クロフェスのロゴ。2020年のもの(主催:ライム・ライト/テレビ朝日)プレスリリースより

クロフェスのロゴ。2020年のもの(主催:ライム・ライト/テレビ朝日)プレスリリースより

自分の名前を冠したフェスを開催する
神経:ロマン優光連載218

ロマン優光のさよなら、くまさん
連載第218回 自分の名前を冠したフェスを開催する神経 編集氏から「個人名をそのまんまつけたフェス、最近あるじゃないですか。例えば、やついフェスみたいな。ダサく感じるのですが、あれ、どんなんでしょうね。普通に受けられてんですかね」というメール。
「いや、そんなのどうだっていいよ。俺、そもそもフェス自体に興味ないし……。そういうつくりの名前のフェスがあっても、別にかまわないのでは」と思ったものの、これは仕事である。仕事である以上は考えなければならない。
 おそらく、編集氏の言いたいことは「自分の名前をつけてフェスとか、自分の趣味の良さをひけらかして自己顕示欲を満たしてる感じがイタい」と感じるということなのであろう。果たして、個人名を冠したフェスはそういうものなのだろうか?
「三代目 J SOUL BROTHERS 山下健二郎のZERO BASE presents 山フェス」の場合、ニッポン放送の山下さんがメイン・パーソナリティーを勤める番組から出てきたライブイベントであり、番組ファン・山下さんのファンに向けたイベントなので山下さんの名前がフェス名に付いていても普通だろう。
 小籔千豊氏の「コヤブソニック」。酒席で盛り上がったフェス話を実現化させたというフェスである。小籔氏の名前を出さなくても、別に音楽フェスなんて成立するのではないかという考えもあるが、フェスはやるのに金がかかる。有名タレントの小籔氏の名前を前面に出すことで協賛がとりやすいというメリットがあるわけである。
 安田大サーカスのクロちゃんの名前を冠した「クロフェス」。クロちゃんプロデュースのアイドルフェスということになっているが、これは非常に不自然な企画だ。TBS『水曜日のダウンタウン』の番組内企画でアイドルグループ・豆柴の大群をプロデュースすることになったクロちゃん。その流れからのアイドルフェス開催のように見えるが、主催の一つにテレビ朝日の名前がある。TBSではないのだ。
 それはともかく、アイドルフェスを開催したい会社がテレ朝を巻き込むために彼の名前を使った、テレ朝と共同主催のアイドルフェスを開催を考えていた会社が世間に対する宣伝効果を考えて彼の名前を使ったとかいう感じで、クロちゃんから出てきた企画ではないだろう。名義貸しみたいなものなのではないか。
 こう考えていくと、番組発という正統な理由や、大人の事情によって名前が冠せられてる場合がほとんど。基本ファンであったり、大人の事情を理解して参加する人だったりで問題視する人はあまりいないのではないか。
 インディー規模でも個人名が冠せられたフェス形式のライブは色々あるだろうが、諧謔まじりに名付けたられたものがほとんどだろうし、主催も界隈の人に愛されてるよう人である場合が多いだろうし、身内で楽しんでるだけの話で別になんでもないというか。
 やついフェスをわざわざ例としてあげてくることから考え、編集氏が個人名がつけられたフェスに反感があるのは、単に「やついフェス」、あるいはやついいちろう氏に対する否定的なイメージがあり、それゆえに他のフェスまで偏見の目で見ているのではないだろうか。編集氏の中のやつい氏のイメージの悪さが、私にこのような取り組むことに難しさを感じさせる原稿を書かせる原因になったとすれば、迷惑な話だ。しかし、やつい氏のイメージが編集氏の中で良くならない限り、編集氏の個人名を冠したフェスへの反感は無くならないのかもしれないし、やついフェスに関わる原稿依頼はこれからもあるのかも知れない。え、お前がやついフェスをそう思ってるから、そういう風に解釈したのではないかですって? いや……そんなことは…ないと…思います……。
 確かに別の理由で編集氏がこだわっている可能性もある。田中フェス、小林フェスみたいに名前とフェスという言葉が並ぶのが言語感覚的に許せないという話だったのかもしれない。そうだとすれば、それこそ他人には何ともいいようがないのである。
 こういう依頼を受けて記事を書いたことで、「個人名を冠したフェスについて触れながら特に否定的なことを言わないのは、ロマン自身が好きなアイドルを集めてロマンフェスをやろうとしている」という疑いをかけられたらどうようという不安でいっぱいだ。お金も人望も知名度もないから、そんなフェスやるの無理! 無理だから!
(隔週金曜連載)

画像:クロフェスのロゴ(2020年のもの)
主催:ライム・ライト/テレビ朝日
プレスリリースより
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ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。twitter:@punkuboizz
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