L→R 大浦史記(Pf)、齋藤知輝(Vo)、萩原健太(Ba)、清水裕貴(Dr)

L→R 大浦史記(Pf)、齋藤知輝(Vo)、萩原健太(Ba)、清水裕貴(Dr)

【Academic BANANA インタビュー】
4人が共通して意識しているのは
“歌を聴かせる”こと

大事にしているのは恋愛の曲にも
人生観や人間らしさを入れること

では、それぞれのアルバムで特に好きな曲、思い入れの強い曲を教えてください。

清水
僕は「サイレントラブ」と「共犯者」ですね。矛盾しますが、“激推しの一曲は?”と訊かれたら「残り香」なんですけど(笑)。「サイレントラブ」はメインでギターのサポートをやってくれている藤代佑太郎さんと初めて一緒にやった曲で、“このサウンド、すげぇいい!”と思った印象が残っています。「共犯者」は最初にサポートしてくれていた杉田昌也くんが久しぶりに弾いてくれて、まさに“このサウンドは杉田だよな!”ってサウンドで。ギタリストのカラーがすごく出ていて、心が躍った2曲を選びました。
萩原
僕は「マーガレット(feat. Takuya IDE)」ですね。唯一、齋藤以外のヴォーカルが入っているんですけど、僕は最初の段階で“ラップって齋藤と合うの?”という疑問があったんですよね。でも、実際に入れてみたらすごく良くて! アルバムの中でも変わり種であり、印象に残っている曲ですね。ヒップホップやラップを通ってこなかったので、どんな曲になるかイメージが湧かなかったんですけど、“こういうスタイルのラップもあるんだ!?”というのがすごく新鮮で。
齋藤
ジャズがあって、ブルースがあって、フォークがあって。さらにヒップホップまでも取り入れてしまうってところで、まさに“ネオ歌謡曲”だと思います。

齋藤さんは思い入れの強い曲、好きな曲はいかがですか?

齋藤
僕は「Feel Like Sunny」ですかね。コロナ禍が予想以上に続いて、メンバー間も目標が見えなくてバラついてきた時に作った曲なんです。歌詞の中で《そばにいるよ Feel you 自由に飛び立て》と矛盾したことを歌っているんですけど、これはその時にメンバーに対してもファンに対しても思ったことなんですよ。“俺は変わらずにいるから、みんな自由に飛び立ってほしい。同じ空の下、必ずまた重なり合うことができるから”って気持ちで。太陽って眩しいけど、時にその眩しさが苦しい時があるように、僕がいることでポジティブになれる時もあれば、僕の存在がつらい時もあるかもしれない。それでも“太陽のように変わらず照らし続けたい”という気持ちを歌詞に書きました。

このアルバムを聴いて、アカバナの曲が全曲ラブソングだってことに気がつきました。美しくロマンチックな恋愛世界に誘ってくれる曲が多いけれど、「Feel Like Sunny」はちょっと方向性が違いますよね?

齋藤
確かに恋愛の曲はたくさん書いているんですけど、僕が大事にしていることはその中に自分の人生観や人間らしさを自然に入れることです。自分の中ではそこがフォーク的で、聴いている人は歌詞に自分を重ねることもできるし、ロマンチックな歌詞にもより入り込みやすい。あと、「口紅」を最後に収録して、歌で終わらせたところにこだわりがあって。1曲目の「残り香」は、この時代にこの長いイントロで始まることに意味があって、アルバムを一枚聴いて「口紅」から「残り香」を聴いた時、イントロの印象がかなり変わると思います。

アルバムや楽曲の世界に没入できるようにいろんな工夫をしているんですね。「残り香」のイントロは初めて聴いた時、アルバム世界に導入する必要なストロークって感じで、すごく効果的だと思いましたよ。「抱擁」とか「金木犀」とかの女性視点の歌詞はどんな気持ちで書いているんですか?

齋藤
“こう思っていてほしい”という願望はあるかもしれないです。例えば「金木犀」は友達の実話をもとにしていて、「白く」と対になっているんです。「金木犀」が女性、「白く」が男性視点で書いていて、愛し合っているのに仕方なく離れ離れになったふたりを両方の視点から書くことで見えてくるものがあると思って曲に落とし込んでいたり。女性のファンも多いので、男性目線のラブソングから感じ取るのと女性目線のラブソングに自分を重ねながら聴くのって、全然違うと思うんですよね。

そんな『SEASON』を引っ提げて東京と静岡でワンマンライヴ『Academic BANANA LIVE TOUR 2022 SUMMER』も予定されていますが、意気込みはいかがでしょうか?

齋藤
夏にやるライヴはコロナ禍で中止になった会場をセレクトしてのリベンジになるんですが、あの時とは僕らも違うし、みんなも違う。だけど、あの時に守れなかった約束とか、あの場所に見出だせなかったものを思い出しつつ、新しい風を吹かせるようなライヴにしたくて。僕らが過ごしてきた“SEASON”を楽曲だけでなく、ミュージシャンの力量として届けたいと思っています。あとは、みんなもアルバムを聴いて来てくれると思うので、盤とライヴの違いやどちらの良さも感じてもらいたくて。生で聴くパワーと家に帰って聴いての良さの両方を楽しんでもらえるように届けたいですね。

取材:フジジュン

アルバム『SEASON』2022年8月10日配信リリース THUNDERBOLT RECORD
    • TBTR-001
    • ¥2,800(税込)

『Academic BANANA LIVE TOUR 2022 SUMMER』

8/14(日) 東京・LOFT HEVEN
9/03(土) 静岡・G-SIDE

Academic BANANA プロフィール

アカデミックバナナ:2017年12月に東京で結成。フォーク、ブルース、ロック、ジャズ、ファンク、クラシック、フュージョンなど、メンバーそれぞれが多様な音楽からインスパイアされることによって生み出される独自の楽曲を“ネオ歌謡曲”と名づける。また、レコーディングやMV制作、HP編集、グッズ制作などをメンバー自らが行なう完全DIYバンド。23年8月より4人編成のバンド形態から現体制となり、同年10月に2ndフルアルバム『Love Letter』を発表。Academic BANANAオフィシャルHP

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