露した時のライヴでは最後に演奏したんですよ。“新曲を紹介します”みたいな感じで披露したんですけど、それがすごく自分の中に腑に落ちていたから、「Brave new world」を1曲目にするのも決まっていたので、「Brave new world」でアルバムを始めて「Kite&Swallow」で終わるというのだけは、もう自分の中で決めていましたね。あとは、中身をどうしようかとずっと思っていたところに、“アナログを盤を作れますよ”という話がきたので、“おっ!”と。アナログ盤の曲順って自分は好きなので、常にベースにはあるんですけど、本当に作れるなら“B面の1曲目はこの曲しかない”ということで「クチナシの花」を6曲目に決めました。それまではA面でゴチャゴチャガーガーやっていて、それを聴き終わってレコードを裏返して針を落としたら“あっ、ピアノから?”みたいなね。そういう世界観を演出したかったんです。なので、「クチナシの花」が決まってからは、それをベースに並べていきました。

本当にバラエティーに富んだ作品で、これがライヴでどう変化するかも楽しみです。念願のツアーが10月から始まりますが、その意気込みをお聞かせください。

渡會
brainchild'sのライヴでは、自分はとにかくコール&レスポンス芸を磨いてきたんですけど、今のご時世的にはそれが使えないから…。“反応し合っているんだ”というのを共感し合うのに、コール&レスポンスはすごくシンプルで良かったんですよ。お客さんがいるから、さらにこちらもスタジオで歌っているのとは違うテンションで演奏ができるので。だから、それに代わる何かをツアーに向けて少しでも用意していけたらと思っています。
菊地
さすがだねぇ。
渡會
まだ何とも分からないですけどね(笑)。でも、ご当地ネタを調べるのも好きなので、ちゃんと笑ってもらえるような、“マジで面白かったなぁ”と思って帰ってもらえるちょっとした何かは全会場で用意したいと思っています。
菊地
地方に行っても、本当にちゃんと直前まで調べているんですよ。“偉いなぁ”って。
渡會
みんなが喜んでくれるので、一回やっちゃうともう抜けられなくなるんですよ(笑)。

EMMAさんはいかがですか?

菊地
今回は全カ所がホールになるので、今までとはちょっと違ったbrainchild'sの見せ方ができると思っています。今まではライヴハウスという空間で、ライヴハウスの力を借りているところもあったと思うんですけど、ホールって意外と素っ裸にされるので、そこが勝負だなと。そう思う反面、逆に本質を見せられるかなって。だから、アレンジとかも含めてさらに練りたいと思っていますし、音源とは少し変わるところもあるかもしれないですけど、ホールはそういうこともできる場所だと思うので。音もライヴハウスよりもクリアーに聴こえる場所もあるかもしれないし、見え方も違うし。メンバーの立ち姿も違って見えると思うから、気合いを入れていろいろと考えたいと思います。

取材:大前多恵

アルバム『coordinate SIX』2022年8月24日発売 Ariola Japan
    • 【完全生産限定盤A】(CD+DVD)
    • BVCL-1228~9
    • ¥5,500(税込)
    • 【完全生産限定盤B】(LP)
    • BVJL-55
    • ¥4,070(税込)

ライヴ情報

『brainchild's TOUR 2022 “sail to the coordinate SIX”』
10/04(火) 愛知・名古屋市公会堂
10/07(金) 宮城・日立システムズホール仙台シアターホール
10/14(金) 大阪・NHK大阪ホール
10/21(金) 福岡・ももちパレス
10/29(土) 北海道・札幌共済ホール
11/02(水) 東京・中野サンプラザホール
11/13(日) 新潟・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館劇場

brainchild's プロフィール

ブレインチャイルズ:2008年10月にインディーズレーベル『Brainchild’s Music』を設立し、始動。菊地英昭がプロデュースするオルタナティブで、思いつきをかたちにしたり、頭脳から生まれる産物やアイディアなどを音楽で表現する120パーセント自由なプロジェクト。16年に第7期のメンバーとしてヴォーカリストに渡會将士、ベースに神田雄一朗、ドラムに岩中英明を招聘し、精力的に活動を続ける。その後、キーボードに第6期でも参加していたMALが加わり5人体制へ。“brainchild’s 7期。”として、22年8月に6枚目のアルバム『coordinate SIX』をリリースし、10月からは『brainchild's TOUR 2022 “sail to the coordinate SIX”』を開催する。brainchild's オフィシャルHP

「Big statue ver.2」MV

「Brave new world」Lyric Video

OKMusic編集部

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